
田村市は旧船引町,滝根町,大越町,常葉町,および都路村が合併して,2005年に誕生しました。市内は阿武隈高地にかかっているため,市内でも標高の高いところでは桜の開花が遅めです。
今年は福島県でも桜がとても早く咲きましたが,田村市の桜のいくつかは4月中旬に見ごろを迎えました。二本松市東和地区の桜を巡った翌週,田村の遅咲きの桜を回ってきた記録です。
弁天桜
はじめに行ったのは弁天桜。旧滝根町の丘陵地帯の杉林の中にあります。
駐車場に車を停めて,杉林の中の道を歩いていくと,桜とご対面。ひと目見て「きれーい!」。ハッとするような,きれいな桜です。

杉林に囲まれて,一本だけ桜が咲いているさまは,そこだけパァーッと光が差しているように感じます。
花はやや白っぽい桜色。その明るさがいっそう際立つようです。

この桜には,地元にこんな話が伝わっているようです。
菅谷村の某家の美しい娘が親のいいつけにしたがって,いやいや嫁にいったが,どうしても相手の男が好きになれず逃げ戻ってきた。
しかし親は許さず,無理やり嫁ぎ先に帰そうとした。娘は,この山田の池に身を投じ,息を絶やした。娘の親は悔悟に耐えず,その場に桜の木を植えて供養してやった。今ある弁天桜がその桜である
哀しい言い伝えを宿した桜なんですね。

樹齢は400年。堂々たる幹ですが,木肌が白っぽい色をしており,またその表面が比較的なめらかなので,その名の通り女性的な印象を与えます。
根本近くにある石の祠は,池に身を投げたという娘を慰めるお堂なのでしょうか。

桜のところにいたのは,朝7時過ぎから8時くらいまで。弁天桜全体に陽の光が当たるのは,お昼近くなってからかな?

先の言い伝えが書かれた看板によると,地元の人はここで三々五々集ってお花見をするんだとか。静かにお花見を楽しめそうで,いいですね。
永泉寺の桜
続いて近くにある永泉寺の桜を見に行きます。須賀川市に同名のお寺があって,そこのしだれ桜も見事なのですが,ここも負けていません。
どうです?この枝垂れ具合。

田村市やその周辺には,こんな風にお寺・お堂の前に桜が立っていて絵になるところが多いですね。
桜の前に立っているのは「たむらの美桜88景」という看板です。田村市では四国八十八か所になぞらえて88ヶ所の桜を選定し,町おこしにしているようです (^◡^)。

境内には「六地蔵」さま。毎年ここでお花見ができてうらやましいですな。きっと僕たちが見ていない時は,お地蔵さんたち,桜の方に顔を向けてるよね(笑)。

桜の根元にも,仏さまが立っています。枝垂れた桜とうららかな陽光,その中に立つ仏さま。とても春っぽい光景だと思います。あはれ花びらながれ。

弁天桜やここ永泉寺の桜は旧滝根町にあって,来るのがちょっと大変なところです。でもそれだけに静かで,穏やかな春を味わうことができました。とてもよいです。

是哉寺地蔵桜
永泉寺を後にして,郡山方面・旧船引地区へ。向かったのは是哉寺地蔵桜。
この桜は去年も訪ねたんですが,遅咲きのようでその時はほとんど咲いていなかったんですよね。今回はいいタイミングじゃないかな?と思いまして。

到着すると,おお!満開じゃないですか。これは素晴らしい。静かな田園地帯に,朝日を浴びて桜が咲き誇っています。
この桜は樹齢400年。力強い幹から枝を大きく広げています。

是哉寺というのはこの辺りの地名らしいのですが,かつては同名のお寺があったということなのかな?
お地蔵さんは,桜の右側に立って里山を見守っています。黄色い帽子をかぶっているのがオシャレですな。

枝の広がりが大きいので,桜の下に立つと,花のシャワーを浴びているみたい。春の空の淡いブルーと桜色の組み合わせがすごくいいよねえ。

「福島県桜番付」では,番付が低めの桜だけど(前頭26枚目),個人的には割とオススメ。駐車場も整備されているしね。
壁須のしだれ桜と山田の天王桜
是哉寺地蔵桜から,県道57号線をさくら湖の方へ向かいます。その途中にいくつか見るべき桜があるのです。
…といいつつそのうちの二本,壁須の枝垂れ桜と山田の天王桜をまとめてしまったのは,この2本が見頃をちょっと過ぎていたからです。是哉寺の桜が満開だったから,こっちも期待していたんだけどな。
壁須のしだれ桜
壁須のしだれ桜は,県道を脇に入った壁須集落の中にあります。三春滝桜の姉妹と言われているんだけど,樹齢は400年ということなので,娘という方が正しいのかな?

しなやかな姿が美しく,遠くに見える安達太良山とのコラボも気持ちの良い風景なのですが,見頃を過ぎていたのがいかにも残念 (>_<)。農作業小屋がとなりに立っているのも,御伽話の世界みたいでいい感じですけどね。

山田の天王桜
壁須のしだれ桜からすぐ近く,もう郡山市中田町に近いところに,山田の天王桜が立っています。赤い屋根のお堂を守るように立つ桜。田村市によくあると同時に,のどかな里山によくマッチしている風景でもあります。

「天王桜」というのは,このお堂が牛頭天王を祀っているからです。牛頭天王というのは「疫病を払う神として江戸時代まで信仰された,神仏習合の防疫神」とのことです。須佐之男命や薬師如来と同一視されることもあるようですね。
実際,桜の近くには「牛頭天王」と書かれた扁額をもつ鳥居も立っていました。

ここは牛頭天王,中田町の十一面観音桜は十一面観音,紅枝垂地蔵桜は赤ん坊の夭折を防ぐお地蔵さん,小沢の桜にも野仏。福島の桜は古い民間信仰との繋がりが色濃く残っているのが面白いなあ。
壁須の枝垂れ桜と山田の天王桜,満開の時にまた来たいと思います。来年かな?(気が早いヨ)。
おわりに
田村市は広くて,おまけに標高の高いところ,低いところといろいろです。だから桜めぐりも時期を見極めるのがちょっと大変。
それでも魅力的な桜があちこちにあるので(まだみていない桜もたくさんあります),また回ってみたいと思います。
来年はあの桜とあの桜と…だから気が早いってば(笑)。
撮影 2026年4月17日
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田村市の名前は,もちろん坂上田村麻呂からきています



