背負い心地のよいバックパックが欲しい
昨年から登山装備の見直しを進めています。古いものが多いので,装備を更新しながら軽量化も図りたいんですよね。バックパック(ザック)もその対象の一つ。
ザックは,テント泊用にモンベルのゼロポイント70 L ,日帰り用にグレゴリーの Zulu 30を使ってきました。今回買いかえたのは,テント泊用のザックです。
これまで使ってきた,モンベルのゼロポイント・エクスペディションパック。70 Lクラスとしては軽い方なんですが(1720 g),背中へのフィットが今ひとつで,左右に振られることがよくあったんですよね。
前に奥穂高岳を下っていた時,例の垂直梯子のところで,背中のザックがズリッ!と動いたことがありまして。幸いそれでバランスを崩すことはなかったんですが,ちょっと焦りました。
それでもう少し背中にフィットして背負い心地の良いザックが欲しかったんです。そしてザック自体が軽ければさらにヨシ!ということで。
ULスタイルのザックはひとまず除外
さて,「軽いザックがいい」ということだと,最近はウルトラライト (UL) トレッキング用のバックパックがいくつか出ています。有名どころでは「山と道」のザックとか。
山と道 One は 50–55 L で603–823 g。今までのザックに比べて 1 kg くらい軽いですね*1。
こういうバックパックに対する憧れもあるんですが,自分は「軽量化したい」と言いながらも余計なものも持っていくことが多いんですよね。カメラ三脚とか,赤道儀とか。
またテントも通常のダブルウォールを使っていることなど,いろんな装備がUL仕様ではありません。
だから UL スタイルのザックは合わないような気がするんです。軽く作られている代わりに,いろんな機能が削ぎ落とされていますからね。
それで「UL」はひとまず除外して考えます。
*1 それに「山と道・One」はちょっとお高いんですよね…
比較検討の末,オスプレー・ケストレルを選びました
候補はオスプレーのケストレルとレヴィティ
装備の軽量化の過程で,バーナーやシュラフなどの装備が随分コンパクトになりました。またレインウェアを GoreTex 製のものに変えたので,ウインドシェルなど省略できるものもかなりあります。
だからザックは今までよりもひと回り小さいものでよさそうです。
そこで,50 L前後のザックを中心に探してみることにしました。
第一候補だったのはオスプレー・ケストレル48。小屋泊からテント泊まで使える,定番のザックですね。オスプレーのザックは,以前から使ってみたかったんです。
そして比較対象として迷ったのが,同じオスプレーのレヴィティ45。これはオスプレーが出しているウルトラライトザックで,重量は 820 g!(Mサイズ)…さっき「UL スタイルは自分には合わない」と言っておきながら,まだ気になっていたんですね(笑)。
でも…。レヴィティはやっぱり自分のスタイルに合わなそうです。45 Lという容量はともかく,推奨パッキングウエイトが 9 kg までというのはちょっと厳しい。
カメラやら三脚やら赤道儀やら持っていきますからね…。
オスプレー本家の動画でも,「レヴィティに合うのは,テントはツェルトや軽量シェルター,バーナーはアルコールストーブを持っていく人で,ベースウエイトが4.5 kg」なんて言っているし。
他の装備が普通なのにザックだけULにしても,「背負い心地の悪いザックで長時間歩く」という最悪の結果になりかねません。
そんなわけで,ケストレル48に決めました。これでも以前のザックよりは 160 g 軽いし,背負い心地(バランス)も良さそうです。きっと快適になるでしょう。
グレゴリーのパラゴン48も比較してみました
ケストレル48と同じクラスだと,グレゴリーからパラゴン48というザックも出ています。グレゴリーのザックの背負い心地の良さは定評のあるところ。
でも山の店で背負い比べてみましたが,特にケストレルとの差は感じません(ケストレルの背負い心地も素晴らしい)。お値段も考えてケストレルに決定で変わらずです!
