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DxO PureRAW と Topaz Sharpen AI を使って,星景写真を現像し直してみた【桜と天の川】

「小沢の桜と天の川」の写真を,PureRawを使って処理し直してみようと思います

以前,DxOのPureRAWを使うと,星景写真のノイズが劇的に軽減されるという話を書きました。

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この記事の中では,ノイズがひどくて気になっていた何枚かの写真をレタッチし直しています。実際,PureRAWを使うことで,これらの写真は1〜2段くらいノイズが軽減され,ずいぶん見栄えが良くなったと思います。

左 PureRAW処理前, 右 PureRAW処理後

北アルプス・涸沢の天の川:左 PureRAW処理前, 右 PureRAW処理後

でもその一方で,この写真 ↓ には手をつけていませんでした。

小沢の桜と天の川

田村市・小沢の桜と天の川

4月に,福島・田村市で撮った「小沢の桜と天の川」。結構気に入ってるんですけどね。

この写真をPureRAWで再処理していなかった理由は2つあって,

  1. iso4000で撮っていて,ノイズは「まあ,許せるかな…」というレベルだったこと
  2. 空の色をニュートラルグレーに合わせるのに結構苦労したので,また最初からやり直すのがちょっと億劫だったこと

です(苦笑)。

でもこの写真もPureRawで処理したら,もっと天の川がくっきり浮かび上がるかもしれないですね。

加えて,この写真にはもう一つ問題があるんです。それは前景の桜や菜の花が,ちょっともやっとしていることです。露出は20秒なんですが,その間に植物が風で揺れたせいかもしれません。ここはもう少し解像感を出したいところです。

Topaz Labs の Sharpen AI で,前景にシャープさを出そうと思います

そこで前景の部分は,Topaz Labs のソフト,Sharpen AI を使ってシャープにすることを試みることにします。このソフトはピントが微妙に外れている写真や,ブレている写真を修正して,シャープな画像にしてくれる優れものです。

www.topazlabs.com

実はこれ,以前から導入していて,鳥の写真の微ブレを修正するのに使ったりしていました(この辺りの話は別記事に書いてみようかなと思います)。

やってみます!

それでは実際にやってみます。

とは言っても,PureRaw, Sharpen AI ともに,使い方は非常にシンプルです。本当は書くまでもないくらい。

まず PureRaw でノイズを低減

まず PureRaw の方から。ソフトを立ち上げ,開いたウインドウに元のRawファイルをドラッグ&ドロップします。続いてウインドウ左上の「画像を処理」ボタンを押すと,処理方法や出力形式を選ぶ小ウインドウが開きます。

PureRaw画面

DxO PureRaw画面

ここでは処理方法として「PRIME」,出力形式として「DNG」を選択。そして右下のボタンを押すと処理が始まります。パラメータの設定など一切ありません。いさぎよい (^ ^)

ちなみに僕の環境(MacBook Air, Rawファイルはα6400の24 MP)だと,処理には1分くらいかかります。

こうして出来上がったDNGファイルを Lightroomで開き,16 bit tiffに書き出します。あとはこれをPhotoshopで開いて,いつも通りに画像処理。

星景写真の現像はこちら↓

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…とはいえ,空の色をニュートラルグレーにするのに,やはり少し苦労しました。

#街明かりのうち,蛍光灯で空はグリーンにかぶり,ナトリウムランプでオレンジにかぶります(ここ田村市の空は,グリーンの被りが主でした)。またこれらの影響は一様ではなく,町がある方向や低空ほど強く出ます。

ここまでの処理でこうなりました。

PureRAW処理後

PureRAWで処理後,現像したもの

PureRAWを使わなかった時に比べて,天の川がよりくっきりしましたかね。

またPureRAWの効果で,地上部もちょっとだけキリッとした感じがします(PureRAWにはノイズ低減だけでなく,解像感を高めてくれる効果があります)。でもここはさらにシャープにしたいと思います。

Topaza Sharpen AI で地上部をシャープにします

そこで,この画像をSharpen AI のアイコンにドラッグ&ドロップして開きます。

画面上部の「View」から「Comparison View」を選ぶと,効果の効き方がプレビューされます。

Sharpen AI 「Comparison View」

その結果,やはり「Motion Blur(ブレ補正)」が最も良い結果を与えそうだったので,これを選択。*1  プレビューを見ながらRemove Blur のパラメータを「20」にして「Apply」をクリック。処理された画像を得ました。

*1 他に選択肢として「Out of  Focus(ピントが合っていない画像の補正)」,「Too Soft(軟調で明瞭度に欠ける画像の補正)」があります。

菜の花の部分の before / after を等倍で比較すると,こんな感じ。

before / after

Sharpen AI(菜の花の部分) before / after

うん,シャープになりましたね。

画像を統合します

ところで Sharpen AI で処理した画像をよく見ると,地上部は確かにシャープになっているのですが,星空の部分に微妙なノイズが乗っています。そこで Sharpen AI 処理前と処理後の画像を,マスクをかけて統合し,「いいとこ取り」をします。

マスクをかけて画像を統合

マスクをかけて画像を統合

地上部と星空を分けるマスクは,天の川の強調処理の時から使っているので,それをそのまま使います。

完成です

こうして,星空の部分は PureRAW のみ,地上部は PureRAW + Sharpen AI で処理した画像が得られました。最終的に明るさなどを微調整して完成です!

小沢の桜と天の川

小沢の桜と天の川:PureRAWとSharpen AI で処理

どうでしょう…ブログサイズだと,最初のとあんまり変わらないかな?でもちょっとの差が大事なんですよ(←ホントか?笑)。プリントするときはこっちのファイルを使おうと思います。

 

まとめ

というわけで,桜と天の川の写真をDxO PureRAW と Topaz Sharpen AI を使って現像し直してみた話でした。

APS-Cのカメラで,しかも固定撮影の1枚どりですが,PureRAWなどのソフトを使えばかなりイケるな,と思っているところです。僕は山の上で星を撮るのが好きですが,ハードなコースの時は赤道儀を置いていけるかもと思っています(とは言っても,赤道儀を使って加算平均スタックをした方がやっぱりきれいかな?)。

 

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曇りで少ししか見えなかった,スーパームーンの皆既月食(5月26日)

2021年5月26日 皆既月食

去る5月26日,皆既月食がありました。折しも地球と月との距離が近い「スーパームーン」の皆既月食ということで,テレビでも結構取り上げられれていたようです。

実際はスーパームーンといってもそんなに月が巨大化するわけではなく,ぱっと見にはそんなに変わらないんですけどね。

とはいえ,月食はやっぱりイベントの一つですから,見ておきたいですよね。

それでカメラと天体望遠鏡を用意してスタンバイしていたのですが,東京はあいにくの曇りで,皆既のところはちゃんと見ることができませんでした。

そんなわけで寂しい内容ですが,撮れた写真を少しだけ。

「チャンスはあるかも」という予報でしたが…

さて月食当日の夕方。仕事を終えて家路を急ぎます。東の空を見上げながらうちへと歩きますが,雲がかかっていて,すでに登ってきているはずの月は全然見えません。

SCWやGPV気象予報によると,東京では「月食の時間帯にワンチャン雲が切れるかも」という感じの予報でしたが,これはダメですかね。

皆既にはいる20時09分を過ぎても雲は厚く,月がどこにあるのかさえもわかりません。うーん。

皆既を終えた月を見ることはできました

そんなわけで,諦めてご飯を食べてくつろいでいたのですが,21時を過ぎたころ窓の外を見ると,ぼんやりと月が見えました。雲が少し薄くなったようです。

慌ててベランダに出ると,月がまだ欠けているのがわかります。

地球の影から出てくる月

21:38分頃 地球の影から出てくる月

皆既は終わっていますが,月が地球の影から出てくるところだというのはよくわかります。影の縁の形から,地球が月の4倍くらい大きいこともわかりますかね。

月食が終わります

そのあと再び雲が厚くなっていきましたが,数分おきくらいに写真を撮ってみました。月が天球を動き,地球の影から遠ざかっていきます。

月食の終わり

月食が終わろうとしています

雲が厚くて形もおぼろげですが,だんだん欠けているところが小さくなっていきます。22:13にはもうほとんど満月に戻っています(まだ右上の方は少しくらいかな?)

このあと雲は厚くなる一方で,月は見えなくなりました。

ちょっと寂しい結果でしたが,これで今回の月食の観測終わり!

3年前はきれいな月食を見ることができたんですが…

皆既日食を見るチャンスは滅多にありませんが,月食はちょくちょくあります。3年と少し前,2018年1月31日にも皆既月食があって,この時はきれいに見ることができました。月が地球の影に入っていく様子です。

2018年1月31日

2018年1月31日の皆既月食

この日は曇りの予報だったのに反してきれいに晴れて,月食がよく見えたんですよね。今回と逆のパターンでした。

おまけ

ずっと前,息子にオムライスを作ってあげたんですけどね。この時,自分のは面倒で,チキンピラフの上に丸い薄焼きオムレツを乗せただけで食べちゃいました (^ ^;)

これがホントの月食。全部食べたら皆既月食ですが,この場合は再び満月に戻ることはないですね(笑)

 

まとめ

雲に覆われて皆既月食の赤い月「ブラッドムーン」を見ることはできませんでしたが,天気には逆らえないですし,こんなもんですかね。欠けた月が少し見えたのでそれで良しとします。

月食はまた何年か後にあるので,その時を待つとしましょう。

また今回の月食は宮城県などではよく晴れてきれいに見えたようですね。

本当はこういう話は,月食直後にアップしないと観測記録としての価値が下がるんですが,少ししか見えなかったので気合が乗らず,こんなタイミングになってしまいました。

梅雨が明けたら空のきれいなところで,夏の星空を見たいですね。

 

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DxO の PureRaw を試してみました:星景写真のノイズが劇的に低減!

最近,DxOからPureRawという写真現像ソフトが発表されました。

DxOはフランスのソフトウェアベンダーで,Nik Collectionでおなじみかと思います。

このソフトは写真のRawファイルのノイズを減らしたり,解像感を良くしたりする効果があるとのことです。僕としては星景写真のノイズ低減にどれくらい効果があるかに興味があって,このソフトをダウンロードして試してみました。

するとこれは星景写真の処理に,かなり強力なことがわかりました。

PureRawのダウンロードと使いかた

ダウンロード

PureRawはDxOのサイト(ここ↓)からダウンロードすることができます。

DxO PureRAW - RAW ファイルのすばらしさを、引き出す

Mac版,Windows版の両方が用意されています。

使いかた

使いかたは簡単です。PureRawに処理したいRawファイルをドラッグ&ドロップして開きます。すると「DxO光学モジュール」というウインドゥが開き,使ったレンズのデータをダウンロードして,歪曲や周辺光量落ちを補正するかどうか聞いてきます。

光学モジュールウインドウ

レンズ補正を適用するか聞かれます

必要に応じて「選択してダウンロード」→「保存」を選ぶとレンズ補正が適用されます。使ってみた感じ,周辺光量落ちの補正がかなり優秀で,星空写真の現像にはとても助かります。

続いて「画像を処理」ボタンをクリック。すると処理オプションを訪ねる小ウインドウが開きます。

処理オプションウインドウ

処理オプション

「方法」は以下のように説明されています。

処理オプション
  • HQ」は「通常の照明条件で撮影された画像に最適」
  • PRIME」は「光量の低い環境で撮影された画像についても優れた効果を発揮する」
  • Deep PRIME」は「ミドルレンジからハイレンジのGPUを必要とする高速処理に対して驚くべき効果を発揮する」

ここでは星景写真ののノイズ低減に興味があるので,「PRIME」を選択します。

また「出力形式」はJPGとDNGが選べます。ここはDNGで。

「処理する」のボタンを押すと処理が開始されます。僕の環境では,1枚のRawファイルを「PRIME」で処理するのに,1分ほどかかりました。出力されたDNGファイルは,いつも通りにLightroomやPhotoshopで現像します。

星景写真のノイズが減らせるかな?…トライしてみます

さて,PureRawを使って星景写真のノイズがどの程度低減できるのか,実際にやってみましょう。

お題はこれ ↓

小沢の桜と天の川

小沢の桜と天の川…ノイズが目立ちます

先月,福島・田村市の「小沢の桜」で撮影したこの写真。これ,開放F4のレンズで24 mm(フルサイズ換算36 mm)までズームして撮ったので,露光時間が稼げず(ss10秒),iso感度を8000まで上げて撮っているんですよね。だから高感度ノイズが結構ひどいです。

これをPureRawで処理して,その後いつも通りに現像・レタッチをしてみました。すると…。

Pure Rawで処理

Pure Rawで処理。ノイズが劇的に減っています!

