sunsun fineな日々

子育てしながら,山を歩いたり星を見たり料理したり写真を撮ったり

【南アルプス】甲斐駒ケ岳に登ってきました (1):北沢峠でテント泊

甲斐駒が気になる

中央線や中央道で信州方面に向かうと,甲府を過ぎたあたりで左側に見事な姿をした山が見えてきます。甲斐駒ケ岳です。標高2966 mのこの山は,南アルプスの北端に位置しています。

岩の塊が地面からニョキニョキニョキッ!と盛り上がってきたような力強い形,そして摩利支天を従えて毅然と立つ凛々しい姿は,ひときわ目を引きます。

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中央線の車窓から甲斐駒ケ岳。4年前の冬に撮影。雪煙を上げています

僕は長野方面に向かうたびに車窓の甲斐駒ケ岳を見て,いつかここに登ろうと思ってきました。今年の5月には入笠山に登って,この山を間近で見て,ますます甲斐駒ケ岳が気になっていました。

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さて,9月に入って最初の金曜日と土曜日。時間が取れて天気も良さそうです。ということで,一泊二日で行ってきました!

コースと持ち物

甲斐駒ケ岳に登るには,駒ヶ岳の南側,北沢峠を起点として駒津峰を経由するルートと,駒ヶ岳の北東側,竹宇駒ヶ岳神社を起点とする黒戸尾根ルートの2通りの方法があります。今回は前者の北沢峠コースで登ります。ちなみに黒戸尾根は標高差2200 m,日本三大急登に数えられるハードなコースです。

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今年5月に入笠山へ行った時に,長野県側の車窓からみた甲斐駒ケ岳

今回,晩ご飯はパックご飯にしてみました。ひと月前の北アルプス白馬岳で,ご飯を炊くのに失敗して芯が残ってしまったので…。(アルファ米は近所のスーパーで品切れでした) 

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またベースとなる北沢峠のテント場は,樹林に囲まれたところにあるので,この山行では赤道儀は持たず,星空の撮影は固定撮影で行います。

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北沢峠へ

初日は都内から北沢峠まで電車とバスで移動するだけです。新宿から中央線「あずさ」で甲府に行き,甲府駅南口前発の山梨交通バスに乗り込みます。南アルプス林道を通ってバスに揺られること2時間,広河原に着きました。ここは北岳への登山口ですが,あいにく空には雲がかかっており,北岳を望むことはできません。まさに北岳のふもとに来ただけ。

広河原には,「チャート」と「赤色チャート」が置かれていました。石英質の殻を持つプランクトン,放散虫が海底に堆積してできた岩石がチャート。そして鉄分を含んで赤みを帯びたチャートが赤色チャート。赤石岳に露出する赤色チャートが赤石山脈(南アルプス)の名の由来になっているそうです。そしてこれらは,南アルプスがかつて海底から隆起してきたことを示しているのです。面白ーい!

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チャート。放散虫が海底に堆積してできた岩石@広河原にて

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赤色チャート。赤石山脈(南アルプス)の名前の由来となった

続いて広河原から北沢峠へ向かう小型バスに乗り換え。こちらは25分くらいで今日の目的地,北沢峠に到着です。

長衛小屋テント場にて

北沢峠のテント場は,バスを降りたところから10分ほど歩いた,長衛小屋の前にあります。一泊500円。水は冷たくて美味しいのが流しっぱなしで無料です。豊かな水は,ここが南アルプスの一角であることの証左です。本物の南アルプス天然水♪

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長衛小屋のテント場は沢のほとり。水の豊かなキャンプサイトです

またこのテント場は小屋に近い上段と,少し下がった下段に分かれています。上段の方が水場やトイレに近いですが,夜は星空撮影をしたいので,空いている下段にテントを設営しました。テントを張った直後は空に雲がかかっていましたが,テントでのんびりしていると,だんだん青空が広がり,森の向こうに摩利支天が見えてきました。夜はきっときれいな星空を見ることができるでしょう。

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北沢峠・長衛小屋のテントサイト。石でアンカーを取れるテント場は,ペグを打たなくていいので楽です

星空撮影に備えて,早めの夕食の準備にかかります。パックご飯なので楽チンです。今日はちょっとしか歩いていないので余裕を持って夕食の準備ができるのに…手抜きですね(笑)。

そして食後に紅茶を飲んだりしていると,テント場は夕闇に包まれました。

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月明かりに照らされる北沢峠テント場の夜

20時。シュラフに入り眠りにつきましたが,寒かったのでフリースを一枚着込みました。もう夏山ではないのですね。

北沢峠の星空

この夜は23時すぎに月が沈むので,その時間に合わせて一度起きだしてみました。テントの入り口を開けて空を眺めて見ると,雲はすっかり消えて満天の星空が広がっています。うっしっし,読み通りじゃ (^ω^)。

北東の空には秋の天の川がかかり,アンドロメダ銀河が輝いています。夏のダイナミックな天の川もいいですが,秋の天の川も透明感があって好きです。アンドロメダのひとしずく。

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北沢峠から秋の天の川とアンドロメダ銀河

今回は固定撮影のみなので,撮影は楽です。この一枚をササッと撮ったあと,また2時間くらい眠りました。zzz…。

午前2時。ちょっと早いですが起きだして,もう一度星空にカメラを向けました。この時間になると,もう冬の星座,ぎょしゃ座やおうし座が昇ってきています。季節の移ろいは早いですね。

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昇ってくるぎょしゃ座,おうし座。レンズが曇ってしまったようだ…

続いて長時間露出で北天の日周運動を撮影しました。山に登ると本当に星が近くに感じられます。

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日周運動ぐるぐる。約1時間のスタートレイルです

日周運動のぐるぐる写真を撮っているときは結構ヒマなので,その間に朝ごはん。撮影はテントの外に立てたカメラに任せっきりです。

甲斐駒ケ岳へ向かって出発します

そうしているうちに,うっすら明るくなってきました。東の空には早くもオリオン座が姿を見せていますが,ここでカメラは撤収です。テント場ではあちこちで人が起き出して活動の準備を始めています。

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早朝の北沢峠テント場。みんな出発する準備を始めています。赤い線になって写っているのは,ライトを持った人が歩いたあと

僕もサブザックに必要な荷物を詰め,ヘッドランプをつけて,甲斐駒ケ岳に向かって午前4時30分にテント場を出発しました。

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【北アルプス】息子14歳と登る白馬岳 (3):白馬の星空

前回の記事「【北アルプス】息子14歳と登る白馬岳 (2):大雪渓を登って白馬の稜線へ」の続きです。

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白馬頂上宿舎のテント場で,僕と息子は20:30頃シュラフに潜り込みました。この日は登山口の猿倉まで夜行バスで来て,その足で雪渓を登ってきたせいか,2人ともすぐに寝てしまったようです。

けれども普段から寝相の悪い息子は大人しく寝るわけではなく,夜中に僕の上に何度か転がってきました。シュラフに入っていてもそれかい!おかげで目が覚めて,時計を見たら午前1時過ぎ。けっこう寝ましたね。テントの換気窓から外を眺めたら…おお,晴れてる!星がきれいじゃないか。

一気に目が覚めて,そわそわしながら赤道儀の準備を始めます。カメラ,赤道儀,リモートレリーズ。カメラには広角レンズを付けます。三脚はテントの外に置いてあります。爆睡している息子を横目にテントの外に出てみると,満天の星空です。南西から北東の空にかけて,天の川がぐるーっとアーチを描いています。これはすごい!

西に傾く夏の天の川

さっそく赤道儀の極軸合わせをします。そして南天の天の川にレンズを向けました。実はこのためにテント場の一番南側にテントを張ったのです。

夜半を過ぎて,天の川は西に傾いています。いて座のスタークラウドはすでに山の影ですが,夏の大三角を貫くはくちょう座付近の天の川が山の稜線から立ち上がっています。赤道儀で追尾しながら露出90秒で撮影し,6枚スタックしました。

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白馬岳頂上宿舎テントサイトにて 西に傾く夏の天の川

昇ってくる秋〜冬の天の川

続いて北東の方角にカメラを向けました。早くもぎょしゃ座やおうし座が昇ってきています。アンドロメダ銀河やプレアデス星団(すばる)も輝いています。こちらは理由あって2枚しかスタックしていないのですが,空が良かったので天の川の淡い領域も結構写りました。

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昇ってくるぎょしゃ座,おうし座と秋〜冬の天の川。画面上にアンドロメダ銀河

この写真を撮った頃には早立ちのグループがヘッドランプをつけて歩き始めていました。早い時間帯のうちに不帰キレットを越えるためでしょうか。それともどこかでご来光を見るためでしょうか。

白馬にかかる天の川のアーチ

最後にテント場全体を入れて,白馬岳にかかる天の川のアーチを固定撮影で撮ってパノラマ合成しました。

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テントサイトと白馬岳にかかる天の川のアーチ。右側の黄色いテントが僕たちのおうち

夜が明けたら,ちょうどこのアーチをくぐる方向に歩いて行って,白馬岳の頂上を目指すのです。

息子にもこの星空を見せたいのです

さて,写真を撮っていると3時を回りました。予定より早いですが,この星空を息子にも見せたいので「星がすごいよ」と起こしてみます。すると息子はテントから顔を出し,「わぁー!」と言いながらしばらく空を眺めていました。半分寝ぼけながらでしたが,星のまたたきをちゃんと見ることができたでしょうか。

それにしても素晴らしい星空でした。赤道儀を担ぎ上げたかいもありました。ペルセウス座流星群に属すると思われる流れ星もいくつか飛んでいました。

空が白んできました。カメラを撤収して,僕もテントに戻ります。そしてもう一度シュラフに入って20分くらい温まりました。そしてまたいびきをかいていた息子も起こして,朝のコーヒーを淹れました。

朝ごはんを食べたら,今日は白馬岳の頂上にアタックです!

