登山・トレッキング好きなみなさま,どんな装備で山を歩いていますか?
最近登山ギアは,軽くて高機能なものがたくさん出てきました。
僕も以前は20 kg 前後の荷物を背負って,ヒィヒィ言いながら縦走していたんですけどね。最近は荷物の軽量化を図って,ずいぶん楽になりました。
でも最近流行りのウルトラライト(UL)にはなかなか手が出ません。そこまでストイックになれない性格なもので…。
そんな僕の登山装備は「快適さを損なわない範囲で出来るだけ軽く」。題して「ちょっとライト(CL)トレッキング」です(笑)。
ウルトラライトまではなかなか手を出せません…
最近脚光を浴びているウルトラライトトレッキング。荷物を極限まで軽くして,ファストハイク。「より遠くへ,より速く(早く)」。これ,憧れるよねえ。
体力も落ちてくるお年頃なので,なおさら軽い装備には惹かれます。
また,速さは安全にもつながるということも痛感しています。
でも…。フロアレスのシェルターにエスビットを使った固形燃料バーナー,フレームの入っていない(=パッキングにひと手間かかる)バックパック。うーん,ちょっと敷居が高いんですよね。
山で荒天に見舞われた時なんかを考えるとなおさらね。
だから「快適さを損なわない範囲で,装備は出来るだけ軽く」って考えちゃうわけです。
これが「CL」。…と,そんな風に名付けてみたものの,実際はそんなに特別なことではありません。
こんな装備を使っています
それでは具体的に,僕がどんな装備を使っているかを書いてみましょう。基本的に,無雪期のテント泊縦走を念頭に置いた装備です。
バックパック
オスプレーのケストレル48を使っています。UL用ではない,普通のザックです。重さも普通で1.53 kg。
まあ,あくまでも「ちょっとライト, CL」ですからね。他の装備がUL仕様でないのに,UL用のザックを使っても,背負い居心地の悪いザックで長時間歩くという結果になりかねません。
ケストレルはすっごく背負い心地がいいです。背中に吸い付くような感触で,縦走の負荷を大幅に軽くしてくれているように感じます。
それに2気室構造なのがすっごく便利です。上のコンパートメントにいろんなものを詰め込んで,下のコンパートメントに撤収したテントを入れる。これに慣れちゃうと,1気室のザックに戻るのはなかなか厳しいものがあります。
48 Lというサイズはそんなにデカいわけではありませんが,以下のように装備を取捨選択すれば,夏山縦走なら3泊4日でも余裕です。
レインウェア
ノースフェイスのクライムライトジャケットとパンツを使っています。これもまあ定番でしょうか。
これも特別に軽いわけではないんですけどね。ゴアテックス製なのでちょっとしたシェルジャケットとして羽織っても快適です(実際,秋の山では行動中に着ることもよくあります)。
このおかげで背負っていく防寒具を大幅に減らすことができ(夏山ならフリース1枚を持つくらいです),荷物の軽量化に効いています。
シュラフ
ポーランド Cumulus 社製の X-Lite 300 を使っています。このシュラフはリミットが–4°Cのスリーシーズン用。
460 gと非常に軽量で,スタッフバッグに押し込むと極めてコンパクトになるのが特徴。これまた荷物の軽量化に大きく寄与しています。
耐久性はあまりなさそうですけどネ。
スリーピングマット
マットはなかなか「これ」という答えが出ません。
以前は激安のエアマットをAmazonで買って使っていたんですが,なかなか寝心地が良くて気に入っていました。重さは実測 470 gで枕もついていることを考えるとまあまあ軽い。
その後,KLYMIT のイナーシャ・オゾンに買い換えました。380 gで少し軽くなったけど,寝心地は激安マットより少し落ちるかも。
いろんなメーカーのサイトをのぞいてるんですが,「これで決まり!」というものには,まだ出会っていません。
バーナーとクッカー
バーナーはEPIのRevo-3700 です。これも定番のものかと思います。重さは 111 g。
クッカーはモンベルのアルパインクッカー11で,スタッフバッグ込みで245 g。これにガスのOD缶 (110 gのもの),バーナー,コーヒーの小袋などを入れて持ち運びます。
ガスバーナーの代わりにアルコールストーブや固形燃料ストーブにすればULっぽいですが,利便性を考えるとやっぱりガスですかねえ…。(アルコールストーブはテント火災がちょっと怖いし)
クッカーはチタンマグにすれば100 gくらい軽量化できそうですが,どうしようかなあ。
テント
テントは担ぎ上げる荷物としては「大物」です。これを軽くできれば大きいですが…。
いま使っているのはモンベルのステラリッジ2です(旧モデル)。ペグやガイラインを含めて1.6 kgくらいかな?
