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月と木星,土星の接近を撮影してみました!(過去の月と金星の接近の写真も)

天球と黄道,白道

地球は太陽の周りを公転していますが,地球から見ると,太陽が私たちの周りを回っているように見えます(地球が自転しているから太陽が一日一回転するという話ではなく,公転に関する話です)。

地球から見た空を球体と見立てた時,その球を「天球」と呼ぶのですが,天球上で太陽の通り道は決まっています。この「太陽の通り道」を黄道と呼び,太陽は黄道上を一年かけて一周します(地球を中心に宇宙を見たとき,そう見えるということです)。

また地球の地軸が傾いているので,黄道は天の赤道に対して約23.5°傾いています。夏の太陽は空の高い位置に輝き,冬の太陽が低いのはこのためですね。

天球と黄道

緑色の線で描かれている"ecliptic"が黄道。出典:wikipedia

天球には様々な星座があるのですが,黄道上にある星座=やぎ座,うお座,みずがめ座,おひつじ座,おうし座,ふたご座,かに座,しし座,おとめ座,てんびん座,さそり座,いて座を「黄道12星座」と呼びます。例えば6月上旬の現在,太陽はふたご座にいます(余談ですが,だからこの時期の誕生星座はふたご座なのです)。ですので,この季節の夜中には,天球上でふたご座の反対側にあるさそり座やいて座がよく見えることになります。

地球とその他の惑星たち(金星,火星,木星,土星…)は太陽を中心として,ほぼ同一平面上を円軌道(厳密には円に近い楕円軌道)で回っています。だから地球から見ると,惑星もおおよそ黄道上を運動するように見えます。ただ,それぞれの惑星が動く速さは違うので,地球から見ると様々な惑星が黄道上で近づいたり離れたり,追いついたり追い越されたり…といったことが起こります。

月の動きもこれとよく似ています。ただし月が地球を回る軌道は,地球の公転平面からわずかにずれているため,天球上で月が通る道筋––これを白道と呼びます––は,黄道と5°ほどずれています。でもまあ大雑把に見れば,太陽と惑星と月は,空を同じような道すじで動くと見ることができます

その結果何が起こるかというと,ときどき月と惑星が接近して見える時があるのです。惑星の中でも金星,火星,木星,土星はかなり明るいですから,月と接近するとなかなか美しい光景になります。

2020年6月8日 月と木星,土星の接近が見られました

前置きが長くなりましたが,昨晩月がやぎ座で木星,土星と接近しました。僕の家は東京都内なので星空を見るには厳しい条件なのですが,月や惑星なら明るいのでよく見えます。折しもよく晴れていたので,ベランダに三脚を立てて,この天体ショーを撮影してみました。

夜半近く,ベランダに出てみると月が煌々と輝いており,そのすぐ近くで木星が明るい光を放っています。さらに少し左側に目を移すと,土星も光っています。さっそくカメラに望遠ズームレンズをつけ,三脚を立ててカメラを乗せました。

とはいえ,3つの天体の明るさはかなり違います。土星がちゃんと写るように撮影すると,一番明るい月は真っ白に飛んでしまいます。月の表面の模様(うさぎさん)も美しいですから,これもちゃんと写したいですね。

それで–2, 0, +2 EVのブラケット撮影をして,三枚の写真で露出ブレンドをしてみました。その結果得られた写真がこちら↓

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月と木星,土星の接近

月と木星,土星の接近。APS-C 144 mm(換算 216 mm)の写野に入るくらいに近づいています

こういう光景を見ると,私たちのいる地球も太陽系の一員で,他の惑星とともに太陽の周りを回っているということがイメージされ,壮大な気分になります。

月だけのアップも撮ってみました

ついでなので (?),月だけ目一杯ズームしてアップで撮ってみることもしました。これまでは月を撮るときには天体望郷+スマホの組み合わせで撮影することが多かったのですが,最近はα6400 の「超高画素改造ズーム」機能を使って撮ることが多くなりました。↓ これです。

月アップ

月アップ。月齢16.9くらい

望遠ズームレンズ SEL55210 +超高画素改造ズームの組み合わせによって,最大で換算630 mm相当まで寄ることができ,月の表面もかなり写し出すことができます。α6400 を使い始めた頃は超高画素改造ズームって画質・解像感はどうなんだろうと思っていたのですが,何度か使ってみて,「けっこう使えるな,これ」という実感を持っています。欠けぎわのクレーターもけっこう写ってるでしょ?

完全に余談ですが,もっと長焦点の望遠レンズ,例えば昨年発表された SEL70350G なんかがあったらもっと精細に撮れるかなあ…と欲しくなりますね(鳥を撮るときなんかもいいですね)。TAMRONさんあたり,APS-C Eマウント用の互換レンズをいっぱい出してくれないかなあ… (^ ^;)

以前撮った月と金星

今回は月と木星,土星の接近でしたが,月は他にも金星や水星,火星などとも接近することがあります。ついでなので,以前撮った月と金星の写真も載せておこうかなと思います。

これは2014年2月の月と金星の接近です(随分前ですね ^^;)。

月と金星の接近 2014年2月

まるでトルコ国旗から,星が散歩に繰り出したかのような光景です (^ ^)

金星は内惑星なので,月に接近するときはいつも三日月です。それに金星はとても明るく,露出ブレンドなどしなくてもしなくていいので撮影は楽ですね。

もう一つ,2017年1月の月と金星。この時はかなり接近していたので,まるで金星が「月のしずく」のようです。地球照も写っていますね。

月のしずく

月のしずく…金星

地上景と一緒に写すとこんな感じ。美しいですよ。

月と金星の接近

月と金星の接近 2017年1月

今年の3月くらい(だったかな?)にも月と金星の接近があったんですが,夕飯の準備に忙しくて撮影できませんでした(笑)

 

おわりに

月と惑星の接近は,都市部でもみることができる天体ショーです。こんな光景を見て宇宙に想いを馳せると,いい気分転換にもなりますよ。皆さんもぜひご覧ください。

 

2020年12月の,木星と土星の超接近の写真はこちら↓

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