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そうだ,赤道儀作ろう!(その1):予算500円で作る手動ポータブル赤道儀

以前,「固定撮影で星空を撮ろう」という記事を書きました。空がきれいなところなら,固定撮影でも十分にきれいな星景写真が撮れると思います。でも撮っているうちに,「もっと暗い星まで写したい」「天の川をもっと淡いところまでくっきり写したい」と思うことがあるかもしれません。

また固定撮影ではカメラのiso感度をかなり上げて撮影するので,カメラによってはノイズが気になることもあります。ノイズを減らすためにiso感度を下げた上で,星をたくさん写したいこともあるでしょう。

これらのことを実現するためには,より長い露光時間を取る必要があります。固定撮影では20〜25秒くらいが露光時間の限界ですが(これ以上シャッターを開けていると,星が線になって写ります),これより長い露光時間を取った上で星を点として写すためには,カメラを星の日周運動と同じ速さ(1日一回転)で回してやる必要があります。この目的で用いる道具が赤道儀です。

赤道儀を作っちゃおう!

赤道儀は様々なものが市販されていますが,それなりに高価です。そこで,ここはひとつ自作してしまいましょう。予算は500円!ただし手動のポータブル赤道儀,しかも木製です。

ゆっくりゆっくり動いて一日で一回転する星に正確にカメラの動きを合わせる…と考えると,難しそうに思えますが,実際にはかなり簡単な装置でこれを実現することができます。

どうやって星を追尾するか–––タンジェントスクリュー

赤道儀を作るためには,まず「一日一回転」をどうやって実現するかを考えなくてはなりません。これには「ウォームギア方式」と「タンジェントスクリュー方式」の2通りがあるのですが,ここではよりシンプルな後者のやり方で行きます。タンジェントスクリュー方式…名前は何やら難しそうですが,その構造は実にシンプルです。

ここではその原理を解説する前に,まず全体図を示すことにします。図のように二枚の木の板A, Bがボルトでとめられており,板Aはこのボルトを軸として回転することができます。また板Bにはナットが埋め込んであり,このナットを通っている小ねじをねじ込んでいくことで,板Aを押して回転させてやります。

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赤道儀の全体図。板Aは板Bに極軸ボルトで止まっていて,駆動ネジで押されて回転する

ここで大切なのは回転軸のボルト(以下,この回転軸を“極軸”と呼びます)と板Bに埋め込まれた小ねじ(以下,この小ねじを“駆動ネジ”と呼びます)との距離,および駆動ネジのピッチ(ネジ山の間隔=ネジが一回転する間に進む距離)です。極軸と駆動ネジの距離をa,駆動ネジのピッチをbとした場合,駆動ネジを一回転させると,その間に板Aが回転する角度θは,tanθ = b/a で与えられます。

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極軸と駆動ネジの距離をa,駆動ネジのピッチをbとした場合,駆動ネジを一回転させると,その間に板Aが回転する角度θは,tanθ = b/a で与えられる

さて,星は一日に一回転,つまり360°回転するので,1分間に回る角度は360 ÷ 24 ÷ 60 = 0.25° です。ですからb/aの値がtan 0.25° = 0.00436となるようにaおよびbの長さを決めてやれば,駆動ネジを1分間に1回転させることで,板Aが星と同じ速さで回転することになります。このとき板Aにカメラを取り付けておけば,カメラが星と同じ速さで回転するのです。

ところでねじのピッチはjis規格で決まっています。例えば直径6 mmのネジのピッチは1.0 mm,5 mmφのネジのピッチは0.8 mmです。ですから駆動ねじとして直径6 mmのネジを使った場合は,aの長さを1.0/0.00436 = 229 mmにすれば,駆動ネジを1分間に1回転させることで星の追尾ができることになります。直径5 mmのネジを使うなら,aの長さを0.8/0.00436 = 183 mmにすればよいということですね。

赤道儀を具体的に設計します

ということで基本的な考え方は決まりました。次は具体的な設計です。

僕は駆動ネジとして5 mmφ (ピッチ0.8 mm) のネジを使いました。この場合極軸と駆動ネジの距離が183 mmとなりますから,赤道儀全体の長さも25 cm 程度に収まります。これだけコンパクトなら,山に担ぎ上げて星を撮るのも楽ですね。

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赤道儀設計図。極軸-駆動ネジ間の距離は正確に

大雑把な設計図を上に示します。赤道儀は,部材A, B1, およびB2の三枚の板からできています。サイドを斜めにカットしてあるところや上部を丸くしてあるのは趣味の問題なので,手間をかけずに作るなら長方形の板2枚を組み合わせるような形状でも問題ありません。

必要な材料と道具

材料

木部には 1 x 4(ワンバイフォー:厚さ19 mm, 幅90 mmの規格です)のSPF材を使います。長さは60 cmあれば十分です。多分これが一番安い木材ですが,手元にベニヤ板などがあれば,それを使ってもいいでしょう。

金属部品で必要なものは

  • 極軸となる6 mmφボルト(長さ50 mm)とナット各1,ワッシャーx2
  • 駆動ネジとなる5 mmφボルト(長さ50 mm)とナット各1,袋ナットx1,ワッシャーx2
  • 駆動ネジを受ける鬼目ナット(内径5 mm)x1
  • 木ネジ数本
  • 1/4インチボルト(長さ25 mmくらい)x1
  • アルミ板(3 mm厚)50 mm x 50 mm 程度1枚
  • L字型金具 x1
  • 太さが2〜3 cmで長さが12 cmくらいの塩ビチューブ x1。

これらは全てホームセンターに行けば手に入ると思います。木材が100円くらい,金物類が400円くらいで揃うでしょう(僕は,手元にあった木材を使ったので,350円くらいで作れました)。

工具

ノコギリ,電動ドリルドライバーが必要です。僕はかんなも使いましたが無くてもできます。他にサンドペーパーがあると仕上がりがきれいになります。それから鬼目ナットを木材にねじ込む際に,六角レンチを使います。

それでは作りましょう–––部材の加工

まず設計図にしたがって,部材A,B1およびB2を切り出し,穴を開けます。ここで,板Aに駆動ネジの頭が当たる面および板B1にB2を取り付ける面(設計図に赤で示したところ)はできるだけ正確な平面になるように気をつけます。僕はここを切るときにはソーガイド(ノコギリ用の定規みたいなもの)を使いました。また極軸と駆動ネジが通る穴の位置は,正確にする必要があります。

部材B2に開けた穴(設計図で8 mmΦになっているところ)に,駆動ネジを通すための鬼目ナットをねじ込んで固定します。この穴のサイズは,鬼目ナットの袋に書いてあります。

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これが鬼目ナット。内側にはボルトを通すための雌ネジが切ってあり,外側には木材にねじ込むための雄ネジが切られている

僕が使った鬼目ナット(5 mmφボルト用)の場合,これをねじ込むための穴の直径は7.7ー8 mmと指定されていたので,それに合わせて板B2に穴を開けました。そして木工用ボンドと木ネジで,B2を板B1に取り付けます。

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部材B2に鬼目ナットをねじ込み,木ねじでB1に固定します

駆動ネジには,これを回すためのハンドルを取り付けます。このハンドルにはインスタントコーヒーのふたを使いました。またこのハンドルには,60°ごとにビニールテープで印を付けておきました。これで10秒に一目盛の速さでハンドルを回せば1分間に一回転です。

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駆動ネジにはハンドルとしてコーヒーのフタを取り付けました

L字金具には木の切れ端を瞬間接着剤で貼り付けました。ここに極軸望遠鏡がわりの塩ビチューブがつくことになります。

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L字金具に板の切れ端を接着しておきます

もう一つ,アルミ板には真ん中に穴を開け、1/4インチのタップを切っておきます。僕はこの時1/4インチサイズのタップが手に入らなかったので,6 mmの穴を開けて,そこに1/4インチボルトを力ずくでねじ込んで雌ネジを切りました。