ノイズが劇的に減っています!元の写真は「ブログサイズに縮小すればまだ見れるけど,元のサイズだとちょっと人には見せられないなあ」 という感じでした。一方,PureRawを通した方は空が滑らかになってまあまあ見ることができます。

またノイズを低減すると写真のディテールが失われることがありますが,少なくともこの写真に限ってはそんなに気にならないですね。

PureRawを使った写真と使っていない写真,2つの画像を重ねてみます(真ん中のスライダーを左右に動かすと比較することができます)。左が元画像,右側がPureRawを使って現像したものです。

これでもわかりにくいでしょうか?ではバンビの横顔付近を等倍近くに拡大したものを比較してみましょう。本当は,ノイジーな写真は恥ずかしいのであんまり見せたくないんですが (^ ^;)

Pure Raw使用・未使用の比較

Pure Raw使用・未使用の比較

カラーノイズ,輝度ノイズ共に,大幅に抑えられているのがわかるかと思います。

他の写真でも試してみました

小沢の桜の写真でいい結果が得られたので,気を良くして以前撮った写真のうち,ノイジーなものを処理してみました。

天の川中心部

天の川中心部を写したこれ。赤道儀を使ってはいますが,構図を決めるためにiso12800で露光時間20秒で撮ったものです(なぜかこのあとちゃんと低感度・長時間追尾で撮るのをサボってしまいました)。

天の川中心部

天の川中心部 iso12800

これもかなりノイジーですが,PureRawで処理してみるとこうなりました。

Pure Rawで処理

天の川中心部 Pure Rawで処理

夜空の滑らかさが違いますし,ノイズが少ない分,画像処理も楽です。

夏の天の川(固定撮影)

もう一つ。小沢の桜の近くで撮った夏の天の川です。これも固定撮影で撮ったものです。

天の川

変哲のない星景写真ですが…

PureRawで処理してからレタッチすると,ノイズが少なくなっているので強調処理を楽に行うことができて,結果として天の川をより「あぶりだす」ことができるように思います。

穂高・涸沢の天の川

さらに一つ。北アルプス・涸沢で撮った「穂高の稜線と天の川」です。これも固定撮影。このときはシビアな岩稜帯を超えて縦走したので荷物を軽くする必要があり,赤道儀を持たなかったんですよね。

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まずPureRawを使わずにそのままレタッチした写真がこれ。

涸沢にて

穂高の稜線と天の川

暗い山肌を持ち上げているので暗所ノイズがかなり目立ちます。

でもこれも,元のRawデータをPureRawで処理してから現像すると,こうなります。

Pure Rawで処理

穂高と天の川 PureRawで処理

全然違いますね!暗部のノイズが劇的に減っているので,山肌を持ち上げて穂高のゴツゴツした岩の質感を出すことができたと思います。天の川も,よりよく浮かび上がらせることができています。

これも比較スライダーを。

左がPure Raw未使用,右がPure Raw使用です。真ん中のスライダーをドラッグして左右に動かすことができます。

 

まとめ:PureRawを使ってみた感想

このようにPure Rawで処理をしてから現像すると,星景写真のノイズ低減に絶大な効果があることがわかりました。感覚としては1段か2段くらい高感度耐性が上がる感じでしょうか。

僕はAPS-Cのカメラ(α6400)を使っているので,固定撮影しかできないようなときは(荷物を減らすために赤道儀を持っていけないときなど)「高感度に強いフルサイズ機が欲しいかも〜」と思うこともあったのですが,PureRawを使えばまだこれで戦える!と思うようになりました (^ ^)

シビアな登山のときなどは赤道儀を家に置いていく判断も,これで気軽にできるようになりそうです。

PureRaw,かなり使えますね!今なら8998円,30日間の無料トライアル(機能制限なし)もできます。

 

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【花の福島2021】田村市・小沢の桜と星空の写真を撮ってきました!〜天に星,地には花

この記事の内容は,東京都などに「まん延防止措置」が出る前のものです

 

小沢の桜とカシオペア

小沢の桜とカシオペア

福島県には見事な一本桜が各地にあります。桜めぐりは楽しい!今回は,田村市船引町にある「小沢の桜」を訪ねてみました。

小沢の桜は樹齢約100年のソメイヨシノ。それほど大きな木ではありませんが樹形がよく,なんとも言えない良い雰囲気があります。また田んぼの中にポツンと立っているその姿は,日本の原風景のようです。

原風景

原風景の桜

そんなこともあってかこの桜は地元でとても愛されているようで,福島県の「桜番付」では毎年のように「三役」に入っています。今年も西の小結になっていますね (^ ^)

www.minyu-net.com

今回は小沢の桜を夜のうちに訪ねて,星空と絡めた撮影もしてみようと思います。

小沢の桜を訪ねる ––– 桜と天の川

夜半過ぎ,小沢の桜に到着です。空は澄んでいて,星がとてもきれい。そして暗闇にぼんやりと浮かび上がる桜の木。いい雰囲気です。

ちょっと寒いけど,田んぼ越しに桜を眺めながら,天の川が上がってくるのを待ちます。

そして午前2時を過ぎた頃。

小沢の桜と天の川

天に星,地には花

東の空に,夏の天の川がかかります。星空を背景に凛と立つ小沢の桜。それを見守るように横たわる天の川。まさに「天に星,地には花」ですね。

近くのビニールハウスの灯りで桜と菜の花が浮かび上がり,ライトアップなしでもきれいに写りました。

ズームして,桜と天の川を大きく写したのがこれ ↓。これくらいアップにすると,M8干潟星雲やバンビの横顔も,その存在がよくわかります。ただ,これはiso感度をかなり上げて撮っているので,ノイズが目立ちますね(固定撮影の一枚撮りです)。

桜と天の川アップ

小沢の桜と天の川中心部

今回は仕事の合間に来ているので,赤道儀を持ってきていません。追尾撮影して加算平均スタックすれば,もっときれいに写るんですが。

持ち運びが手軽な手動の赤道儀を持っていけばよかったかなあ。次に福島で星撮りをする機会があったらそうしようかな。

桜とスタートレイル(星ぐるぐる)

前から撮ってみたかった,桜と星ぐるぐる。天の川を撮ったあと,小沢の桜の南側から北天をねらってみます。この角度からだと,小沢の桜の美しい姿がよくわかります。

桜とスタートレイル

小沢の桜と星ぐるぐる

30分くらい回したところで天文薄明が始まったので終了。本当は一時間くらい回したかったんですけどね。

夜明けを待ちます

朝が来ました。日が昇ってきて,桜を照らすのを待ちます。この日の日の出は5時ちょっと過ぎです。

ところが小沢の桜の東側は山の斜面になっているので,なかなか桜に日が当たりません。寒い!震えながら日が差すのを待ちました。ここ田村市は阿武隈高地にあって気温が低いのです。この日の朝も氷点下の寒さでした。

そして…

小沢の桜・朝

朝の日差しを浴びて

朝日を浴びる小沢の桜。美しい立ち姿です。小さな祠や道祖神とともに立つ姿はムード満点。この桜が愛されている理由がよくわかります。

遠くに見えているのは移ガ岳(うつしがたけ)。阿武隈山地の高峰です。この山にも登ってみたくなりますね。

日がさすと少し暖かくなりました。桜のまわりを少し歩いてみます。桜が朝日に輝きます!

朝日を浴びる桜

朝日を浴びる桜

はつ恋の桜

ところで小沢の桜は,田中麗奈さん主演の映画「はつ恋」のロケ地として使われ,劇中に「願いの桜」として登場しています(僕自身はこの映画をまだ見ていないのですが)。確かにそんな物語によく合いそうな雰囲気の桜です…というか,こんな桜の下で恋を語ることができたら素敵ですねえ (^ ^)

願いの桜

願いの桜。こんな桜の木の下で恋を語れたら…

余談ですが田中麗奈さんのデビュー作「がんばっていきまっしょい」は,特別な縁があって2回見ました。そして2回とも同じところで泣きました。まあそんなことはどうでもいいですね (^ ^;)

近くの桜も見ていきます

帰り道,近くの桜も見ていきました。

小沢・宮のしだれ桜。道祖神に囲まれてきれいです。実はこの桜,周りに鉄塔や電線がたくさんあって,この角度からじゃないとそういうのがいっぱい入っちゃう。でも立派な桜です。

小沢・宮のしだれ桜

小沢・宮のしだれ桜

福島にはこういう見事な桜が至るところにあって,本当にすごいなあと思います。それにしても空が青〜い!。

おわりに

星空と桜,願いの桜,はつ恋の桜。田んぼの中の原風景のような桜。小沢の桜はとてもロマンティックなところでした。

また今度,赤道儀を持っていきたいです。

福島の桜の話,もう少し続きます。

 

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自作赤道儀を便利に使うために,L型ブラケットとコンパスアングルプレートを導入してみました

赤道儀ふくろう号

自作ポータブル赤道儀・ふくろう号

山に行って星空の写真を撮るのが好きです。

星空を追尾撮影するために,ポータブル赤道儀を自作して使っています。名付けて「ふくろう号」(ダサい? 笑)

自作ポータブル赤道儀

自作ポータブル赤道儀「ふくろう号」

ふくろう号の製作記事はこちら↓

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現在,東京都は緊急事態宣言下で星を撮りに出かけることができませんが,これを機会に赤道儀の使い勝手を改善しようとあれこれしてみたという話です。

赤道儀「ふくろう号」の使い方と気になるところ

基本的にはこんな感じで使います ↓ (実際にはこれに極軸望遠鏡とコントローラがつきます)

赤道儀使い方

極軸の傾きは撮影地の緯度と同じにします

地球の回転軸と平行にした出力軸(極軸)を一日一回転の速さで回転させると,日周運動で動く星を追尾できるという仕組みです。

このために,例えば北緯35°の東京付近では,極軸の傾きが35°になるようにセッティングします。写真は南の空にカメラを向けた状態ですね。

こうすると,こんなのが撮れます。

夏の天の川

赤道儀で南の空を撮るとこんな感じ

こんな感じで使ってきたのですが,問題は縦構図で撮るときです。赤道儀にのせた自由雲台を動かしてカメラを縦位置にすると…

縦構図

カメラを縦構図にすると…

こんな感じ。バランスが崩れて,極軸に余計なモーメントがかかるのです(マニアックな話をすると,これってドイツ式赤道儀のバランスウエイトがない状態と同じですからね)。

これまで縦構図で撮影するときには,なんとかバランスが取れるように雲台のポジションを微調整しながら,試し撮りしては写真の構図を確認して…という作業を暗闇の中で行なってきたのですが,これはなかなかメンドくさい。なんとかしたいなあとずっと思っていました。

白馬岳の星空

縦構図で撮った星空

そんな経緯もあって,いくつか試してみたのです。

汎用L型ブラケットを購入して,縦構図でも安定するようにしました

とりあえずバランスは安定しましたが…

縦構図に構えたカメラを安定させる場合,L型ブラケットを使うのが定番ですよね。そこで,まずこのアイテムを取り入れてみました。ただしα6400用のものではなく,「汎用ブラケット」を購入しました。↓ これです。

カメラにつけるとこんな感じ。

カメラ+ブラケット

カメラにブラケットをつけたところ

なぜα6400用ではなく,「汎用ブラケット」にしたかというと…

それを書く前に,このブラケットを使ってカメラを縦位置で赤道儀に乗せるとどうなるかを見てみましょう。↓ こんな感じです。

L字ブラケットを使用

L字ブラケットで安定はしますが…

うん,だいぶ安定しました。いい感じですね。

…でもこれで一件落着とはいかないんです。

星空を撮影するときにはインターバルタイマー(リモートレリーズ)を使うのですが,α6400にタイマーを接続するためのUSBポートは,カメラの左側にあるのです。だからこういう問題が…↓

インターバルタイマーが…

インターバルタイマーが接続できない!

