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自作ポータブル赤道儀・ふくろう号で新星景写真を撮る!

前回の記事「そうだ,赤道儀作ろう!(その3):モーター駆動型ポータブル赤道儀の自作(後編)」の続きです。

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赤道儀を回すと地上景がブレる…

日周運動で動いていく星を長時間露光で写すには,赤道儀で星を追尾する必要があります。赤道儀を回せば,星は点として写ります…が,今度は別な問題が発生してしまいます。それは…。

画面に地上景が一緒に写っている場合,星は点になるけど,今度は地上景が流れて(ブレて)しまうのです。露光中にカメラを動かしているわけだから,当然ですよね。

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赤道儀を回しながら撮った夏の大三角付近の天の川。画面下の方に,木々が流れて写っているのがわかるでしょうか?

「新星景写真」について

地上景をブラさずにきれいに写したい。でも星も点として写したい。そして暗い星や天の川の淡いところまで写すために長時間露光したい。そんなわがままな望みを実現する方法が「新星景写真」です。これは赤道儀を止めて写した地上景の部分と,赤道儀を回しながら写した星空の部分を,PC上で合成する手法です。

「合成」といっても星空と地上景を適当に組み合わせるのではありません。地上景と星の位置関係がぴったり正確になるようにするのです。こうすることで,ある瞬間・ある場所で見た星景をきれいに再現することができるのです。

このためには,まず赤道儀を動かさずに地上景を写し,続いてすぐに星空を追尾撮影します(または星空を追尾撮影した直後に,赤道儀の回転を止めて地上景を写します。どちらの順序で撮影するかは,どの方角の空を撮るかによって使い分けます)。

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追尾を止めたり回したり…赤道儀にがんばってもらいます (^ ^)

そしてうちに帰った後で画像処理をするのですが,どういう処理をするのかについては,ここでは触れません。新星景写真の手法を開発されたよっちゃんさんが,やり方を解説したDVDを販売されていますので,そちらをご覧いただければと思います。

astrography.stores.jp

ちなみに夜は暗いので,撮影の際にはカメラの感度を上げて,地上景・星空をともに数枚ずつ撮影し,それぞれを加算平均処理してノイズを減らすということも行います。このため,PC上での画像処理と合わせて,一枚の星景写真をとるのに結構な時間がかかってしまいます (^ ^;)

「ふくろう号」を使って撮った新星景写真

ということで,ここでは自作赤道儀・ふくろう号を使って撮影した新星景写真をいくつかお見せできればと思います。

富士山と夏の天の川

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富士山と夏の天の川 @山梨県・西湖 NEX3, 18 mm

山梨の西湖で撮った,富士山と夏の天の川。もう少し広い画角で撮れば,もっと湖面を入れることができたと思いますが,そうすると今度は富士山がちっちゃくなっちゃうし,悩ましいところです。

海に映る天の川

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外房・大波月海岸にて。海に映る天の川 α6400, 12 mm

外房・御宿町の大波月海岸で,海に映る天の川。僕は春先の横たわった天の川が好きなんです。自分としては海で星撮りをするのは珍しいのですが。

雲取山の北斗七星

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奥多摩・雲取山で北斗七星と北極星 NEX3, 18 mm

奥多摩・雲取山にて,北斗七星と北極星。“地上景”は木の枝の先が少し入っているだけですが,これも新星景方式で処理しています。この木があるとないとでは,印象がけっこう変わるんじゃないかと思います。

白馬岳で見た星空

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白馬岳頂上宿舎にて,西に傾く夏の天の川 α6400, 12 mm

今年の夏,息子と北アルプス・白馬岳に登った時に撮りました。頂上宿舎テントサイトで,西に傾く夏の天の川。この時はすごく空が澄んでいて(標高が3000 m近い場所ですからね),とてもきれいな星空を見ることができました。

 ふたご座流星群

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ふたご座流星群 NEX3, 12 mm

山梨県上野原市にて,ふたご座流星群。できるだけ空を広く写したかったので地上景はちょっとしか入っていませんが。ちなみにこの写真は流れ星の写っていないカットを20枚加算平均でスタック,流れ星の写っているカットを7枚「比較明」でスタック,地上景を新星景方式でコンポジットしています。約1時間で,写野にこれくらいの流れ星が写りました。右下の方にウィルタネン彗星も写っています。

おわりに

モーター駆動式のポータブル赤道儀・ふくろう号を作ったことで,こんな撮影ができるようになりました(もちろん市販の赤道儀を使っても同じことができるのですが)。新星景写真は撮影にも画像処理にも時間がかかるのですが,その分出来上がりがきれいになるので楽しいです。

僕は東京に住んでいるので,遠出しないとなかなかきれいな星空を見ることができないのですが,今後も機会を作って星空の写真を楽しんでいきたいと思います。

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