岩ゴロのテント場ではペグダウンがしづらいことも多く,やっぱり自立式のドームがいいなあと思っています。そしてやっぱりダブルウォールがいいなあとも。
軽いシェルターに目移りしそうな時もあったんですが,去年農鳥小屋のテント場で爆風に見舞われましてね。その時にステラリッジが爆風の中,一晩耐え切ってくれたんですよね。今年の白馬でも大雨に耐えてくれたなあ。
それ以来,信頼性(=安全)を考えて,当面はステラリッジで行こうかなあと。
最近は1 kgを切るようなドームテントが出ているので,少し気になってるんですけどね。耐候性能はどんなもんなんでしょ?*1
例えばこんなの↓
ステラリッジも,現モデルは従来より200 g くらい軽くなっているようで,そっちもいいなあ。
ちなみにステラリッジの「1型」を使えばちょっと軽いんですけどね。「2型」との差は100 g程度だし,間口が50 cm広くなる方が快適に過ごせていいかなと思って2型を選びました(1型は間口80 cm, 2型は130 cm)。それに2型にしておけば,息子といっしょに登る時にも使えるなあとも思いまして*2。
*1 アライテントのサイトには,軽量な「SLドーム」が繊細な取り扱いを要求することが明記されていますね。より高度な耐久性・耐風性を要求する場合はエアライズを推奨することも。
*2 実際に,ステラリッジを使って5年前に息子と白馬でテント泊しました。
衣類
着替えをどれくらい持つかは,「どれくらい不潔さに耐えられるか」とイコールな気がします(笑)。
車でアプローチする時なら,下山後に着るシャツを車に置いて,「日数分」のTシャツを持つことが多いでしょうか*3。つまり3日間の縦走なら,入山時に着ていったシャツに加えて2着を持つということですね。
公共交通で行く場合,下山後に着る物も持ち歩く必要があります。それで持ち歩くTシャツの数をその分減らして,「日数 − 1」にすることもあります。つまり同じシャツを2日着ることもあるということですね…すまぬ。
あまり大きな声では言えませんが,1泊2日とかならパンツや靴下の替えも持たないことも…ワタシのことは嫌いでも,パンツのことは嫌いにならないで!
*3 言うまでもありませんが,木綿のTシャツはNGです。
食料
食料の軽量化は,試行錯誤の繰り返しです。
乾燥食品を中心に,軽くてエネルギー源になるもの,そしてタンパク質を摂れるものを選んでいるつもりなんですが…。
疲れてくると,食事が喉を通らなくなることがあるので,食べやすさも大切だし。
そんな中で定着しているのは,みんな大好きカレーメシでしょうか。アルファ米+レトルトカレーだと合わせて250 gくらいになるんですが,カレーメシは一食 130 gくらいで済むんですよね。
これにタンパク源としてソーセージなどを一品つけるのが,最近の夕食の定番かな。
カップヌードルProも(高タンパクだというので)何度か持っていきましたが,味は「Pro」じゃない方が美味しい気がする…。
お昼ご飯もいろいろ試していますが,そんなに選択肢はないかなあ。北アルプスなど山小屋が充実している山域では,お昼を小屋の食堂で食べるのがいちばんの軽量化になりますね。
お酒は,担ぎ上げるのはやめて小屋で買うようにしています。え?お酒は飲まなければそれで済むんじゃないかって?ハイ,その通りです (^ ^;)。
水
水は荷物の中でも重いものの一つなんですが,「軽量化」と言っても闇雲に減らせるわけではありません。
ただ事前に水が補給できるところを調べておいて,メドが立つ場合は少なめに持つようにしています。水場や山小屋が豊富な時には1 Lくらいの量を担いで歩いています。
そうじゃない場合はいっぱい持つけどね。
容れ物は,500 mLのペットボトル3本程度と1 Lのプラティパス1つのことが多いかな。
撮影用品
これがけっこう重くてですね…。悩みのタネです。
カメラはAPS-Cのα6700を持っていきます。これとレンズ(標準ズームと星撮り用の超広角単焦点の2本を持つことが多いです)で約 1 kgです。三脚はAOKAのミニロングCMP-163CLで500 g。これに予備バッテリーなどを入れて1.6〜1.7 kgくらいになるかな。
最近はアクションカム(DJI OSMO Action4)も持つことがあるので ,山行によっては撮影機材がトータルで2 kg近くになっちゃいます。
カメラを例えば1インチのコンデジにしたり,いっそのこと全てスマホで済ませれば大幅な軽量化ができるんですけどね。
写真を趣味で撮ってるところもあるので,これは変えられないというか,変えたくないかな…。
話が前後しますがAOKAの三脚はバッチリで,軽くてしっかりしているし高さも70 cm出せます(星もいけます)。これはオススメ。
小物いろいろ
カトラリーは,登山用の折りたたみフォークなどが売られていますね。でも僕は,百均で買った木のスプーンと短めの箸を持ち歩いています。軽いし口当たりもソフトで良いです。
これを常備薬や緊急補習用のガムテープなどと共にポーチに入れて持ち歩いています。
モバイルバッテリーも重要です。スマホのGPSアプリを使いますからね。これもできるだけ軽くしたいところですが,1泊2日なら5000 mAh,3泊4日くらいなら10,000 mAhのものを1個で済ませることが多いかな。
時計はこれ↓チープカシオ一択です。軽いしプラスティック製なので岩場でも腕への当たりが柔らかくてグッド。唯一にして最大の欠点は,ダサいことです(笑)。
重いからロレックスは持っていきません。持ってないけど。
ただ「チープカシオ」っていう身もふたもない呼び方は,なんとかなりませんかね(涙)。
そのほか
テント泊の場合サンダルを持って行く人も多いですが,荷物になるので僕は持っていっていません。
そうそう,星の写真を撮るために以前は自作の赤道儀を担ぎ上げてたんですが,最近はやめました。
山の上だと赤道儀をセッティング(極軸合わせ)してスタック処理のために何枚も撮影して…という時間がとれないんですよね。
赤道儀システムで1 kg以上あったし,固定撮影だけに切り替えたので,結果として三脚も軽いものにできました。
こうやって軽量化した結果
荷物が12 kg台になりました!
