
今年はどこも桜の開花が早いですね。福島の桜も,例年に比べて1週間以上早く見頃を迎えたようです。
そんな中,今年も行きます福島桜めぐり。今年はまず,会津地方の桜を見に行こうと思います。郡山から高速道路を行くアプローチ。雪深い会津に咲く桜は,どこも風格に満ちていました。
米沢の千歳桜
会津地方の桜めぐり,最初に訪ねるのは会津美里町の米沢の千歳桜です。樹齢700年を超えるこの桜は,福島県の天然記念物に指定されています。

この桜の由緒については,看板にこんな話が書かれています。
文永十年 (1273),富塚伊賀守 盛勝公が,千歳という女性のみまかりたるを悲しみ,供養してこの桜を植えたものと伝えられる。千歳(幼名)とは江川長者の娘,常姫という伝説もあるが詳ではない。
この話の通りだとすると,樹齢は753年ということになりますか。

桜を眺めていると地元の方が来て「いやあ70年ぶりに見にきてみたけど,昔はもっと勢いがあったんだけどなあ。何だかしょぼくれちまって,オレとおんなじだなあ。ハハハ!」って (^ ^;)。70年ぶりって,そこからしてスゴイな。

確かに若々しさはないかなあ。曲がりくねった幹は,おばあさんが腰を曲げている姿にも見えてきます。でも同時に,長いあいだ風雪と戦ってきた老木ならではの威厳も感じさせてくれます。

桜の横には,歌碑が立っています。
萬代の 春をかけても 薫らまし
千歳桜の にはかきらで

これは宮中御歌会で詠まれた歌で,詠み人は従三位 男爵 金子有仰 となっています。
何だかね,「桜というよりすごく尊いものを見た」…そんな気持ちになる木でした。
馬ノ墓の種蒔桜
次は以前から行きたいと思っていた馬ノ墓の種蒔桜です。行き方がよくわからなくて少し手間取りましたがなんとか到着。
この日はいい天気。大きなドーム型の桜の向こうに,冠雪した飯豊連峰が白く輝いています。この風景が見たかったんです!

桜の周りにはりんご畑が広がっていて,果樹農家の方が作業を行っていました。写真↑にも左端に作業をしている方が写っていますが,比べるといかに大きな桜かがよくわかると思います。

「馬ノ墓」というのはこのあたりの古い地名らしいのですが,古くから馬との関わりが深い会津地方ですからね。実際にこのあたりに馬の墓があったのかもしれませんね。
幹は力強く根元で二股に分かれています。そのそばには小さな石塔が立っているのですが,これはもしかしたら斃れた馬の供養塔なのかも。

会津名物の馬刺しは,戊辰戦争の時に傷ついた兵士の滋養のために食べ始めたものだとか。馬刺し食べたい (^ ^)。
花は小さめで紅色が強めです。まだ七部咲きくらいかな。日の当たらない北側の枝には,まだつぼみがいっぱいついていました。

りんごの白い花もポツポツ咲き始めています。もう少ししたらりんごと桜の共宴が見られるかもね。

桜の北側に回ってみました。道端のスイセンを前景に一枚。雪深い会津,里山にもまだ雪が残っているようですね。

あまり知られておらず,訪れる人も少ないけど,とても絵になる桜でした。
一ノ堰羽黒墓地の種蒔桜
車で少し走って,会津若松市に入ります。田畑が広がる伸びやかな郊外。その一角にある共同墓地に,大きな桜が立っています。これが一ノ堰羽黒墓地の種蒔桜です。
桜は広々とした田園地帯に悠然と立っています。そしてその向こうには,会津磐梯山が輝いています。心がしみじみするような光景です。

山がきれいなので,馬ノ墓の種蒔桜の時と同じく,少し離れたところから長めの焦点距離 (90 mm 相当) で撮ってみました。
夫婦のうちでかい方(こっちが夫でいいんですかね?)に近づいてみます。太い幹にツタが絡まって,すごいことになっています。桜にもツタにも,なんだかすごい生命力を感じますねえ。