インターバルタイマーの差込口がふさがってしまうのです。これでは星空撮影はできません。(星空を撮るときにはカメラのシャッター速度を「バルブ」にして,インターバルタイマーで露光時間をコントロールします)

L字型USBアダプタでインターバルタイマーを繋ごうとしたのですが…

それでブラケットにカメラをずらして乗せて,USBポートのL字型アダプターを介してインターバルタイマーをつけようと試みました。汎用ブラケットを使ったのは,これをやるためだったんです。

実際にやってみたのですが…

L字アダプタをつけたところ

タイマーの差込口が塞がってしまいます…

…差込口が下に向くからダメじゃん。

いや,これは僕がアダプタの注文を間違えただけで,逆方向に曲がっているアダプタを使えば差込口が上に向くのです。

ところがそれ以前に,アダプタのUSBソケットに刺したインターバルタイマーがゆるゆるで,信号がうまく伝わらないようです。

いま使ってるインターバルタイマーはロワ・ジャパンのこれ ↓ なのですが,コネクタの形が一般的なマイクロUSB(タイプB)のものと微妙に異なってるみたいなんですよね…。(カメラのUSBポートにはちゃんと付いて,信号もちゃんと伝わるので,この製品に問題があるわけではありません。こんな使い方は想定外でしょうし)

ということで,USBアダプタ作戦は一旦あきらめることにします。

L型ブラケットを逆向きにつけたらどうなる?

次にL型ブラケットを逆向きにつけて,短辺がカメラの右側にくるようにしようと考えました。こうすれば赤道儀に乗せたときに,タイマーの差込口が上に来て使えるようになります。

ところが…

ブラケットを逆向きに

ブラケットを逆向きに…つけられない!

底面ネジの可動範囲が足りずに,この向きでブラケットを装着することはできなぁーい!

これは困りましたね。

ブラケットを斜めにつけるしかないか…

ここでちょっと思案したのですが,結局ブラケットを斜めにつけて使うしかないかなという結論に至りました。

ブラケットを斜めにつける

ブラケットを斜めにつけます

こうすればインターバルタイマーを使うことができますね,すっごくカッコ悪いけど。これでも「縦位置にした場合のバランスの悪さ」は,一応解消できますし…。

タイマー接続

インターバルタイマーも一応つながりました

なんとなくスッキリしないけど,一応目処は立ったかな…。

カメラを縦にすると全体のバランスが危うくなります

…と見せかけて,もう一つ問題が。

こうしてL型ブラケットを使ってカメラを縦に構えると,極軸周りのバランスは改善されるのですが,全体のバランスが危うくなるのです。どういうことかというと…

カメラを天頂方向に向けた時

カメラを天頂方向に向けるとバランスが…

こんな風に,特にカメラを天頂方向に向けたときに大丈夫かぁ〜?って感じになります。星を追尾撮影してる途中で,三脚ごとひっくり返ってしまいそう。

これもなんとかしないといけませんね。

サイトロン・ジャパンのコンパスアングルプレートを購入してみました

アングルプレートでバランスを安定させよう

そこでサイトロン・ジャパンから出ている「コンパスアングルプレート」を購入してみました。

これは同じサイトロンのポータブル赤道儀「ナノ・トラッカー」を乗せるためのものですが,僕のふくろう号にも使えます。

これを使うと,赤道儀を無理なくカメラ三脚に乗せることができ,バランスの改善が期待されます。実際にやってみるとこんな感じ。

コンパスアングルプレート使用

コンパスアングルプレートを付けてみました

赤道儀とカメラの重心が,三脚の真上にだいぶ近づきましたね。だいぶいいですかね。

これでなんとかなるかな。

でもちょっと重くなっちゃったな…計量化を試みます

これで安定感は増したけど,L型ブラケットとアングルプレートの分,装備が重くなっちゃいました。合わせて数百グラムですが,山に担ぎ上げるにはこれは結構いたいですね。そこで,アングルプレートを三脚に直付けしてみました。こうすれば,雲台一個分荷物を軽くすることができます。

アングルプレートを三脚に直付け

アングルプレートを三脚に直付けしてみました

これでいけそうですね。ガタの原因となる接続部の数も減って,見た目の安定感も一層増したように思います。

こうすると,極軸の傾きは三脚の脚を微妙に伸び縮みさせて合わせることになりますが,それは今までにもやったことがあるのでなんとかなるかな?と思っています。

まあその辺りも含めて,次の星撮りの時にこの形を基本にして試してみようと思います。

まとめ

ということで,グダグダでしたが,L型ブラケットとコンパスアングルプレートを使って,赤道儀のバランスを改善した話でした。

これで調子よく使えるかどうか早く試してみたいですが,まだ緊急事態宣言下なので,もうしばらくうちでいろいろいじってみます (^ ^;)

東の空を撮る時

東の空を撮る時にはこんな感じになります

次は赤道儀自体の剛性をもう少し改善すべく,改造を検討しているところです(4月の新月期までに実行したいなあ)。

緊急事態宣言もあって,結局今年は冬の星座をちゃんと撮れなかったなあ。撮りたいと思っていた対象はあったんですけどね。

4月に撮るとしたら,夜半過ぎに昇ってくる夏の天の川が狙い目でしょうか。タイミングよく晴れるように,日頃の行いを良くしておきます(笑)。

from ふくろう

じゃあ,またね☆ from ふくろう

 

 

 

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【400年ぶりの天文ショー】木星と土星の接近を写真に撮りました!

木星と土星,400年ぶりの大接近

今月,西の空では木星と土星が大接近しています。最接近は21日,ちょうど冬至の日で,その間隔はわずか0.1度!満月の直径が約0.5度ですから,その5分の1まで近づくということです。

木星と土星がこんなに近づくのは400年ぶりとのこと。

惑星は全て,地球から見ると黄道上を動くのですが,土星よりも木星の方が太陽に近い軌道を回っていて公転周期が速いので,土星を追い越していくように見えるんですね。

最接近の前後,この2つの惑星を,何度か写真に撮ってみました。

12月17日 三日月と木星,土星の競演

最接近の4日前,12月17日は西の空に三日月がかかり,木星,土星とともに輝いていました。

とてもきれいな光景。この時カメラと三脚を持ち歩いていなかったのがとても残念です。一応スマホで一枚撮りました。

クリスマスツリーと三日月,木星と土星。

クリスマスツリーと三日月と木星,土星

クリスマスツリーと三日月と木星,土星

場所は仕事先の三鷹市某所。見る人が見たら「あー,あそこだ!」ってわかるところです (^◡^)

スマホの写真ですが,地球照も写っています。せめて「望遠レンズ」のついている iPhone pro だともう少しきれいに写ったでしょうかね。

12月21日 最接近の日

最接近の日。うちのベランダからだと西の空は建物に遮られて見えないので,望遠鏡を持って近くの河原へ行きました。とは言ってもうちから100 m くらいですが。

16時半くらいから空が暗くなってきて,西空低いところに木星と土星が見えてきます。近い!注意してみないと,そこに2つの星があるって気づかないくらいです。

さっそく望遠鏡を向けてみましょう。天体望遠鏡の視野に2つの惑星が入ってるって,なかなかすごい光景です。倍率を150倍に上げても同一視野に入ってる!

望遠鏡の接眼レンズに iPhone を当てて,写真を撮ってみます(コリメート撮影といいます)。

木星と土星の最接近

木星と土星の最接近 12月21日

11 cm反射望遠鏡,倍率45倍,iPhoneコリメートで3枚撮ってスタック,その後トリミング。望遠鏡の視野では上下逆さまに見えていますが,実際の向きに合わせて写真を180°回転させています。

土星の輪もかろうじてわかる程度に写りました。…目視ではもっとくっきり見えているんですが,気流の影響と望遠鏡の振動のためにちょっとぼんやりしています。

なお露出は土星に合わせています。木星が白とびしていますが,木星の縞模様がわかるようにすると土星とガリレオ衛星が写らなくなっちゃうんですよね…。

木星のガリレオ衛星は,左からカリスト,ガニメデ,イオ,エウロパです。

木星と土星の最接近

元の写真をよーく見ると土星の衛星,タイタンもうっすら写っていますが,縮小するとよくわからないですね。

天体望遠鏡+iPhoneで写真を撮る方法はこちら ↓ 

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木星&土星は18時を過ぎると地平線近くまで高度を下げ,観測が難しくなってきます。…低空は気流の影響が激しく,星像が陽炎のように揺れますからね。それに周りは住宅地ですから,この時間帯に望遠鏡を水平にして覗いていると通報されかねません (^ ^;)

そんなわけで望遠鏡は撤収です。その前に,空高く輝いていた月を一枚撮りました。

12月21日の月

12月21日の月 反射望遠鏡+iPhone

上弦の少し手前くらい,月齢はだいたい6.5あたりでしょうか。

12月22日 最接近の翌日

最接近の翌日も良く晴れていました。木星と土星はまだ非常に近く,引き続き望遠鏡の視野に同時に入ります。前日と違うのは木星が土星よりも東(左)側に来ていること。つまり天球上で木星が土星を追い越したわけですね。

この日は先に月を一枚撮りました。ちょうど上弦の月。まだ空に明るさが残る中,欠けぎわに「月面X」も見えています。

上弦の月

12月22日 上弦の月

さて,本命の木星と土星です。21日と同じく反射望遠鏡とiPhoneで撮影します。8枚撮ってスタック&トリミング。前日よりも気流の影響がありましたが,まあなんとか土星の輪もわかるでしょうか。ガリレオ衛星はガニメデとカリストのみ見えています。イオとエウロパは木星本体と重なっているようです。

12月22日の木星と土星

12月22日の木星と土星

他にα6400+望遠レンズでも撮ってみましたが,望遠鏡を使った撮影の方がよく写っているようでした。

この日も18時近くなって,2つの惑星の高度が低くなったところで撤収します。

 

おわりに

最接近の前後は好天に恵まれ,珍しい天文ショーを良い条件で観測することができました。なかなか面白かったです。もしかしたらこれ以降も何日間か,木星と土星の位置関係を写真に撮って,この記事に追加するかもしれません。

木星と土星を見つけられるかな?

iPhoneで撮影。木星と土星を見つけられるかな?

Twitterのタイムラインを見ていると,大型の望遠鏡を使った見事な写真が流れています。それに比べるとしょぼいですが,まあこれも一つの記録にはなるでしょうか。

さて次は…西暦4008年11月2日の明け方に,「木星による土星食」(木星が土星を背後に隠す現象)が見られるようです。しかも日本は好条件だとか。この現象は紀元前4927年以来,約9000年ぶりだそうです。いやあ,楽しみだなあ! (^ ^;;)

 

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(やっぱり天文年鑑2021年版の表紙はネオワイズ彗星なんですね)

奥多摩・鷹ノ巣山の頂上で星景写真を撮ってきました:スターリーナイトフィルターを使って撮る東京の星空

前記事「【奥多摩・鷹ノ巣山】酷暑の奥多摩山歩き。アブにやられてさあ大変!」の続きです。

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8月19日ー20日に,奥多摩の鷹ノ巣山に登ってきました。新型コロナの流行が収まっていない中,都民の一人としては都県境を越えずに登山をしようと,行き先を鷹ノ巣山にとどめました。これより先,雲取山方面まで足を延ばすと,登山道が山梨県をかすめてしまうのです…。

鷹ノ巣山は十分に日帰りが可能ですが,あえて避難小屋に泊まって,夜に星空の写真を撮ってきました。

赤道儀

がんばれ赤道儀「ふくろう号」

東京で星景写真を–––スターリーナイトフィルターを使います

さて,19日はちょうど新月期です。星空の写真を撮るにはもってこいの期間です。

肝心の天気はどうでしょう?GPV予報によると,19日の夜は奥多摩には雲がかからない様子です。これならイケそうかな?

さて。星空の写真を撮るときに一番問題になるのが「空が暗いかどうか」です。奥多摩の深い山の上とはいえ,鷹ノ巣山は東京都内です。都心部の街明かりの影響は少なからずあるでしょう。青梅市からも近いですし(実際,以前雲取山で南東の方角の空を撮ろうとしたとき,東京〜横浜方面の街明かりの影響が大きくて,赤道儀を回すのを断念したことがあります)。

そこで今回はケンコートキナーから出ている光害カットフィルター「STARRY NIGHT(スターリーナイト)」を使ってみることにします。このフィルターは都市部の照明に使われるナトリウムランプ(波長589 nm)および蛍光灯の光(水銀の輝線 435, 546, 577 nm)を選択的にカットしてくれるものです。一方,他の波長は比較的よく透過させるので,星の光を捉えるにはおおむね影響がありません。

「スターリーナイト」

光害カットフィルター「スターリーナイト」

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今回はこういうアプローチでいってみようと思います。さて,東京都内にいてどれくらい星空を捉えることができるでしょうか?

