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【谷川岳主脈縦走】西黒尾根〜谷川岳〜平標山 2017年秋(1日目)

晴れない…

今月は福島の吾妻連峰に行って紅葉登山をしてきたいと思っていたのですが,登ろうと思っていた日が台風19号の接近と重なってしまい,断念。その後も週末ごとに大雨で,山に行けていません。

うーん,こりゃ紅葉と登山のタイミングを合わせることができないなあ。というか,今月は登山できないまま終わってしまいそう…(泣)

一昨年は谷川岳へ

一昨年は十月はじめに,一泊二日で谷川岳主脈縦走をしました(去年の今頃は何をやっていたんだろう…思い出せないw)。この時は好天と草紅葉に恵まれて,谷川連峰が「近くていい山」だということを実感した山歩きになりました。

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谷川岳頂上「オキの耳」から草紅葉と主脈稜線

谷川岳について

谷川岳は川端康成が「国境の長いトンネルを抜けると,雪国であった」と歌った「国境の長いトンネル」の上にある山です。

また同時に,これまでに遭難死した人の数が世界で一番(ヒマラヤやカラコルムを含めた「世界で」一番ですよ)多い山として知られている「魔の山でもあります。ただしこれは,谷川岳東面の「一ノ倉沢」や「幽ノ沢」などのクライミング事故によるものがほとんどです(最近はクライミング用具の発達などによって遭難事故も減っていると思います)。

谷川岳は標高2000mに満たない山でありながら,上越国境の豪雪地帯にあるため,谷筋は雪で削られ(かつては氷河が存在していたと考えられています),沢の源頭部は壮絶な岩壁となっているのです。

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谷川岳マチガ沢源頭部。沢筋は氷河に削られて厳しい岩場になっています

一方,一般登山道はそんなに危険という訳ではありません。ただ稜線には切れ落ちた箇所がところどころにあるので注意が必要です。

現在谷川岳には中腹の天神平までロープウェイがかかっていて,これを使えば比較的気軽に頂上に立つことができます。けれども今回はクラシックルートの西黒尾根を登って頂上に立ち,そこから主脈稜線を縦走して万太郎山,仙ノ倉山,平標山と辿って越後湯沢に抜けるルートを歩きました。

谷川岳縦走の問題点

谷川岳連峰を泊まりがけで縦走する場合,ひとつ問題点があります。稜線上のところどころにある避難小屋は小さく,多くの登山者を収容することができません。ネット上の記録を読むと,これが理由でトラブルになることも多いとあります。うーん,山の上で喧嘩になるのはイヤだなあ…。

そこで念のためテントを担ぎ上げることにしました。定められたテント場ではないので,なるべく避難小屋に泊まり,やむを得ない場合のみテントを使うことにします。

実はテントを持って行ったのにはもう一つ目的があります。「テント泊装備を担いで岩稜帯を歩けるか?」を西黒尾根で確かめたかったのです。次の年(現在から振り返ると昨年)の穂高吊尾根のトレーニングにしたかったわけですね。

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アプローチ

谷川岳の登山口となる水上(みなかみ)への電車時刻を調べてみると,朝一番の電車に乗れば,鈍行を乗り継いで行っても8時には登山口に立てるようです。

そこで経費削減のために (?),各駅停車に乗って水上まで行き,そこからバスで谷川岳ロープウェイ乗り場まで行きました。

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谷川岳の玄関口,水上駅

僕はロープウェイには乗らず西黒尾根を登るので,乗り場近くの登山指導センターで計画書を提出して,そのまま登山口へ向かいます。

林道を歩くこと15分ほどで,登山口である西黒尾根の取付きに到着です。

西黒尾根を登る

そのまま登山道に入って登り始めますが,初っ端からすごい急登です。でも朝だから元気…と言いたいのですが,どうしたことか,最初から脚がガクガクです。なぜだろう?と思ったら,前日は22時過ぎまで立ちっぱなしで仕事をしていたんでした…(;´д`) まだ先は長いので,じっくり一歩一歩行くことにします。

道は樹林帯の中をぐんぐん登って行きます。1時間ほど登ったところで展望が開けはじめ,鎖場が現れました。ストックをしまって,ここから先は両手・両足で登るようになります。

谷川岳は塩基性の蛇紋岩でできた山です。この岩は濡れているとスリップしやすいのですが,この日は好天で岩が乾いており,特に滑りやすいことはありませんでした。

鎖場を何ヶ所か越えると「ラクダの背」と呼ばれるところに出て,頂上稜線がどーんと視界に飛び込んできます。マチガ沢源頭の岩壁とトマの耳・オキの耳からなる谷川岳の双耳峰,これは見事な眺めです!

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ラクダの背から。谷川岳頂上稜線がどーん!

