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天の川を浮かび上がらせるトーンカーブ【星景写真のレタッチ】

星景写真,特に天の川の写真を撮った時に,「もう少し天の川をくっきりと浮かび上がらせたい」と思うことがよくあります。その時に使うと便利なのがフォトショップの「トーンカーブ」です。ここでは天の川を浮かび上がらせるために,僕がどのようなトーンカーブを使って画像処理しているかを紹介します。もちろん異なる処理をしている人もいると思いますが,一例としてご覧いただければと思います。トーンカーブを使った処理に先立って行う,フラット化についても触れます。

お題はこちら

実際にやってみましょう。お題はこれ ↓ 。

天の川の写真・お題

天の川の写真,「撮って出し」。これを処理してみます

岩手の八幡平市で撮った,夏の大三角付近の天の川です。撮影はAPS-Cのカメラ (Sony NEX-3) を使って。固定撮影で行いました。レンズは12 mm, F2.0 開放。設定は iso 6400, 露出25秒です。RAWファイルのパラメータをほとんどいじらずに,tiffファイルとして書き出しています。

この状態(撮って出し)だと,天の川は写っていますがコントラストが低いですね。また周辺光量落ちで画面の中央付近が明るく,四隅が暗くなっています。

この写真をレタッチして,天の川を浮かび上がらせてみましょう。

トーンカーブの前に…フラット化

フラット化について

トーンカーブによる天の川の強調処理に先立って,多くの場合バックグラウンドのフラット化が必要になります。

星空の写真はレンズの絞りを開放付近で撮ることが多いので,どうしても周辺光量落ちが発生して,写真の四隅が暗くなりがちです。でも空の明るさ(暗さ)は本来一様ですから,これを補正してフラットな明るさにするのです。

グラデーションマスクでフラット補正

画像ファイルをフォトショップで開いたら,「レイヤー」メニューから,「新規調整レイヤー」>「レベル補正」を選びます。

レベル補正レイヤーを作る

「レベル補正」レイヤーを開きます

するとレベル補正パネルが開きます。レベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下には,小さな三角形△が3つあります。このうち中央の△を左に動かせば写真は明るくなり,右に動かせば暗くなります。この段階では写真の中央部分が明るくなっているので,この部分だけを暗くしてやれば良いということになりますね。この目的でレベル補正レイヤーに「グラデーションマスク」を作ってやります。

グラデーションマスクを作る

グラデーションマスクを作ります

レイヤーパネルで,今つくったレベル補正レイヤーのマスクサムネイルが選択されていることを確認します ①(選択されていない場合は,マスクサムネイルをクリックします)。続いてツールバーからグラデーションツールを選択し ( ② ),画面上部のオプションバーで「円形グラデーション」を選択 (  ),さらに「逆方向」にチェックを入れます (  )。そして写真の中央から角に向かって,マウスをドラッグ ( )。

円形グラデーションマスク

グラデーションマスク。白い部分にレベル補正がかかります

すると上のようなマスク画像が作られます(マスクは,マスクサムネイルをoptionキー(Windows版はAltキーかな?)を押しながらクリックすると確認することができます)。このマスク画像の白い部分(つまりこの場合は中央部分)にレベル補正がかかることになります。マスク画像を確認したら,レベル補正レイヤーのマスクサムネイル以外の部分をクリックして元画像に戻ります。

続いて全体を見ながら,レベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下にある,中央の△を右にスライドします。こうすると周辺光量落ちが補正されて,全体の明るさがフラットになっていくでしょう。

ヒストグラム下の△をスライドしてレベル補正

ヒストグラムの下の△をスライドしてフラットにします

これで周辺光量落ちは目立たなくなりましたが,まだこの写真は左側の方が暗く見えます。これは写真の右側が地平線に近く,街明かりの影響を受けているためです(つまりこの写真は縦構図で撮っています)。地上景を入れた星景写真の場合は,このグラデーションを残すことも多いですが,これを補正してフラットにすることもできます。やってみましょう。

「レイヤー」メニューから,「新規調整レイヤー」>「レベル補正」を選んで,新しくレベル補正レイヤーを作ります。続いてグラデーションツールを選択 ( ),オプションバーから「線形グラデーション」を選択 ( ),「逆方向」のチェックを外して ( ), 画面の真ん中あたりから左方向にドラッグ ( )。これで写真の左側にレベル補正の効果が及ぶマスクができるので(マスクサムネイルで確認できます),ヒストグラム下にある,中央の△を左側にスライドして明るくしてやります (  ) 。

線形グラデーションマスクでカブリ補正

線形グラデーションで街明かりによるカブリを補正することもできます

こんな感じでフラット化を進めていきます。今回は,左側を明るくする線形グラデーションマスクをさらに2枚重ねました。また四隅がまだ暗かったので,グラデーションマスクで隅っこを少し明るくしたりしました。

こうして一応フラット化を終えた画像がこれです ↓ 。

フラット化した画像

フラット化した画像がこれです

ここで一度レイヤーを統合しておきましょうか(レイヤーメニューから「画像を統合」を選択)。

天の川を強調するトーンカーブ

ヒストグラムを眺めてみよう:基本的な考え方

フラット化が終わったら,あらためて写真のヒストグラムを眺めてみましょう。ヒストグラムが表示されていない場合は,「ウインドウ」メニューの「ヒストグラム」にチェックを入れます。

星空写真のヒストグラムは,やや暗めのところに大きな山を一つだけ持っているのが特徴です。これは画面の大部分を占める,夜空の部分を表しています。夜空は基本的に暗く,濃淡が少ないのでこういうヒストグラムになるわけですね。

このヒストグラムの山の右半分から山すそにかけての部分は,夜空よりもわずかに明るいところです。つまりここは,多くの場合天の川の淡い部分を含んでいます。ですからヒストグラムの山の右半分のところだけコントラストを上げてやれば,天の川の淡い部分を浮かび上がらせることができます

トーンカーブの考え方

ヒストグラムの山の右半分は天の川の淡い部分です

逆にヒストグラムの山の左半分は空の暗いバックグラウンドのところですから,この部分のコントラストはあまり上げたくありません(この部分のコントラストを上げると,夜空のノイズが目立つようになります)。

トーンカーブで天の川を浮かび上がらせます

天の川を強調します

というわけで,いよいよトーンカーブによる天の川の強調処理です。

フォトショップの「レイヤー」メニューから「新規調整レイヤー」>「トーンカーブ」を選び,調整レイヤーを作ります。

トーンカーブレイヤーを作る

「トーンカーブ」レイヤーを作ります

すると「トーンカーブ」パネルが現れます。デフォルト状態では,トーンカーブは45°の直線になっていると思います。

ヒストグラムの山の左側をアンカーポイントで固定する

ヒストグラムの山の左半分をアンカーポイントで固定します

ここでまず,トーンカーブパネルに描かれている,ヒストグラムの山のてっぺんの真下をクリックしてアンカーポイントを作ります ( )。そしてその左側にも2ヶ所くらいアンカーポイントを作ります ( )。これでヒストグラムの山の左半分のコントラストが固定されます。

ヒストグラムの山の右側を持ち上げる

トーンカーブを動かして天の川のコントラストを上げます

次に「山の右側」 のコントラストを上げます。そのためには,ヒストグラムの山のやや右側をクリックして,上にドラッグします ( )。こうすると,この領域でトーンカーブが立ってきます。トーンカーブの傾斜が急なところはコントラストが上がるのです。また元の45°の直線よりもトーンカーブが上に来ている部分は元画像よりも明るくなります。つまりこの操作で,天の川がより明るく,コントラストも高くなるというわけです。

なおこうするとハイライト部分(トーンカーブの右端の方)も上に持ち上がりますが,この部分は少し下にドラッグして星が白飛びしないようにしておきます ( )。

この段階で,天の川がかなりはっきりしてきました。さらに微調整のために,山のてっぺんの真下に打ったアンカーポイントをクリックし,矢印キーを使って少しだけ上に上げてみます ( )。画像を見ながらちょうどいい感じのところを見つけましょう。

トーンカーブの微調整

真ん中のアンカーポイントを少しずつ動かして微調整します

さらに強調してみます

これで物足りなければ,今作ったトーンカーブレイヤーを複製して,2つ重ねます(トーンカーブレイヤーを右クリック→複製)。2つ重ねて「やりすぎ!」と思ったら,複製したトーンカーブレイヤーの不透明度を適当に下げてやります。ここでは,2つ目のトーンカーブレイヤーの不透明度を46%にしてみました。

トーンカーブレイヤーを複製して2つ重ねる

トーンカーブを複製して重ねると,効果がさらに強くなります

もう少し手を加えて仕上げます

空の明るさを調整します

これでかなり天の川が浮かび上がってきたと思いますが,もう少し手を加えてみます。まず,写真全体がかなり明るいので,全体に暗くして夜空らしくしてみましょう。

空の明るさを調整する

「レベル補正」で夜空の明るさを調整します

「レイヤー」メニューから「新規レイヤー」>「レベル補正」を選び,レベル補正レイヤーを重ねます。そしてレベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下の真ん中の△を右へスライド (1.00 → 0.72)。左側の△も少しだけ右に動かしました (0 → 2)。これで夜空らしい明るさになったと思います。

空の色も調整します

次に空の色を調整します。空の色は好みやその時の気分にもよるのですが,ここではほんの少しだけ青を入れました。

空の色を調整する

空の色を軽く調整しました

「レイヤー」メニューから「新規レイヤー」>「レベル補正」でレベル補正レイヤーを重ね ( ⑧ ),ヒストグラムの上の「RGB」をクリックして「ブルー」を選択 ( ⑨ ),真ん中の△をわずかに左へスライド (1.00 → 1.03) ( ⑩ )。

これで完成です

これでほぼ完成です。ここでレイヤーを統合しました(「レイヤー」メニュー>「画像を統合」)。なおこの写真は感度を6400まで上げて固定撮影で撮っているので,ノイズが目立ちます。そこでフォトショップのノイズリダクションをかけておきました(「フィルター」メニューから「ノイズ」>「ノイズを軽減」)。

できあがったのがこちら ↓

天の川の写真・完成

これで完成です

固定撮影の一枚撮りですが,天の川を浮かび上がらせて,暗黒帯の色合いもかなり再現できたと思います。固定撮影でも,好条件で撮影したものを処理すると,これくらい写ります。

写真によってはフラット化→トーンカーブ処理のあと再びフラット化したり,空の明るさを調整したあともう一度トーンカーブ処理をしたりすることもありますが,僕は大体こんな流れで星空写真を処理しています。

まとめ

天の川を浮かび上がらせるトーンカーブをまとめると,おおよそこんな感じ ↓ です。

トーンカーブの基本パターン

ヒストグラムの右側でトーンカーブを持ち上げる!