 

夜の鷹ノ巣山へ

鷹ノ巣山避難小屋で晩ご飯を食べ終わると,ちょうどあたりは暗くなりました。ここまで登ってくる間,空には薄雲がかかっていることが多く,気になっていたのですが外に出てみると…おっ!星が見えています。

避難小屋は森に囲まれているので天頂付近しか見えませんが,はくちょう座付近の天の川が見えています。湿度がけっこう高くて,ヘッドランプの光が筋になるところを見ると透明度はあまり高くないようですが。

でもチャンスです。急いで赤道儀とカメラ,そしてヘッドランプを準備して山頂に向かいます。夜の山道はクマさんが怖いので,熊鈴をトレッキングポールに取り付け,大きく鳴らしながら歩いていきました。

夜のブナ

大きなブナの木は,夜の山道でも存在感がありました
注意!ナイトハイクは昼間の行動に比べて,転倒,道迷いなどの危険が高まります。またクマなどの野生動物と遭遇する確率も上がります。万全の注意をした上で,自己責任で行ってください。歩くルートは明るいうちに危険箇所などの確認をしておくのが鉄則です。

避難小屋から登ること約30分,鷹ノ巣山の山頂に到着です。夜の山頂には,当然のことながら誰もいません。

で,肝心の星空ですが…うーん南天の低空には雲がかかっていて,天の川の中心,いて座の方向は見えません。夏の空で最も華やかな部分が見えないのは残念ですが,天気には逆らえません。

目を転じて天頂方面,夏の大三角のあたりはどうでしょう。天の川が見えていますが薄雲が流れているような感じです。

もう少し標高が高い山なら雲の上に出てるかもしれないんですが…。でもいいんです。今回は「東京の星空」を撮るのがテーマの一つです。幸い赤道儀をセッティングしていると上空の雲は去っていきました。条件は最良とはいえませんが,撮影を始めることにします。赤道儀のスイッチオン!

はくちょう座付近の天の川

鷹ノ巣山山頂の木々の上にはくちょう座〜カシオペア座にかけての天の川が流れています。夏の元気な森の上に流れる天の川。これも夏山の風景には違いありません。

ということで,まずこちらにカメラを向けました。カメラはα6400,レンズはSAMYANGの12 mm F2.0 NCS-CS(換算18 mm)です。

森にかかる天の川

鷹ノ巣山にて。森にかかる天の川

星空は赤道儀で追尾したものを7枚スタック(加算平均コンポジット),地上部は赤道儀を止めて撮ったものを5枚スタック。これらを「新星景」方式で一枚にまとめています(地上部と星空の位置関係は正確です)。周りに誰もいないので,木々をヘッドランプで照らしたりしました。

ところで夜の山頂にクマさんが出てきたら困ります。そこで撮影中はクマ鈴をチリンチリン鳴らし続けました。またシャッターを閉じている時に,ヘッドランプをあたりに照射します (^ ^;)

はくちょう座の北十字をアップで撮ってみます

次にレンズを35 mm F1.8に付け替えて,はくちょう座をアップで撮ってみることにします。はくちょう座の北十字を画面いっぱいに写した「星座写真」ですね。

はくちょう座

はくちょう座の北十字

スターリーナイトフィルターを使って撮った5枚+ソフトフィルター(プロソフトンA)を使った3枚をスタックしています。

画面上の方の明るい星がデネブ,北十字の真ん中の星がサドル,白鳥のくちばしの位置にあるのがアルビレオです。ソフトフィルターを使うと星の色がよくわかりますね。

以前から感じていたのですが,α6400のセンサーは,赤い散光星雲も割と良く写ります。この写真でも北アメリカ星雲やサドル付近の散光星雲がよく写っています。

ところではくちょう座の北十字は「銀河鉄道」の最初の停車場です。ジョバンニたちが乗った列車は,ここから天の川に沿って南下していくんですね。

「もうじき白鳥の停車場だねえ。」

「ああ、十一時かっきりには着くんだよ」

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」から

カシオペア座付近の天の川 

次にまた広角レンズに付け替えて,カメラを北天に向けます。夜が更けて,カシオペア座が登ってきています。この辺りの「秋の天の川」も透明感があって好きです。

同じく追尾したものを6枚,赤道儀を止めて撮った地上部を5枚スタック。

カシオペア座付近

カシオペア座付近の天の川

この辺りの領域は暗黒帯が複雑に入り組んでいて,けっこう面白いんですよね。画面右上のほうにアンドロメダ銀河も写っています。

北側は秩父市でしょうか。意外と街明かりの影響が出ていますね。

南の空も一応撮っておこう

夜が更けてきました。上空の雲の流れは落ち着いてきましたが,南天には雲がずっとかかっていて,やっぱりいて座のスタークラウドは見えません。でも一応撮っておこうと思います。

南の空

南の空,わし座を中心とした天の川

たて座〜はくちょう座あたりまで,わし座を中心とした天の川が写りました。ベガ,アルタイル,デネブの夏の大三角も入っています。低空のいて座付近が写るとより華やかなんですけどね。

この写真を撮った時には赤道儀の極軸がずれていたのか,周辺部の星が流れてしまい,スタックがうまくできませんでした。南天に雲があるから気合が乗らず,撮影に入る前に極軸のチェックをちゃんとしなかったせいですね (^ ^;) 縮小した写真だとあまり目立ちませんが。

低空は街明かりの影響がかなりありますね。スターリーナイトフィルターをつけていても黄色くカブっています。こっちは方角的に大月市あたりかなあ。

画面の下の方があんまり見栄え良くないので,「星空セルフポトレ」をやってみたらよかったなと少し思っているところです。今度機会があったらやってみようっと。

昇ってくる秋の星座たち

夜半を回りました。最後にカメラを東に向けて,昇ってくる秋〜初冬の星座を撮ってみます。固定撮影の一枚撮りです。レンズは標準ズームで焦点距離を16 mm(換算24 mm)に設定,ソフトフィルターを使いました。

カシオペア座からペルセウス座を中心に,画面下の明るい星はぎょしゃ座のカペラです。アンドロメダ銀河やプレアデス星団(すばる),ペルセウス座の二重星団h-χが画面に入っています。カリフォルニア星雲も心眼で見えます(笑)

昇る秋の星座

昇る秋の星座

こんな星空を見ると,まだ暑いけど季節は秋に向かっているんだなとしみじみ感じます。そのうち,あたりには虫たちの声が響くようになるでしょう。

撤収します

さて,そろそろ撤収して避難小屋に戻ることにします。辺りは真っ暗なのでヘッドランプで照らして,忘れ物がないように気をつけます。星空撮影には,いろいろ細かいものを使ってますからね。

そして荷物をまとめたら,またヘッドランプをつけて,クマ鈴を鳴らしながら夜の山道を下って行きました(緊張します)。20分くらいで避難小屋に帰還。

日の出の頃にもう一度山頂に登ってくる予定なので,シュラフカバーに入って仮眠をとりました。

光害カットフィルター「スターリーナイト」を使ってみた感想

今回初めてスターリーナイトフィルターを使ってみました。都内の街明かりの影響を受ける鷹ノ巣山でけっこう撮れたので,やはり効果はあるんだと思います。

他に気づいたことは

  • 黄色〜オレンジ色のところに吸収帯を持つので,星空がシアンにかぶります。現像の段階で空の色を調整するのにやや難儀しました(あえて青を残した写真もあります)
  • ナトリウム灯,水銀灯の輝線以外の波長にもわずかに吸収を持っているので,少し星空が暗くなります。今回,露光時間をもう少し長めにとってもよかったかな。この点は,今後試行錯誤が必要かもしれません

といったところでしょうか。これからも空の状態を見て,必要なら使ってみようと思います。

ケンコートキナーさんは最近も「プロソフトン・クリア」を出してくれたり,星景写真を視野に入れた製品開発をしてくれるのがうれしいです。

おわりに

今回,「東京都を出ないぞ」と決め,山歩きと星撮りを行ってきました。それでもきれいな星空を写すことができてうれしかったです。「東京の星空」。うん,悪くないですね。

このあと早朝の景色を写すためにもう一度山頂に登ったのですが,夜が明けた鷹ノ巣山頂にはアブの大群がいて,ボコボコにやられてしまいました。いま思うと,夜星を撮っている間アブがいなかったことは,本当にラッキーだったなと思います(汗)

 

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月と木星,土星の接近を撮影してみました!(過去の月と金星の接近の写真も)

天球と黄道,白道

地球は太陽の周りを公転していますが,地球から見ると,太陽が私たちの周りを回っているように見えます(地球が自転しているから太陽が一日一回転するという話ではなく,公転に関する話です)。

地球から見た空を球体と見立てた時,その球を「天球」と呼ぶのですが,天球上で太陽の通り道は決まっています。この「太陽の通り道」を黄道と呼び,太陽は黄道上を一年かけて一周します(地球を中心に宇宙を見たとき,そう見えるということです)。

また地球の地軸が傾いているので,黄道は天の赤道に対して約23.5°傾いています。夏の太陽は空の高い位置に輝き,冬の太陽が低いのはこのためですね。

天球と黄道

緑色の線で描かれている"ecliptic"が黄道。出典:wikipedia

天球には様々な星座があるのですが,黄道上にある星座=やぎ座,うお座,みずがめ座,おひつじ座,おうし座,ふたご座,かに座,しし座,おとめ座,てんびん座,さそり座,いて座を「黄道12星座」と呼びます。例えば6月上旬の現在,太陽はふたご座にいます(余談ですが,だからこの時期の誕生星座はふたご座なのです)。ですので,この季節の夜中には,天球上でふたご座の反対側にあるさそり座やいて座がよく見えることになります。

地球とその他の惑星たち(金星,火星,木星,土星…)は太陽を中心として,ほぼ同一平面上を円軌道(厳密には円に近い楕円軌道)で回っています。だから地球から見ると,惑星もおおよそ黄道上を運動するように見えます。ただ,それぞれの惑星が動く速さは違うので,地球から見ると様々な惑星が黄道上で近づいたり離れたり,追いついたり追い越されたり…といったことが起こります。

月の動きもこれとよく似ています。ただし月が地球を回る軌道は,地球の公転平面からわずかにずれているため,天球上で月が通る道筋––これを白道と呼びます––は,黄道と5°ほどずれています。でもまあ大雑把に見れば,太陽と惑星と月は,空を同じような道すじで動くと見ることができます

その結果何が起こるかというと,ときどき月と惑星が接近して見える時があるのです。惑星の中でも金星,火星,木星,土星はかなり明るいですから,月と接近するとなかなか美しい光景になります。

2020年6月8日 月と木星,土星の接近が見られました

前置きが長くなりましたが,昨晩月がやぎ座で木星,土星と接近しました。僕の家は東京都内なので星空を見るには厳しい条件なのですが,月や惑星なら明るいのでよく見えます。折しもよく晴れていたので,ベランダに三脚を立てて,この天体ショーを撮影してみました。

夜半近く,ベランダに出てみると月が煌々と輝いており,そのすぐ近くで木星が明るい光を放っています。さらに少し左側に目を移すと,土星も光っています。さっそくカメラに望遠ズームレンズをつけ,三脚を立ててカメラを乗せました。

とはいえ,3つの天体の明るさはかなり違います。土星がちゃんと写るように撮影すると,一番明るい月は真っ白に飛んでしまいます。月の表面の模様(うさぎさん)も美しいですから,これもちゃんと写したいですね。

それで–2, 0, +2 EVのブラケット撮影をして,三枚の写真で露出ブレンドをしてみました。その結果得られた写真がこちら↓

f:id:sunsun_fine:20200609164325j:plain

月と木星,土星の接近

月と木星,土星の接近。APS-C 144 mm(換算 216 mm)の写野に入るくらいに近づいています

こういう光景を見ると,私たちのいる地球も太陽系の一員で,他の惑星とともに太陽の周りを回っているということがイメージされ,壮大な気分になります。

月だけのアップも撮ってみました

ついでなので (?),月だけ目一杯ズームしてアップで撮ってみることもしました。これまでは月を撮るときには天体望郷+スマホの組み合わせで撮影することが多かったのですが,最近はα6400 の「超高画素改造ズーム」機能を使って撮ることが多くなりました。↓ これです。

月アップ

月アップ。月齢16.9くらい

望遠ズームレンズ SEL55210 +超高画素改造ズームの組み合わせによって,最大で換算630 mm相当まで寄ることができ,月の表面もかなり写し出すことができます。α6400 を使い始めた頃は超高画素改造ズームって画質・解像感はどうなんだろうと思っていたのですが,何度か使ってみて,「けっこう使えるな,これ」という実感を持っています。欠けぎわのクレーターもけっこう写ってるでしょ?

