冬は野鳥の季節。木々の葉が落ちて,枝から枝へ飛び回る鳥たちが観察しやすくなります。シジュウカラとヤマガラは一年を通して出会える野鳥ですが,冬の方が見やすいのは確かです。
シジュウカラ
身近なシジュウカラ
シジュウカラは森の中,町なか,いろんなところでよく見かけます。珍しくはないけど,とてもきれいな鳥だと思います。白いほっぺ,胸のネクタイのような模様,そして抹茶色の背中。
でもシジュウカラは警戒心が強くて,なかなか写真をうまく撮れません(個人的には一番難しいと思っています)。
高い木の上にいることが多いし,見つけてもすぐにこちらに気づくのか,あっちに飛んで行ってしまうし。
すごくかわいいんですけどね…。
シジュウカラのさえずりは「文章」を伝えている?
シジュウカラで特徴的なのは,そのさえずりです。「ツピー,ツピー,ツピー!ジジジジ」という,体のサイズに似合わぬ大きな声が響き渡るので,シジュウカラがいるときはすぐにわかります。
シジュウカラは何種類かのさえずりを組み合わせて「文章」を作り,それを仲間どうしで伝え合っていることがわかっています。今までにわかっている,シジュウカラの「文章」は,170種類に上るんだとか。
あのきれいな「ツピー,ツピー!」という声は,「警戒しろ」という意味で,「ジジジジ」という地鳴きは「集まれー!」という意味なんだとか。だから「ツピー,ツピー!ジジジジ」は「警戒しながら集まれー!」という意味の文章になっているとのことです。
また天敵が現れたとき,相手が猛禽類なのか,カラスなのか,それともヘビなのかもちゃんと区別して伝えているそうです。
さらに幼鳥の「お腹がすいたよー!」というさえずりに親鳥が「わかったよー!」と答えていたり。
賢い鳥なんですねー。
なかなか近くで写真を撮れないのも,仲間内で警戒信号を伝え合って,早めに退避しているからなんでしょうか?
シジュウカラは,普段あまり大きな群れでは見かけないような気がします。実はこの鳥の群れは,多くの場合お互いの距離が10 m –20 m も離れているまばらなものなんだそうです。だから音(文章)でミュニケーションを取るようになったんでしょうかね。
こんなことを知ると,シジュウカラにはますます興味津々です。
ヤマガラ
オレンジ色のヤマガラ
ヤマガラはその名の通り山の上でも見かけますが,町なかでもけっこう出会います。
シジュウカラは背中の抹茶色がワンポイントなのに対して,ヤマガラはオレンジ色の体。
そしてヤマガラの顔は左右の白い部分が繋がっていて,角度によっては,なんだかお人よしのようにも見えます(笑)。
ヤマガラは人に懐く?
そんな顔から受ける印象通り,ヤマガラはおっとりしているのか,割と近くまで寄ってきたりします。この辺り,シジュウカラと同じ仲間なのに対照的。出会う機会はシジュウカラよりも少ないですが,写真は撮りやすいですね。
ところで日本では,ヤマガラが古くから飼育され,芸を仕込むことが行われていたようです。江戸時代以降はおみくじを引かせる芸が流行し,神社の境内などでよく行われていたとか。
お賽銭を渡すとおじさんがかごを開け、小鳥にお賽銭を渡す。すると小鳥が小さな参道をちょんちょんと進んでいき、賽銭箱に小銭を落としてから鈴をガラガラと鳴らす。さらに階段を上ってお宮の扉を開き、中からおみくじを取りだして持ち帰る。そしておみくじの封を開けておじさんに渡し、麻の実をもらってからかごに戻る
おみくじ引き以外にも,「輪くぐり」,「かるた取り」,そして「那須の与一(飛んで行って扇を落とすのかな?)」なども行われていたんだそうです。
最近は自然保護などの観点からこのような芸は姿を消していますが,かわいかったでしょうね。ヤマガラも賢い鳥なんですね。
またヤマガラは賢いだけでなく人懐っこさも持ち合わせているようで,人慣れした個体もよくいるようです。
以前奥多摩の大岳山に登ったとき,頂上でたくさんのヤマガラが登山者に近づいて,食べ物をもらっていました。また都内でも人慣れしたヤマガラが餌をもらっているという話も聞きます。
個人的には野鳥を餌付けするのはどうかとも思いますが,そういう性質も,ヤマガラの賢さの現れの一つなんでしょうね。
まとめ
シジュウカラとヤマガラはどちらもスズメ目シジュウカラ科。カラ類には,他にコガラ,ヒガラ,ゴジュウカラもいます。またエナガをカラ類に含めることもあるようです。
身近で可愛くて,その上賢いカラ類。冬だけじゃなくて,暖かくなってからも観察してみたいものです。
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