ヒストグラムの山の右半分の領域でトーンカーブを持ち上げる/立てるのがポイント!

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自作ポータブル赤道儀・ふくろう号で新星景写真を撮る!

前回の記事「そうだ,赤道儀作ろう!(その3):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(後編)」の続きです。

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赤道儀を回すと地上景がブレる…

日周運動で動いていく星を長時間露光で写すには,赤道儀で星を追尾する必要があります。赤道儀を回せば,星は点として写ります…が,今度は別な問題が発生してしまいます。それは…。

画面に地上景が一緒に写っている場合,星は点になるけど,今度は地上景が流れて(ブレて)しまうのです。露光中にカメラを動かしているわけだから,当然ですよね。

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赤道儀を回しながら撮った夏の大三角付近の天の川。画面下の方に,木々が流れて写っているのがわかるでしょうか?

「新星景写真」について

地上景をブラさずにきれいに写したい。でも星も点として写したい。そして暗い星や天の川の淡いところまで写すために長時間露光したい。そんなわがままな望みを実現する方法が「新星景写真」です。これは赤道儀を止めて写した地上景の部分と,赤道儀を回しながら写した星空の部分を,PC上で合成する手法です。

「合成」といっても星空と地上景を適当に組み合わせるのではありません。地上景と星の位置関係がぴったり正確になるようにするのです。こうすることで,ある瞬間・ある場所で見た星景をきれいに再現することができるのです。

このためには,まず赤道儀を動かさずに地上景を写し,続いてすぐに星空を追尾撮影します(または星空を追尾撮影した直後に,赤道儀の回転を止めて地上景を写します。どちらの順序で撮影するかは,どの方角の空を撮るかによって使い分けます)。

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追尾を止めたり回したり…赤道儀にがんばってもらいます (^ ^)

そしてうちに帰った後で画像処理をするのですが,どういう処理をするのかについては,ここでは触れません。新星景写真の手法を開発されたよっちゃんさんが,やり方を解説したDVDを販売されていますので,そちらをご覧いただければと思います。

astrography.stores.jp

ちなみに夜は暗いので,撮影の際にはカメラの感度を上げて,地上景・星空をともに数枚ずつ撮影し,それぞれを加算平均処理してノイズを減らすということも行います。このため,PC上での画像処理と合わせて,一枚の星景写真をとるのに結構な時間がかかってしまいます (^ ^;)

「ふくろう号」を使って撮った新星景写真

ということで,ここでは自作赤道儀・ふくろう号を使って撮影した新星景写真をいくつかお見せできればと思います。

富士山と夏の天の川

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富士山と夏の天の川 @山梨県・西湖 NEX3, 18 mm

山梨の西湖で撮った,富士山と夏の天の川。もう少し広い画角で撮れば,もっと湖面を入れることができたと思いますが,そうすると今度は富士山がちっちゃくなっちゃうし,悩ましいところです。

海に映る天の川

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外房・大波月海岸にて。海に映る天の川 α6400, 12 mm

外房・御宿町の大波月海岸で,海に映る天の川。僕は春先の横たわった天の川が好きなんです。自分としては海で星撮りをするのは珍しいのですが。

雲取山の北斗七星

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奥多摩・雲取山で北斗七星と北極星 NEX3, 18 mm

奥多摩・雲取山にて,北斗七星と北極星。“地上景”は木の枝の先が少し入っているだけですが,これも新星景方式で処理しています。この木があるとないとでは,印象がけっこう変わるんじゃないかと思います。

白馬岳で見た星空

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白馬岳頂上宿舎にて,西に傾く夏の天の川 α6400, 12 mm

今年の夏,息子と北アルプス・白馬岳に登った時に撮りました。頂上宿舎テントサイトで,西に傾く夏の天の川。この時はすごく空が澄んでいて(標高が3000 m近い場所ですからね),とてもきれいな星空を見ることができました。

 ふたご座流星群

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ふたご座流星群 NEX3, 12 mm

山梨県上野原市にて,ふたご座流星群。できるだけ空を広く写したかったので地上景はちょっとしか入っていませんが。ちなみにこの写真は流れ星の写っていないカットを20枚加算平均でスタック,流れ星の写っているカットを7枚「比較明」でスタック,地上景を新星景方式でコンポジットしています。約1時間で,写野にこれくらいの流れ星が写りました。右下の方にウィルタネン彗星も写っています。

おわりに

モーター駆動式のポータブル赤道儀・ふくろう号を作ったことで,こんな撮影ができるようになりました(もちろん市販の赤道儀を使っても同じことができるのですが)。新星景写真は撮影にも画像処理にも時間がかかるのですが,その分出来上がりがきれいになるので楽しいです。

僕は東京に住んでいるので,遠出しないとなかなかきれいな星空を見ることができないのですが,今後も機会を作って星空の写真を楽しんでいきたいと思います。

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そうだ,赤道儀作ろう!(その3):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(後編)

前回の記事,「そうだ,赤道儀作ろう!(その2):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(前編)」の続きです。

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前回はステッピングモーターを回す回路を作り,モーターの回転を減速する歯車を組み合わせたところまで書きました。これを赤道儀として山に担ぎ上げて使うには,一つのパッケージに収める必要があります。カメラを乗せるためのマウントもつけなければなりません。

当初ここから先は機械的な作業だと思っていたのですが,実際にやってみると作業量が多くてけっこう大変でした。

赤道儀の筐体を作ります

赤道儀本体は,歯車などの機構がアルミ板で作ったボックスに収まるようにします。ボックスの側面には4 cm幅(厚さ 3 mm)のアルミ板を切って用いました。赤道儀の四隅にはRをつけて持ち運びしやすくしたいので,アルミ板を金属加工用のヤスリで削りまくりました。また必要な位置にドリルで穴を開けまくりました。ゲシゲシゲシ,ドルルルルゥ〜!

こうして加工した側板をベースプレートにビスで固定していきます。

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ベースプレートに側板(いずれも3 mm厚のアルミ板)を固定します。LANケーブルコネクタもつなぎます

ステッピングモーターを回すための基盤は,赤道儀本体とは別のコントローラに入れ,モーターとコントローラとはLANケーブルでつなぐことにしました。そこで基盤とモーターをつないでいたケーブルを切断し,LANコネクタディップ化キットにはんだ付けして,筐体に固定します。もちろん側板のうち一箇所には,LANケーブルを挿す穴を開けておく必要があります。

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LANケーブルを挿す穴も開けておきます(完成後の写真です)

なおLANケーブルは8線で,ステッピングモーターのケーブルは6本あるので,適当にLANコネクタの六ヶ所にハンダ付けすればOKです。この際,使うLANケーブルがストレートケーブルなら,基盤側とモーター側のケーブルをコネクタの同じ位置に繋ぐようにします。クロスケーブルの場合は…ややこしくなるので,ストレートケーブルを使うのをお勧めします。

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ストレート型LANケーブルを使った場合は,基盤側とモーター側のコードが同じ位置のピンにつながるようにハンダ付けします

僕はといえば,基盤とモーターをLANケーブルで繋いだところ,ステッピングモーターが逆回転しなくなってしまいました。例によって,どこかハンダがちゃんとついていないのかもしれません。赤道儀の逆回転は,南半球で星空撮影をするときに使いますが,当面南半球に行く予定はないのでそのままにしておきました(笑)。

上板をつけるところまできました!

最後に上板をつけます。これも3 mm厚のアルミ板です。この板には所定の位置に,極軸を通すためのベアリングを付けておきます。

上板の固定には,アルミアングルを小さく切ったものにタップを切って,これにビス止めしていますが,ここに使うアングルだけは鉄製にした方がいいかもしれません。アルミ板に切ったタップ(しかも3 mmビス用のピッチが細かいもの)は強く締め付けるとネジ山が崩れそうなので…。

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上板には極軸を通すベアリングを付けてあります

また工作中にどうしてもアルミ板に傷がついて見た目が良くないので,上板にはカッティングシートを貼りました。時々シートの色を変えて気分転換できるかも(?)

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閉じっ!

