2024年12月8日,月の背後に土星が隠れる「土星食」が起こり,東京も観測範囲に入っていました。折しも天気が良く,楽しく観測することができました。
惑星と月は,天空でざっくり同じようなコースをたどって運動するので,時々月による惑星食が起こります。
土星食を観測しよう
12月8日。夕方の空を見上げると,上弦近くの月が南の空に輝いています。土星は一等星の明るさがあるはずですが,月のすぐそばにいるため目を凝らしてなんとか見えるという感じです。
まずカメラに望遠レンズをつけて撮ってみましょうか。
うん,月の左上に,確かに土星がいるのがわかりますね。
それでは望遠鏡をセットします。
用いたのは11 cm反射望遠鏡。これを使って土星食の写真を撮りたいと思います。
望遠鏡の接眼部にスマホを押し当てて撮る,簡単なコリメート撮影です。
撮影方法はこちら↓
土星の潜入を待ちながら
望遠鏡で月を追いながら,土星が接近してくる様子を眺めます。
望遠鏡の視野の中で,土星が月に近づいてくる様子がよくわかります。土星が月の背後に隠れる,「潜入」はもうすぐですね。
土星の潜入は観測地点によって異なりますが,東京では18時19分と計算されています。
この写真は18時10分。潜入9分前ですが,土星はまだけっこう月から離れていますかね。
上空の気流がきついせいか,それとも望遠鏡を外に出して間もないため鏡筒内の気流が安定していないせいか,視野の中で月と土星が陽炎のようにユラユラと揺れます。写真でも月のエッジや土星の形が安定していませんね。
潜入まであと2分となりました。土星が月の縁にかかります。相変わらず気流は安定せず,土星の形ははっきり写っていませんが(眼視では土星のリングもよく見えているんですけどね)。
18時20分になりました。潜入の予定時間をすぎて,土星は完全に月の後ろに隠れたようです。まあこれはただの月の写真ですね(汗)。
土星の出現を観測する
土星を背後に隠した月を,藤原道長になった気分で眺めます。待つこと40分と少し。
19時1分過ぎ,土星が月から出てきました!右上の方にピョコッと土星の輪が姿を表しているのがわかるでしょうか?
ちょっとわかりにくいですかね。土星のあたりをアップにしてみましょう。あまりシャープではないのですが。
さらに1分。月の縁から,土星のほぼ全体が姿を現しました。よっ,久しぶりだなっ!
さらに4分後の19時6分過ぎ。土星はみるみるうちに月から離れていきます。その早さにちょっと驚きます。
出現から14分後の19時16分くらい。土星は月からこんなに離れました。
望遠鏡の視野に月と土星の両方を捉えることが難しくなってきたので,このあたりで撮影はおしまいです。
それはそうと,この写真が一番 土星の形がはっきり写ってるかな。鏡筒内の気流が安定してきたのと,操作に慣れて望遠鏡をぶらす事なく撮影できたからでしょう。
トリミングして拡大してみましょうか。月から離れていく土星の姿をどうぞ。
まるで月の上空に,土星が浮かんでいるみたい。月と土星の大きさに,見かけ上かなり差があることがわかります。
また不思議な宇宙の奥行きも感じます。
現在,土星の輪はかなり横からの角度で,細く見えていますね。
それでは撤収する前に,もう一度カメラで月と土星を撮っておきましょう↑。望遠鏡を覗いていたのは1時間とちょっと。なかなか楽しい観測でした。
おわりに
ちょっと珍しい土星食。次回は2ヶ月後の2月1日にも起こるようですが,白昼のため観測は難しそうです。暗くなってから起こる土星食,次回は13年後,2037年とのこと。
その時ものんびり観測できるかなあ。
おまけ
土星食に先立つこと3日,12月5日の夕空で三日月と金星が接近しました(食には至らず)。写真を一枚だけ載せておこうかな (^◡^)。
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この望遠鏡,かなり安価だけどどうなんでしょ?