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カリフォルニア星雲 (NGC1499) とプレアデス星団 (すばる, M45) を撮影しました

星の写真を撮っていると,だんだん「赤いやつ」が撮りたくなってきます。散光星雲です。全天には,美しい散光星雲がいろいろあります。一番有名なのはM42,オリオン大星雲でしょうかね。

今回は,以前からトライしてみようと思っていた,ペルセウス座のカリフォルニア星雲の撮影を行なってきました。

カルフォルニア星雲とプレアデス星団を撮りました

カリフォルニア星雲について

カリフォルニア星雲はペルセウス座の足元(西の方),ε星の近くにあって,おうし座のM45プレアデス星団とも近い場所にあります。その形がカリフォルニア州に似ているからこの名があるんだとか。

本来初冬に見やすい天体ですが,この冬の間に撮っておきたくて撮影に行きました。場所はアンドロメダ銀河を撮った時にも行った,南伊豆です。

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強風の中での撮影

カリフォルニア星雲の赤とプレアデス星団の青。その対比を表現したくて,この2つを一緒に入れた構図をとります。

赤道儀のスイッチオン!構図を決めるのにやや手間取って(カリフォルニア星雲は肉眼で見えないからね),22時頃から追尾撮影に入ります。でもこの日はむちゃくちゃ風が強い!カメラが揺れそうです。どれくらい強い風だったかというと,撮影中にレンズポーチを1個飛ばされてしまったくらい。

それでもなんとか撮影を終えて,画像処理しました。

プレアデス星団とカリフォルニア星雲

プレアデス星団(すばる)とカリフォルニア星雲

撮影条件:2022年2月4日 22時〜22時45分くらい α6400+TAMRON 28–75 mm F2.8, 75 mm (フルサイズ換算 112.5 mm 相当), F2.8開放,85秒 x 14 枚スタック(総露光時間約20分),iso 2500

赤道儀で45分くらい追尾撮影したのですが,確認すると風のせいでブレブレの写真を量産していました。

そんなわけで半分以上のカットを捨てざるを得ず,結局使うことができたのは14枚,有効な露光時間は約20分となってしまいました(泣)。

実は使った14枚も,等倍に拡大して見ると星像がちょっとアヤシイ…けどまあヨシとします。

カリフォルニア星雲とプレアデス星団の色の対比がきれいです。星雲の形は…カリフォルニア州というより島根県に似ているような気がしないでもない。

この領域には複雑な分子雲がたくさんあるのですが,それを映し出すには至らず。分子雲をちゃんと写すには,2〜3時間露光しないとダメかもね。

散光星雲は水素原子の発光

水素原子の発光

宇宙空間には水素原子がたくさんあります。水素はビッグバンのあと,宇宙で最初にできた元素ですからね。宇宙にある元素のうち,水素は原子数で93.4%を占めていると言われています(重さでいうと76.9%)。

宇宙空間の水素は長い年月をかけて,その重さによって(万有引力によって)集まっていきます。水素原子の密度が特に高いところではやがて核融合が起こり始め,星が誕生します。

誕生した星の熱や紫外線は周りの水素を照らし,励起状態に押し上げます。最も内側のK殻にある水素の電子が,より外側の(高エネルギーの)電子軌道に叩き上げられるのです。

水素原子の電子遷移

水素原子の電子遷移

高エネルギーの軌道に飛び上がった電子は,直ちに内殻の(低エネルギーの)軌道に落ち込んで行きます。この際,軌道間の差に相当するエネルギーが光として放出されます。軌道間のエネルギー差を \Delta E とすると,放出される光の波長  \lambda \Delta E=h \dfrac {c} {\lambda} で決まります。ここで  h はプランク定数,  c は光速度です。

ここで電子が高エネルギーの軌道から最も内側 (n = 1) の軌道に落ちるときに放出される光はライマン系列と呼ばれ,紫外部の光になります。また n = 2(内側から2番目)の軌道に落ちるときに出てくる光はバルマー系列と名付けられており,可視光となります。

水素原子の発光

水素原子の発光

バルマー系列の光のうち特に強い光は Hα線と呼ばれ,656 nmの波長を持つ赤い光です。散光星雲の赤い光は,バルマー系列のHα線が見えているんですね。

水素放電管

水素放電管

これは水素放電管によるバルマー系列発光の様子です。Hα線による赤い光が見えています。

もうすぐ冬は終わりです

このあとおうし座全体を標準レンズで写して,プレアデス〜カリフォルニア星雲を含む ”星座写真”を撮ろうと思っていたのですが,ここで赤道儀が謎の不調。

固定撮影で一枚撮っておきましょうか。冬の星座が西に沈んでいくところ。

沈む冬の星座

沈む冬の星座

オリオンもおおいぬも低くなりました。冬の天体を撮るのはまた来年です。

夏の天の川が昇ってきます

明け方,もう一度海岸に出てみます。2月初め,明け方には夏の天の川が昇ってきます。これも撮っておきましょう。南東の低空には雲がかかっていますが。

昇る夏の天の川

昇る夏の天の川

これはあまりうまく撮れませんでしたが(天の川が,ちょうど山と雲で隠れてしまいました),証拠写真ということで。画面中央近くに輝いているのは金星です。

この時期は冬の天の川と夏の天の川の両方を見ることができる,おいしい季節ですね。

 

おわりに

夜空は春の星座へとバトンタッチ。「冬のディープスカイチャレンジ」はまた来年ですね。

夜が明けて次の日,下田のご当地グルメ,キンメコロッケを食べて帰路につきました。

キンメコロッケ

キンメコロッケ

 

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