上板には,一箇所のぞき窓を開けて,閉じた状態でもモーターの回転速度をチェックできるようにしておきました。

“雲台台”を作ります

次に,極軸にカメラ雲台を乗せるための台(雲台台というのかな?)をつけます。雲台台には厚さ10 mmのアルミ板を用いました。これに極軸を通すネジ穴(極軸に合わせて8 mmφ)と,カメラ雲台の固定ネジを通すネジ穴(1/4インチφ)を開けて雌ねじを切ります。そしてカメラ雲台固定ネジを付けてから,極軸にダブルナットで固定しました。

…が,何度かテスト撮影したところ,撮影中にカメラの重さで雲台台が緩んでしまうことがあったので,(ダブルナットに加えて)雲台台に切れ目を入れて極軸をはさみつけるように改造しました。

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雲台台が緩まないように,極軸を締め付けるように加工しました

…が,それでもまだ緩みが出ることがあったので,ダブルナットの間にゴムワッシャを挟むことで雲台台を固定することができました。この辺りはまだ改良が必要かもしれません。

基盤・電池をコントローラに収めます

あとは基盤と電池を収めるコントローラ作りが残っています。コントロールボックスには,適当なお弁当箱でも使おうかと思っていたのですが,意外にちょうどいい大きさのものがなく,秋葉原でアルミケースを買ってきました。このケースにスイッチやLANケーブルを取り付ける穴を開けて使います。

まず,基盤はアルミケースにそのまま接触させるとショートしてしまうので,木の板に取り付けた上で両面テープでケースに固定しました。また基盤から出ているモーター駆動用ケーブルは,LANケーブルコネクタにハンダ付けしてケースに固定しました。

続いて電池ボックスと基板の間に波動スイッチ(どうしてこんな名前なんだろう?)を入れます。さらに基盤上についているモーター駆動用のタクトスイッチを外し,その位置にコードを介してロッカースイッチを接続しました。そしてこれら2つのスイッチをケースに取り付けます。そのために,ケースに穴を開けてヤスリで削ったり…という地道な作業がまたまた必要でした。

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アルミケースに穴を開けてヤスリでゴリゴリ…

これらのスイッチのうち,前者をonにすると電源が入ります。そしてその数秒後に後者のスイッチを入れることで,ステッピングモーターが回転し始めます。

電池ボックスはケースの中にちょうどよいスペースができたので,そのまま入れ,ケースの中でガタつかないようにスポンジの切れ端で押さえています。

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コントローラケースの中はこんな感じ

なお電源は乾電池6本,9Vです。できるだけ軽くしたいので,一度6V(乾電池4本)で動くかどうか試してみたのですが,トルクが足りないようでした(ステッピングモーターは電圧を変えても回転速度は変わらず,トルクが変わります)。

極軸望遠鏡も取り付けます

極軸望遠鏡の取り付けには,手動赤道儀メジロ号で使ったL字型金具をそのまま流用しました。この部品は赤道儀本体の底にボルトで止めるようにしてあります。

最初は極軸望遠鏡がわりに,以前と同じ塩ビ管を使っていたのですが(下の写真),最近は極軸を正確に合わせたいので,反射望遠鏡のファインダーを外して取り付けています(アイキャッチ画像)。塩ビ管よりも少し重いんですけどね。

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ほぼ完成に近づいてきました。極軸望遠鏡は最初塩ビ管でしたが,後に反射望遠鏡のファインダーに取り替えました

こうして取り付けた極軸望遠鏡は赤道儀本体の極軸と平行になっているので,赤道儀をカメラ三脚に乗せて望遠鏡(または塩ビ管)の視野の中心に北極星を導入すれば,極軸=カメラの回転軸が地軸と平行になるという仕組みです。

これで完成です!

ここまでで一通りの工作が終わりました。カメラを乗せてもちゃんとモーターが回ることも確認しました。

最後にステッピングモーターの回転速度を微調整します。前回の記事にも書いたように,歯車の減速比が1:1875ですので,モーターが46秒で一回転するようにすればカメラが一日一回転になります。そこで一旦赤道儀本体を開けて,モーターの回転速度を計りながら,基板上の半固定抵抗のダイアルを回して回転速度を調整します。調整が終わったら,歯車にグリースも塗っておきました。

これで赤道儀2号機は完成です!ステッピングモーターの動作チェックにがんばってもらったふくろう君は,テプラに印刷してコントローラに貼り付け,この赤道儀のマスコットになってもらいます。というわけで,2号機の名前は「ふくろう号」です (^ ^)

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ふくろう君にはこの赤道儀のマスコットになってもらいます

完成後本体の重さを測ってみたところ,約770 gでした。「一眼レフカメラ一台分くらいの重さに抑える」という目標はクリアできたかな,と思います。

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重さは約770 gでした

山で使ってみました

ふくろう号が出来上がった後,何度か山に担ぎ上げてテスト撮影を行ないました。その都度ギアに緩みがあったり,雲台を乗せる台がカメラの重みで緩んだりと少し苦労しましたが,何度かの調整を経て,ほぼ問題なく使えるようになりました。以下にテストの過程で撮った写真を3枚ほど載せておこうと思います。

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秋の天の川とアンドロメダ銀河 SONY NEX3, 18 mm 露出3分で4枚スタック

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昇ってくる冬の星座 SONY NEX3, 18 mm,露出3分で4枚スタック

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夏の天の川中心部 SONY NEX3, 55 mm,露出80秒2枚スタック

ふくろう号は自動ガイド+ウォームギア方式なので,同じ構図で数枚撮影してスタック処理ができます。それで手動ガイドで一枚撮りしていた時よりも,S/N比の良い写真が撮れるようになりました。2枚目のオリオン座付近の写真のように,淡い冬の天の川もよく写りました。

おわりに

こうしてモーター駆動型の赤道儀2号機,ふくろう号が出来上がりました。仕事の合間に時間を見つけつつ,試行錯誤しながらの工作だったので,足掛け半年くらいかかっての完成となりました。予定よりも長くかかってしまいましたが,それだけ長く工作を楽しむことができたので良かったと思います。

工作しながら感じたのは「小型化の技術ってすごいな」ということです。工作精度が高くないと小型化ってできないんですね。この赤道儀も本当はもう一回り小さくしたかったんですが,工作精度(要するに僕の技術)が足りなくて,このサイズになりました(本体は 10 cm x 10 cm, 高さ4.6 cm です)。いま手の中にあるスマホとか,こんなに小さく作ってあって,すごいなって思います。まあ素人の工作と同列に比べてはいけないんでしょうが (^ ^;)

そして肝心の使い勝手ですが,自動追尾はやっぱり楽ですね。手動追尾だと,撮影中はじーっと時計とハンドルを睨んでいる必要がありました。でもふくろう号の自動追尾だと,撮影しているあいだ自分の目で星空を眺めていることができるんです。これが一番違うところでしょうか。星空を一層楽しめるようになったと思います。そして何よりも,自分で作った装置で星の写真を撮れるというのはとても楽しいです。

次の記事では,完成したふくろう号を使って撮った写真をいくつか紹介したいと思います。

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関連:手動赤道儀の製作記事はこちら

www.sunsunfine.com

 

そうだ,赤道儀作ろう!(その2):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(前編)

市街地から離れた山などで,きれいな星空の写真を撮るのはとても楽しいです。でもひとつ問題があります。

夜空の星は日周運動によって動いています。この動きは思いのほか速く,露光時間を長くとると星は線になって写ります。暗い星まで写すために長時間露光をして,なおかつ星を点として写すためには,カメラを星の動きと同じ速さ(一日一回転)で回してやる必要があります。この目的で使う装置が赤道儀です。

赤道儀は手軽に持ち運べる小型のもの(ポータブル赤道儀)から,大型の天体望遠鏡を乗せるゴツイものまで,様々なものが市販されています。でもそれなりに高価です。そこで赤道儀を自作することができれば,コストの面で助かりますし,何より工作自体も楽しいです。

実は僕がとっている星空写真は,全て自作の赤道儀を使って撮影しています。

手動ガイドはちょっとつらい

以前,手動ポータブル赤道儀「メジロ号」の製作記事を書きました。これは時計とにらめっこしながらハンドルを一分間に一回転させると,星が追尾できるというものです。

この赤道儀は簡単に作れるし,いろいろなところで頑張ってくれたのですが,だんだん手動ガイドが辛くなってきました…(笑)

また星空写真では同じ構図で何枚か撮って,それをスタック(重ね合せる)してS/N比を上げるということをよくやるのですが,これが手動ガイド&タンジェントスクリュー方式ではやりにくいのです。

そこで,モーター駆動で自動ガイドできる赤道儀の製作に取りかかりました。2号機です!

赤道儀2号機の製作に取り掛かる!

赤道儀2号機の製作方針は以下の通りです。

  • ステッピングモーターを使って自動ガイドできるようにする
  • ウォームギア方式にする
  • 一眼レフカメラ一台分くらいの大きさ・重さに抑える
  • 予算は一万円

問題は,僕に電気回路工作の経験があまりないことです。アセンブラ言語を全然知らないけど,ステッピングモーターをコントロールできるのかしらん?まあやってみましょう (^ ^)。

ステッピングモーター,回せるかな?

まず秋葉原に行って,秋月電子でPICステッピングモータードライブキットとギアヘッド付きの小型ステッピングモーターを買ってきました。他にも電子部品をいくつか。

akizukidenshi.com

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電子部品を買ってきました

ステッピングモーターはマイコンで回転速度をコントロールできますが,通常のDCモーターとは異なり電源をつないだだけでは回りません。

まずドライブキットの回路図にしたがって,基盤にマイコンやトランジスタ,抵抗,コンデンサー,オシレータ等をハンダ付けしていきます。そしてモーターにつないでみました。スイッチを入れると…回らない!

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ステッピングモーター,うまく回るかな?