ここからはさらに傾斜が増し,岩場が続くので集中力が必要です。幸い出だしはガクガクだった脚も調子が戻ってきました。

ペンキマークを確認しながら,岩を一つひとつ越えてゆきます。クサリ場混じりの厳しい登りですが,テント泊装備を背負っての岩稜帯登りも特に問題はなく,標高を稼いで行くことができました。でもここは真夏だったら陽に炙られて暑いかも。

谷川岳頂上「トマの耳」と「オキの耳」

「ザンゲ岩」と名付けられた大岩が近づくと尾根はさらに急になり,感覚的には真上に登るような感じになります。集中集中。

そして登りはじめてから3時間半ほどで頂上稜線(谷川岳の肩)に飛び出しました!

稜線に出て少し歩くと谷川岳肩の小屋があります。小屋の前に立つと,谷川連峰主脈稜線をはるかに見はるかすことができます。特に目の前のオジカ沢の頭と俎嵓山稜は鋭角な稜線を見せ,迫力があります。

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谷川岳肩の小屋付近からオジカ沢の頭と俎嵓山稜

肩の小屋で少し休んでから頂上に向かいます。谷川岳は双耳峰で,2つのピークはそれぞれ「トマの耳」「オキの耳」と名付けられています。

まずトマの耳。肩の小屋から登ること15分で到着です。

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トマの耳から馬蹄形稜線,その向こうに巻機山,遠くに越後三山

この日は快晴で,越後の山々はもちろん,尾瀬や平ヶ岳まで望むことができました。うん,サイコーです!特に,以前登ったことのある越後三山や巻機山が見えたのは嬉しかったなあ。

そしてすぐそこには双耳峰のもうひとつ,オキの耳がとんがっています。端正な形,なかなかのイケメンです。

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トマの耳からオキの耳

トマの耳で展望を楽しんだらオキの耳へ向かいます。約10分で到着。オキの耳からトマの耳を振り返ると,マチガ沢源頭の岩壁がど迫力でした。

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谷川岳オキの耳からトマの耳。岩壁がすごい

主脈縦走路に入ります

頂上を下ったら肩の小屋へ戻り,小屋前の広場でお昼ご飯を食べました。食後の一休みをしたら,いよいよ主脈稜線に入って行きます。

はじめに越えるピークは「オジカ沢の頭」。谷川岳から少し下ると,目の前にこのピークと俎嵓山稜がそびえて,圧倒されます。

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いよいよ主脈稜線に入っていきます

そして縦走路を進んでゆくと,オジカ沢の頭がだんだん頭上に高くとんがって見えてくるようになります。ピークの手前は鎖場が続き,落ちたらさようなら〜というところもあって,通過に少し神経を使いました。今回はここが一番緊張したかな。

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オジカ沢の頭は鋭いピークです。鎖場が続き,緊張しました

オジカ沢の頭に立って振り返ると,谷川岳が西面を見せています。氷河に削られた荒々しい東面からは想像もつかないおだやかな姿です。草紅葉もちょうど見頃できれい。

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谷川岳西面。当面とは対照的な,穏やかな山容です

また北側には,谷を挟んで一ノ倉岳〜茂倉岳の稜線が印象的でした。

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谷を挟んで一ノ倉岳〜芝倉岳

そしてこれから進んでいく西側を向くと…次のピーク,万太郎山が目に飛び込んできます。おおぉ〜,でかい!そして結構遠いですね… (^ ^;)。

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次のピーク万太郎山。でかい!そして遠い…

その向こうにもずっと稜線が続いているのが見え,主脈縦走がハードなロングコースであることを改めて思い知るのでした。

少し休んだあと,オジカ沢の頭を降り,万太郎山への稜線を歩きます。谷川岳本峰にはけっこう人がいましたが,ここまでくると周りに誰もいません。

静かな尾根を下って,今日の宿泊地である「大障子避難小屋」へ。たどり着いた避難小屋には先客がいましたが,幸い一人が寝るスペースは確保できました。

 

大障子避難小屋にて

さて,今日は結構歩きましたが,まず水汲みに行かなければなりません。避難小屋の脇から,笹薮の中の踏み跡を辿って沢筋に降りて行きます。ここは足場が良くない急坂の下りで,ちょっと嫌な感じがしました。

15分くらい下っていくと沢の水がチョロチョロ流れているところがあったので,3.5 Lほど水を汲みました。そしてまた稜線上の避難小屋へ戻るのですが,登り返しが結構あります。結局水汲みのために往復40分くらいかかってしまいました。谷川連峰には水場が少ないので,縦走の際にはいかに水を確保するかも課題になりますね。

小屋は狭いので,夕食は外で摂り,早々にシュラフに入りました。おやすみなさい。zzz…。

長くなったので次回に続きます。

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