ケストレル48 ざっくりレビュー
それではケストレルの特徴を簡単にレビューしてみます。
背中のメッシュが群れを防止し,フィット感も向上
まず背負い心地に直結する,背中の部分。ここにはメッシュが張られていて,ザックのフレームと背中が密着しないようになっています。名付けて「Air Scape」。空気の逃げ道を作ることで,背中が蒸れにくくなっているんですね。
またこのメッシュが背中の形状に合わせてフィットし,吸い付くような背負い心地が実現されています*2。とてもいい感じですよ。
*2 関係ないけど,座面がメッシュの椅子がありますよね。あれの座り心地がいいのを思い出しました
本体は一気室と二気室の切り替え
ザック本体は,1気室と2気室の切り替え式です。2気室で使えるのは,縦走の時大変便利です。
朝テントを撤収する時,テントの中で上部に全てをパッキングし,そのあと外に出てテントを下部に入れることができます。
一気室だと,荷物を一旦全部外に出して,テントをたたんだ後ザックの下の方に詰めて,それから他のものをパッキング…みたいなことが必要だったんですよね。これ,めんどくさいんですよ。雨の日なんか特に。
サイドのファスナーから内部にアクセスできる
本体サイドにはファスナーがついていて,ここをガバッと開けて内部にアクセスすることができます。レインウエアなどを素早く取り出したい時に便利です。
モンベルゼロポイントにもサイドファスナーがあったんですが,開口部が小さくて,あまり使わなかったな…。
背面には大型のポケット,ウエストベルトには小型ポケットx2
背面には大型のポケットがついています。ストラップを調節することで,ここは容量をかなり広げることができます。
脱いだレインウェアやウインドシェルを,一時的に入れておいたり,いろいろ便利に使えそうですね。
またウエストベルトには小型のポケットが左右に1つずつ。スマホやコンパス,または行動食などを入れて歩くのに便利です。
サイドポケットやピッケルループなど,いろんなものを付けられる
サイドには深めのポケット(左側のみ)と浅めのポケット(両側)が付いています。ここにトレッキングポールや三脚,または水のボトルなどを入れておけますね。
水といえば,もちろんハイドレーションにも対応しています。僕自身は,ハイドレーションは最近使っていませんが(手入れが面倒で…)。
下の方にはピッケルループや,スリーピングマットを付けられるストラップなどがあります。個人的には,マットを外付けにするのは好きではありませんが(エアマットをザックの中にしまっています)。
トレッキングポールを固定できる「ストウオンザゴー」
ケストレルには,サックを下ろすことなくトレッキングポールを一時的に固定できるストラップがついています。オスプレーではこれを「ストウオンザゴー」と呼んでいるみたい。
岩場が断続的に出てくるような縦走路で,素早くストックを固定して,両手をあけることができますね。
レインカバーが付いています
ボトムには小さなポケットがあって,ここを開けるとレインカバーが入っています。
レインカバーが最初からついているのはうれしいですね。サイズがぴったりだし,別に買うのはバカにならない出費ですからね。
細かい工夫もそこここに
ケストレルには,他にも細かい工夫がいくつか施されています。
チェストストラップのバックルがホイッスルになっています。緊急時の呼子笛として使えますね。滅多に使わないものを,別に持ち運ばなくていいのは合理的だと思います。
ちなみに僕自身がこれまでにホイッスルを使ったのは一回。沢を渡る際,他のメンバーと合図を取り合った時ですね。
また各所のポケットのファスナーには大きめのリングがついていて,指をかけやすくなっています。すでに荷物の出し入れを何度か行いましたが,地味に便利ですよ。
トップリッドは固定式
このザックは,トップリッド(雨蓋)が固定式です。荷物が増えた時に雨蓋をずらして容量を増やすということができないんですね。「48 L ったら 48 L!」ってことです。
そこが注意点といえば注意点でしょうか。
僕自身は,これで装備が入り切るように取捨選択して,荷物をいたずらに増やさないための目安にしようと思っています。それでも入り切らない時はモンベルの70 Lザックを使うことにしようかな。
背負ってみます
それでは背負ってみましょう。さっきも書いたけど,背中に吸い付くような背負い心地。少しくらいなら,体を左右に傾けたり振ったりしても,ザックが振られることなく安定しています。
これで岩場などもバランス良く歩けるんじゃないかと期待しています。
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