組み立て

組み立ては特に難しいことはありません。写真を見ていただければわかると思います。L字金具,部材AおよびBを極軸となるボルトで束ねて,板Bの鬼目ナットに駆動ネジを通します。

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全体図。組み立ては簡単です

駆動ネジの頭には,部材Aへの当たりが滑らかになるように,袋ナットを付けておきました。またAの駆動ネジが当たるところにはテレホンカードの切れ端を瞬間接着剤で貼り付けました。

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駆動ネジと部材Aのあたりがスムーズになるようにします

また部材A,Bの先端には小さな木ネジをねじ込んで,これに軽く輪ゴムをかけておきます。

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部材A, Bの先端に輪ゴムをかけます

最後に1/4インチの雌ネジを切ったアルミ板を,板Bの裏側に木ネジで固定します(カメラ三脚に取り付けるため)。

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1/4インチの雌ネジを切ったアルミ板を取り付けます

これで完成です。材料の切り出しから組み立てまで,だいたい3時間もあれば出来ると思います。

もし塗装するなら,趣味に応じて好きな色のペンキなりニスなりを塗ってもよいでしょう。僕はメジロの絵を描いて(下手くそというツッコミはなしで),オイル塗装しました。…というわけで,この赤道儀は「メジロ号」と命名されました (^^)

使い方

現地に着いたらまず赤道儀をカメラ三脚に取り付け,赤道儀にはカメラ雲台を取り付けます。そしてL字金具に,塩ビ管を輪ゴムなどで取り付けます。これでこの塩ビ管は極軸と平行になります。これを極軸望遠鏡として使うのです。

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極軸望遠鏡代わりの塩ビ管で北極星を導入して極軸を地軸と平行にし,ハンドルを1分間に1回転の割合で回すと星の動きが追尾できる

次に北極星を探しましょう。極軸望遠鏡の視野の中心に北極星が入るように,赤道儀の向きを調整します。これで極軸と地球の回転軸が平行になります。以上で赤道儀のセッティングは完了です。

カメラを乗せて撮りたい方向に向けます。撮影モードはB(バルブ)。カメラのシャッターを開いたら,追尾開始です。時計とにらめっこしながら,1分間に一回転(10秒間に一目盛)の速さでハンドルを回してやります。カメラに振動を伝えないように,そーっと滑らかに回すのがポイントです。時間が来たらシャッターを閉じて,追尾終了。

作例

こんな簡単な赤道儀ですが,それなりにちゃんと写ってくれます。作例をいくつかあげます(撮影の時の設定も一緒に載せておきます)。

奥秩父の稜線で見た夏の大三角と天の川

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18 mm, F3.5, iso 1600, 露光時間6分

ケフェウス座付近

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18 mm, F3.5, iso 1600, 露光時間5分 奥秩父にて

わし座 @奥秩父の稜線にて

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24 mm, iso 1600, F4, 露光時間270秒,ソフトフィルター使用

プレアデス星団(すばる)とラブジョイ彗星

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103 mm, F5, iso 3200, 露光時間2分30秒

ね?ちゃんと写るでしょう?

撮影中は修行僧のように,じーっとハンドルを回し続ける必要があるのが難点ですが (^-^;)

おわりに

以上,手動赤道儀メジロ号の製作記録でした。これが僕の赤道儀1号機なのですが,実はこれよりもずーっと前(遠い目),中学生の時にも木製の手動赤道儀を作ったことがあるので,正確にいうと2台目になります。さらにこの後,自動追尾型の赤道儀2号機「ふくろう号」を作って,今は主にそちらを使っています。

でも手動追尾型赤道儀は製作もそれほど難しくないですし,安上がりです。そして気軽に持ち運ぶことができて,簡素な作りの割には,結構よく写ってくれます。星の写真を撮るためのちょっとした工作としては,悪くないんじゃないかと思います。

ふくろう号の製作記も,そのうちに書きたいと思います。

七夕の夜に

今夜は七夕です。でもあいにく梅雨時で,どんよりした天気が続いています。

この週末は新月期ということもあって,梅雨の晴れ間があったら山に行きたいと思っていましたが,やっぱり晴れないようです。織姫と彦星は一年に一度の逢瀬を楽しむことができているでしょうか。

僕の生まれ育った北海道では,ひと月遅い8月7日が七夕の日でした。仙台の七夕祭りも8月上旬ですね。小さい頃「北海道は寒いから七夕を遅くするんだ」と聞いたのですが,本当のところはどうだったのでしょうか。梅雨がない北海道でこそ7月7日を七夕にして,みんなで空を見上げるのがいいような気がするのですが (^ ^;)

一昨年の記録を見ると,6月の新月期に梅雨の晴れ間があり,僕は奥秩父の山に登っています。笠取小屋でテント泊をして,夜中に天の川の写真を撮りました。南天の低空には雲があって,天の川中心のいて座方向の眺めは今ひとつだったけど,天頂に近い織姫・彦星の方はきれいでした。

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一昨年の梅雨の晴れ間,奥秩父の稜線で見た織姫・彦星付近の天の川

そのあとの自分のツイッターを見ると,この年は7月7日も快晴だったようです。その日は都内の自宅にいたので天の川は見られなかったようですが。

七夕は天の川で隔てられた織姫と彦星が,一年に一度カササギの作った橋を渡って会うことができる日でしたっけ。都内では天の川が見えないので,織姫と彦星もフリーパスで会えるんでしょうか。

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織姫はこと座のベガ,彦星はわし座のアルタイルです

さて,織姫はこと座のα星ベガ。そして彦星は,わし座のα星アルタイルです。ベガとアルタイルに加えて,はくちょう座のデネブの3つの星で形成されるのが夏の大三角です。

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夏の大三角(入笠山にて)

夏の夜空は南天のさそり座・いて座(天の川銀河の中心)から夏の大三角にかけて,特に濃い天の川を見ることができて豪華です。

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いて座〜わし座にかけての天の川。低空に雲がかかっていますが@奥秩父

だから春から夏にかけては,きれいな星空を見たくて新月期になるとそわそわしてしまいます(春先でも夜半過ぎになると,夏の天の川が昇ってくるのです)。6月から7月にかけては夏の天の川が見やすい時期だと思うのですが,この時期が梅雨に当たるのは残念ですね…まあこればかりは仕方がありませんが。

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春先でも夜半過ぎになると「夏の天の川」が昇ってきます

そうそう,「ベガとアルタイル」といえば「仮面ライダー電王」です。僕の息子が幼稚園の頃,一緒に夢中になって見ていました。これは本当によくできた作品だったと思います。仮面ライダー電王に出てくる悲劇のライダー,ゼロノスには「アルタイルフォーム」と「ベガフォーム」がありました。そしてゼロノスを支える相棒はデネブ。物語のモチーフとしてペルセウス座流星群も出てきましたね。主人公・良太郎(初主演の佐藤健くんが演じていました)のお姉さんが経営する喫茶店には,レトロな感じの天体望遠鏡が’飾られていたりしました。なつかしいです。

予報では今夜も晴れないようです。でも雲の上で,織姫と彦星が一年に一度のデートを楽しむことができていますように。

ささの葉さらさら〜♪

 

天体望遠鏡とスマホで月を撮影する!

以前「星空の写真を撮ろうよ」という記事の中で,「月の照っている夜は空が明るいので星空の写真は撮りにくい。月のない夜が狙い目!」ということを書きました。それでは月の夜は楽しみがないのでしょうか?

そんなことはありません。月の夜は,月を撮ればよいのです (^ ^)

月の写真は,カメラに望遠レンズをつければ比較的簡単に撮れます。でも天体望遠鏡があると,もっと迫力ある写真が撮れます。それもスマホのカメラできれいに撮ることができるのです。

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月は天体望遠鏡とスマホの組み合わせできれいに撮れます

ここでは主に,望遠鏡とスマホを使った月の撮影方法について書いてみたいと思います。また望遠鏡を使わない月の写真についても少し触れます。

用意するもの

  • 天体望遠鏡(屈折式でも反射式でもOK)
  • スマホ

以上です。天体望遠鏡はそんなに大型のものでなくても十分きれいに撮れます。

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11 cm反射望遠鏡とiPhoneの組み合わせで撮っています

そして月は明るいので,星空の撮影と違って,都市部でも十分に楽しめます。実際,僕は自宅(東京都内)のベランダで月の写真を撮っています。

撮り方

  1. 望遠鏡を月に向けて,望遠鏡のピントを合わせます
  2. スマホのカメラを起動し,接眼部(望遠鏡を覗くところ)に押し当てます
  3. スマホの画面に月が表示されるので,その月をタップします。するとカメラのピントと露出を,スマホが自動的に合わせてくれます
  4. スマホのシャッターボタンを押します