使っているギアをあらためて挙げてみると,特別なものはそんなにないですね。シュラフが軽いくらいかな。
それでも持っていくものを選んでいくことで,テント泊縦走の荷物が12 kg台に収まるようになりました(水,カメラを含めて)。
20 kg近く担いでいた頃に比べたら,大幅な軽量化です(というか,以前が余計なものを持ちすぎだったんですけどね)。
これぞ「CLトレッキング」ということで。
縦走登山だと,最終日には食料をあらかた食べ尽くしてるのでさらに軽くなっており,下山もスタコラいけます。
その結果,どうなった?
それで,装備をCL化した結果,どうなったか?ですが。…まず
歩くのが速くなった
いや,それまでが遅すぎたんですが(笑)。標準コースタイムを巻いて歩くことができるようになりました。それまで標準CTを越えることが多くて「歳だから仕方ないね」なんて思ってたんですけどね(苦笑)。
標準CTを巻けるので,縦走の計画が立てやすくなりましたね。
休憩時間が短くなった
以前は休憩を取ると,その時間が長くなりがちだったんです。再び歩き出す時に,荷物を背負い直すために気合を入れ直す必要があったんですね。
でも荷物を軽くすることで,そんなに気合を入れなくてもザックを背負うことができるようになりました。休憩の回数も減ったように思います。
…んー,ちょいレベル低めの話ですかね?(笑)
いずれにしても,以前よりはスイスイ歩けるようになりましたヨ。
テント泊装備で大キレットにもいけました
昨年はテント泊装備で大キレットに行きました。ザックが20 kgだったら,ここは行けなかったな…というか,危険だったな。
パッキングが早くなりました
装備が全般にシンプルになった結果,パッキングが早くなりました。山に出かける前の日に,うちで用意をするのも楽ちんです。
そして何よりもテント泊の時に,朝荷物をまとめてテントを撤収して…の作業が手早くできるようになりましたね。
下山したあと,いろいろと楽になった
あと楽になったのは下山後ですね。それまで70 Lのザックをパンパンにしてたから,混んでる電車に乗る時は邪魔だろうとすごく気を遣ってたのが,そうでもなくなりました。
バスで座る時でも,20 kgのザックを膝の上に置くのはキツかったんですが,12 kgだと苦になりません。
駅で電車を乗り換えるのもスタスタ行けるし。
こりゃあいいわ。
これからもっと軽くするとしたら…
そんなわけで荷物のCL化は一段落している状態ですが,さらに軽くするとしたら何ができるでしょう?
先にも書いたけど,クッカーをチタンマグに変えれば100 g程度軽くなりそうですね。
他には…
山行によって持っていくものを変えるのが現実的でしょうか。
満月期で星撮りができない時は,広角単焦点レンズを置いていくとか。
幕営地が樹林帯で風も弱いとわかっているなら軽いシェルターを使ったり,いっその事ツェルト泊にしてしまうのもありかな。その際はバーナーを固形燃料にするとか。
そうすればザックも小さいもので事足りそうですね。
このあたりまた考えて,いろいろ試してみようと思います。
まあ「快適さをキープしながら軽く」で一番手っ取り早いのは,小屋泊にすることなんですけどね。
おわりに
荷物の軽量化は行動を早くすることと安全確保のために,とても大切だと思います。
でも山の楽しみを損なわないために,ある程度の快適さも確保しておきたいものです。
重い装備を担ぐには体力が必要,装備を軽くするには経験値が必要。こんなところでしょうかね。
今後も装備の工夫は続けていこうと思っています。
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