これは前途多難です。回路を見直してみましたが,うーん…間違っていないようです。そこでハンダ付けが怪しいところがないか念入りに見直しました。再度スイッチを入れたら…無事回りました!ハンダがちゃんとついていないところがあったようです。

肝心の回転速度は,一回転3.5秒くらいでした。赤道儀は最終的に一日一回転にする必要があるので,モーターの回転はもう少し遅くしたいところです。

抵抗とコンデンサーを取り替えます

ステッピングモーターの回転速度を遅くするには,

  • 基盤に乗っているコンデンサーを容量の大きいものに取り替えます
  • 半固定抵抗も抵抗値の大きなものに変えてやります

まず,コンデンサーは元々キットに入っていた100 μFのものを470 μF / 6.3 Vの電解コンデンサーに取り替えました。また半固定抵抗も元々ついていた10 kΩのものを50 kΩのものに取り替えました。こうしてステッピングモーターの回転を,一回転数十秒まで遅くすることができました。なお半固定抵抗は抵抗値を調整できるので,これで後にモーターの回転速度を微調整します。

これらの部品を調達するために,秋葉原の電子部品のお店をいくつか回りました。なかなかディープな世界ですね。

減速機構を作ります

モーターを回す目処がたったので,次に歯車を組み合わせて,これを一日一回転まで減速します。今のところモーターが数十秒で一回転なので,これを一日一回転にするためには,千数百分の一まで減速する必要があります。

そこで平ギア一段,ウォームギア二段で減速することにしました。

これで最終的にモーター→極軸の減速比は 1/1875 となりました(1.875 x 20 x 50 = 1875)。

したがってステッピングモーターの回転速度を一回転46秒にすれば,極軸が一日一回転になる計算です(46 x 1875 = 86250 秒 = 23.96 時間)。

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平ギア一段,ウォームギア2段で 1/1875 に減速します

歯車とそれを回すための軸受け等はモノタロウで注文しました。こんな個人の工作に使う小口の注文も受け付けてくれるので助かります。現場の味方モノタロウ〜♪

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歯車類が届きました

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極軸にはホームセンターで購入した8 mmΦの真鍮の丸棒を使います。軸受けははじめフランジブッシュ(滑り軸受け)を使うつもりで注文したのですが,けっこう遊びが大きかったので,小型のベアリングを追加で注文しました。

ウォームギアの軸受けやモーターを固定するブラケットは,アルミアングルおよびコの字型のアルミ材(アルミチャンネル)を用いて作りました。軸受部にはベアリングを入れて,ウォームギアや極軸が滑らかに回転するようにします。またウォームギアが軸方向にずれないように,適宜シャフトカラーを使って固定しました。

アルミアングルやアルミチャンネルで作った部材にはタップを切って,3 mmΦのビスで10 cm x 10 cmのアルミ板(厚さ3 mm)に固定していきました。なおアルミの部材やこれらを固定するビスは,全て近所のホームセンターで揃いました。

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アルミ板にモーターや歯車を固定して行きます。この段階では,まだ極軸がついていません

ネジを通す穴は手持ちの電動ドライバ/ドリルで開けたのですが,なかなか精度よく加工できません。「ボール盤が欲しい!」と何度も思いました(旋盤やフライス盤も欲しくなりました)。

そう言えば,一度ドリルの刃を買いにホームセンターに行ったら,「スパッとドリル」というのが売られていて,「スパッタリング(アルゴン原子を高速でぶつけることにより金属原子を飛び出させる方法)で穴を開けるドリルができたのか!?すごい!」と一瞬思ったのですが,「スパッとよく切れるドリル」ということでした (^-^;)。でも買ってみたら,確かに切れ味の良いドリルビットでした。 

アルミアングル等の部品は,歯車の噛み合わせを見ながら固定して行くので,現物合わせで穴あけの位置等を決めていきます。このためこの段階には結構時間がかかりました。

極軸にウォームホイールを固定するためのネジ穴を開けている時にドリルの刃が折れるハプニングなどもありましたが,なんとか極軸まで配置できました。この段階でモーターがスムーズに回ることを確認してホッと一息です。

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モーター,歯車,極軸を配置しました。モーターがスムーズに回ることを確認

これで電気回路と減速機構という赤道儀の心臓部はできあがりました。続いて赤道儀のパッケージングとコントローラを作ります。ここまでで赤道儀製作の山場は超えたつもりでしたが,このあとの作業量は膨大なものになりました。

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【北アルプス】息子14歳と登る白馬岳 (3):白馬の星空

前回の記事「【北アルプス】息子14歳と登る白馬岳 (2):大雪渓を登って白馬の稜線へ」の続きです。

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白馬頂上宿舎のテント場で,僕と息子は20:30頃シュラフに潜り込みました。この日は登山口の猿倉まで夜行バスで来て,その足で雪渓を登ってきたせいか,2人ともすぐに寝てしまったようです。

けれども普段から寝相の悪い息子は大人しく寝るわけではなく,夜中に僕の上に何度か転がってきました。シュラフに入っていてもそれかい!おかげで目が覚めて,時計を見たら午前1時過ぎ。けっこう寝ましたね。テントの換気窓から外を眺めたら…おお,晴れてる!星がきれいじゃないか。

一気に目が覚めて,そわそわしながら赤道儀の準備を始めます。カメラ,赤道儀,リモートレリーズ。カメラには広角レンズを付けます。三脚はテントの外に置いてあります。爆睡している息子を横目にテントの外に出てみると,満天の星空です。南西から北東の空にかけて,天の川がぐるーっとアーチを描いています。これはすごい!

西に傾く夏の天の川

さっそく赤道儀の極軸合わせをします。そして南天の天の川にレンズを向けました。実はこのためにテント場の一番南側にテントを張ったのです。

夜半を過ぎて,天の川は西に傾いています。いて座のスタークラウドはすでに山の影ですが,夏の大三角を貫くはくちょう座付近の天の川が山の稜線から立ち上がっています。赤道儀で追尾しながら露出90秒で撮影し,6枚スタックしました。

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白馬岳頂上宿舎テントサイトにて 西に傾く夏の天の川

昇ってくる秋〜冬の天の川

続いて北東の方角にカメラを向けました。早くもぎょしゃ座やおうし座が昇ってきています。アンドロメダ銀河やプレアデス星団(すばる)も輝いています。こちらは理由あって2枚しかスタックしていないのですが,空が良かったので天の川の淡い領域も結構写りました。

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昇ってくるぎょしゃ座,おうし座と秋〜冬の天の川。画面上にアンドロメダ銀河

この写真を撮った頃には早立ちのグループがヘッドランプをつけて歩き始めていました。早い時間帯のうちに不帰キレットを越えるためでしょうか。それともどこかでご来光を見るためでしょうか。

白馬にかかる天の川のアーチ

最後にテント場全体を入れて,白馬岳にかかる天の川のアーチを固定撮影で撮ってパノラマ合成しました。

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テントサイトと白馬岳にかかる天の川のアーチ。右側の黄色いテントが僕たちのおうち

夜が明けたら,ちょうどこのアーチをくぐる方向に歩いて行って,白馬岳の頂上を目指すのです。

息子にもこの星空を見せたいのです

さて,写真を撮っていると3時を回りました。予定より早いですが,この星空を息子にも見せたいので「星がすごいよ」と起こしてみます。すると息子はテントから顔を出し,「わぁー!」と言いながらしばらく空を眺めていました。半分寝ぼけながらでしたが,星のまたたきをちゃんと見ることができたでしょうか。

それにしても素晴らしい星空でした。赤道儀を担ぎ上げたかいもありました。ペルセウス座流星群に属すると思われる流れ星もいくつか飛んでいました。

空が白んできました。カメラを撤収して,僕もテントに戻ります。そしてもう一度シュラフに入って20分くらい温まりました。そしてまたいびきをかいていた息子も起こして,朝のコーヒーを淹れました。

朝ごはんを食べたら,今日は白馬岳の頂上にアタックです!

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そうだ,赤道儀作ろう!(その1):予算500円で作る手動ポータブル赤道儀

以前,「固定撮影で星空を撮ろう」という記事を書きました。空がきれいなところなら,固定撮影でも十分にきれいな星景写真が撮れると思います。でも撮っているうちに,「もっと暗い星まで写したい」「天の川をもっと淡いところまでくっきり写したい」と思うことがあるかもしれません。

また固定撮影ではカメラのiso感度をかなり上げて撮影するので,カメラによってはノイズが気になることもあります。ノイズを減らすためにiso感度を下げた上で,星をたくさん写したいこともあるでしょう。

これらのことを実現するためには,より長い露光時間を取る必要があります。固定撮影では20〜25秒くらいが露光時間の限界ですが(これ以上シャッターを開けていると,星が線になって写ります),これより長い露光時間を取った上で星を点として写すためには,カメラを星の日周運動と同じ速さ(1日一回転)で回してやる必要があります。この目的で用いる道具が赤道儀です。

赤道儀を作っちゃおう!