これだけです。とても簡単。

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こんな感じで撮ります

僕は望遠鏡を押入れから出してベランダに設置し,写真を撮って片付けるまで,15分くらいで済ませてしまうこともあります。晩酌してたら月がきれいだったので,ちょっと望遠鏡を出して撮ってくるなんてことも。

撮った写真はパソコンに転送し,適当にトリミングします。フォトショップなどの画像処理ソフトがあれば,アンシャープマスクを軽くかけると見栄えが良くなります。

「半月」が狙い目

月面のクレーターが最もきれいに見えるのは,太陽の光が横から当たる半月の時。欠けぎわの陰影がはっきりと映し出され,とてもきれいです。

これは上弦の月。欠けぎわに現れる「X」の形の輝きは「月面X」と呼ばれることもあります。

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上弦の月。欠けぎわのクレーターの陰影が際立ちます

下弦の月を撮ると,上弦と同じ欠けぎわの反対側を写すことができます。

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下弦の月。上弦の月の反対側が写ります

三日月や満月にも,それぞれの味わいがあります。いろんな月齢の月を撮ってみると面白いと思います。

満月の時には欠けぎわのクレーターは写りませんが,光条(ティコ,コペルニクスなどのクレーターから走る光の筋)がきれいです。

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満月の時は光条がきれいです

また望遠鏡の倍率を上げて同様に撮ると,欠けぎわのクレーターをアップで撮影することができます。月面の上を飛んでいるような気分になれますね

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望遠鏡の倍率を上げて,欠けぎわをアップで撮ってみました

月が関わる天文ショーも撮れます

星食(明るい星が月の向こう側に隠れる現象)や月食などの天文ショーも,同じやり方で撮影できます。皆既月食の赤い月面もちゃんと写ります。

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皆既月食の赤い月

また月食は望遠鏡を使わずに,ある程度の望遠レンズを使って撮影しても面白い写真が撮れます。これ↓は月食の時に月が地球の影に入っていく様子を撮影して,比較明合成したものです。

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月が地球の影に入っていくよ 皆既月食 2018年1月31日

皆既月食の時には空が暗くなるので,月の近くの星が見えてくるのも面白いですね。この写真は,2014年10月8日の皆既月食の時に見えた天王星です。

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皆既月食中の月と天王星 (Uranus)

僕が天王星を見た(撮った)のは,この時が初めてでした。

木星や土星だって撮れちゃう

全く同じやり方で,天体望遠鏡とスマホを使って木星や土星を撮ることもできます。専門的にやっている人の写真には遠く及びませんが,木星の縞々や土星の輪など,それなりにちゃんと写ります。

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望遠鏡+スマホで撮った木星と土星

普通のカメラで月を撮るには

天体望遠鏡を使わずに月を撮る時は,望遠レンズを使うことが多いでしょう。オートフォーカスが効くかどうかは,月齢(月がどれだけ明るいか)とカメラによると思います。AFが効かない場合はマニュアルフォーカスによるピント合わせが必要になるので,少しだけ手間がかかります。

それから露出はカメラ任せにすると,背景の夜空が暗いので,月が白く飛んでしまうことが多いです。露出と絞りを手動設定にして,写り具合を確かめながら何枚か撮ってみるとよいと思います。

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満月でボウリング!

ちなみにこの写真はiso 200, 絞りF8, 露出1/320で撮っています(満月とボウリング場の看板で遊んでみました)。

月の女神,アルテミス

月はギリシア神話でアルテミス。狩猟・貞潔の女神でもあります。

夕空や明け方の空に見える月は,時々ハッとするような光景を見せてくれます。

金星と接近して見えたり

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明け方の三日月と金星の接近 トルコの国旗から,星が散歩し始めたみたいです

地球照(細い三日月の時に,月の太陽に照らされていない面が,地球からの照り返しによって見える現象)を見せたり。

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地球照の月と金星

上の2枚は望遠鏡を使って撮ったものではありませんが,撮影方法に関わらず,月は面白い撮影対象だと思います。

おわりに

星を撮っていると新月期が待ち遠しいものですが,月が照っている時でも楽しみはあります。望遠鏡が必要とはいえ,手のひらに収まるスマホで月がきれいに写せるなんて,なんだか不思議です。

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薄雲がかかった月を撮るのも面白いです

あ,そうそう,スマホを使わずに,望遠鏡と一眼カメラの組み合わせで月を撮ってはダメなのかって?もちろんそれでもOKです…というか,その方がきれいに撮れると思います。でもベランダで撮影してるのに,カメラを持ち出すとお手軽さが少し減ってしまいます。そして何より,望遠鏡にカメラを押し当てる際に,接眼部がゴチンと当たってカメラのレンズに傷をつけてしまいそうなのがコワイです。それで僕はスマホを使って撮っているのです。今のところ,これで十分に満足しています。

今回書いた,スマホを使った月の撮り方は,天体写真としては「コリメート法」と呼ばれるやり方になります。月の撮影法は他に「直焦点法」や「拡大撮影法」などもありますが,そちらは専用の器具が必要で,僕もやったことがありません。

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月はいろんな表情を見せてくれます

みなさんも月を撮ろうよ。

【北アルプス】前穂高岳〜奥穂高岳 吊尾根縦走 2018年夏

今週末は八ヶ岳,天気が悪そうなら安達太良山に行きたいと思っていたのですが,予報を見るとどちらも雨。もう梅雨入りでしょうか。

昔の僕はあまり天気を気にせず,雨の中でも修行のような山歩きをしていたものですが,最近は予報で天気が悪そうなら山行を取りやめにしてしまうことが多くなりました。おかげで雨具の出番がほとんどありません。もちろん天候の急変に備えてザックには忍ばせておきますが。

天気が悪そうな時に山に行かなくなったのは,テント場で星空の写真を撮ることも目的の一つになってきたからです。星空を撮影していると寝不足になりがちで,次の日につらいんですけどね。

さて,そういうわけで今週末は山に行かずに過ごすことになったので,代わりに昨年の夏,穂高に行った時のことを書こうと思います。

去年の穂高のことを書いてみる

僕は息子が生まれてから,彼が10歳になるまで山登りを中断していました。再開後は自宅に近い奥多摩,奥秩父から山を歩き始めたのですが,穂高吊尾根は再開後「いつかここには行かないとな」と,ずっと思ってきたところです。

歩いたコースは前穂高岳〜吊尾根〜奥穂高岳。このコースをたどるには,涸沢から入って奥穂→前穂の方向に歩くか,岳沢から入って前穂→奥穂の方向に行くか,2通りのやり方があります。どちらでも難易度に大差はないと思いますが,僕は後者のコースで歩きました。このコース取りだと,重太郎新道(岳沢〜前穂高岳)が登り,ザイテングラート(奥穂高岳〜涸沢)が下りになります。何となく重太郎新道を登りにとった方が楽しそうな気がしたのと,核心部を歩き終えた後に涸沢で一晩過ごすと気分的に寛げそうに思えたので,こちらにしました。

上高地へ

夏山シーズン,東京(新宿)から上高地へ向かう直通バスはどの便も満員です。松本まで列車で行って,そこから松本電鉄,さらにバスと乗り継ぐ手もありますが,調べて見ると岐阜県側の平湯温泉まで行くバスに空きがあったので,これに乗りました。平湯温泉からは上高地行きのバスに乗り換えて,約25分。乗り換えが少ないので楽です。

ハイシーズン,観光客で賑わう上高地に到着。登山届を提出して靴紐を締めます。程よい緊張感。いい感じです。河童橋の上から梓川と穂高連峰の写真を一枚撮りました。ド定番の構図ですが,やはりきれいです。

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上高地・河童橋から梓川と穂高連峰

岳沢の夜

上高地からは,梓川を渡って岳沢に向かいます。木道をたどり,澄んだ水が流れる沢を渡りました。今夜の泊まり地である岳沢小屋テント場までは2時間半ほどの道のり。途中,「岳沢名物天然クーラー」と書かれた洞穴(確かに涼しい風が吹き出してくるのです)を見たりしながらのんびりと登っていきます。小屋の直前,最後の登りがちょっと急だったかな。

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岳沢に向かう途中できれいな沢を渡ります

岳沢小屋でテント泊の受付を済ませ,テント場へ。テント場は伏流となっている岳沢の対岸,角ばった岩がゴロゴロしているところです。少し斜めになっているところに岩を重りに張り綱をとり,テントを設営しました。

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岳沢に到着しました

日が落ち,あたりが暗くなると,空に星が瞬きはじめます。はじめのうちは南天に薄い雲が流れていましたが,やがてすっかり晴れました。

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乗鞍岳に立ち上がる天の川 岳沢にて

今回は重太郎新道や吊尾根の岩場を歩くので,荷物の軽量化を計っています。三脚はごく小型の軽いものを持参し,赤道儀も持ってきていません。そのため,固定撮影で2カットだけ撮ってテントに戻りました。翌日は要注意箇所を歩くことになるので,いずれにしても夜遅くまで星空撮影をしているわけには行かなかったのですが。

