
秋も深まって,各地で紅葉が見頃になってきました。ここ福島もちょうどもみじが見頃を迎えています。
福島の紅葉スポットはいろいろあるんですが,イチオシは「文知摺観音」(もちずり観音)。市内から近いし,歌枕の地として,古くからいろんな文人がここを訪ねては歌を読んでいます。
みちのくの しのぶもちずり 誰ゆえに
乱れそめにし われならなくに(陸奥で織られる「しのぶもぢずり」の摺り衣の模様のように、乱れる私の心。いったい誰のせいでしょう。私のせいではないのに(あなたのせいですよ))
百人一首・第14番 河原左大臣
「しのぶもぢずり」は現在の福島県信夫地方で作られていた、乱れ模様の絹衣のこと。摺り衣は忍草の汁を、模様のある石の上にかぶせた布に擦りつけて染める技法だったようです。
絹糸の集積地として発展した福島市の古い時代を偲ぶことができる,美しい歌だと思います。
そんな文知摺観音が好きすぎて,何度目かの訪問をしてきました。
秋晴れの文知摺観音
文知摺観音普門院は,市の中心部から車で15分くらい。公共交通の場合,福島駅東口のバス乗り場3番から「掛田行き」に乗って約20分,「文知摺」で下車。そこから徒歩5分です。
お寺に着くと,最初にご対面するのがこの鐘撞堂。ここでたちまち静かな雰囲気に包まれるのが不思議です。

落ち葉が積もった参道は,もみじのトンネルです。ここを歩くのは,とても気持ちがいいですよ。

境内には松尾芭蕉の歌碑や正岡子規の歌碑,そして古い歴史のロマンを秘めた「もちずり石」などがあります。
そんな中,僕も静かに境内を歩きます。今年の夏はめちゃくちゃ暑かったけど,それでもこうして秋はやってくるんですね。いろんなところにクマさんも来ちゃってるけど。

参道を進むと左手のやや高いところに小さなお堂があります。お堂が紅葉に包まれる様子はとても素晴らしい。すごくきれいです。

とても雰囲気が良いので,縦構図でも一枚。
境内を歩くほどに,気持ちも静かになってきます。This is the 秋にふさわしい atomonphere(ルー語)。

このお堂が本堂になるのかな。木漏れ日の中に建つ姿が,ちょっとかわいい。
その本堂も紅葉に染まってますな。

本堂は少し高いところに建っていて,ここから参道を見下ろすと赤,黄色,緑。それは見事な彩りです。

まるでもみじのアーチを潜るようにして,お参りする人がいます。とは言ってもポツリポツリ。静かな境内が,赤くなった葉擦れの音に包まれるのは,いいものですね。

人肌石と多宝塔
本堂の脇に「人肌石」があります。丸くて抱きつくと気持ちよさそうな石です。本当に抱きつくとヤバいやつだけど。

この石は人肌のような温もりを持つとされていて,墨客・小川芋銭はここを二度訪れて歌を詠んだんだとか。
若緑志のぶの立により見れば
人肌石は雨にぬれいつ
若緑…新緑の頃にもここを訪ねてみたいものですね。
それではその横の石段を登っていきましょう。石段の上には,多宝塔があるんです。

これは日本最北の多宝塔なんだとか。そういえば北海道や岩手でこんな塔を見たことはないなあ。

うろこ雲の,いかにも秋らしい空を背景に,多宝塔が建っています。その周りの木々も紅葉。美しい光景ですなあ。これぞ日本の秋…なんていう言い方は,かえって俗っぽいですかね。
それにしても見事な紅葉。秋真っ盛りです。ここにはとりあえずクマさんが出ていないので気持ちも穏やかです(苦笑)。

多宝塔の前から,本堂を見下ろしてみるとこんな眺め。お寺全体がもみじに包まれていることがよくわかります。

再び鐘撞堂に出て帰路に着きます
本当にきれいなお寺。心いやされます。秋を堪能したら帰路に着きましょう。参道を歩いて,再び鐘撞堂のところに出ます。

ここは夕焼けの頃もきれいそうですね。また来たいと思います。
おわりに
福島市市街地から程近いところのプチ紅葉狩り。静かな雰囲気と古くから歌に詠まれたロマンを秘めた文知摺観音へぜひどうぞ。

お寺に伝わる悲恋の物語や,数々の歌について調べてみるのも面白いですよ。
3年前に文知摺観音を訪ねた時のお話はこちら
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