冬になると,北日本にはシベリアから白鳥が飛来します。北海道,東北地方には白鳥の来る場所が各地にありますよね。
ここ岩手にも,白鳥が来る池・湖がいくつかあります。紫波町の五郎沼もその一つ。五郎沼は紫波町の南部,国道4号線沿いにあり,近くを北上川が流れています。
この沼は夏になると古代蓮が咲くことで知られていますが,冬の白鳥も楽しみの一つです(五郎沼のあれこれについては,記事の最後で触れます)。
早起きして行ってきました
お正月休みの早朝,早起きして五郎沼へ向かいました。着いたのはまだ夜が明ける前,凍てつく冬の朝です。
沼のほとりに立つと,鴨たちは元気に泳いでいるのですが,白鳥は…まだ寝ていました。のんきですね (^ ^;)
それにしても,氷の上でよく眠れるなあ。寒くないのかな。…シベリアよりは暖かいんでしょうけど。
しばらく眺めていると,一羽の白鳥が起きたのか「目覚めの羽ばたき」をしていました。その手前のやつはまだ寝ています。
その後,目覚めた数羽が岸の近くまで,ゆっくり歩いてきました。湖面は凍結しているので,泳ぐのでなく,氷の上を歩いてくるのです(足が冷たそう!)。
夜が明けました
夜が明けました。日の出です。朝日が氷に反射してきれいです。
湖面に陽の光が射し始めると,眠っていた白鳥たちもやっと活動開始です。氷の上を歩いて,遠くの方へ移動する白鳥。
氷上のシルエットがきれいです。とはいえ「白鳥らしく飛ばんかーい!」と思っていたら…助走をつけて飛び立ちました。カッコいいです!
その後もたくさんの白鳥たちが歩いてあっちの方へ移動。何か目当てがあるのかな?
白鳥は飛んでゆきました
ところで白鳥はずいぶんおっとりした鳥のようで,かなり近くに行っても逃げたりしません(というか,自分から岸の近くまで来たりします)。だから望遠レンズを使って目一杯ズームすると,こんなにアップで撮れたりします。
心なしか,その顔もおっとりしているように見えますね (^ ^)
そして,しばらく近くの白鳥の顔を眺めていると,遠くの方でバタバタと羽音が。「来る!」振り向くと,沖の方にいた群れが飛び立ちました!沼の周りをぐるっと回って,青空を遠くへ飛んでいきました。その光景は文句なしに美しく,胸がすくようです。
おお,白鳥はついに飛び立った
素晴らしい絵のように
空の果てへ 飛び去った(高野喜久雄「ひたすらな道・白鳥」から)
彼らはどこへ飛んでゆくのでしょう。餌を探しに行くのでしょうか。それとも春の渡りに備えて,飛ぶためのトレーニングをしているのかな?
五郎沼について
ここ五郎沼についても触れておきたいと思います。
かつて平泉の藤原清衡の四男清綱が紫波あたりに派遣されました。その子である太郎俊衡,五郎季衡らはここに居を構えて周辺を支配していたようです。その屋敷の名は樋爪館(ひづめかん)。五郎沼はその西側に広がる広大な沼で,五郎季衡は堤防を築いて,沼の水を灌漑用水として使ったという記録が残っています。
現在は古代蓮と白鳥の池として知られる五郎沼ですが,そんな歴史を秘めたところでもあるんですね。
紫波町の繁華街である「日詰」は,この樋爪館に由来するようですね。
おわりに
白鳥たちは春が来るまで日本で過ごし,その後シベリアへ帰ってゆきます。渡り鳥の旅にはドラマを感じてしまいます。
ツバメのように小さな体で渡ってくる鳥は健気だな,と思っていましたが,白鳥のように大きな鳥も,その体を浮かせるには強い羽ばたきが必要で,これもまた大変そうです(実際,白鳥の背中のあたりを見ると,筋肉がよく発達しているのがわかります)。
春になったら長い旅が待っていますが,それまで日本でのんびりと過ごしてくれたらと思っています (^ ^)
関連記事
www.sunsunfine.comwww.sunsunfine.com