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穂高の稜線とはくちょう座付近の天の川

穂高のテント場は下が岩でゴツゴツなので,エアーマットを新調したのですが,これは大正解。快適に眠ることができました。

重太郎新道を登ります

夜明け前。素早くテントを撤収し,まだ薄暗いうちに歩き始めました。初めは樹林帯の登りです。一時間ほど歩くと,重太郎新道の名物,岩壁にかけられた長い梯子が現れました。ここからは岩場の連続になるので,トレッキングポールをしまい,気を引き締めて登って行きます。一つ目の梯子を通過。その後も梯子やクサリの連続です。集中力が必要で,危険な箇所もありますが,岩稜帯を登って行くのは楽しいです。

「岳沢パノラマ」と名付けられた地点まで登ると視界は一気に開け,上高地が真下に見えます。西側には,奥穂から西穂に続く稜線がすごい迫力です。

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イワギキョウ 重太郎新道の岩場にひっそりと咲いています

岩場に咲く高山植物に癒され,明神岳の岩峰に励まされながら高度を稼ぎ,「雷鳥広場」まで上がって来ました。

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明神岳の岩峰群 すごい迫力です

雷鳥広場では,奥穂高岳がドーンと目の前に聳えます。圧倒的な存在感に言葉もありません。日本第3位の標高を持つ山は,伊達ではないのです。

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重太郎新道から奥穂高岳 圧倒的な存在感です

なおも岩稜帯をひたすら登り,一枚岩にかけられた長いクサリ場を抜けると,休憩場所である紀美子平に到着です。

前穂高岳に登頂

紀美子平で一休みしたのち,サブザックに水とカメラ,そしておやつを詰めて前穂高岳の頂上に向かいます。急峻な岩場が続くので,落石を起こさないように細心の注意を払います。

しかし軽い荷物だけ背負ったとはいえ,さすがに標高3000 mを超えてくると空気が薄くなってきます。息はハァハァ,鼓動もドキドキ。

そして紀美子平から登ること30分,前穂高岳に登頂しました!目の前に奥穂高岳が聳え,足元から続く吊尾根が見渡せます。穂高はまさに巨大な岩の塊!

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前穂高岳からの展望 奥穂高岳から槍ヶ岳までの稜線が一望です

奥穂高岳からの稜線は,涸沢岳,北穂高岳へと続き,さらに大キレットを超えて槍ヶ岳へと伸びています。眼下には涸沢カール。すごいスケールです。これを絶景と言わずに何と言いましょう。写真は12 mmの超広角レンズで撮ったものですが,スケール感が伝わるでしょうか。

前穂頂上にいたのは35分間。まだ先があります。落石に気をつけながら一旦紀美子平まで下りましたが,下りの方が時間がかかったのはなぜだろう。

吊尾根をたどって奥穂高岳へ

紀美子平で行動食を口にして,水分も補給したら,吊尾根に入って行きます。吊尾根は前穂高岳と奥穂高岳を結ぶ岩稜で,上高地から見える稜線がそれです。その上を歩いて奥穂に向かうのです。

とは言っても稜線の真上を歩く箇所は少なく,南側をトラバース気味に進みます。登山道は岩の斜面に,鑿で穿ったように細く続いています。足を踏み外したらアウトというようなところもあるので,集中力をキープしなければなりません。

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吊尾根の途中から奥穂高岳方向。鑿で穿ったような登山道が見えるでしょうか

前穂から奥穂へ向かう場合,吊尾根は登り基調になります。逆コースならもちろん下り基調。でもずっと岩の上を歩くので,この区間はどちら向きに歩いても負荷はそんなに変わらないと思います。

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吊尾根の途中で前穂高岳を振り返る

吊尾根のラスト,南陵の頭へと続く長いクサリは,軽装のお兄さんが後ろに続いていたこともあって,先を急ぎ,腕力で強引に登ってしまいました。もう少しバランスを取りながら岩を掴んでいけたらよかったと思います。

クサリ場を抜けた後は大きな岩を縫うようにして南陵の頭に到着。しかしこの辺りであたりにガスがかかり始め,展望が利かなくなりました。加えて,この辺りでちょっと気持ち悪くなってきました。軽い高山病の症状が出たのだと思います。前穂の頂上(3090 m)ではそんなことはなかったので,3100 mあたりがボーダーだったのでしょうか。

南陵の頭からも岩場が続きますが,傾斜は緩み,ほどなくして奥穂高岳頂上(3190 m)へ。奥穂頂上でもガスに包まれ,展望は効きません。ジャンダルムや槍ヶ岳方面の展望を見ることができなかったのは少しだけ残念です。いつかリベンジできるかな?

奥穂高岳から穂高岳山荘へ

奥穂山頂で簡単な昼食をとった後,まず穂高岳山荘に向けて下ります。初めは緩い傾斜の岩場歩きですが,途中から傾斜が増してきて,最後は穂高岳山荘に向けて,垂直なハシゴを3本下らなければなりません。はじめ順調に降りていたのですが,3本目のハシゴに乗り換える途中で態勢を変えたら,背中のでかザックがズルッ!と動くハプニング。一瞬緊張しましたが,バランスを崩すことはなく,無事穂高岳山荘に降り立ちました。

ここで大休止。吊尾根では南側斜面のトラバースが続いたので,ずっと陽光に炙られていました。体が火照っているので,山荘でスポーツドリンクを買って一気に飲み干しました。また奥穂頂上付近で感じた気持ち悪さは,ここまで下るとすっかりなくなっていました。

涸沢へ下ります

さて穂高岳山荘のテラスで休んだら,涸沢へ下ります。途中,ザイテングラートと呼ばれる岩尾根の通過があるので,もう一度気を引き締めます。

ザイテングラートは初め通常の露岩帯みたいでしたが,下部のクサリ場が核心部のようでした。集中を切らさないように気をつけながら通過。

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前穂高岳 ザイテングラートを下ったあたりから。イケメンな山です

ザイテングラートを抜けたら,後は涸沢まで歩いて下るだけです…が,ここで緊張を解いてしまったためか,ペースが落ちてしまいました。涸沢までまだ結構な標高差を下らなければなりません。予定よりも時間がかかりましたが,その間ずっと右側に見えていた前穂高岳はカッコよかったです。前穂はイケメンな山ですね。

涸沢にて

予定よりも遅くなりましたが,涸沢に着きました。まずはテントを張ります。涸沢のテント場は広いですが,夜,穂高と星空を絡めた写真を撮りたいので, 一番山側に設営しました。トイレから少し遠かったのが難点でしたが。

さて,難所を越えてきて,安全地帯にきました。今日は安心して夕食を食べます。今夜のメニューは麻婆春雨。軽いし美味しくて良かったのですが,「3人前」のボリュームはちょっと多すぎたかな (^-^;) ともあれ縦走を終え,満ち足りた気分で,ビールで乾杯しながらいただきました。

そして辺りが暗くなり,周りのテントに明かりが灯る頃,穂高の稜線には天の川がかかります。今日歩いてきた前穂高岳〜吊尾根にかかる天の川を一枚撮影しました。

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前穂高岳にかかる天の川 涸沢にて

上高地へ下山

涸沢でもよく眠ることができました。今日もいい天気。食料はまだあったので,「もう一日滞在して,北穂高岳にも登ってきていい?」とうちに電話しようかと思いましたが,自重しました(笑)

あとは下山するだけです。時間に余裕があるので,パラダイス・涸沢を少し味わってから出発しようと思います。涸沢ヒュッテのテラスで穂高の山々を眺めながらコーヒー。ああ,なんて贅沢な時間でしょうか。

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涸沢カールって本当にパラダイス

そしてテントをたたみ,8時頃に涸沢を後にしました。前日のような要注意地帯はありませんが,横尾までは気をつけて歩きます。特に「Sガレ」と名付けられたところでは,上からの落石に気をつけます。

樹林帯を下り,本谷橋で顔を洗って,さらに歩いて横尾に到着。 ここで「無事下山しました」メールを家族に送信。

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横尾から見る明神岳 また北アルプスに行きたい

横尾から上高地までは遊歩道のような道をのんびりと歩きます。その間,梓川の向こう側にずっと見えている明神岳が美しく,また北アルプスに来ようと思うのでした。徳沢,明神で休憩をはさみ,上高地が近づくと観光客の数が増えてきます。 

おわりに

上高地に着きました。前日歩いていた穂高の稜線が,はるかに高いところに見えるのが不思議です。

バスターミナルで顔を洗ってウェットティッシュで体を拭き,Tシャツを着替えてさっぱりしたら,ソフトクリームです♪ ずっと炎天下を歩いてきた体には,何よりのご褒美でした。

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信州りんご味!

