昨年末にタムロンからAPS-C用標準ズーム,17–70 mm F2.8(Di III-A VC RXD Model B070)が発表され,先月から発売になっています。半年前にSONY純正の16–70 mm F4の標準ズーム(SEL16–70Z)を買ったα6400ユーザーとしては,このレンズが気になるという話です。
- Model B070ってこんなレンズ
- 今使っているSEL1670Zと比較してどう?
- 開放F値2.8は魅力
- 写りはどうでしょう
- 寄れる!
- 気になるところはワイド端の焦点距離と重さ
- で,結局どうするの?
- おわりに
Model B070ってこんなレンズ
発売になったタムロンのレンズは,ズーム域が17–70 mm(フルサイズ換算25.5–105 mm),開放F値は2.8通し,いわゆる「大三元」レンズの一つですね(APS-Cミラーレスカメラの大三元ズームってあんまりないのでは?)。しかもレンズ内手ぶれ補正付きです。とても使いやすそうですね。ほぼほぼなんでも撮れるレンズだと思ってよさそうです。
今使っているSEL1670Zと比較してどう?
いまα6400の標準ズームレンズとして,ソニーのVario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS(SEL1670Z)を使っています。焦点距離が16–70 mm(フルサイズ換算24–105 mm),F4通しのレンズです。
使ってみるとこのズーム域(フルサイズ換算24–105 mm)って絶妙なんですよね。風景から道端の花まで,なんでもそつなくこなすことができる焦点距離だと思います。登山の時には(星を撮る時をのぞいて)これ一本でこなせて,とても便利です。
タムロンの Di III-A VC RXD は,SEL1670Zとズーム範囲がほぼ同じ17–70 mmで,開放F値が一段明るいF2.8。スペックだけ見ると上位互換です。しかも価格はほとんど同じ。これは気にならないはずがありません。
比較のために表にしてみましょう。
Sony SEL1670Z | Tamron Di III-A VC RXD | |
焦点距離 | 16–70 mm | 17–70 mm |
開放F値 | 4 | 2.8 |
手ぶれ補正 | あり | あり |
最短撮影距離 | 35 cm | 19 cm |
サイズ | 67 x 75 mm | 75 x 119 mm |
重さ | 308 g | 525 mm |
フィルター径 | 55 mm | 67 mm |
絞り羽根 | 7枚 | 9枚 |
価格 | 80,000 円前後 | 84,000 円くらい |
ふむふむ,やっぱりF2.8が光りますね!
ズーム域はSEL1670Zの方が広角端で1 mm広く,また200 gくらい軽い。最短撮影距離はタムロンの方が寄れます。
開放F値2.8は魅力
タムロン Di III-A の開放F値は2.8。この明るさは魅力です。
まず,背景を大きくボカすことができそう。ソニーのSEL1670Z(開放F値 4)でも,テレ側を使えばかなりボケます。これがさらに一段明るくなると,表現の幅が広がりそうです。
また何より星空の撮影にも使えそうなのが魅力です。F4でも赤道儀に乗せて長めの露光時間で追尾撮影すればなんとかなりますが,固定撮影だとけっこう厳しいんですよね。F2.8なら固定撮影でもそれなりに行けますし,追尾撮影でも撮影がやりやすくなります。
写りはどうでしょう
写りはどうでしょう。今使っているソニーのSEL1670Zを基準に考えてみましょう。
SEL1670Zの写りは,一言でいうと「安心して使える写り」という感じでしょうか。安定した写りで満足していますが,「パキパキに解像する」という感じではありません(このレンズに賛否両論あるのは,この辺りが原因なのかな?)。一方,色乗りはよく,ボケも柔らかくきれいです。
一方,このサイトやこのサイトを見ると,タムロンの新レンズはなかなかシャープな写りをするようです。一方,ボケはあまりきれいではないという指摘があるみたいですね。
これはSEL1670Zと逆の傾向でしょうか。シャープに解像するのは素直に魅力ですね。
寄れる!
タムロンのレンズはとても寄れるみたいです。広角端における最短撮影距離は驚異の19 cm。SEL1670Zの最短撮影距離は35 cmで,これで不便を感じたことはあまりないのですが,19 cmまで寄れると,今までやったことのないアプローチもできそうです。
気になるところはワイド端の焦点距離と重さ
気になるのは,ワイド端が17 mmなことでしょうか。んー,できれば16 mmだとよかったなあ。景色を撮る時(特に登山の時)はやっぱり換算24 mmが欲しいんですよね。広角側の1 mmは結構大きいですからね。今使ってるSEL1670Zを選ぶときにも,比較対象だったレンズのうち18 mmスタートのレンズは真っ先に除外しましたし。
さっき「F2.8なら星を撮るときにいい」と書きましたが,星景写真だとなおさら広い画角が欲しいんですよね…。
タムロンのレンズは「ズーム範囲をちょっと狭くして,コンパクトに作ってる」という印象ですが,このレンズもそういう流れなんでしょうかね。
もう一つ気になるのはその重さですね。このスペックで525 gは軽量な方だと思いますが,それでもSEL1670Z に比べると200 gちょっと重いですね。これが普段使いや登山の時にどう効いてくるかです。もっとも,この点はタムロンが重いというよりSEL1670Z のコンパクトさが優秀だとみるべきかもしれません。
で,結局どうするの?
そんなわけで,とても気になるタムロンの標準ズームですが,こちらに乗り換えるということは,今のところないかな。SEL1670Zはツァイスマークのバッジがかっこいいし(笑)。でも,もしタムロンの広角端が16 mmだったら考えたと思いますが。
「山に登って風景と星空を撮る」ことを考えた場合,現在のように16–70 mm F4 +SAMYANGの 12 mm F2 単焦点を持っていくのと,タムロン 17–70 mm F2.8 一本を持っていくのと,どっちがいいでしょう?トータルの重さは同じくらいです(サムヤンの12 mmは245 g)。場合によるでしょうが,前者の方がいいような気がするんですよねえ…。
もしタムロンのレンズがSEL1670Zを買う前に出ていたら…どっちを選んだでしょう。もしかしたらタムロンだったかもしれないですね。もし「どっちがオススメですか?」って人に聞かれたら…やっぱりタムロンかな(笑)
おわりに
…というわけで自分語りに終始した誰得な記事でしたが,この辺で。
SEL1670Zを使っていて,このレンズが気になってる人は,きっと僕以外にも多分たくさんいるでしょうね。
ところでタムロンさん,F2.8通しの標準ズームレンズを出したということは,これからEマウントのAPS-C用大三元レンズを揃えていくんでしょうか。もし広角ズームで10–18 mm F2.8とか出たら…それは欲しいかも。あとAPS-C用の軽量な超望遠レンズもお願いしたいところです (^ ^;)
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