赤道儀は様々なものが市販されていますが,それなりに高価です。そこで,ここはひとつ自作してしまいましょう。予算は500円!ただし手動のポータブル赤道儀,しかも木製です。

ゆっくりゆっくり動いて一日で一回転する星に正確にカメラの動きを合わせる…と考えると,難しそうに思えますが,実際にはかなり簡単な装置でこれを実現することができます。

どうやって星を追尾するか–––タンジェントスクリュー

赤道儀を作るためには,まず「一日一回転」をどうやって実現するかを考えなくてはなりません。これには「ウォームギア方式」と「タンジェントスクリュー方式」の2通りがあるのですが,ここではよりシンプルな後者のやり方で行きます。タンジェントスクリュー方式…名前は何やら難しそうですが,その構造は実にシンプルです。

ここではその原理を解説する前に,まず全体図を示すことにします。図のように二枚の木の板A, Bがボルトでとめられており,板Aはこのボルトを軸として回転することができます。また板Bにはナットが埋め込んであり,このナットを通っている小ねじをねじ込んでいくことで,板Aを押して回転させてやります。

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赤道儀の全体図。板Aは板Bに極軸ボルトで止まっていて,駆動ネジで押されて回転する

ここで大切なのは回転軸のボルト(以下,この回転軸を“極軸”と呼びます)と板Bに埋め込まれた小ねじ(以下,この小ねじを“駆動ネジ”と呼びます)との距離,および駆動ネジのピッチ(ネジ山の間隔=ネジが一回転する間に進む距離)です。極軸と駆動ネジの距離をa,駆動ネジのピッチをbとした場合,駆動ネジを一回転させると,その間に板Aが回転する角度θは,tanθ = b/a で与えられます。

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極軸と駆動ネジの距離をa,駆動ネジのピッチをbとした場合,駆動ネジを一回転させると,その間に板Aが回転する角度θは,tanθ = b/a で与えられる

さて,星は一日に一回転,つまり360°回転するので,1分間に回る角度は360 ÷ 24 ÷ 60 = 0.25° です。ですからb/aの値がtan 0.25° = 0.00436となるようにaおよびbの長さを決めてやれば,駆動ネジを1分間に1回転させることで,板Aが星と同じ速さで回転することになります。このとき板Aにカメラを取り付けておけば,カメラが星と同じ速さで回転するのです。

ところでねじのピッチはjis規格で決まっています。例えば直径6 mmのネジのピッチは1.0 mm,5 mmφのネジのピッチは0.8 mmです。ですから駆動ねじとして直径6 mmのネジを使った場合は,aの長さを1.0/0.00436 = 229 mmにすれば,駆動ネジを1分間に1回転させることで星の追尾ができることになります。直径5 mmのネジを使うなら,aの長さを0.8/0.00436 = 183 mmにすればよいということですね。

赤道儀を具体的に設計します

ということで基本的な考え方は決まりました。次は具体的な設計です。

僕は駆動ネジとして5 mmφ (ピッチ0.8 mm) のネジを使いました。この場合極軸と駆動ネジの距離が183 mmとなりますから,赤道儀全体の長さも25 cm 程度に収まります。これだけコンパクトなら,山に担ぎ上げて星を撮るのも楽ですね。

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赤道儀設計図。極軸-駆動ネジ間の距離は正確に

大雑把な設計図を上に示します。赤道儀は,部材A, B1, およびB2の三枚の板からできています。サイドを斜めにカットしてあるところや上部を丸くしてあるのは趣味の問題なので,手間をかけずに作るなら長方形の板2枚を組み合わせるような形状でも問題ありません。

必要な材料と道具

材料

木部には 1 x 4(ワンバイフォー:厚さ19 mm, 幅90 mmの規格です)のSPF材を使います。長さは60 cmあれば十分です。多分これが一番安い木材ですが,手元にベニヤ板などがあれば,それを使ってもいいでしょう。

金属部品で必要なものは

  • 極軸となる6 mmφボルト(長さ50 mm)とナット各1,ワッシャーx2
  • 駆動ネジとなる5 mmφボルト(長さ50 mm)とナット各1,袋ナットx1,ワッシャーx2
  • 駆動ネジを受ける鬼目ナット(内径5 mm)x1
  • 木ネジ数本
  • 1/4インチボルト(長さ25 mmくらい)x1
  • アルミ板(3 mm厚)50 mm x 50 mm 程度1枚
  • L字型金具 x1
  • 太さが2〜3 cmで長さが12 cmくらいの塩ビチューブ x1。

これらは全てホームセンターに行けば手に入ると思います。木材が100円くらい,金物類が400円くらいで揃うでしょう(僕は,手元にあった木材を使ったので,350円くらいで作れました)。

工具

ノコギリ,電動ドリルドライバーが必要です。僕はかんなも使いましたが無くてもできます。他にサンドペーパーがあると仕上がりがきれいになります。それから鬼目ナットを木材にねじ込む際に,六角レンチを使います。

それでは作りましょう–––部材の加工

まず設計図にしたがって,部材A,B1およびB2を切り出し,穴を開けます。ここで,板Aに駆動ネジの頭が当たる面および板B1にB2を取り付ける面(設計図に赤で示したところ)はできるだけ正確な平面になるように気をつけます。僕はここを切るときにはソーガイド(ノコギリ用の定規みたいなもの)を使いました。また極軸と駆動ネジが通る穴の位置は,正確にする必要があります。

部材B2に開けた穴(設計図で8 mmΦになっているところ)に,駆動ネジを通すための鬼目ナットをねじ込んで固定します。この穴のサイズは,鬼目ナットの袋に書いてあります。

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これが鬼目ナット。内側にはボルトを通すための雌ネジが切ってあり,外側には木材にねじ込むための雄ネジが切られている

僕が使った鬼目ナット(5 mmφボルト用)の場合,これをねじ込むための穴の直径は7.7ー8 mmと指定されていたので,それに合わせて板B2に穴を開けました。そして木工用ボンドと木ネジで,B2を板B1に取り付けます。

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部材B2に鬼目ナットをねじ込み,木ねじでB1に固定します

駆動ネジには,これを回すためのハンドルを取り付けます。このハンドルにはインスタントコーヒーのふたを使いました。またこのハンドルには,60°ごとにビニールテープで印を付けておきました。これで10秒に一目盛の速さでハンドルを回せば1分間に一回転です。

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駆動ネジにはハンドルとしてコーヒーのフタを取り付けました

L字金具には木の切れ端を瞬間接着剤で貼り付けました。ここに極軸望遠鏡がわりの塩ビチューブがつくことになります。

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L字金具に板の切れ端を接着しておきます

もう一つ,アルミ板には真ん中に穴を開け、1/4インチのタップを切っておきます。僕はこの時1/4インチサイズのタップが手に入らなかったので,6 mmの穴を開けて,そこに1/4インチボルトを力ずくでねじ込んで雌ネジを切りました。

組み立て

組み立ては特に難しいことはありません。写真を見ていただければわかると思います。L字金具,部材AおよびBを極軸となるボルトで束ねて,板Bの鬼目ナットに駆動ネジを通します。

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全体図。組み立ては簡単です

駆動ネジの頭には,部材Aへの当たりが滑らかになるように,袋ナットを付けておきました。またAの駆動ネジが当たるところにはテレホンカードの切れ端を瞬間接着剤で貼り付けました。

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駆動ネジと部材Aのあたりがスムーズになるようにします

また部材A,Bの先端には小さな木ネジをねじ込んで,これに軽く輪ゴムをかけておきます。

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部材A, Bの先端に輪ゴムをかけます

最後に1/4インチの雌ネジを切ったアルミ板を,板Bの裏側に木ネジで固定します(カメラ三脚に取り付けるため)。

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1/4インチの雌ネジを切ったアルミ板を取り付けます

これで完成です。材料の切り出しから組み立てまで,だいたい3時間もあれば出来ると思います。

もし塗装するなら,趣味に応じて好きな色のペンキなりニスなりを塗ってもよいでしょう。僕はメジロの絵を描いて(下手くそというツッコミはなしで),オイル塗装しました。…というわけで,この赤道儀は「メジロ号」と命名されました (^^)

使い方

現地に着いたらまず赤道儀をカメラ三脚に取り付け,赤道儀にはカメラ雲台を取り付けます。そしてL字金具に,塩ビ管を輪ゴムなどで取り付けます。これでこの塩ビ管は極軸と平行になります。これを極軸望遠鏡として使うのです。

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極軸望遠鏡代わりの塩ビ管で北極星を導入して極軸を地軸と平行にし,ハンドルを1分間に1回転の割合で回すと星の動きが追尾できる

次に北極星を探しましょう。極軸望遠鏡の視野の中心に北極星が入るように,赤道儀の向きを調整します。これで極軸と地球の回転軸が平行になります。以上で赤道儀のセッティングは完了です。

カメラを乗せて撮りたい方向に向けます。撮影モードはB(バルブ)。カメラのシャッターを開いたら,追尾開始です。時計とにらめっこしながら,1分間に一回転(10秒間に一目盛)の速さでハンドルを回してやります。カメラに振動を伝えないように,そーっと滑らかに回すのがポイントです。時間が来たらシャッターを閉じて,追尾終了。

作例

こんな簡単な赤道儀ですが,それなりにちゃんと写ってくれます。作例をいくつかあげます(撮影の時の設定も一緒に載せておきます)。

奥秩父の稜線で見た夏の大三角と天の川

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18 mm, F3.5, iso 1600, 露光時間6分

ケフェウス座付近

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18 mm, F3.5, iso 1600, 露光時間5分 奥秩父にて

わし座 @奥秩父の稜線にて

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24 mm, iso 1600, F4, 露光時間270秒,ソフトフィルター使用

プレアデス星団(すばる)とラブジョイ彗星

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103 mm, F5, iso 3200, 露光時間2分30秒

ね?ちゃんと写るでしょう?