帰りは大宮行きの直通バスに乗りました。途中,棚田に夕日が沈んでいく光景が車窓から見えて,「ああ世界は美しいなあ」としみじみ思ってしまいました。

というわけで,昨年の登山の話でしたが,自分の忘備録を兼ねて書きました。ずっと行きたいと思っていた穂高吊尾根を歩くことができてよかったと思っています。穂高はやっぱりすごいなあ。

北アルプスはやっぱり特別な山域です。今年の夏は息子と白馬岳に行きたいと思っています。いずれ遠からぬうちに自分から離れていくであろう息子と,アルプスを歩きたい。これが今の僕の最大の楽しみなのです。

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星空の写真を撮ろうよ–––固定撮影編

街灯のない山間部に行って夜空を見上げると,満天の星空に感動してしまうことってありますよね。あの星空を写真に収めたいと考えたことはないでしょうか。

星空の撮影は,パシャッ!と撮っておしまいとはいかない面があるのですが,ポイントを押さえれば誰にでもできます。

固定撮影と追尾撮影

星空の撮影方法には,大きく分けて「固定撮影」と,赤道儀を用いた「追尾撮影」とがあります。

固定撮影とは,カメラを三脚に固定して星空を撮影する方法です。星の光は弱いので,カメラのシャッターを長時間(後で書きますが,20秒とかそれくらい)あけておく必要があるのですが,カメラを手で持ったままきっちり固定し続けることは無理なので,三脚を用いるのです。

ところで星は日周運動により動いています。この動きは思いのほか速く,シャッターをあまり長く開け続けていると,星は点ではなく線となって写ります。固定撮影の場合,星を点として写すことができる露光時間は,レンズの焦点距離にもよりますが,20〜25秒程度が限界です。

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落葉松林にオリオン @奥多摩・雲取山にて カメラを三脚に固定して撮影

星空の撮影において,より暗い星まで写したり,淡い天の川をきれいに写したりするためには,さらに長い時間シャッターを開けておきたくなります。より長い露光時間を確保しつつ,なおかつ星を点として写すためには,カメラを日周運動と同じ速さ(一日一回転)で回してやる必要があります。これが追尾撮影で,この撮影法に用いるのが赤道儀です。

固定撮影をしよう:必要なもの

今回はより簡単な,固定撮影のやり方を書いてみたいと思います。星の日周運動を写したぐるぐる写真も固定撮影の応用でできます。

必要なもの

  • カメラ(一眼レフやミラーレスなどマニュアル撮影ができるもの)
  • 三脚(しっかりしたものの方が良いですが,お手持ちのものがあればそれを使ってみましょう)
  • 懐中電灯(暗闇での撮影になりますので,手元を照らすために必要です)
  • 夏なら虫除け,冬なら防寒具(星空撮影には時間がかかりますので,ぜひ)

以上です。他にルーペ(百円ショップで売ってる安いものでOK)もあると,なお良いです。

レンズは普段使っているもので撮ってみましょう。一眼カメラに「キット」として初めからついているのは,APS-Cのカメラなら焦点距離が18 mm–55 mmくらい,F値が3.5–5.6くらいのものが多いでしょうか。

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18–55mm, F3.5–5.6 のキットレンズで撮った雲海と天の川 @奥秩父の稜線で

もしあなたが,もっと明るくて(F値が小さくて),より広角の(焦点距離の短い)レンズを持っていたら,素晴らしい!そのレンズを使いましょう。

カメラの設定・その1

カメラの設定ですが,まず以下のようにします。

  • 撮影モード マニュアル撮影
  • フォーカス合わせ マニュアルフォーカス
  • ドライブモード セルフタイマー
  • 手ぶれ補正 OFF
  • ファイル記録方式 rawまたはraw + jpegがお勧め
  • ズーム お好みですが,はじめは最も広角にするのがお勧め

露光時間や絞りは自分で決めてやる必要があるのでマニュアルモードで撮影します。また星の光は弱くてオートフォーカスが効きませんので,MFでピント合わせを行います。それからシャッターを押したときにカメラがぶれないようにセルフタイマーを使います(リモートレリーズを持っている人は,それを使えばセルフタイマーにする必要はありません)。手ぶれ補正はOFFで。

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星の写真を撮るときは,撮影モード「マニュアル」で

また後に書くように,星空写真はレタッチが必要になる場合が多く,レタッチ耐性を確保するためにrawで撮っておくのがお勧めです。気楽にjpegで撮って出しがダメというわけではありませんが。

カメラの設定・その2

問題はどれくらい光を取り込んでやるかです。これは撮影場所がどれくらい暗いかによって変わってくるのですが,もし撮影場所が市街地から十分に離れていて,満天の星が見える!という状況なら,はじめは以下の設定で撮ってみることをお勧めします。

  • iso感度 6400
  • 絞り 開放(F値を一番小さい数値にする)
  • 露光時間 20秒

あとで書くように,この設定で撮った結果を見て,設定を調整することもあります。

なおこれらの設定を暗闇で全部行うのは大変ですので,明るいところで済ませておくのが吉です。

ピント合わせ。がんばりましょう!

現地に着いたら三脚を立て,カメラを取り付けます。そして最初に行うのがピント合わせです。個人的にはここが最大の難関だと思います。

距離目盛が書いてあるレンズの場合(マニュアルフォーカスのレンズだと書いてある場合が多いですね),これを∞(無限大)に合わせれば大体OKです。問題はオートフォーカスのレンズで,距離目盛がない場合です。

この場合は,まず一番明るい星にカメラを向け,画面の真ん中に入れます(一眼レフカメラの場合はライブビューにします)。そしてフォーカスリングを回してみましょう。最近のカメラだとMFモードでフォーカスリングを回すと,背面液晶に画面中央が拡大されて表示されるものが多いと思います。この状態でフォーカスリングを回し,星の像が最も小さくなるようにします(僕はこの際,背面液晶をルーペで見ながらピント合わせを行なっています)。

もし遠くに街明かりが見えたら,それにピントを合わせてもいいと思います。街灯はたいてい星よりも明るいので,その方が楽かもしれません。

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国師ヶ岳から昇ってくる冬の星座たち @大弛峠にて

撮ってみましょう

ピント合わせが終わったら,カメラを撮りたい方向に向けましょう。星座がわかる人は,星座が途中で切れないような構図にすると違和感のない写真になると思います。冬だったらオリオン座を中心にするとか,春だったら北斗七星を画面に収めるとか。冬の大三角や夏の大三角を中心に撮ったりするのもいいですね。

夏の夜なら天の川がはっきりと見えているかもしれません。南天から天頂にかけて,薄い雲の帯のように見えるのがそれです。まさにMilky Wayです。そちらにカメラを向ければ,天の川は目で見た感じよりもハッキリと写って,素敵な写真になります(20秒程度の露光の間に光がセンサーに蓄積されるので,目で見るよりも,天の川の淡いところまで写るのです)。

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固定撮影でも空の状態が良いと,天の川がこんなに写ります。はくちょう座付近の天の川 F2, iso 6400, 25秒 @八幡平市

さそり座など低空の星座を撮る場合,地上景も一緒に写ります。その場合はカメラの水平をとっておきましょう。地上景が傾いていると,なんだか気持ち悪い写真になりますので。

…と書きましたが,暗い夜空をファインダーや背面液晶で見ても,星座や天の川の位置はハッキリわからないことが多いと思います。ですので,おおよその方向にカメラを向けて撮影し,撮れた写真をモニタで確認して構図を微調整して…の繰り返しになることがほとんどです。この段階で結構時間がかかります。頑張りましょう。

構図が決まったら,気合を込めて一枚。

撮った写真をチェックしてみよう

「気合を込めた一枚」が撮れたら,その写真を背面液晶モニタで見てみましょう。その結果を見て,必要なら設定を変えてまた撮ります。

空が明るく(白っぽく)飛んでいたら→iso感度を下げます。もともと6400で撮っていたなら4000とか3200とかに。それでもダメなら1600とか800とか。

空がまだ結構暗く写っていたら→露出時間を25秒にしたカットも撮っておきましょう。

空の暗さは場所によって様々ですので,最適な設定をトライ&エラーで見つけられたらいいですね。何度か撮っているうちに,自分なりの設定が見つかってくると思います。

なお,暗いところで液晶モニタを見ると明るく感じるので,「空が明るく写り過ぎた!」と思っても,そのカットは消さないでおくことをお勧めします。あとであらためてパソコンの画面で見たらけっこう良かった,なんてこともあります。

Tip: ソフトフィルターを使おう

デジタルカメラで星の写真を撮ると,星がシャープに写りすぎて,星座がわかりにくくなることがあります。そこでソフトフォーカスフィルター(例えばケンコーのプロソフトンA)を使うと,明るい星がにじんで大きく写り,星座の形がはっきりします。ソフトフィルターの使用は,結構好みが分かれるんですけどね。

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ソフトフィルターを使ってオリオン座を目立たせました @大弛峠

レタッチが必要になることもあります

星空写真は撮ったらそれで終わりになることは少なく,レタッチして仕上げることもあります。例えばこの写真。天の川が写っていますが,ちょっと眠たい感じです。周辺減光も目立っていますね。

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レタッチ前。周辺減光が目立ちます

このままでも悪くはないのですが,これをレタッチするともっと見栄えが良くなります。↓こんな感じ。

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レタッチ後。乗鞍岳に立ち上がる天の川 @穂高・岳沢から

星空写真のレタッチは奥が深いので,また別の記事で書こうと思います。

なおカメラ設定のところで,星空写真はrawで撮るのがお勧めと書きました。jpegだとレタッチ耐性が低いので,カメラメーカーから提供されているraw現像ソフトを使って(もちろんAdobe Lightroomなどを使うのも最高です),16 bit tiffファイルに書き出してからレタッチすると,作業がやりやすいのです。

まず撮ってみようよ!