完全に余談ですが,もっと長焦点の望遠レンズ,例えば昨年発表された SEL70350G なんかがあったらもっと精細に撮れるかなあ…と欲しくなりますね(鳥を撮るときなんかもいいですね)。TAMRONさんあたり,APS-C Eマウント用の互換レンズをいっぱい出してくれないかなあ… (^ ^;)

以前撮った月と金星

今回は月と木星,土星の接近でしたが,月は他にも金星や水星,火星などとも接近することがあります。ついでなので,以前撮った月と金星の写真も載せておこうかなと思います。

これは2014年2月の月と金星の接近です(随分前ですね ^^;)。

月と金星の接近 2014年2月

まるでトルコ国旗から,星が散歩に繰り出したかのような光景です (^ ^)

金星は内惑星なので,月に接近するときはいつも三日月です。それに金星はとても明るく,露出ブレンドなどしなくてもしなくていいので撮影は楽ですね。

もう一つ,2017年1月の月と金星。この時はかなり接近していたので,まるで金星が「月のしずく」のようです。地球照も写っていますね。

月のしずく

月のしずく…金星

地上景と一緒に写すとこんな感じ。美しいですよ。

月と金星の接近

月と金星の接近 2017年1月

今年の3月くらい(だったかな?)にも月と金星の接近があったんですが,夕飯の準備に忙しくて撮影できませんでした(笑)

 

おわりに

月と惑星の接近は,都市部でもみることができる天体ショーです。こんな光景を見て宇宙に想いを馳せると,いい気分転換にもなりますよ。皆さんもぜひご覧ください。

 

2020年12月の,木星と土星の超接近の写真はこちら↓

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【星ぐるぐる】星の日周運動(スタートレイル)を撮影しよう!

星の撮影について,今までいくつか記事を書いてきました。この記事では,星の日周運動(スタートレイル)を写す方法 について書いてみます。こんな写真↓です。「星ぐるぐる」ってやつですね (^ ^)

スタートレイル

スタートレイル星ぐるぐる!

比較明合成を使います

星ぐるぐるの写真を撮るには,2通りの方法があります。

1つは「長時間露光の一発撮り」。カメラを三脚に固定し,シャッターを数分〜数十分に渡って開けっ放しにしておくやり方です。シャッターが開いている間に星が動き,その軌跡が線となって写るというわけです。この際,シャッターを長く開けておくほど,星の軌跡を長く伸ばすことができます。

ただ,あまり長い時間シャッターを開けておくと空自体が明るく飛んでしまうため,iso感度を下げておく必要があります。したがってこの方法だと暗い星まで写すのは難しくなりますし,都市部など空の明るいところでは使えません。また撮影中に車のライトが画面に入ったりすると,その時点で失敗となるリスクがあります。

もう一つの方法は「比較明合成」です。カメラを固定しておくのは一発撮りと同じですが,露光20秒〜30秒のカットを連続して数十枚〜数百枚撮影します。こうして撮った写真を,Photoshopなどの画像処理ソフトで重ねて開き,明るいところを表示するブレンドモードを適用します(Photoshopでは「比較(明)」)。すると,こんな風になります↓

比較明合成

比較明合成の原理

この際,重ねた写真が連続的に撮った星空の写真だと,動いていく星の軌跡が得られるというわけです。

比較明合成を使ったやり方だと,撮影の際に絞りを開いたり iso感度を上げたりできるので,暗い星まで写すことができます。また多数の写真をスタックすることで,夜空の部分のノイズが平均化されて目立たなくなるという効果もあります。

なお僕は画像処理にPhotoshopを使っていますが,比較明合成に特化した「StarStax」や「SiriusComp」などのフリーソフトもあり,便利に使えるようです。

比較明合成の実際

まずカメラを三脚に固定します。撮影モードは「マニュアル」。ピント合わせも「マニュアルフォーカス」です。次に星にピントを合わせますが,やり方はこちらの記事を参照していただければと思います。 

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ピント合わせが終わったら,カメラにインターバル撮影のできるリモートレリーズ(インターバルタイマー)を接続します。インターバルタイマーは,例えばこれ↓

シャッタースピードはB(バルブ)とし,インターバルタイマーで露出時間とインターバル時間を設定します。露出時間は空の暗さによりますが,20秒〜30秒くらいがいいと思います。インターバル時間は1秒です。こうしてタイマーのSTARTボタンを押すと,STOPを押すまでの間,連続してシャッターが切られ続けます。

インターバルタイマー

インターバル時間は1秒に

インターバルタイマーが接続できないタイプのカメラでも連続撮影はできます。その場合はカメラのドライブモードを「連写」にして,露光時間を30秒とかに設定します。そしてカメラのシャッターを輪ゴムなどを使って押しっぱなしにしておきます。無理やりな感じですが,僕は以前のNEX3では,実際にこんなやり方で撮っていました (^ ^;)

輪ゴムでシャッターを押しっぱなしに

消しゴムの切れ端と輪ゴムでシャッターを押しっぱなしに

撮影が終わってうちに帰ったら,全てのファイルをPhotoshopで開きます(ファイルメニューから「スクリプト」→「ファイルをレイヤーとして読み込み」)。

Photoshopの場合,ファイルを開いた状態ではブレンドモードが「通常」になっています。この時,重なっている中で一番上の写真が表示されていると思います。

ブレンドモード「通常」

ブレンドモード「通常」だと一番上の写真が表示されています

ここで全てのレイヤーを選択し,ブレンドモードを「比較(明)」にすると…

ブレンドモードを「比較(明)」に

全てのレイヤーを選択し,ブレンドモードを「比較(明)」にします

星の軌跡が現れます!

この段階でレイヤーを統合したら,あとはいつものように明るさや色調を調整すれば出来上がりです。

北天にカメラを向けよう!

日周運動を撮影する際に,まず写してみたいのは北の空です。それは北極星を中心に星がぐるぐる回る様子を写すことができるからです。

例えばこんな感じ。

北天の日周運動

桜とぐるぐる@千葉県で

千葉・外房で撮った桜と北天のスタートレイル,北斗七星が山の端に沈んでゆきます。この時の撮影条件は,「18 mm (換算27 mm),iso 4000,絞りF4,露光時間30秒で約30分の連続撮影」です。途中で何度か近くを車が通って,桜を照らしてくれました。

ぐるぐるの中心でほとんど動いていない星が北極星です。見つけられるでしょうか。

カメラの感度を上げて暗い星までギャンギャンに写したのが,最初にも上げたこの写真↓です。

南アルプス・北沢峠の星空

南アルプス・北沢峠にて

これは南アルプスの北沢峠で撮ったもので,空が暗い場所だったので iso感度を5000まで上げて,絞りF2.8,1枚あたりの露出30秒で撮っています。総露光時間は約1時間。迫力は出たけど,ちょっとやりすぎたかな (^ ^;)

ところでこれらの写真で,星は時計回りに動いているか,反時計回りに動いているかわかりますか?

…答えは「反時計回り」ですよ。

南天の低いところを写すと

南の空の比較的低いところを写すと,こんな画像が得られます。今度は星は左から右へ動いているんですよ? (^ ^)

カノープス

おおいぬ座とカノープス,富士山

この写真は奥秩父・笠取山の頂上から撮ったもので,露出は15分くらいです。富士山の左側に写っている明るい星は,りゅうこつ座のカノープス。シリウス(写真の中央上部に写っています)に次いで,全天で2番目に明るい星なのですが,南天低いところにあるのでなかなか見ることができません(福島県あたりより北では,この星は地平線よりも下に来るため見ることができません)。このため,この星は「南極老人星」という別名を持ち,これを見ると寿命が延びるという話もあるようです。この写真を見たあなた,10年くらい寿命が延びましたよ! (^ ^)

スタートレイルの写真なら,都内の自宅からでもけっこう撮れる

一般に星空の写真をきれいに写そうと思うと,空の暗いところへ行くことが必要です。暗い星や淡い天の川を写すためには,長い露光時間を取る必要があるからです。でも東京都内みたいに空が明るいところだと,長時間露光をすると空が真っ白に写ってしまい,星が消えてしまいます。

都内で星の写真を撮ろうとすると,iso感度を下げてレンズを絞って,露光時間も短めに…ってしなければなりません。もちろんこれでは暗い星はあまり写らず,星空の写真としてはかなり寂しい感じになります。

でも都内でも,星ぐるぐる写真なら日周運動する星の軌跡が重なり合うので,星の存在感が出てそれなりに「見れる」写真が撮れたりします。

都内にある自宅のベランダから,1時間のスタートレイルを撮ってみたのがこの写真↓です。

都内の自宅ベランダにて

都内の自宅ベランダで撮った,冬の大三角とオリオン座

これは,ふたご座流星群の活動期に撮った冬の大三角〜オリオン座です。写真の下の方に,流れ星も1個だけ写っています。

撮影条件は,iso 400,絞り F5.6,露光時間15秒で,約250枚撮ったものを比較明合成しました。そんなに暗い星は写っていないのですが,けっこう見栄えがすると思います。

自宅だと,カメラ+三脚をベランダに出しっぱなしにして撮影しながら,自分は暖かい部屋でビールでも飲みながら待ってられるので楽チンです。

撮影間隔を長くとってインターバル撮影をすると

というわけで,シャッター間隔がごく短いインターバル撮影(連写)をして比較明合成すると星の日周運動が線になって写るわけですが,あえてシャッター間隔を長くして比較明合成すると,日周運動する天体がポツン,ポツンと「点線」になります。

そうやって撮影したのがこれ↓。西空に沈む月と金星です。これは4分間隔でシャッターを切って比較明合成したものです。

沈みゆく月と金星

沈みゆく月と金星

この写真では三日月の暗い部分がぼんやり明るく見えていますが,これは「地球照」といって,地球から跳ね返った太陽の光が,太陽光が当たっていない部分を照らすことにより,少しだけ明るくなる現象です。

おわりに

スタートレイルの撮影は時間がかかりますが,撮影の間はカメラを放置しておけるので,わりと楽です。枚数が多いと比較明合成の作業が大変ですが。

星を止めて写す固定撮影やガイド撮影は,南天に魅力的な対象がある場合が多いように思います。というのは,天の川の明るい部分や目立つ星座が南側に見える場合が多いからです(例えばさそり座やオリオン座など)。北天はその点地味ですが,逆にぐるぐる撮影の場合は絵になリます。

星を点として写すだけでなく,その軌跡(日周運動)を写すことにはまた別の面白さがあります。露光時間が短めの固定撮影,赤道儀を使ったガイド撮影,比較明合成を用いた星ぐるぐる撮影。これらを使い分けて,星空の写真を楽しみたいものです。

 

 

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固定撮影による星空撮影はこちら↓

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天体望遠鏡とスマホを用いた月の撮影はこちら↓

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天の川を浮かび上がらせるトーンカーブ【星景写真のレタッチ】

星景写真,特に天の川の写真を撮った時に,「もう少し天の川をくっきりと浮かび上がらせたい」と思うことがよくあります。その時に使うと便利なのがフォトショップの「トーンカーブ」です。ここでは天の川を浮かび上がらせるために,僕がどのようなトーンカーブを使って画像処理しているかを紹介します。もちろん異なる処理をしている人もいると思いますが,一例としてご覧いただければと思います。トーンカーブを使った処理に先立って行う,フラット化についても触れます。

お題はこちら

実際にやってみましょう。お題はこれ ↓ 。

天の川の写真・お題

天の川の写真,「撮って出し」。これを処理してみます

岩手の八幡平市で撮った,夏の大三角付近の天の川です。撮影はAPS-Cのカメラ (Sony NEX-3) を使って。固定撮影で行いました。レンズは12 mm, F2.0 開放。設定は iso 6400, 露出25秒です。RAWファイルのパラメータをほとんどいじらずに,tiffファイルとして書き出しています。

この状態(撮って出し)だと,天の川は写っていますがコントラストが低いですね。また周辺光量落ちで画面の中央付近が明るく,四隅が暗くなっています。

この写真をレタッチして,天の川を浮かび上がらせてみましょう。

トーンカーブの前に…フラット化

フラット化について

トーンカーブによる天の川の強調処理に先立って,多くの場合バックグラウンドのフラット化が必要になります(フラット化をしないと,天の川を強調した時に周辺光量落ちも強調されてしまいます)。

星空の写真はレンズの絞りを開放付近で撮ることが多いので,どうしても周辺光量落ちが発生して,写真の四隅が暗くなりがちです。でも空の明るさ(暗さ)は本来一様ですから,これを補正してフラットな明るさにするのです。

