前記事「カシオペアとアンドロメダ銀河––南伊豆で Deep Sky の撮影にトライ!」の続きです。
オリオンをちゃんと撮ってみよう
冬の星空の主役は,なんといってもオリオン座ですよね。星景写真を撮るときでも,冬はどうしたってオリオンを主役にした構図になってしまいます。
でも考えてみると,オリオン座をちゃんと(長い露光時間で)撮ったことって今までなかったなあ。
オリオン座は1等星2個(ベテルギウスとリゲル),2等星5個(ベラトリクス,アルニタク,アルニラム,ミンタカ,サイフ)を含む見事な星座ですが,それだけでなく数多くの散光星雲も含んでいます。
オリオン大星雲M42だけではありません。馬頭星雲,燃える木星雲,ウルトラマンの故郷M78星雲,*1 さらにバーナードループ,エンゼルフィッシュ星雲。見応え(撮りごたえ)のある星雲がたくさんあるのです。
これらの星雲を写し出すには赤道儀で追尾しながら長時間露光する必要があります。*2
南伊豆でそんな撮影にトライしてきたという話です。
*1 正確にはM78星雲は散光星雲ではなく,反射星雲です
*2 赤い散光星雲を写すには天体撮影用に改造したカメラを使うといいのですが,持っていないのでがんばってノーマルカメラで撮ります
昇るオリオンと冬の大三角
12月上旬の午後11時頃。東の空からオリオン座が昇ってきています。まずこれを撮っておきましょうか。
あとで新星景方式の画像処理をしたいので,地上景を撮るために赤道儀を止めて数コマ(露出長め),次に低空を撮るために追尾フレームと同じ露光時間で数コマ,続いて赤道儀を動かしながらソフトフィルターを付けて数コマ,さらにフィルターを外して十数コマ…の予定だったんですが,ソフトフィルターを付けて撮り始めたところで空に雲が広がり始めました。フィルターなしのカットは撮れず。
うわわわ。ソフトフィルターを付けたコマだけだと星がボッテリしすぎてちょっと見苦しい。
うーん残念だけど仕方がないですね。天気にはかなわん。
このあと長時間露光でオリオン座をちゃんと撮りたいんですけどね…。
3時過ぎから長時間露光でオリオン座を撮影
スマホでSCW気象予報を観ると,3時をすぎると再び晴れてくる様子。それで仮眠を撮ったあと,また海岸に出てみました。うん,小さな雲が流れてはいるけど,晴れ間が広がっています。
すでに冬の星座は南中を過ぎてオリオンも西に傾いていますが,がんばって撮ってみました。
12月5日 3:40–4:20くらい:α6400, Sony 35 mm F1.8 → F2.5, 85秒, 22枚スタック(うち6枚はソフトフィルター使用,他の16枚はスターリーナイトフィルター使用),総露光時間 約31分
突っ込みどころがありまくりですが,バーナードループとエンゼルフィッシュ星雲を何とかあぶりだすことができました。
バーナードループはその名の通り,三つ星を取り囲むループ状の星雲。エンゼルフィッシュ星雲はオリオンの頭のところにある,淡くて大きな星雲です。これ,よく見るとちゃんと眼もあって,右を向いたエンゼルフィッシュの形が見えてきます…よね?
またアルニタク(三つ星の一番左)の近くに赤く見えているのが馬頭星雲と燃える木星雲です。
これらの星雲が写ると,オリオン座はいっそうにぎやかですね。
撮影時にはすでにオリオン座の高度が結構低くなっていたので,街明かりによる被りがかなりあり,カブリ補正に難儀しました。それを考慮に入れても画像処理はまだまだ修行が必要です。
またソフトフィルターを使ったコマの数が多すぎるかも。星雲を強調したら輝星の滲みも大きく出過ぎたようです。
このあたりを含めて改善点はたくさんあります。またチャンスがあればトライしてみようと思います。総露光時間ももっと長くとりたいところですね。
おわりに
アンドロメダ銀河に続いて,以前から撮りたかった「ちゃんとしたオリオン」。アラはまだ多いけど,今の僕の腕ではこれくらいです。まあ,改善点を含めてこれも「中くらい満足」かな。地上景を絡めた星景写真で,バーナードループを出す…なんてのも撮ってみたいですね。
今回 実はもう一つ,カリフォルニア星雲も撮影したんですが,これは大失敗(どんな失敗をしたかは秘密)。また機会を作ってチャレンジしたいと思います。この冬の間にチャンスはあるかな?…星空は逃げないけど,撮影するには新月期と休日と快晴が重なる必要があるので,意外にチャンスは少ないのです。
また星を撮りに行ったらよく晴れるように,日頃の行いを良くしておこうと思います (^ ^;)
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