というわけで,星空写真は,昼間の撮影に比べてちょっとメンドくさい手順を踏む必要があるのも確かです。そして最初は思い通りの絵が撮れないかもしれません。でもあまり細かいことは気にせず,まず撮ってみましょう。

自分が撮った写真に星が写ってるのを初めて見るとね,けっこう感動するんですよ。これは本当です。

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天の川のアーチ。固定撮影で数枚撮ってパノラマ合成したもの 外房・大波月海岸で

一番大切なのは「どこで撮るか」

ところで星空写真で一番大切なのは,撮影技術よりも「どこで撮るか」だったりします。どれくらい街明かりの影響を受けない暗い場所で撮影できるかがポイントなんですね。

僕は東京都内の自宅ベランダで星空を撮ったことも何度かあるのですが,iso 3200,絞りF4で露光時間4秒くらいが限界でした。それ以上露光時間を取ると,街明かりの影響で,すぐに画面が真っ白になってしまいます。もちろんこれでは,星は少ししか写りません。

あ,そうそう,ひとつ大切なことを書き忘れていました。空に月が照っている夜は空が明るく,星の写真は撮りにくいです。新月の前後,月のない夜が狙い目です。

おわりに:余談ですが

余談ですが,星空を見る際に街明かりの影響を「光害」という人も多いようです。確かに街灯りがない方が星空はきれいに見えます。けれども僕は個人的に,この言葉は使わないようにしています。街の灯りは普段私たちの安全な暮らしを守ってくれているものだし,夜遅くまでオフィスに明かりがついているのは,その時間まで仕事をしている人がいる(それは直接的・間接的に僕の生活を支えてくれているでしょう)ということだからです。

でも前に一度,相模湖畔で星の写真を撮っていたら,懐中電灯を持ったおじさんが歩いてきて,露光中のカメラにライトを向けながら「おおー,赤いカメラなんて珍しいねえ!」と話しかけられたことがありまして(当時使っていたNEX3は赤いボディだったのです)。あれは「光害」と呼んでもいいかな(^^;)

入笠山に登ってきました–––テントと山頂を行ったり来たり

GWの連休に,南アルプス前衛の入笠山(にゅうがさやま)に登ってきました。この山は,冬の間「富士見パノラマリゾートスキー場」として賑わいます。スキー場のゴンドラは夏季も動いているので,これに乗れば一気に標高1700 m付近まで行くことができます。

けれども僕はドMなので下から歩いて登っていきます。僕はドMなので(大切なことなので2回 ry)。

これまで,この時期は自宅から近い奥多摩や奥秩父の山に行くことが多かったのですが,今年は10連休で奥多摩は大混雑になりそうです。さらに奥多摩小屋(およびそのテント場)が今年の3月に閉鎖されたため,奥多摩でテント泊できる場所が減り,より一層人が溢れかえることが予想されます。またGWは新月期でしたので,山で星空の写真を撮りたいと思っていましたが,奥多摩だと天の川が登ってくる南東の空は東京や横浜の街灯りで明るいため,首都圏から少しでも離れたところの方がよさそうです。そんなこんなで入笠山に来たのです。

林道のような道を歩いてテント場へ

JR中央線の「すずらんの里」駅を歩き始めると,まだ花桃が咲いています。標高が高いぶん,春が遅いようです。

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花桃でしょうか。信州の春は遅いようです

途中雰囲気のある道祖神もあって,気持ちよく歩いていきます。

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道中で出会った道祖神

さて,今回は荷物をあまり取捨選択せずに詰めてきたため,ザックが重く20kg近くあります。それでも道はずっと林道のようなところで,急登や大きな段差がないため,特に苦にはならずに登って行くことができました。登山道としての面白みには欠けましたが。

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ずっとこんな道を登ってゆきます

三時間ほど歩き,入笠湿原を横目に見てマナスル山荘へ。別館にテント泊の手続きをしに行ったところ,テン場には他に誰もおらず,貸切状態とのこと。大型連休で大混雑していることを覚悟して行ったのに,拍子抜けしてしまいました。奥多摩とはずいぶん違いますね。まあここは日帰りで来る人が多いのかも知れません。

まずテントを張りましょう。入り口を中央アルプスが見える西側に向けて張ると眺めが良くて気持ち良さそうですが,風が強いので反対側の風下に向けました。

入笠山頂上は第一級の展望台!

風でテントが飛ばされないように,ペグをしっかり打ち込んで固定したら頂上に向かいます。テントから入笠山頂上へは約30分。途中,道は「岩場コース」と「岩場迂回コース」とに分かれます。どちらを通っても所要時間は同じくらいのようですが,夜中に星空の写真を撮るためにもう一度登って来る予定なので,夜間でも歩きやすそうな迂回コースを(下見を兼ねて)選びます。

樹林の影では雪が残っているところもありましたが,難なく頂上に到着。

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入笠山頂上では,目の前に八ヶ岳がそびえます

八ヶ岳が目の前にそびえ,富士山,甲斐駒ケ岳,仙丈ケ岳,間ノ岳,金峰山,そして振り返れば御嶽山,乗鞍岳,中央アルプス,北アルプスも見えます。ここは第一級の展望台ですね。

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槍・穂高連峰のシルエット

入笠山の夜

一通り満足して足早にテントに戻り,いつものようにザックからお酒を取り出し…真空パックのホヤで一杯。僕は三陸の味,ホヤが大好きなのです。山でもホヤ。この組み合わせはいつでも最高です。

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山でもホヤ。最高です

いい気分でテントを出ると,満天の星空です。カラマツ林の上に北斗七星がかかって,「星めぐりの歌」が聞こえて来るようです。固定撮影で一枚だけ撮影して,ナイトハイクに備えて仮眠をとりました。

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落葉松林に北斗七星

…そんなわけで少し眠ったあとテントを抜け出して,ヘッドランプを照らしながら,再び頂上に向かいました。頂上に登りついたのは23時。

注意!ナイトハイクは昼間の行動に比べて,転倒,道迷いなどの危険が上がります。またクマなどの野生動物と遭遇する確率も上がります。万全の注意をした上で,自己責任で行ってください。

東〜南の空に,横たわった天の川が姿をあらわしているはずですが,南天の低いところに雲がかかっていて,よく見えません。一応,赤道儀をセッティングして,晴れるのを少し待ってみましたが雲が去る気配がありません。

夜半を過ぎれば,天の川が南アルプスから立ち上がる位置に来るはずなので,その光景をまた撮りに来ることに決めて撤収です。夜の森をサクサクと下り,テントに戻ってまた仮眠zzz …。

…午前1時半。眠いです。再び起き出してテントから顔を出し,空を眺めます。むむむ,うすく雲がかかっているのか,微光星があまり見えません。条件はあまり良くないかも。

それでも意を決してシュラフから抜け出し,テントの近くに三脚を立てて,夏の大三角付近の天の川を固定撮影で一枚撮ってみました。出来は…可もなく不可もなくといったところでしょうか。

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夏の大三角付近の天の川と落葉松林

そしてもう一度テントに戻り,ザックにカメラと三脚,そして赤道儀を詰めて,この夜2度目のナイトハイクに向かいました。

森を歩くこと30分。三たび頂上に着きましたが…うーん,南天にはやっぱり雲が居座っています。甲斐駒ケ岳,仙丈ケ岳のシルエットは見えていますが,そこから立ち上がる天の川が見えない…。僕は赤道儀を動かすことをあきらめ,ドライフルーツをかじりながら空を眺めていました。 

山頂の朝

頂上で日の出を迎えたいのですが,もう一度テントに戻ってまた登って来るのも面倒なので,このまま山頂で過ごすことにします。でも結構冷え込んでいて,鼻水が滝のように出て来ます。ご来光の時間に合わせて登って来た山ガール2人組に,「おはようございます!」と爽やかに挨拶したつもりでしたが,ただの鼻水を垂らしたおっさんにしか見えなかったでしょう。