撮影中は修行僧のように,じーっとハンドルを回し続ける必要があるのが難点ですが (^-^;)

おわりに

以上,手動赤道儀メジロ号の製作記録でした。これが僕の赤道儀1号機なのですが,実はこれよりもずーっと前(遠い目),中学生の時にも木製の手動赤道儀を作ったことがあるので,正確にいうと2台目になります。さらにこの後,自動追尾型の赤道儀2号機「ふくろう号」を作って,今は主にそちらを使っています。

でも手動追尾型赤道儀は製作もそれほど難しくないですし,安上がりです。そして気軽に持ち運ぶことができて,簡素な作りの割には,結構よく写ってくれます。星の写真を撮るためのちょっとした工作としては,悪くないんじゃないかと思います。

ふくろう号の製作記も,そのうちに書きたいと思います。

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七夕の夜に

今夜は七夕です。でもあいにく梅雨時で,どんよりした天気が続いています。

この週末は新月期ということもあって,梅雨の晴れ間があったら山に行きたいと思っていましたが,やっぱり晴れないようです。織姫と彦星は一年に一度の逢瀬を楽しむことができているでしょうか。

僕の生まれ育った北海道では,ひと月遅い8月7日が七夕の日でした。仙台の七夕祭りも8月上旬ですね。小さい頃「北海道は寒いから七夕を遅くするんだ」と聞いたのですが,本当のところはどうだったのでしょうか。梅雨がない北海道でこそ7月7日を七夕にして,みんなで空を見上げるのがいいような気がするのですが (^ ^;)

一昨年の記録を見ると,6月の新月期に梅雨の晴れ間があり,僕は奥秩父の山に登っています。笠取小屋でテント泊をして,夜中に天の川の写真を撮りました。南天の低空には雲があって,天の川中心のいて座方向の眺めは今ひとつだったけど,天頂に近い織姫・彦星の方はきれいでした。

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一昨年の梅雨の晴れ間,奥秩父の稜線で見た織姫・彦星付近の天の川

そのあとの自分のツイッターを見ると,この年は7月7日も快晴だったようです。その日は都内の自宅にいたので天の川は見られなかったようですが。

七夕は天の川で隔てられた織姫と彦星が,一年に一度カササギの作った橋を渡って会うことができる日でしたっけ。都内では天の川が見えないので,織姫と彦星もフリーパスで会えるんでしょうか。

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織姫はこと座のベガ,彦星はわし座のアルタイルです

さて,織姫はこと座のα星ベガ。そして彦星は,わし座のα星アルタイルです。ベガとアルタイルに加えて,はくちょう座のデネブの3つの星で形成されるのが夏の大三角です。

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夏の大三角(入笠山にて)

夏の夜空は南天のさそり座・いて座(天の川銀河の中心)から夏の大三角にかけて,特に濃い天の川を見ることができて豪華です。

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いて座〜わし座にかけての天の川。低空に雲がかかっていますが@奥秩父

だから春から夏にかけては,きれいな星空を見たくて新月期になるとそわそわしてしまいます(春先でも夜半過ぎになると,夏の天の川が昇ってくるのです)。6月から7月にかけては夏の天の川が見やすい時期だと思うのですが,この時期が梅雨に当たるのは残念ですね…まあこればかりは仕方がありませんが。

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春先でも夜半過ぎになると「夏の天の川」が昇ってきます

そうそう,「ベガとアルタイル」といえば「仮面ライダー電王」です。僕の息子が幼稚園の頃,一緒に夢中になって見ていました。これは本当によくできた作品だったと思います。仮面ライダー電王に出てくる悲劇のライダー,ゼロノスには「アルタイルフォーム」と「ベガフォーム」がありました。そしてゼロノスを支える相棒はデネブ。物語のモチーフとしてペルセウス座流星群も出てきましたね。主人公・良太郎(初主演の佐藤健くんが演じていました)のお姉さんが経営する喫茶店には,レトロな感じの天体望遠鏡が’飾られていたりしました。なつかしいです。

予報では今夜も晴れないようです。でも雲の上で,織姫と彦星が一年に一度のデートを楽しむことができていますように。

ささの葉さらさら〜♪

 

天体望遠鏡とスマホで月を撮影する!

以前「星空の写真を撮ろうよ」という記事の中で,「月の照っている夜は空が明るいので星空の写真は撮りにくい。月のない夜が狙い目!」ということを書きました。それでは月の夜は楽しみがないのでしょうか?

…そんなことはありません。月の夜は,月を撮ればよいのです (^ ^)

月の写真は,カメラに望遠レンズをつければ比較的簡単に撮れます。でも天体望遠鏡があると,もっと迫力ある写真が撮れます。それもスマホのカメラできれいに撮ることができるのです。

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月は天体望遠鏡とスマホの組み合わせできれいに撮れます

ここでは主に,望遠鏡とスマホを使った月の撮影方法について書いてみたいと思います。また望遠鏡を使わない月の写真についても少し触れます。

用意するもの

  • 天体望遠鏡(屈折式でも反射式でもOK)
  • スマホ

以上です。天体望遠鏡はそんなに大型のものでなくても十分きれいに撮れます。

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11 cm反射望遠鏡とiPhoneの組み合わせで撮っています

そして月は明るいので,星空の撮影と違って,都市部でも十分に楽しめます。実際,僕は自宅(東京都内)のベランダで月の写真を撮っています。

撮り方

  1. 望遠鏡を月に向けて,望遠鏡のピントを合わせます
  2. スマホのカメラを起動し,接眼部(望遠鏡を覗くところ)に押し当てます
  3. スマホの画面に月が表示されるので,その月をタップします。するとカメラのピントと露出を,スマホが自動的に合わせてくれます
  4. スマホのシャッターボタンを押します

これだけです。とても簡単。

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こんな感じで撮ります

僕は望遠鏡を押入れから出してベランダに設置し,写真を撮って片付けるまで,15分くらいで済ませてしまうこともあります。晩酌してたら月がきれいだったので,ちょっと望遠鏡を出して撮ってくるなんてことも。

撮った写真はパソコンに転送し,適当にトリミングします。フォトショップなどの画像処理ソフトがあれば,アンシャープマスクを軽くかけると見栄えが良くなります。

「半月」が狙い目

月面のクレーターが最もきれいに見えるのは,太陽の光が横から当たる半月の時。欠けぎわの陰影がはっきりと映し出され,とてもきれいです。

これは上弦の月。欠けぎわに現れる「X」の形の輝きは「月面X」と呼ばれることもあります。

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上弦の月。欠けぎわのクレーターの陰影が際立ちます

下弦の月を撮ると,上弦と同じ欠けぎわの反対側を写すことができます。

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下弦の月。上弦の月の反対側が写ります

三日月や満月にも,それぞれの味わいがあります。いろんな月齢の月を撮ってみると面白いと思います。

満月の時には欠けぎわのクレーターは写りませんが,光条(ティコ,コペルニクスなどのクレーターから走る光の筋)がきれいです。

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満月の時は光条がきれいです

また望遠鏡の倍率を上げて同様に撮ると,欠けぎわのクレーターをアップで撮影することができます。月面の上を飛んでいるような気分になれますね。

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望遠鏡の倍率を上げて,欠けぎわをアップで撮ってみました

月が関わる天文ショーも撮れます

星食(明るい星が月の向こう側に隠れる現象)や月食などの天文ショーも,同じやり方で撮影できます。皆既月食の赤い月面もちゃんと写ります。

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皆既月食の赤い月

また月食は望遠鏡を使わずに,ある程度の望遠レンズを使って撮影しても面白い写真が撮れます。これ↓は月食の時に月が地球の影に入っていく様子を撮影して,比較明合成したものです。

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月が地球の影に入っていくよ 皆既月食 2018年1月31日

皆既月食の時には空が暗くなるので,月の近くの星が見えてくるのも面白いですね。この写真は,2014年10月8日の皆既月食の時に見えた天王星です。

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皆既月食中の月と天王星 (Uranus)

僕が天王星を見た(撮った)のは,この時が初めてでした。

木星や土星だって撮れちゃう

全く同じやり方で,天体望遠鏡とスマホを使って木星や土星を撮ることもできます。専門的にやっている人の写真には遠く及びませんが,木星の縞々や土星の輪など,それなりにちゃんと写ります。

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望遠鏡+スマホで撮った木星と土星

普通のカメラで月を撮るには

天体望遠鏡を使わずに月を撮る時は,望遠レンズを使うことが多いでしょう。オートフォーカスが効くかどうかは,月齢(月がどれだけ明るいか)とカメラによると思います。AFが効かない場合はマニュアルフォーカスによるピント合わせが必要になるので,少しだけ手間がかかります。

それから露出はカメラ任せにすると,背景の夜空が暗いので,月が白く飛んでしまうことが多いです。露出と絞りを手動設定にして,写り具合を確かめながら何枚か撮ってみるとよいと思います。

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満月でボウリング!

