一昨年あたりに,うちのマンションのどこか(多分屋上)にツバメが巣を作りました。今年も春先から,うちの周りをツバメが飛んでいて,「ああ,今年もツバメが来てくれたな!」と喜んでいました。僕はツバメが大好きなのです。
ツバメへの愛を語る
ツバメは春になると,南の島から日本に渡ってきます。日本列島に渡ってくるツバメは,主にマレーシアやインドネシアあたりから飛来すると言われていますね。
彼らの飛行距離は,数千km近くに及びます。しかもツバメは大群を組んで渡るのではなく,単独または数羽で飛行するようです。あの小さな体で…なんて健気なんでしょうか。
途中で島に降りることはあるでしょうが,海上を千km近く飛び続けることもあるでしょう。その間は羽を休めることなく飛び続けなければなりません。それで彼らはアスペクト比の大きな羽を身につけ,空中生活に特化した体型となりました。
けれども長い羽と引き換えに彼らの脚は小さく弱く,またくちばしも飛びながら餌を得ることに適した形となったものの,外敵の攻撃から身を守る鋭さを失ってしまいました。
そんなツバメたちが身を守るために選んだのは,人間と共存することでした。
ツバメは日本に渡ってくると,よく民家の軒先に巣を作ります。そしてそこで卵を産み,雛を育てます。彼らの子育ての様子を見ていると,「がんばれよ!」と声をかけずに入られません。そして夏の終わりに日本に別れを告げて南の島へ帰ってゆくのです。
ツバメって,長い翼を持ち,燕尾服を着た姿がかっこいいだけではなくて,なんて健気で愛おしいやつ…そう思わずにはいられません。
西洋でも「幸福の王子」に描かれているように,ツバメは善良で幸せを運ぶ存在とされていますね。
子ツバメが飛ぶ練習を始めました
7月に入り,今年も子ツバメがうちの前の電線に止まるようになってきました。卵から孵ったばかりの頃はとても小さかった彼らも,巣から飛び立って空を飛ぶ練習を始めたようです。
季節はもう夏。彼らも秋の渡りに備えてるんですね。
でも見ていると,やっぱりまだ甘えん坊で,お父さんお母さんツバメから餌をもらっているようです。お父さんお母さんは大忙しで,超高速で飛び回っては餌を捕って子ツバメに与えています。
ツバメが超高速で飛び回る様子を見ていると,こっちまで元気が出てくるようです。ツバメはいいぞぉー!
そして電線に止まっている子ツバメたちは,親鳥が餌を捕ってくると一斉に声をあげ,「ご飯だご飯だ!」と喜んでいます (^◡^) 親鳥は空中でホバリングしたまま給餌して,また次の餌を探しに行くのです。えらいなあ!
それにしても子ツバメ,大きな口を開けてご飯をせがむところは,小さな雛だった頃と変わりません。可愛いです。
こうやって餌をもらってせっせと食べた結果,子ツバメも本当に大きくなりました。羽毛がふっくらしていて口を大きく開けるから,時によっては親鳥よりも大きく見えます (^ ^;)
余談ですが,ツバメは古い時代から人間とともに生きてきたせいか,給餌の様子などを比較的近い場所から撮影していても逃げません(カラスが飛んできたりすると逃げますが)。その意味ではスズメよりも警戒心が薄く,人懐っこいと言えます。飛んでいる時は超高速なので,カメラで追って撮影するのは難しいですが。
ツバメは飛びながら餌を採り,水を飲みます
ところでツバメが食べるのは,飛んでいる昆虫です。彼らは空を高速で飛びながら,虫を捕まえるのです。農家の軒先に営巣したツバメは,田んぼにやってくる害虫をたくさん食べます。だから彼らは昔から益鳥とされ,ツバメが巣を作った家は栄えるとされてきました。ずっと愛されてきたんですね。
彼らが餌として撮るのは蚊などの羽虫が主ですが,たまにトンボなどの大物を取ってくることもあるようです。この間見ていたら,親ツバメが子ツバメの口にトンボを入れて,また飛んで行ったので「すげー!」ってなりました (^◡^)
こうやってツバメはたくさん食べて体力をつけ,夏の終わりの渡りに備えるのでしょう。
またツバメは水を飲むときも飛びながら飲みます。実際に見ていると,ツバメが超低空飛行で川面をかすめ,水を飲んでいます。器用ですね。
もう少し…こっちでゆっくりしていってね!
この夏が終わる頃,ツバメたちは南の島へ渡ってゆきます。盛夏の頃になると,雛たちも立派なツバメへと成長します(写真は去年の盛夏の頃のものです)。それまでもう少し,餌をいっぱい食べて,飛ぶ練習をしていてね (^◡^)
数千kmの渡りは気をつけて。そして来年,また元気に帰ってきてね!
おわりに
ツバメが愛おしくて愛おしくて…という話でした。実は数年前に,子ツバメが近くを旋回していたので手を出してみたら,その子ツバメが僕の指に止まったこともあるんです。それで僕はますますツバメラブになってしまいました。
僕の指に止まった子ツバメは10分くらいチュンチュン鳴いてたんですが,そのあと意を決したように飛び立って行きました。その時僕の指を蹴った子ツバメの力に,確かに力強さを感じたんですよね…。
…おっと,個人的なことを語りすぎたようです。
近年開発が進んで,日本で営巣をするツバメが減ってきたという話も聞きます。これからも愛おしいツバメが春とともにやってきて,私たちの近くで子育てするということが続くといいなあ。
いつかうちのベランダにもツバメが巣を作ってくれないかなあと思う今日この頃です。
おまけ:興味深いツバメのサイトいくつか
ツバメはいろんな人に愛されているようで,興味深いサイトもいくつかあります。そのうち2つを紹介したいと思います。
1つ目は重原 美智子さんの「ツバメはどこから飛来する?『小笠原諸島〜伊豆諸島 ツバメの渡り調査』でわかったこと」という記事です。
重原さんは伊豆諸島,小笠原諸島で元気に飛んでいるツバメに出会い,彼らがどこから飛来しているのかを調査しました。その結果…読んでいて大変興味深く,ワクワクする文章です。
2つ目はデイリーポータルZの「ぼく,ツバメのヒナです」という記事です。日本で生まれ育ったツバメのヒナの視点で書かれたエッセイ。ツバメが愛おしくて,うるうる来ちゃいます。
「ああーあ、みんな飛んでいっちゃったー」
って声が下からした。ボクは空の上からじーっと見ていた。
「あれかな?あれかな」「尾っぽが短いからきっとアレだね」
って、気付いてくれなかった。ボクは見分けがつかないくらい、おとうさんおかあさんみたいに大きくなったんだと思います。あと、高く飛びすぎて、人間には見えないのだと思います。
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