グラデーションマスクでフラット補正

画像ファイルをフォトショップで開いたら,「レイヤー」メニューから,「新規調整レイヤー」>「レベル補正」を選びます。

レベル補正レイヤーを作る

「レベル補正」レイヤーを開きます

するとレベル補正パネルが開きます。レベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下には,小さな三角形△が3つあります。このうち中央の△を左に動かせば写真は明るくなり,右に動かせば暗くなります。この段階では写真の中央部分が明るくなっているので,この部分だけを暗くしてやれば良いということになりますね。この目的でレベル補正レイヤーに「グラデーションマスク」を作ってやります。

グラデーションマスクを作る

グラデーションマスクを作ります

レイヤーパネルで,今つくったレベル補正レイヤーのマスクサムネイルが選択されていることを確認します ①(選択されていない場合は,マスクサムネイルをクリックします)。続いてツールバーからグラデーションツールを選択し ( ② ),画面上部のオプションバーで「円形グラデーション」を選択 (  ),さらに「逆方向」にチェックを入れます (  )。そして写真の中央から角に向かって,マウスをドラッグ ( )。

円形グラデーションマスク

グラデーションマスク。白い部分にレベル補正がかかります

すると上のようなマスク画像が作られます(マスクは,マスクサムネイルをoptionキー(Windows版はAltキーかな?)を押しながらクリックすると確認することができます)。このマスク画像の白い部分(つまりこの場合は中央部分)にレベル補正がかかることになります。マスク画像を確認したら,レベル補正レイヤーのマスクサムネイル以外の部分をクリックして元画像に戻ります。

続いて全体を見ながら,レベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下にある,中央の△を右にスライドします。こうすると周辺光量落ちが補正されて,全体の明るさがフラットになっていくでしょう。

ヒストグラム下の△をスライドしてレベル補正

ヒストグラムの下の△をスライドしてフラットにします

これで周辺光量落ちは目立たなくなりましたが,まだこの写真は左側の方が暗く見えます。これは写真の右側が地平線に近く,街明かりの影響を受けているためです(つまりこの写真は縦構図で撮っています)。地上景を入れた星景写真の場合は,このグラデーションを残すことも多いですが,これを補正してフラットにすることもできます。やってみましょう。

「レイヤー」メニューから,「新規調整レイヤー」>「レベル補正」を選んで,新しくレベル補正レイヤーを作ります。続いてグラデーションツールを選択 ( ),オプションバーから「線形グラデーション」を選択 ( ),「逆方向」のチェックを外して ( ), 画面の真ん中あたりから左方向にドラッグ ( )。これで写真の左側にレベル補正の効果が及ぶマスクができるので(マスクサムネイルで確認できます),ヒストグラム下にある,中央の△を左側にスライドして明るくしてやります (  ) 。

線形グラデーションマスクでカブリ補正

線形グラデーションで街明かりによるカブリを補正することもできます

こんな感じでフラット化を進めていきます。今回は,左側を明るくする線形グラデーションマスクをさらに2枚重ねました。また四隅がまだ暗かったので,グラデーションマスクで隅っこを少し明るくしたりしました。

こうして一応フラット化を終えた画像がこれです ↓ 。

フラット化した画像

フラット化した画像がこれです

ここで一度レイヤーを統合しておきましょうか(レイヤーメニューから「画像を統合」を選択)。

天の川を強調するトーンカーブ

ヒストグラムを眺めてみよう:基本的な考え方

フラット化が終わったら,あらためて写真のヒストグラムを眺めてみましょう。ヒストグラムが表示されていない場合は,「ウインドウ」メニューの「ヒストグラム」にチェックを入れます。

星空写真のヒストグラムは,やや暗めのところに大きな山を一つだけ持っているのが特徴です。これは画面の大部分を占める,夜空の部分を表しています。夜空は基本的に暗く,濃淡が少ないのでこういうヒストグラムになるわけですね。

このヒストグラムの山の右半分から山すそにかけての部分は,夜空よりもわずかに明るいところです。つまりここは,多くの場合天の川の淡い部分を含んでいます。ですからヒストグラムの山の右半分のところだけコントラストを上げてやれば,天の川の淡い部分を浮かび上がらせることができます

トーンカーブの考え方

ヒストグラムの山の右半分は天の川の淡い部分です

逆にヒストグラムの山の左半分は空の暗いバックグラウンドのところですから,この部分のコントラストはあまり上げたくありません(この部分のコントラストを上げると,夜空のノイズが目立つようになります)。

トーンカーブで天の川を浮かび上がらせます

天の川を強調します

というわけで,いよいよトーンカーブによる天の川の強調処理です。

フォトショップの「レイヤー」メニューから「新規調整レイヤー」>「トーンカーブ」を選び,調整レイヤーを作ります。

トーンカーブレイヤーを作る

「トーンカーブ」レイヤーを作ります

すると「トーンカーブ」パネルが現れます。デフォルト状態では,トーンカーブは45°の直線になっていると思います。

ヒストグラムの山の左側をアンカーポイントで固定する

ヒストグラムの山の左半分をアンカーポイントで固定します

ここでまず,トーンカーブパネルに描かれている,ヒストグラムの山のてっぺんの真下をクリックしてアンカーポイントを作ります ( )。そしてその左側にも2ヶ所くらいアンカーポイントを作ります ( )。これでヒストグラムの山の左半分のコントラストが固定されます。

ヒストグラムの山の右側を持ち上げる

トーンカーブを動かして天の川のコントラストを上げます

次に「山の右側」 のコントラストを上げます。そのためには,ヒストグラムの山のやや右側をクリックして,上にドラッグします ( )。こうすると,この領域でトーンカーブが立ってきます。トーンカーブの傾斜が急なところはコントラストが上がるのです。また元の45°の直線よりもトーンカーブが上に来ている部分は元画像よりも明るくなります。つまりこの操作で,天の川がより明るく,コントラストも高くなるというわけです。

なおこうするとハイライト部分(トーンカーブの右端の方)も上に持ち上がりますが,この部分は少し下にドラッグして星が白飛びしないようにしておきます ( )。

この段階で,天の川がかなりはっきりしてきました。さらに微調整のために,山のてっぺんの真下に打ったアンカーポイントをクリックし,矢印キーを使って少しだけ上に上げてみます ( )。画像を見ながらちょうどいい感じのところを見つけましょう。

トーンカーブの微調整

真ん中のアンカーポイントを少しずつ動かして微調整します

さらに強調してみます

これで物足りなければ,今作ったトーンカーブレイヤーを複製して,2つ重ねます(トーンカーブレイヤーを右クリック→複製)。2つ重ねて「やりすぎ!」と思ったら,複製したトーンカーブレイヤーの不透明度を適当に下げてやります。ここでは,2つ目のトーンカーブレイヤーの不透明度を46%にしてみました。

トーンカーブレイヤーを複製して2つ重ねる

トーンカーブを複製して重ねると,効果がさらに強くなります

もう少し手を加えて仕上げます

空の明るさを調整します

これでかなり天の川が浮かび上がってきたと思いますが,もう少し手を加えてみます。まず,写真全体がかなり明るいので,全体に暗くして夜空らしくしてみましょう。

空の明るさを調整する

「レベル補正」で夜空の明るさを調整します

「レイヤー」メニューから「新規レイヤー」>「レベル補正」を選び,レベル補正レイヤーを重ねます。そしてレベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下の真ん中の△を右へスライド (1.00 → 0.72)。左側の△も少しだけ右に動かしました (0 → 2)。これで夜空らしい明るさになったと思います。

空の色も調整します

次に空の色を調整します。空の色は好みやその時の気分にもよるのですが,ここではほんの少しだけ青を入れました。

空の色を調整する

空の色を軽く調整しました

「レイヤー」メニューから「新規レイヤー」>「レベル補正」でレベル補正レイヤーを重ね ( ⑧ ),ヒストグラムの上の「RGB」をクリックして「ブルー」を選択 ( ⑨ ),真ん中の△をわずかに左へスライド (1.00 → 1.03) ( ⑩ )。

これで完成です

これでほぼ完成です。ここでレイヤーを統合しました(「レイヤー」メニュー>「画像を統合」)。なおこの写真は感度を6400まで上げて固定撮影で撮っているので,ノイズが目立ちます。そこでフォトショップのノイズリダクションをかけておきました(「フィルター」メニューから「ノイズ」>「ノイズを軽減」)。

できあがったのがこちら ↓

天の川の写真・完成

これで完成です

固定撮影の一枚撮りですが,天の川を浮かび上がらせて,暗黒帯の色合いもかなり再現できたと思います。固定撮影でも,好条件で撮影したものを処理すると,これくらい写ります。

トーンカーブ処理をする前とした後の画像を比較すると,↓こんな感じです(真ん中のバーを左右にドラッグすると比較することができます)。

中央のバーを左右にドラッグすると比較することができます

なお写真によってはフラット化→トーンカーブ処理のあと再びフラット化したり,空の明るさを調整したあともう一度トーンカーブ処理をしたりすることもありますが,僕は大体こんな流れで星空写真を処理しています。

まとめ

天の川を浮かび上がらせるトーンカーブをまとめると,おおよそこんな感じ ↓ です。

トーンカーブの基本パターン

ヒストグラムの右側でトーンカーブを持ち上げる!

ヒストグラムの山の右半分の領域でトーンカーブを持ち上げる/立てるのがポイント!

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自作ポータブル赤道儀・ふくろう号で新星景写真を撮る!

前回の記事「そうだ,赤道儀作ろう!(その3):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(後編)」の続きです。

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赤道儀を回すと地上景がブレる…

日周運動で動いていく星を長時間露光で写すには,赤道儀で星を追尾する必要があります。赤道儀を回せば,星は点として写ります…が,今度は別な問題が発生してしまいます。それは…。

画面に地上景が一緒に写っている場合,星は点になるけど,今度は地上景が流れて(ブレて)しまうのです。露光中にカメラを動かしているわけだから,当然ですよね。

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赤道儀を回しながら撮った夏の大三角付近の天の川。画面下の方に,木々が流れて写っているのがわかるでしょうか?

「新星景写真」について

地上景をブラさずにきれいに写したい。でも星も点として写したい。そして暗い星や天の川の淡いところまで写すために長時間露光したい。そんなわがままな望みを実現する方法が「新星景写真」です。これは赤道儀を止めて写した地上景の部分と,赤道儀を回しながら写した星空の部分を,PC上で合成する手法です。

「合成」といっても星空と地上景を適当に組み合わせるのではありません。地上景と星の位置関係がぴったり正確になるようにするのです。こうすることで,ある瞬間・ある場所で見た星景をきれいに再現することができるのです。

このためには,まず赤道儀を動かさずに地上景を写し,続いてすぐに星空を追尾撮影します(または星空を追尾撮影した直後に,赤道儀の回転を止めて地上景を写します。どちらの順序で撮影するかは,どの方角の空を撮るかによって使い分けます)。

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追尾を止めたり回したり…赤道儀にがんばってもらいます (^ ^)

そしてうちに帰った後で画像処理をするのですが,どういう処理をするのかについては,ここでは触れません。新星景写真の手法を開発されたよっちゃんさんが,やり方を解説したDVDを販売されていますので,そちらをご覧いただければと思います。

astrography.stores.jp

ちなみに夜は暗いので,撮影の際にはカメラの感度を上げて,地上景・星空をともに数枚ずつ撮影し,それぞれを加算平均処理してノイズを減らすということも行います。このため,PC上での画像処理と合わせて,一枚の星景写真をとるのに結構な時間がかかってしまいます (^ ^;)

「ふくろう号」を使って撮った新星景写真

ということで,ここでは自作赤道儀・ふくろう号を使って撮影した新星景写真をいくつかお見せできればと思います。

富士山と夏の天の川

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富士山と夏の天の川 @山梨県・西湖 NEX3, 18 mm

山梨の西湖で撮った,富士山と夏の天の川。もう少し広い画角で撮れば,もっと湖面を入れることができたと思いますが,そうすると今度は富士山がちっちゃくなっちゃうし,悩ましいところです。

海に映る天の川

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外房・大波月海岸にて。海に映る天の川 α6400, 12 mm

外房・御宿町の大波月海岸で,海に映る天の川。僕は春先の横たわった天の川が好きなんです。自分としては海で星撮りをするのは珍しいのですが。

雲取山の北斗七星

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奥多摩・雲取山で北斗七星と北極星 NEX3, 18 mm

奥多摩・雲取山にて,北斗七星と北極星。“地上景”は木の枝の先が少し入っているだけですが,これも新星景方式で処理しています。この木があるとないとでは,印象がけっこう変わるんじゃないかと思います。