ちなみにこの写真はiso 200, 絞りF8, 露出1/320で撮っています(満月とボウリング場の看板で遊んでみました)。

月の女神,アルテミス

月はギリシア神話でアルテミス。狩猟・貞潔の女神でもあります。

夕空や明け方の空に見える月は,時々ハッとするような光景を見せてくれます。

金星と接近して見えたり

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明け方の三日月と金星の接近 トルコの国旗から,星が散歩し始めたみたいです

地球照(細い三日月の時に,月の太陽に照らされていない面が,地球からの照り返しによって見える現象)を見せたり。

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地球照の月と金星

上の2枚は望遠鏡を使って撮ったものではありませんが,撮影方法に関わらず,月は面白い撮影対象だと思います。

おわりに

星を撮っていると新月期が待ち遠しいものですが,月が照っている時でも楽しみはあります。望遠鏡が必要とはいえ,手のひらに収まるスマホで月がきれいに写せるなんて,なんだか不思議です。

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薄雲がかかった月を撮るのも面白いです

あ,そうそう,スマホを使わずに,望遠鏡と一眼カメラの組み合わせで月を撮ってはダメなのかって?もちろんそれでもOKです…というか,その方がきれいに撮れると思います。でもベランダで撮影してるのに,カメラを持ち出すとお手軽さが少し減ってしまいます。そして何より,望遠鏡にカメラを押し当てる際に,接眼部がゴチンと当たってカメラのレンズに傷をつけてしまいそうなのがコワイです。それで僕はスマホを使って撮っているのです。今のところ,これで十分に満足しています。

今回書いた,スマホを使った月の撮り方は,天体写真としては「コリメート法」と呼ばれるやり方になります。月の撮影法は他に「直焦点法」や「拡大撮影法」などもありますが,そちらは専用の器具が必要で,僕もやったことがありません。

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月はいろんな表情を見せてくれます

みなさんも月を撮ろうよ。

星空の写真を撮ろうよ–––固定撮影編

街灯のない山間部に行って夜空を見上げると,満天の星空に感動してしまうことってありますよね。あの星空を写真に収めたいと考えたことはないでしょうか。

星空の撮影は,パシャッ!と撮っておしまいとはいかない面があるのですが,ポイントを押さえれば誰にでもできます。

固定撮影と追尾撮影

星空の撮影方法には,大きく分けて「固定撮影」と,赤道儀を用いた「追尾撮影」とがあります。

固定撮影とは,カメラを三脚に固定して星空を撮影する方法です。星の光は弱いので,カメラのシャッターを長時間(後で書きますが,20秒とかそれくらい)あけておく必要があるのですが,カメラを手で持ったままきっちり固定し続けることは無理なので,三脚を用いるのです。

ところで星は日周運動により動いています。この動きは思いのほか速く,シャッターをあまり長く開け続けていると,星は点ではなく線となって写ります。固定撮影の場合,星を点として写すことができる露光時間は,レンズの焦点距離にもよりますが,20〜25秒程度が限界です。

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落葉松林にオリオン @奥多摩・雲取山にて カメラを三脚に固定して撮影

星空の撮影において,より暗い星まで写したり,淡い天の川をきれいに写したりするためには,さらに長い時間シャッターを開けておきたくなります。より長い露光時間を確保しつつ,なおかつ星を点として写すためには,カメラを日周運動と同じ速さ(一日一回転)で回してやる必要があります。これが追尾撮影で,この撮影法に用いるのが赤道儀です。

固定撮影をしよう:必要なもの

今回はより簡単な,固定撮影のやり方を書いてみたいと思います。星の日周運動を写したぐるぐる写真も固定撮影の応用でできます。

必要なもの

  • カメラ(一眼レフやミラーレスなどマニュアル撮影ができるもの)
  • 三脚(しっかりしたものの方が良いですが,お手持ちのものがあればそれを使ってみましょう)
  • 懐中電灯(暗闇での撮影になりますので,手元を照らすために必要です)
  • 夏なら虫除け,冬なら防寒具(星空撮影には時間がかかりますので,ぜひ)

以上です。他にルーペ(百円ショップで売ってる安いものでOK)もあると,なお良いです。

レンズは普段使っているもので撮ってみましょう。一眼カメラに「キット」として初めからついているのは,APS-Cのカメラなら焦点距離が18 mm–55 mmくらい,F値が3.5–5.6くらいのものが多いでしょうか。

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18–55mm, F3.5–5.6 のキットレンズで撮った雲海と天の川 @奥秩父の稜線で

もしあなたが,もっと明るくて(F値が小さくて),より広角の(焦点距離の短い)レンズを持っていたら,素晴らしい!そのレンズを使いましょう。

カメラの設定・その1

カメラの設定ですが,まず以下のようにします。

  • 撮影モード マニュアル撮影
  • フォーカス合わせ マニュアルフォーカス
  • ドライブモード セルフタイマー
  • 手ぶれ補正 OFF
  • ファイル記録方式 rawまたはraw + jpegがお勧め
  • ズーム お好みですが,はじめは最も広角にするのがお勧め

露光時間や絞りは自分で決めてやる必要があるのでマニュアルモードで撮影します。また星の光は弱くてオートフォーカスが効きませんので,MFでピント合わせを行います。それからシャッターを押したときにカメラがぶれないようにセルフタイマーを使います(リモートレリーズを持っている人は,それを使えばセルフタイマーにする必要はありません)。手ぶれ補正はOFFで。

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星の写真を撮るときは,撮影モード「マニュアル」で

また後に書くように,星空写真はレタッチが必要になる場合が多く,レタッチ耐性を確保するためにrawで撮っておくのがお勧めです。気楽にjpegで撮って出しがダメというわけではありませんが。

カメラの設定・その2

問題はどれくらい光を取り込んでやるかです。これは撮影場所がどれくらい暗いかによって変わってくるのですが,もし撮影場所が市街地から十分に離れていて,満天の星が見える!という状況なら,はじめは以下の設定で撮ってみることをお勧めします。

  • iso感度 6400
  • 絞り 開放(F値を一番小さい数値にする)
  • 露光時間 20秒

あとで書くように,この設定で撮った結果を見て,設定を調整することもあります。

なおこれらの設定を暗闇で全部行うのは大変ですので,明るいところで済ませておくのが吉です。

ピント合わせ。がんばりましょう!

現地に着いたら三脚を立て,カメラを取り付けます。そして最初に行うのがピント合わせです。個人的にはここが最大の難関だと思います。

距離目盛が書いてあるレンズの場合(マニュアルフォーカスのレンズだと書いてある場合が多いですね),これを∞(無限大)に合わせれば大体OKです。問題はオートフォーカスのレンズで,距離目盛がない場合です。

この場合は,まず一番明るい星にカメラを向け,画面の真ん中に入れます(一眼レフカメラの場合はライブビューにします)。そしてフォーカスリングを回してみましょう。最近のカメラだとMFモードでフォーカスリングを回すと,背面液晶に画面中央が拡大されて表示されるものが多いと思います。この状態でフォーカスリングを回し,星の像が最も小さくなるようにします(僕はこの際,背面液晶をルーペで見ながらピント合わせを行なっています)。

もし遠くに街明かりが見えたら,それにピントを合わせてもいいと思います。街灯はたいてい星よりも明るいので,その方が楽かもしれません。

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国師ヶ岳から昇ってくる冬の星座たち @大弛峠にて

撮ってみましょう

ピント合わせが終わったら,カメラを撮りたい方向に向けましょう。星座がわかる人は,星座が途中で切れないような構図にすると違和感のない写真になると思います。冬だったらオリオン座を中心にするとか,春だったら北斗七星を画面に収めるとか。冬の大三角や夏の大三角を中心に撮ったりするのもいいですね。

夏の夜なら天の川がはっきりと見えているかもしれません。南天から天頂にかけて,薄い雲の帯のように見えるのがそれです。まさにMilky Wayです。そちらにカメラを向ければ,天の川は目で見た感じよりもハッキリと写って,素敵な写真になります(20秒程度の露光の間に光がセンサーに蓄積されるので,目で見るよりも,天の川の淡いところまで写るのです)。

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固定撮影でも空の状態が良いと,天の川がこんなに写ります。はくちょう座付近の天の川 F2, iso 6400, 25秒 @八幡平市

さそり座など低空の星座を撮る場合,地上景も一緒に写ります。その場合はカメラの水平をとっておきましょう。地上景が傾いていると,なんだか気持ち悪い写真になりますので。

…と書きましたが,暗い夜空をファインダーや背面液晶で見ても,星座や天の川の位置はハッキリわからないことが多いと思います。ですので,おおよその方向にカメラを向けて撮影し,撮れた写真をモニタで確認して構図を微調整して…の繰り返しになることがほとんどです。この段階で結構時間がかかります。頑張りましょう。

構図が決まったら,気合を込めて一枚。

撮った写真をチェックしてみよう

「気合を込めた一枚」が撮れたら,その写真を背面液晶モニタで見てみましょう。その結果を見て,必要なら設定を変えてまた撮ります。

空が明るく(白っぽく)飛んでいたら→iso感度を下げます。もともと6400で撮っていたなら4000とか3200とかに。それでもダメなら1600とか800とか。

空がまだ結構暗く写っていたら→露出時間を25秒にしたカットも撮っておきましょう。

空の暗さは場所によって様々ですので,最適な設定をトライ&エラーで見つけられたらいいですね。何度か撮っているうちに,自分なりの設定が見つかってくると思います。

なお,暗いところで液晶モニタを見ると明るく感じるので,「空が明るく写り過ぎた!」と思っても,そのカットは消さないでおくことをお勧めします。あとであらためてパソコンの画面で見たらけっこう良かった,なんてこともあります。

Tip: ソフトフィルターを使おう

デジタルカメラで星の写真を撮ると,星がシャープに写りすぎて,星座がわかりにくくなることがあります。そこでソフトフォーカスフィルター(例えばケンコーのプロソフトンA)を使うと,明るい星がにじんで大きく写り,星座の形がはっきりします。ソフトフィルターの使用は,結構好みが分かれるんですけどね。

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ソフトフィルターを使ってオリオン座を目立たせました @大弛峠

レタッチが必要になることもあります

星空写真は撮ったらそれで終わりになることは少なく,レタッチして仕上げることもあります。例えばこの写真。天の川が写っていますが,ちょっと眠たい感じです。周辺減光も目立っていますね。

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レタッチ前。周辺減光が目立ちます

このままでも悪くはないのですが,これをレタッチするともっと見栄えが良くなります。↓こんな感じ。

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レタッチ後。乗鞍岳に立ち上がる天の川 @穂高・岳沢から

星空写真のレタッチは奥が深いので,また別の記事で書こうと思います。

なおカメラ設定のところで,星空写真はrawで撮るのがお勧めと書きました。jpegだとレタッチ耐性が低いので,カメラメーカーから提供されているraw現像ソフトを使って(もちろんAdobe Lightroomなどを使うのも最高です),16 bit tiffファイルに書き出してからレタッチすると,作業がやりやすいのです。

まず撮ってみようよ!