この桜は2本並んで立っているところから,「夫婦桜」と呼ばれることもあるようです。2本の間で花色が微妙に違うのも面白い。

やっぱり大きい方が夫でよさそうですね。どっしりした太い幹は,男性的な力強さを感じさせますし。
東麻生の種蒔桜
次は東麻生の種蒔桜。一ノ堰の種蒔桜と並んで,会津若松市内では有数の大木です。
ただ,ちょっとアクセスしづらいところにあるんですよね。車を止められる場所がなくて,手早く写真を撮って引き上げる感じになりました。

この桜の樹齢はよくわかっていないようですが,会津物語によると推定樹齢300年以上とも言われているようです。また桜がたくさんの石塔に囲まれているのが印象的です。
その幹を近くで見ると,空洞ができながらもなお力強く,この地で風雪に耐えてきた貫禄を感じます。

福島で桜めぐりをしていると,お墓に大きな桜が立っているところがよくあります。
その中で一ノ堰羽黒墓地の桜,そしてここ東麻生の桜,いずれにも「種蒔桜」という名前がついています。馬ノ墓の種蒔桜も近いでしょうかね。
死者が眠る場所と「種蒔き」という生が芽吹く営みの同居。育った作物から再び種子が生み出される再生の繰り返し。それを桜の木が見守っているのは,象徴的なことのように思われます。桜は命。

遥かに広がる田園風景の中に,そんな桜が悠然と立つ会津。少しだけ遠くに磐梯山や飯豊連峰などが見えているのも,「魂が帰っていく場所がそこにあるよ」とやさしく言っているように思えてくるのです。
石部桜
会津の桜めぐり,この日の締めは石部桜。2013年に放映されたNHK大河ドラマ「八重の桜」のオープニングを飾った桜として有名になりました。
やはりこの桜の人気は高いようで,多くの人で賑わっていました。地元では特設駐車場も設けてくれていて,助かりました。

この桜も他の会津の木と同様に,田園地帯の一角に悠然と立っています。北西側から近づいていくと,旺盛に咲いた花がこんもりと見えてきます。
けれども近づいていくと,何本かの幹が地面から伸びて,上部で合わさったような不思議な姿をしています。

実はこれは一本の株で,根元から幹が十本に分かれた臥龍状の樹形なんだそうです。雪の重みのせいでしょうか,それとも風のせいでしょうか。幹が地を這うように伸びてから枝分かれして上に向かったりという独特なフォルムです。
南側に回り込んでみましょう。桜からあまり離れることができず(見学のための木道が桜の近くなため),全体の姿を写すことができません。

説明看板によると石部桜は樹齢600年,会津若松市の天然記念物に指定されています。その名前の由来についても解説されていました。
この付近は領主葦名家の重臣石部氏の屋敷で,その庭にあったとの伝承から「石部桜」と名づけられた。
江戸時代から名木として知られており,花が満開の時期には,藩主をはじめ多くの人が訪れた。
旧会津藩の歴史を称えた桜なんですね。
花はやや白っぽい桜色。ほぼ満開の時に来ることができました。

根元に近づいて観察してみますが,やっぱり不思議な姿です。もともとの根元がどこで,どのように伸びていったのか,見れば見るほど不思議です。

この日は地元の中学生 (?) がみんなでお花見に来ているようでした。この子たちも近い将来,立派な会津っぽに育ってゆくことでしょう (^◡^)。
おわりに
会津の桜はどれも田園地帯に悠然と立っていて,この場所の気象の厳しさと,ここに住む人たちの誇り高さを表しているようでした。

遠くに見える磐梯山や飯豊連峰とともに,心に染みるような美しさを感じました。
桜めぐりを終えて郡山に向かったのですが,この日郡山にクマが出たとのことで,磐越道が一部通行止め。めっちゃ渋滞してたクマー。
福島桜めぐりの話,しばらく続きます。
撮影 2026年4月8日
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