そして夜明け。まず八ヶ岳の向こうの空が色づいて来て,続いて甲斐駒ケ岳・仙丈ケ岳を朝日が照らします。

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朝焼けの八ヶ岳

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甲斐駒ケ岳

雪をかぶった中央アルプスもきれいです。残念ながら北アルプスは雲の中。

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朝日に照らされる中央アルプス

朝焼けに染まった空の色が青く変わったら,またテントに戻ります。寒いからね。

ずんずん下って桜の入笠湖へ

今日は下るだけ。時間に余裕もあるし,ナイトハイクを2回して眠いので,思いっきり朝寝をしてやろうと,頂上から戻って爆睡体制に入りました。そして目覚めたら,なんと9時。山でこんな時間まで寝たのは初めてです。もぞもぞとシュラフから抜け出してコーヒーを沸かし,簡単な朝食を済ませたら下山です。

ずんずん下って「旧茶屋跡」で休憩。

林道歩きも飽きてきたので,ここからはきた道を戻らず,青柳駅へ向かう登山道に入ります。この道は荒れていると地図に書かれていましたが,実際には道標が要所要所にあって,わかりやすい道でした。それにやっぱり新緑のカラマツ林を縫って歩くのは気持ちがいいです。

この道を歩くこと40分,あっさり車道に飛び出しました。このまま青柳駅に向かうのも悪くないですが,近くの入笠湖に桜が咲いているということを,途中で会った方に聞いたので,寄り道してみます。

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入笠湖畔では,まだ桜が咲いていました

桜の花びらが湖に舞い散る風景はきれいでした。風があって水面が波立っていたのが少し残念です。風のない日だったら,水鏡に映る桜を見ることができたかなと。

おわりに

入笠湖を後に,八ヶ岳を眺めながら青柳駅まで歩きました。その途中にも桜や花桃が咲いていました。のどかな道です。4月で見納めだと思っていた桜をまた楽しむことができて,ちょっと得をした気分です。

今回は軽めの登山で,星撮りも赤道儀を動かさないまま終わってしまいました。まあ夏山シーズンに向けての足慣らしにはなったかな?さて,次はどこに行きましょう。

さきたま古墳公園で星ぐるぐるを撮ってみた

大波月海岸で天の川を撮影した翌日は,御宿を出て埼玉・行田のさきたま古墳公園に向かいました。東京では桜も盛りを過ぎて来ましたが,行田あたりではちょうど見頃なはずです。桜を前景に星ぐるぐるを撮りたいなと思っていたのですが,スマホでニュースをチェックすると「黄砂が来て視界が悪くなる」との情報が。むむむ…。まあ,行くだけ行ってみましょう。

 さきたま古墳公園の桜がきれい!

 さきたま古墳公園に着くと,予想通り桜が満開です。これはきれい!しばらく公園を散策して花を楽しみます。

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さきたま古墳公園はちょうど桜が満開!

そして日が暮れた頃,古墳の丘の近くに三脚を立ててカメラを乗せ,インターバルタイマーをセットしました。薄明が終わってあたりが暗くなって来たのですが…やっぱり黄砂のせいなのか,空に透明度が感じられません。星も全然見えてこない。天文薄明が終わる時間帯になっても,空の高いところに二等星がやっと見えている程度(北斗七星がかろうじて見える程度)です。

試し撮りをしてみましたが,黄砂に街明かりが反射するせいか,すぐにかぶってしまい,露光時間も全然稼げません。結局iso800, F5.6, ss13秒という非常に微妙な条件設定になってしまいました。

ぐるぐるを撮ってみたけれど…

それでもせっかく来たことだし,一応撮影はしてみることにします。一枚13秒でシャッターを切り続け,約1時間撮影したところで撤収。三脚を片付けていると,隣でやはりインターバル撮影していたお姉さんに「もうおかえりですか?」と話しかけられました。「星が全然見えていないので…。黄砂が来てるらしいですよ」と答えると,「ああそれで。黄砂めー」とのことで (^^;)

そのあとライトで照らされた桜を2,3枚撮って,北鴻巣駅まで歩いて電車に乗りました。

うちに帰ってから比較明合成をしたのですが,露出13秒で1時間ということでトータル約300枚。これは処理が大変です。げっそりしながら出来上がったのがこれ。一応ぐるぐるしてますが,やっぱり写っている星が少なくて,なんだか寂しい写真になってしまいました。

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さきたま古墳公園の桜と星ぐるぐる。写っている星が少なくて寂しい写真になってしまいました。黄砂めー。

おわりに

今回は条件もあまり良くなかったのですが,そもそも春の宵の時間帯は,北斗七星などの明るい星は空の高いところにあるので,こういう構図だと画面に入りません。ここでぐるぐるを撮影するなら,夜半過ぎの時間帯に撮るか,前景の取り入れ方を工夫する必要があるかもしれませんね(縦構図で撮るとか)。

外房・大波月海岸に行って,天の川を撮ってきた!

4月初めの新月期に,千葉・外房へ星の撮影に行ってきました。僕は,星を撮るときには山に登ることが多いのですが,今回は珍しく海へ。だって寒いんだもん。

外房へは,特急わかしおに乗って行けば快適ですが,家族を置いての一人旅だし,時間もたっぷりあるので,今回は鈍行を乗り継いで御宿まで行きます(自家用車は持っていないのです)。

大波月海岸てこんなところ

御宿の民宿にチェックインして,先ずはロケハン。目指すのは大波月海岸,民宿から10分足らずの距離にあります。しばらく車道を歩いたあと,こんな細い道に入って行きます。

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細い山道 (?) を辿って海岸に向かいます。途中まで海は見えません

そして海辺の岩の斜面を降りるとこんな景色。海岸は岩のステージみたいになっていて,三脚が安定しそうです。星撮りの長時間露光にはありがたいですね。

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大波月海岸。波しぶきが飛んできます

コンパスで天の川が昇ってくる方向も確認しておきます。「ローソク岩」と呼ばれるとんがった岩が東側にあり,天の川をバックに映えそうです。反面,北側には岩の斜面(というか崖)がすぐ近くまで迫っていて,北極星が見えるかどうかが気になります(赤道儀をセッティングする時に,北極星が見えないとちょっと面倒なのです)。三脚を立てるであろう場所に立つと,波しぶきが飛んできましたが,夜中は干潮になるので,問題ないでしょう。

ロケハンの後,御宿の街を歩いて月の砂漠公園にも行ってみました。ちょうど夕暮れ時で,「月の砂漠」の歌が流れてきたり。

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モロッコの砂漠じゃありません。千葉です。月の砂漠公園

夜の大波月海岸で天の川を撮りました

宿に戻ってからカメラと赤道儀の準備をして,夕食をとった後2時間半ほど仮眠をとりました(もちろんその前にはビールを飲むことも忘れません)。そして23時くらいに宿を抜け出して,大波月海岸に向かいます。細い道をヘッドランプで照らしながら歩き,海岸に着くと誰もいませんでした。でもここは,千葉でも有数の天の川撮影スポットなので,後から誰か来るだろうなと思いつつ,暗闇の中で赤道儀のセッティングにかかります。北極星は崖の縁ギリギリのところに見えたので,極軸望遠鏡を使って何とかセッティングを完了。

天の川はまだ昇ってきていませんが,地上景と星空を合わせて「新星景」方式のコンポジットをするため,まず赤道儀は動かさずに地上景を撮影します。露光時間2分で8枚。そしてしばらく待っていると南東の空の低い位置に天の川が見えてきたので赤道儀のスイッチをon,追尾撮影に入りました。いろいろ試してみた結果,iso3200, 絞りF2.8で露光時間は65秒とします。外房の空はかなり暗いですが,さすがに山の上よりは露光時間を稼げないようです。

赤道儀で追尾しながら8枚撮影しましたが,人工衛星の軌跡が入ったカットを除き,6枚を使ってスタックした結果がこれ。天の川の明るい部分が海に映っています。

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海に映る天の川@大波月海岸 α6400,SAMYANG 12mm F2→2.8,65秒 x 6枚スタック

そのあと赤道儀を撤収して,場所を少し移動して固定撮影で数枚。パノラマ合成して天の川のアーチを写しました。

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天の川のアーチ@外房・大波月海岸にて

日周運動ぐるぐるも撮ってみました

眠くなってきたので,日の出を写すのは諦めて宿に向かったのですが,途中で北天をバックに桜が咲いているところがあったので日周運動ぐるぐるを一枚撮りました。撮影中に桜にライトを向けて照らしたりしましたが,なかなか思うようには行きませんね。途中で近くを車が通ったりしますし (^^;) 約30分回したところで薄明に入ったので撮影終了。もう少し長く回したかったけど。

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桜と北天ぐるぐる

おわりに

僕は春先の横たわった天の川が好きで,きれいな地上景と合わせて撮りたいと思っていましたが,大波月海岸の景色と合わせて撮影することができたので満足です。そして海辺での星空撮影は,山の上で撮るのに比べて,あったかいしいろいろと楽だな,とも思いました。