というわけで,星空写真は,昼間の撮影に比べてちょっとメンドくさい手順を踏む必要があるのも確かです。そして最初は思い通りの絵が撮れないかもしれません。でもあまり細かいことは気にせず,まず撮ってみましょう。

自分が撮った写真に星が写ってるのを初めて見るとね,けっこう感動するんですよ。これは本当です。

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天の川のアーチ。固定撮影で数枚撮ってパノラマ合成したもの 外房・大波月海岸で

一番大切なのは「どこで撮るか」

ところで星空写真で一番大切なのは,撮影技術よりも「どこで撮るか」だったりします。どれくらい街明かりの影響を受けない暗い場所で撮影できるかがポイントなんですね。

僕は東京都内の自宅ベランダで星空を撮ったことも何度かあるのですが,iso 3200,絞りF4で露光時間4秒くらいが限界でした。それ以上露光時間を取ると,街明かりの影響で,すぐに画面が真っ白になってしまいます。もちろんこれでは,星は少ししか写りません。

あ,そうそう,ひとつ大切なことを書き忘れていました。空に月が照っている夜は空が明るく,星の写真は撮りにくいです。新月の前後,月のない夜が狙い目です。

おわりに:余談ですが

余談ですが,星空を見る際に街明かりの影響を「光害」という人も多いようです。確かに街灯りがない方が星空はきれいに見えます。けれども僕は個人的に,この言葉は使わないようにしています。街の灯りは普段私たちの安全な暮らしを守ってくれているものだし,夜遅くまでオフィスに明かりがついているのは,その時間まで仕事をしている人がいる(それは直接的・間接的に僕の生活を支えてくれているでしょう)ということだからです。

でも前に一度,相模湖畔で星の写真を撮っていたら,懐中電灯を持ったおじさんが歩いてきて,露光中のカメラにライトを向けながら「おおー,赤いカメラなんて珍しいねえ!」と話しかけられたことがありまして(当時使っていたNEX3は赤いボディだったのです)。あれは「光害」と呼んでもいいかな(^^;)

さきたま古墳公園で星ぐるぐるを撮ってみた

大波月海岸で天の川を撮影した翌日は,御宿を出て埼玉・行田のさきたま古墳公園に向かいました。東京では桜も盛りを過ぎて来ましたが,行田あたりではちょうど見頃なはずです。桜を前景に星ぐるぐるを撮りたいなと思っていたのですが,スマホでニュースをチェックすると「黄砂が来て視界が悪くなる」との情報が。むむむ…。まあ,行くだけ行ってみましょう。

 さきたま古墳公園の桜がきれい!

さきたま古墳公園に着くと,予想通り桜が満開です。これはきれい!しばらく公園を散策して花を楽しみます。

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さきたま古墳公園はちょうど桜が満開!

そして日が暮れた頃,古墳の丘の近くに三脚を立ててカメラを乗せ,インターバルタイマーをセットしました。薄明が終わってあたりが暗くなって来たのですが…やっぱり黄砂のせいなのか,空に透明度が感じられません。星も全然見えてこない。天文薄明が終わる時間帯になっても,空の高いところに二等星がやっと見えている程度(北斗七星がかろうじて見える程度)です。

試し撮りをしてみましたが,黄砂に街明かりが反射するせいか,すぐにかぶってしまい,露光時間も全然稼げません。結局iso800, F5.6, ss13秒という非常に微妙な条件設定になってしまいました。

ぐるぐるを撮ってみたけれど…

それでもせっかく来たことだし,一応撮影はしてみることにします。一枚13秒でシャッターを切り続け,約1時間撮影したところで撤収。三脚を片付けていると,隣でやはりインターバル撮影していたお姉さんに「もうおかえりですか?」と話しかけられました。「星が全然見えていないので…。黄砂が来てるらしいですよ」と答えると,「ああそれで。黄砂めー」とのことで (^^;)

そのあとライトで照らされた桜を2,3枚撮って,北鴻巣駅まで歩いて電車に乗りました。

うちに帰ってから比較明合成をしたのですが,露出13秒で1時間ということでトータル約300枚。これは処理が大変です。げっそりしながら出来上がったのがこれ。一応ぐるぐるしてますが,やっぱり写っている星が少なくて,なんだか寂しい写真になってしまいました。

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さきたま古墳公園の桜と星ぐるぐる。写っている星が少なくて寂しい写真になってしまいました。黄砂めー。

おわりに

今回は条件もあまり良くなかったのですが,そもそも春の宵の時間帯は,北斗七星などの明るい星は空の高いところにあるので,こういう構図だと画面に入りません。ここでぐるぐるを撮影するなら,夜半過ぎの時間帯に撮るか,前景の取り入れ方を工夫する必要があるかもしれませんね(縦構図で撮るとか)。

外房・大波月海岸に行って,天の川を撮ってきた!

4月初めの新月期に,千葉・外房へ星の撮影に行ってきました。僕は,星を撮るときには山に登ることが多いのですが,今回は珍しく海へ。だって寒いんだもん。

外房へは,特急わかしおに乗って行けば快適ですが,家族を置いての一人旅だし,時間もたっぷりあるので,今回は鈍行を乗り継いで御宿まで行きます(自家用車は持っていないのです)。

大波月海岸てこんなところ

御宿の民宿にチェックインして,先ずはロケハン。目指すのは大波月海岸,住所は「御宿町岩和田」。

僕が泊まった民宿から10分足らずの距離にあり,しばらく車道を歩いたあと海側の細い道に入って行きます。

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細い山道 (?) を辿って海岸に向かいます。途中まで海は見えません

そして海辺の岩の斜面を降りるとこんな景色。海岸は岩のステージみたいになっていて,三脚が安定しそうです。星撮りの長時間露光にはありがたいですね。

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大波月海岸。波しぶきが飛んできます

コンパスで天の川が昇ってくる方向も確認しておきます。「ローソク岩」と呼ばれるとんがった岩が東側にあり,天の川をバックに映えそうです。反面,北側には岩の斜面(というか崖)がすぐ近くまで迫っていて,北極星が見えるかどうかが気になります(赤道儀をセッティングする時に,北極星が見えないとちょっと面倒なのです)。三脚を立てるであろう場所に立つと,波しぶきが飛んできましたが,夜中は干潮になるので,問題ないでしょう。

ロケハンの後,御宿の街を歩いて月の砂漠公園にも行ってみました。ちょうど夕暮れ時で,「月の砂漠」の歌が流れてきたり。

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モロッコの砂漠じゃありません。千葉です。月の砂漠公園

夜の大波月海岸で天の川を撮りました

宿に戻ってからカメラと赤道儀の準備をして,夕食をとった後2時間半ほど仮眠をとりました(もちろんその前にはビールを飲むことも忘れません)。そして23時くらいに宿を抜け出して,大波月海岸に向かいます。細い道をヘッドランプで照らしながら歩き,海岸に着くと誰もいませんでした。でもここは,千葉でも有数の天の川撮影スポットなので,後から誰か来るだろうなと思いつつ,暗闇の中で赤道儀のセッティングにかかります。北極星は崖の縁ギリギリのところに見えたので,極軸望遠鏡を使って何とかセッティングを完了。

天の川はまだ昇ってきていませんが,地上景と星空を合わせて「新星景」方式のコンポジットをするため,まず赤道儀は動かさずに地上景を撮影します。露光時間2分で8枚。そしてしばらく待っていると南東の空の低い位置に天の川が見えてきたので赤道儀のスイッチをon,追尾撮影に入りました。いろいろ試してみた結果,iso3200, 絞りF2.8で露光時間は65秒とします。外房の空はかなり暗いですが,さすがに山の上よりは露光時間を稼げないようです。

赤道儀で追尾しながら8枚撮影しましたが,人工衛星の軌跡が入ったカットを除き,6枚を使ってスタックした結果がこれ。天の川の明るい部分が海に映っています。

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海に映る天の川@大波月海岸 α6400,SAMYANG 12mm F2→2.8,65秒 x 6枚スタック

そのあと赤道儀を撤収して,場所を少し移動して固定撮影で数枚。パノラマ合成して天の川のアーチを写しました。

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天の川のアーチ@外房・大波月海岸にて

日周運動ぐるぐるも撮ってみました

眠くなってきたので,日の出を写すのは諦めて宿に向かったのですが,途中で北天をバックに桜が咲いているところがあったので日周運動ぐるぐるを一枚撮りました。撮影中に桜にライトを向けて照らしたりしましたが,なかなか思うようには行きませんね。途中で近くを車が通ったりしますし (^^;) 約30分回したところで薄明に入ったので撮影終了。もう少し長く回したかったけど。

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桜と北天ぐるぐる

おわりに

僕は春先の横たわった天の川が好きで,きれいな地上景と合わせて撮りたいと思っていましたが,大波月海岸の景色と合わせて撮影することができたので満足です。そして海辺での星空撮影は,山の上で撮るのに比べて,あったかいしいろいろと楽だな,とも思いました。