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天体望遠鏡とスマホで月を撮影する!

以前「星空の写真を撮ろうよ」という記事の中で,「月の照っている夜は空が明るいので星空の写真は撮りにくい。月のない夜が狙い目!」ということを書きました。それでは月の夜は楽しみがないのでしょうか?

…そんなことはありません。月の夜は,月を撮ればよいのです (^ ^)

月の写真は,カメラに望遠レンズをつければ比較的簡単に撮れます。でも天体望遠鏡があると,もっと迫力ある写真が撮れます。それもスマホのカメラできれいに撮ることができるのです。

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月は天体望遠鏡とスマホの組み合わせできれいに撮れます

ここでは主に,望遠鏡とスマホを使った月の撮影方法について書いてみたいと思います。また望遠鏡を使わない月の写真についても少し触れます。

用意するもの

  • 天体望遠鏡(屈折式でも反射式でもOK)
  • スマホ

以上です。天体望遠鏡はそんなに大型のものでなくても十分きれいに撮れます。

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11 cm反射望遠鏡とiPhoneの組み合わせで撮っています

そして月は明るいので,星空の撮影と違って,都市部でも十分に楽しめます。実際,僕は自宅(東京都内)のベランダで月の写真を撮っています。

撮り方

  1. 望遠鏡を月に向けて,望遠鏡のピントを合わせます
  2. スマホのカメラを起動し,接眼部(望遠鏡を覗くところ)に押し当てます
  3. スマホの画面に月が表示されるので,その月をタップします。するとカメラのピントと露出を,スマホが自動的に合わせてくれます
  4. スマホのシャッターボタンを押します

これだけです。とても簡単。

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こんな感じで撮ります

僕は望遠鏡を押入れから出してベランダに設置し,写真を撮って片付けるまで,15分くらいで済ませてしまうこともあります。晩酌してたら月がきれいだったので,ちょっと望遠鏡を出して撮ってくるなんてことも。

撮った写真はパソコンに転送し,適当にトリミングします。フォトショップなどの画像処理ソフトがあれば,アンシャープマスクを軽くかけると見栄えが良くなります。

「半月」が狙い目

月面のクレーターが最もきれいに見えるのは,太陽の光が横から当たる半月の時。欠けぎわの陰影がはっきりと映し出され,とてもきれいです。

これは上弦の月。欠けぎわに現れる「X」の形の輝きは「月面X」と呼ばれることもあります。

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上弦の月。欠けぎわのクレーターの陰影が際立ちます

下弦の月を撮ると,上弦と同じ欠けぎわの反対側を写すことができます。

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下弦の月。上弦の月の反対側が写ります

三日月や満月にも,それぞれの味わいがあります。いろんな月齢の月を撮ってみると面白いと思います。

満月の時には欠けぎわのクレーターは写りませんが,光条(ティコ,コペルニクスなどのクレーターから走る光の筋)がきれいです。

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満月の時は光条がきれいです

また望遠鏡の倍率を上げて同様に撮ると,欠けぎわのクレーターをアップで撮影することができます。月面の上を飛んでいるような気分になれますね。

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望遠鏡の倍率を上げて,欠けぎわをアップで撮ってみました

月が関わる天文ショーも撮れます

星食(明るい星が月の向こう側に隠れる現象)や月食などの天文ショーも,同じやり方で撮影できます。皆既月食の赤い月面もちゃんと写ります。

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皆既月食の赤い月

また月食は望遠鏡を使わずに,ある程度の望遠レンズを使って撮影しても面白い写真が撮れます。これ↓は月食の時に月が地球の影に入っていく様子を撮影して,比較明合成したものです。

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月が地球の影に入っていくよ 皆既月食 2018年1月31日

皆既月食の時には空が暗くなるので,月の近くの星が見えてくるのも面白いですね。この写真は,2014年10月8日の皆既月食の時に見えた天王星です。

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皆既月食中の月と天王星 (Uranus)

僕が天王星を見た(撮った)のは,この時が初めてでした。

木星や土星だって撮れちゃう

全く同じやり方で,天体望遠鏡とスマホを使って木星や土星を撮ることもできます。専門的にやっている人の写真には遠く及びませんが,木星の縞々や土星の輪など,それなりにちゃんと写ります。

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望遠鏡+スマホで撮った木星と土星

普通のカメラで月を撮るには

天体望遠鏡を使わずに月を撮る時は,望遠レンズを使うことが多いでしょう。オートフォーカスが効くかどうかは,月齢(月がどれだけ明るいか)とカメラによると思います。AFが効かない場合はマニュアルフォーカスによるピント合わせが必要になるので,少しだけ手間がかかります。

それから露出はカメラ任せにすると,背景の夜空が暗いので,月が白く飛んでしまうことが多いです。露出と絞りを手動設定にして,写り具合を確かめながら何枚か撮ってみるとよいと思います。

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満月でボウリング!

ちなみにこの写真はiso 200, 絞りF8, 露出1/320で撮っています(満月とボウリング場の看板で遊んでみました)。

月の女神,アルテミス

月はギリシア神話でアルテミス。狩猟・貞潔の女神でもあります。

夕空や明け方の空に見える月は,時々ハッとするような光景を見せてくれます。

金星と接近して見えたり

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明け方の三日月と金星の接近 トルコの国旗から,星が散歩し始めたみたいです

地球照(細い三日月の時に,月の太陽に照らされていない面が,地球からの照り返しによって見える現象)を見せたり。

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地球照の月と金星

上の2枚は望遠鏡を使って撮ったものではありませんが,撮影方法に関わらず,月は面白い撮影対象だと思います。

 

おわりに

星を撮っていると新月期が待ち遠しいものですが,月が照っている時でも楽しみはあります。望遠鏡が必要とはいえ,手のひらに収まるスマホで月がきれいに写せるなんて,なんだか不思議です。

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薄雲がかかった月を撮るのも面白いです

あ,そうそう,スマホを使わずに,望遠鏡と一眼カメラの組み合わせで月を撮ってはダメなのかって?もちろんそれでもOKです…というか,その方がきれいに撮れると思います。でもベランダで撮影してるのに,カメラを持ち出すとお手軽さが少し減ってしまいます。そして何より,望遠鏡にカメラを押し当てる際に,接眼部がゴチンと当たってカメラのレンズに傷をつけてしまいそうなのがコワイです。それで僕はスマホを使って撮っているのです。今のところ,これで十分に満足しています。

今回書いた,スマホを使った月の撮り方は,天体写真としては「コリメート法」と呼ばれるやり方になります。月の撮影法は他に「直焦点法」や「拡大撮影法」などもありますが,そちらは専用の器具が必要で,僕もやったことがありません。

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月はいろんな表情を見せてくれます

みなさんも月を撮ろうよ。

 

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