白馬岳で見た星空

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白馬岳頂上宿舎にて,西に傾く夏の天の川 α6400, 12 mm

今年の夏,息子と北アルプス・白馬岳に登った時に撮りました。頂上宿舎テントサイトで,西に傾く夏の天の川。この時はすごく空が澄んでいて(標高が3000 m近い場所ですからね),とてもきれいな星空を見ることができました。

 ふたご座流星群

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ふたご座流星群 NEX3, 12 mm

山梨県上野原市にて,ふたご座流星群。できるだけ空を広く写したかったので地上景はちょっとしか入っていませんが。ちなみにこの写真は流れ星の写っていないカットを20枚加算平均でスタック,流れ星の写っているカットを7枚「比較明」でスタック,地上景を新星景方式でコンポジットしています。約1時間で,写野にこれくらいの流れ星が写りました。右下の方にウィルタネン彗星も写っています。

おわりに

モーター駆動式のポータブル赤道儀・ふくろう号を作ったことで,こんな撮影ができるようになりました(もちろん市販の赤道儀を使っても同じことができるのですが)。新星景写真は撮影にも画像処理にも時間がかかるのですが,その分出来上がりがきれいになるので楽しいです。

僕は東京に住んでいるので,遠出しないとなかなかきれいな星空を見ることができないのですが,今後も機会を作って星空の写真を楽しんでいきたいと思います。

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そうだ,赤道儀作ろう!(その3):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(後編)

前回の記事,「そうだ,赤道儀作ろう!(その2):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(前編)」の続きです。

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前回はステッピングモーターを回す回路を作り,モーターの回転を減速する歯車を組み合わせたところまで書きました。これを赤道儀として山に担ぎ上げて使うには,一つのパッケージに収める必要があります。カメラを乗せるためのマウントもつけなければなりません。

当初ここから先は機械的な作業だと思っていたのですが,実際にやってみると作業量が多くてけっこう大変でした。

赤道儀の筐体を作ります

赤道儀本体は,歯車などの機構がアルミ板で作ったボックスに収まるようにします。ボックスの側面には4 cm幅(厚さ 3 mm)のアルミ板を切って用いました。赤道儀の四隅にはRをつけて持ち運びしやすくしたいので,アルミ板を金属加工用のヤスリで削りまくりました。また必要な位置にドリルで穴を開けまくりました。ゲシゲシゲシ,ドルルルルゥ〜!

こうして加工した側板をベースプレートにビスで固定していきます。

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ベースプレートに側板(いずれも3 mm厚のアルミ板)を固定します。LANケーブルコネクタもつなぎます

ステッピングモーターを回すための基盤は,赤道儀本体とは別のコントローラに入れ,モーターとコントローラとはLANケーブルでつなぐことにしました。そこで基盤とモーターをつないでいたケーブルを切断し,LANコネクタディップ化キットにはんだ付けして,筐体に固定します。もちろん側板のうち一箇所には,LANケーブルを挿す穴を開けておく必要があります。

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LANケーブルを挿す穴も開けておきます(完成後の写真です)

なおLANケーブルは8線で,ステッピングモーターのケーブルは6本あるので,適当にLANコネクタの六ヶ所にハンダ付けすればOKです。この際,使うLANケーブルがストレートケーブルなら,基盤側とモーター側のケーブルをコネクタの同じ位置に繋ぐようにします。クロスケーブルの場合は…ややこしくなるので,ストレートケーブルを使うのをお勧めします。

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ストレート型LANケーブルを使った場合は,基盤側とモーター側のコードが同じ位置のピンにつながるようにハンダ付けします

僕はといえば,基盤とモーターをLANケーブルで繋いだところ,ステッピングモーターが逆回転しなくなってしまいました。例によって,どこかハンダがちゃんとついていないのかもしれません。赤道儀の逆回転は,南半球で星空撮影をするときに使いますが,当面南半球に行く予定はないのでそのままにしておきました(笑)。

上板をつけるところまできました!

最後に上板をつけます。これも3 mm厚のアルミ板です。この板には所定の位置に,極軸を通すためのベアリングを付けておきます。

上板の固定には,アルミアングルを小さく切ったものにタップを切って,これにビス止めしていますが,ここに使うアングルだけは鉄製にした方がいいかもしれません。アルミ板に切ったタップ(しかも3 mmビス用のピッチが細かいもの)は強く締め付けるとネジ山が崩れそうなので…。

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上板には極軸を通すベアリングを付けてあります

また工作中にどうしてもアルミ板に傷がついて見た目が良くないので,上板にはカッティングシートを貼りました。時々シートの色を変えて気分転換できるかも(?)

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閉じっ!

上板には,一箇所のぞき窓を開けて,閉じた状態でもモーターの回転速度をチェックできるようにしておきました。

“雲台台”を作ります

次に,極軸にカメラ雲台を乗せるための台(雲台台というのかな?)をつけます。雲台台には厚さ10 mmのアルミ板を用いました。これに極軸を通すネジ穴(極軸に合わせて8 mmφ)と,カメラ雲台の固定ネジを通すネジ穴(1/4インチφ)を開けて雌ねじを切ります。そしてカメラ雲台固定ネジを付けてから,極軸にダブルナットで固定しました。

…が,何度かテスト撮影したところ,撮影中にカメラの重さで雲台台が緩んでしまうことがあったので,(ダブルナットに加えて)雲台台に切れ目を入れて極軸をはさみつけるように改造しました。

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雲台台が緩まないように,極軸を締め付けるように加工しました

…が,それでもまだ緩みが出ることがあったので,ダブルナットの間にゴムワッシャを挟むことで雲台台を固定することができました。この辺りはまだ改良が必要かもしれません。

基盤・電池をコントローラに収めます

あとは基盤と電池を収めるコントローラ作りが残っています。コントロールボックスには,適当なお弁当箱でも使おうかと思っていたのですが,意外にちょうどいい大きさのものがなく,秋葉原でアルミケースを買ってきました。このケースにスイッチやLANケーブルを取り付ける穴を開けて使います。

まず,基盤はアルミケースにそのまま接触させるとショートしてしまうので,木の板に取り付けた上で両面テープでケースに固定しました。また基盤から出ているモーター駆動用ケーブルは,LANケーブルコネクタにハンダ付けしてケースに固定しました。

続いて電池ボックスと基板の間に波動スイッチ(どうしてこんな名前なんだろう?)を入れます。さらに基盤上についているモーター駆動用のタクトスイッチを外し,その位置にコードを介してロッカースイッチを接続しました。そしてこれら2つのスイッチをケースに取り付けます。そのために,ケースに穴を開けてヤスリで削ったり…という地道な作業がまたまた必要でした。

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アルミケースに穴を開けてヤスリでゴリゴリ…

これらのスイッチのうち,前者をonにすると電源が入ります。そしてその数秒後に後者のスイッチを入れることで,ステッピングモーターが回転し始めます。

電池ボックスはケースの中にちょうどよいスペースができたので,そのまま入れ,ケースの中でガタつかないようにスポンジの切れ端で押さえています。

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コントローラケースの中はこんな感じ

なお電源は乾電池6本,9Vです。できるだけ軽くしたいので,一度6V(乾電池4本)で動くかどうか試してみたのですが,トルクが足りないようでした(ステッピングモーターは電圧を変えても回転速度は変わらず,トルクが変わります)。

極軸望遠鏡も取り付けます

極軸望遠鏡の取り付けには,手動赤道儀メジロ号で使ったL字型金具をそのまま流用しました。この部品は赤道儀本体の底にボルトで止めるようにしてあります。

最初は極軸望遠鏡がわりに,以前と同じ塩ビ管を使っていたのですが(下の写真),最近は極軸を正確に合わせたいので,反射望遠鏡のファインダーを外して取り付けています(アイキャッチ画像)。塩ビ管よりも少し重いんですけどね。

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ほぼ完成に近づいてきました。極軸望遠鏡は最初塩ビ管でしたが,後に反射望遠鏡のファインダーに取り替えました

こうして取り付けた極軸望遠鏡は赤道儀本体の極軸と平行になっているので,赤道儀をカメラ三脚に乗せて望遠鏡(または塩ビ管)の視野の中心に北極星を導入すれば,極軸=カメラの回転軸が地軸と平行になるという仕組みです。

これで完成です!

ここまでで一通りの工作が終わりました。カメラを乗せてもちゃんとモーターが回ることも確認しました。

最後にステッピングモーターの回転速度を微調整します。前回の記事にも書いたように,歯車の減速比が1:1875ですので,モーターが46秒で一回転するようにすればカメラが一日一回転になります。そこで一旦赤道儀本体を開けて,モーターの回転速度を計りながら,基板上の半固定抵抗のダイアルを回して回転速度を調整します。調整が終わったら,歯車にグリースも塗っておきました。

これで赤道儀2号機は完成です!ステッピングモーターの動作チェックにがんばってもらったふくろう君は,テプラに印刷してコントローラに貼り付け,この赤道儀のマスコットになってもらいます。というわけで,2号機の名前は「ふくろう号」です (^ ^)

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ふくろう君にはこの赤道儀のマスコットになってもらいます

完成後本体の重さを測ってみたところ,約770 gでした。「一眼レフカメラ一台分くらいの重さに抑える」という目標はクリアできたかな,と思います。

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重さは約770 gでした

山で使ってみました

ふくろう号が出来上がった後,何度か山に担ぎ上げてテスト撮影を行ないました。その都度ギアに緩みがあったり,雲台を乗せる台がカメラの重みで緩んだりと少し苦労しましたが,何度かの調整を経て,ほぼ問題なく使えるようになりました。以下にテストの過程で撮った写真を3枚ほど載せておこうと思います。

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秋の天の川とアンドロメダ銀河 SONY NEX3, 18 mm 露出3分で4枚スタック

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昇ってくる冬の星座 SONY NEX3, 18 mm,露出3分で4枚スタック

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夏の天の川中心部 SONY NEX3, 55 mm,露出80秒2枚スタック

ふくろう号は自動ガイド+ウォームギア方式なので,同じ構図で数枚撮影してスタック処理ができます。それで手動ガイドで一枚撮りしていた時よりも,S/N比の良い写真が撮れるようになりました。2枚目のオリオン座付近の写真のように,淡い冬の天の川もよく写りました。

 

 

おわりに

こうしてモーター駆動型の赤道儀2号機,ふくろう号が出来上がりました。仕事の合間に時間を見つけつつ,試行錯誤しながらの工作だったので,足掛け半年くらいかかっての完成となりました。予定よりも長くかかってしまいましたが,それだけ長く工作を楽しむことができたので良かったと思います。

工作しながら感じたのは「小型化の技術ってすごいな」ということです。工作精度が高くないと小型化ってできないんですね。この赤道儀も本当はもう一回り小さくしたかったんですが,工作精度(要するに僕の技術)が足りなくて,このサイズになりました(本体は 10 cm x 10 cm, 高さ4.6 cm です)。いま手の中にあるスマホとか,こんなに小さく作ってあって,すごいなって思います。まあ素人の工作と同列に比べてはいけないんでしょうが (^ ^;)

そして肝心の使い勝手ですが,自動追尾はやっぱり楽ですね。手動追尾だと,撮影中はじーっと時計とハンドルを睨んでいる必要がありました。でもふくろう号の自動追尾だと,撮影しているあいだ自分の目で星空を眺めていることができるんです。これが一番違うところでしょうか。星空を一層楽しめるようになったと思います。そして何よりも,自分で作った装置で星の写真を撮れるというのはとても楽しいです。

次の記事では,完成したふくろう号を使って撮った写真をいくつか紹介したいと思います。

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関連:手動赤道儀の製作記事はこちら

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そうだ,赤道儀作ろう!(その2):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(前編)

市街地から離れた山などで,きれいな星空の写真を撮るのはとても楽しいです。でもひとつ問題があります。

夜空の星は日周運動によって動いています。この動きは思いのほか速く,露光時間を長くとると星は線になって写ります。暗い星まで写すために長時間露光をして,なおかつ星を点として写すためには,カメラを星の動きと同じ速さ(一日一回転)で回してやる必要があります。この目的で使う装置が赤道儀です。

赤道儀は手軽に持ち運べる小型のもの(ポータブル赤道儀)から,大型の天体望遠鏡を乗せるゴツイものまで,様々なものが市販されています。でもそれなりに高価です。そこで赤道儀を自作することができれば,コストの面で助かりますし,何より工作自体も楽しいです。

実は僕がとっている星空写真は,全て自作の赤道儀を使って撮影しています。

手動ガイドはちょっとつらい

以前,手動ポータブル赤道儀「メジロ号」の製作記事を書きました。これは時計とにらめっこしながらハンドルを一分間に一回転させると,星が追尾できるというものです。

この赤道儀は簡単に作れるし,いろいろなところで頑張ってくれたのですが,だんだん手動ガイドが辛くなってきました…(笑)

また星空写真では同じ構図で何枚か撮って,それをスタック(重ね合せる)してS/N比を上げるということをよくやるのですが,これが手動ガイド&タンジェントスクリュー方式ではやりにくいのです。

そこで,モーター駆動で自動ガイドできる赤道儀の製作に取りかかりました。2号機です!

赤道儀2号機の製作に取り掛かる!

赤道儀2号機の製作方針は以下の通りです。

製作方針
  • ステッピングモーターを使って自動ガイドできるようにする
  • ウォームギア方式にする
  • 一眼レフカメラ一台分くらいの大きさ・重さに抑える
  • ナノ・トラッカー以上の追尾精度を出す
  • 予算は一万円

問題は,僕に電気回路工作の経験があまりないことです。アセンブラ言語を全然知らないけど,ステッピングモーターをコントロールできるのかしらん?まあやってみましょう (^ ^)。

ステッピングモーター,回せるかな?

まず秋葉原に行って,秋月電子でPICステッピングモータードライブキットとギアヘッド付きの小型ステッピングモーターを買ってきました。他にも電子部品をいくつか。

akizukidenshi.com

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電子部品を買ってきました

ステッピングモーターはマイコンで回転速度をコントロールできますが,通常のDCモーターとは異なり電源をつないだだけでは回りません。

まずドライブキットの回路図にしたがって,基盤にマイコンやトランジスタ,抵抗,コンデンサー,オシレータ等をハンダ付けしていきます。そしてモーターにつないでみました。スイッチを入れると…回らない!

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ステッピングモーター,うまく回るかな?

これは前途多難です。回路を見直してみましたが,うーん…間違っていないようです。そこでハンダ付けが怪しいところがないか念入りに見直しました。再度スイッチを入れたら…無事回りました!ハンダがちゃんとついていないところがあったようです。

肝心の回転速度は,一回転3.5秒くらいでした。赤道儀は最終的に一日一回転にする必要があるので,モーターの回転はもう少し遅くしたいところです。

抵抗とコンデンサーを取り替えます

ステッピングモーターの回転速度を遅くするには,

ステッピングモーターの回転速度を遅くする
  • 基盤に乗っているコンデンサーを容量の大きいものに取り替えます
  • 半固定抵抗も抵抗値の大きなものに変えてやります

まず,コンデンサーは元々キットに入っていた100 μFのものを470 μF / 6.3 Vの電解コンデンサーに取り替えました。また半固定抵抗も元々ついていた10 kΩのものを50 kΩのものに取り替えました。こうしてステッピングモーターの回転を,一回転数十秒まで遅くすることができました。なお半固定抵抗は抵抗値を調整できるので,これで後にモーターの回転速度を微調整します。

これらの部品を調達するために,秋葉原の電子部品のお店をいくつか回りました。なかなかディープな世界ですね。

減速機構を作ります

モーターを回す目処がたったので,次に歯車を組み合わせて,これを一日一回転まで減速します。今のところモーターが数十秒で一回転なので,これを一日一回転にするためには,千数百分の一まで減速する必要があります。

そこで平ギア一段,ウォームギア二段で減速することにしました。

減速機構

これで最終的にモーター→極軸の減速比は 1/1875 となりました(1.875 x 20 x 50 = 1875)。

したがってステッピングモーターの回転速度を一回転46秒にすれば,極軸が一日一回転になる計算です(46 x 1875 = 86250 秒 = 23.96 時間)。

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平ギア一段,ウォームギア2段で 1/1875 に減速します

歯車とそれを回すための軸受け等はモノタロウで注文しました。こんな個人の工作に使う小口の注文も受け付けてくれるので助かります。現場の味方モノタロウ〜♪

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歯車類が届きました

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極軸にはホームセンターで購入した8 mmΦの真鍮の丸棒を使います。軸受けははじめフランジブッシュ(滑り軸受け)を使うつもりで注文したのですが,けっこう遊びが大きかったので,小型のベアリングを追加で注文しました。

ウォームギアの軸受けやモーターを固定するブラケットは,アルミアングルおよびコの字型のアルミ材(アルミチャンネル)を用いて作りました。軸受部にはベアリングを入れて,ウォームギアや極軸が滑らかに回転するようにします。またウォームギアが軸方向にずれないように,適宜シャフトカラーを使って固定しました。

アルミアングルやアルミチャンネルで作った部材にはタップを切って,3 mmΦのビスで10 cm x 10 cmのアルミ板(厚さ3 mm)に固定していきました。なおアルミの部材やこれらを固定するビスは,全て近所のホームセンターで揃いました。

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アルミ板にモーターや歯車を固定して行きます。この段階では,まだ極軸がついていません

ネジを通す穴は手持ちの電動ドライバ/ドリルで開けたのですが,なかなか精度よく加工できません。「ボール盤が欲しい!」と何度も思いました(旋盤やフライス盤も欲しくなりました)。

そう言えば,一度ドリルの刃を買いにホームセンターに行ったら,「スパッとドリル」というのが売られていて,「スパッタリング(アルゴン原子を高速でぶつけることにより金属原子を飛び出させる方法)で穴を開けるドリルができたのか!?すごい!」と一瞬思ったのですが,「スパッとよく切れるドリル」ということでした (^-^;)。でも買ってみたら,確かに切れ味の良いドリルビットでした。 

アルミアングル等の部品は,歯車の噛み合わせを見ながら固定して行くので,現物合わせで穴あけの位置等を決めていきます。このためこの段階には結構時間がかかりました。

極軸にウォームホイールを固定するためのネジ穴を開けている時にドリルの刃が折れるハプニングなどもありましたが,なんとか極軸まで配置できました。この段階でモーターがスムーズに回ることを確認してホッと一息です。

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モーター,歯車,極軸を配置しました。モーターがスムーズに回ることを確認

これで電気回路と減速機構という赤道儀の心臓部はできあがりました。続いて赤道儀のパッケージングとコントローラを作ります。ここまでで赤道儀製作の山場は超えたつもりでしたが,このあとの作業量は膨大なものになりました。

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【南アルプス】甲斐駒ケ岳に登ってきました (1):北沢峠でテント泊

甲斐駒が気になる

中央線や中央道で信州方面に向かうと,甲府を過ぎたあたりで左側に見事な姿をした山が見えてきます。甲斐駒ケ岳です。標高2966 mのこの山は,南アルプスの北端に位置しています。

岩の塊が地面からニョキニョキニョキッ!と盛り上がってきたような力強い形,そして摩利支天を従えて毅然と立つ凛々しい姿は,ひときわ目を引きます。

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中央線の車窓から甲斐駒ケ岳。4年前の冬に撮影。雪煙を上げています

僕は長野方面に向かうたびに車窓の甲斐駒ケ岳を見て,いつかここに登ろうと思ってきました。今年の5月には入笠山に登って,この山を間近で見て,ますます甲斐駒ケ岳が気になっていました。

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さて,9月に入って最初の金曜日と土曜日。時間が取れて天気も良さそうです。ということで,一泊二日で行ってきました!

コースと持ち物

甲斐駒ケ岳に登るには,駒ヶ岳の南側,北沢峠を起点として駒津峰を経由するルートと,駒ヶ岳の北東側,竹宇駒ヶ岳神社を起点とする黒戸尾根ルートの2通りの方法があります。今回は前者の北沢峠コースで登ります。ちなみに黒戸尾根は標高差2200 m,日本三大急登に数えられるハードなコースです。

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今年5月に入笠山へ行った時に,長野県側の車窓からみた甲斐駒ケ岳

今回,晩ご飯はパックご飯にしてみました。ひと月前の北アルプス白馬岳で,ご飯を炊くのに失敗して芯が残ってしまったので…。(アルファ米は近所のスーパーで品切れでした) 

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またベースとなる北沢峠のテント場は,樹林に囲まれたところにあるので,この山行では赤道儀は持たず,星空の撮影は固定撮影で行います。

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北沢峠へ

初日は都内から北沢峠まで電車とバスで移動するだけです。新宿から中央線「あずさ」で甲府に行き,甲府駅南口前発の山梨交通バスに乗り込みます。南アルプス林道を通ってバスに揺られること2時間,広河原に着きました。ここは北岳への登山口ですが,あいにく空には雲がかかっており,北岳を望むことはできません。まさに北岳のふもとに来ただけ。

広河原には,「チャート」と「赤色チャート」が置かれていました。石英質の殻を持つプランクトン,放散虫が海底に堆積してできた岩石がチャート。そして鉄分を含んで赤みを帯びたチャートが赤色チャート。赤石岳に露出する赤色チャートが赤石山脈(南アルプス)の名の由来になっているそうです。そしてこれらは,南アルプスがかつて海底から隆起してきたことを示しているのです。面白ーい!

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チャート。放散虫が海底に堆積してできた岩石@広河原にて

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赤色チャート。赤石山脈(南アルプス)の名前の由来となった

続いて広河原から北沢峠へ向かう小型バスに乗り換え。こちらは25分くらいで今日の目的地,北沢峠に到着です。

長衛小屋テント場にて

北沢峠のテント場は,バスを降りたところから10分ほど歩いた,長衛小屋の前にあります。一泊500円。水は冷たくて美味しいのが流しっぱなしで無料です。豊かな水は,ここが南アルプスの一角であることの証左です。本物の南アルプス天然水♪

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長衛小屋のテント場は沢のほとり。水の豊かなキャンプサイトです

またこのテント場は小屋に近い上段と,少し下がった下段に分かれています。上段の方が水場やトイレに近いですが,夜は星空撮影をしたいので,空いている下段にテントを設営しました。テントを張った直後は空に雲がかかっていましたが,テントでのんびりしていると,だんだん青空が広がり,森の向こうに摩利支天が見えてきました。夜はきっときれいな星空を見ることができるでしょう。

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北沢峠・長衛小屋のテントサイト。石でアンカーを取れるテント場は,ペグを打たなくていいので楽です

星空撮影に備えて,早めの夕食の準備にかかります。パックご飯なので楽チンです。今日はちょっとしか歩いていないので余裕を持って夕食の準備ができるのに…手抜きですね(笑)。

そして食後に紅茶を飲んだりしていると,テント場は夕闇に包まれました。

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月明かりに照らされる北沢峠テント場の夜

20時。シュラフに入り眠りにつきましたが,寒かったのでフリースを一枚着込みました。もう夏山ではないのですね。

北沢峠の星空

この夜は23時すぎに月が沈むので,その時間に合わせて一度起きだしてみました。テントの入り口を開けて空を眺めて見ると,雲はすっかり消えて満天の星空が広がっています。うっしっし,読み通りじゃ (^ω^)。

北東の空には秋の天の川がかかり,アンドロメダ銀河が輝いています。夏のダイナミックな天の川もいいですが,秋の天の川も透明感があって好きです。アンドロメダのひとしずく。

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北沢峠から秋の天の川とアンドロメダ銀河

今回は固定撮影のみなので,撮影は楽です。この一枚をササッと撮ったあと,また2時間くらい眠りました。zzz…。

午前2時。ちょっと早いですが起きだして,もう一度星空にカメラを向けました。この時間になると,もう冬の星座,ぎょしゃ座やおうし座が昇ってきています。季節の移ろいは早いですね。

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昇ってくるぎょしゃ座,おうし座。レンズが曇ってしまったようだ…

続いて長時間露出で北天の日周運動を撮影しました。山に登ると本当に星が近くに感じられます。

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日周運動ぐるぐる。約1時間のスタートレイルです

日周運動のぐるぐる写真を撮っているときは結構ヒマなので,その間に朝ごはん。撮影はテントの外に立てたカメラに任せっきりです。

甲斐駒ケ岳へ向かって出発します

そうしているうちに,うっすら明るくなってきました。東の空には早くもオリオン座が姿を見せていますが,ここでカメラは撤収です。テント場ではあちこちで人が起き出して活動の準備を始めています。

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早朝の北沢峠テント場。みんな出発する準備を始めています。赤い線になって写っているのは,ライトを持った人が歩いたあと

僕もサブザックに必要な荷物を詰め,ヘッドランプをつけて,甲斐駒ケ岳に向かって午前4時30分にテント場を出発しました。

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