冬は空気が澄んで星がきれいです。晴れた夜には空を見上げてみましょう。冬の星空は明るい星がたくさんあって,華やかですよ。
オリオンからスタートします
冬の星座の代表は,何といってもオリオン座。冬の星座探しは,オリオン座からスタートです!
オリオン座は,1等星2個と2等星5個を含む見事な星座です。星の並びもとても端正です。真ん中に並んだ三つ星とそれを取り囲む4つの星。左上の赤い一等星はベテルギウス,右下の青白い一等星はリゲル。昔の日本では,それぞれ平家星・源氏星と呼ばれていたんでしたっけ。
ベテルギウスは超巨星で,超新星爆発が間近いんじゃないかとも言われていますね。この星は600光年先にあって,私たちが見ているのは600年前の姿だから,実はもうすでに爆発している可能性もあるんですね。
子供が「ベテルギウスの他に爆発しそうな星ってある?」と聞く。「さそり座の心臓のところにあるアンタレスも赤くて古い星だよ」と言うと,息子10歳「さそりは天に召されたのに,その上に心臓が爆発しちゃったらかわいそうだね」。
— Sun太💉💉 (@SunSun_fine) December 14, 2014
空が暗いところなら,三つ星の下にもちょっと暗めの星が3つ縦に並んでいるのが見えるかもしれません。これは小三つ星と呼ばれますが,このうち真ん中は実は1個の星ではなく,オリオン大星雲M42です。天体望遠鏡で見ると,淡く広がったガス星雲を見ることができ,感動的です。オリオン大星雲は水素原子が集まって輝いている「散光星雲」で,新しい星が誕生しているところと考えられています。面白いですね!
おおいぬ座,こいぬ座と冬の大三角
おおいぬ座
オリオンの三つ星を左下に伸ばすと,青白く輝く,とても明るい星が見つかります。これはおおいぬ座の一等星,シリウス。
シリウスは全天で最も明るい恒星で,その光度は–1.5等!冬の澄んだ空にギラギラとまたたいていて,その輝きを見ると「冬が来たなあー!」って感じます。
おおいぬ座には,シリウスの他に4個の2等星があります。これらを線で結ぶと,どう猛な犬の輪郭が浮かび上がってきます。
こいぬ座
次にオリオン座のベテルギウスとシリウスを結び,その線を一辺とした正三角形を描いてみます。するとその頂点の位置にも明るい星が見つかります。こいぬ座の一等星,プロキオンです。
ベテルギウス,シリウス,プロキオンで形成される三角形は「冬の大三角」。どうしてこんなにきれいな正三角形が空にあるんだろう?って不思議です。
冬の大三角の中には,冬の天の川が流れています。夏に比べると淡いけど,空気の澄んだところに行くと見ることができます。
うさぎ座
おおいぬ座の右,オリオンの下にうさぎ座があります。小さい星座でそれほど明るい星はないのですが,星の並びがまさにかわいいウサギで,見つけやすい星座です。ここにいるウサギは,おおいぬに追いかけられているのかな?
カノープス
おおいぬ座の下の方に,3つの二等星,δ,ε,ηが三角形を作っています。δ星の頂点を三等分して,地平線の方に伸ばしていってみましょう(図1を見てね)。すると南側の地平線がひらけているところなら,地平線ギリギリのところに明るい星が見えるかもしれません。
これはりゅうこつ座のカノープス。全天で,シリウスに次いで2番目に明るい星なのですが,日本では低空にあるため,それほど明るく見えません。また東北地方よりも北では,この星は地平線よりも下に位置するため,全く見ることができません。
なかなか見えないことから,この星を見ると寿命が延びると古くから言われていて,「南極老人星」なんていう呼び名もあるようです。
南側がひらけているところに行ったら,ぜひカノープスを見つけてみましょう。10年くらい寿命が延びるかもしれませんよ。
おうし座とぎょしゃ座
おうし座
さっきは三つ星を左下に伸ばしてシリウスを見つけましたが,今度は逆に右上に伸ばしてみましょう。するとオレンジ色の明るい星が見つかります。これがおうし座の1等星,アルデバラン。
アルデバランの周りには,いくつかの星がVの形を作っています。これはヒアデス星団と呼ばれ,雄牛の顔にあたります。ヒアデスから左上の方に二本の長いツノが伸びているのもわかると思います。
また三つ星を右上に伸ばした線を,アルデバランからさらに伸ばすと,小さな星がごちゃっと固まっているところが見つかります。これはM45 プレアデス星団(すばる)です。空の暗いところでは,目のいい人なら数個の星を分離して見つけることができると思います。
ぎょしゃ座
次におうし座からさらに上の方を見上げてみます(天頂近くになるので仰け反りましょう)。するとおうしの右上の角,エルナト (Elnath) を含めて特徴的な五角形の星の並びが見えます。これがぎょしゃ座。五角形の右上にはひときわ明るい星が輝いています。これは一等星カペラ。
ぎょしゃ座は冬の天の川の中にあり,いくつかの星雲,星団を含んでいます。
ペルセウス座
ぎょしゃ座の右側にはペルセウス座があります。「ペルセウス座流星群」でよく耳にする星座ですが,どちらかというと秋の星座でしょうか。でもこの星座にはカリフォルニア星雲 (NGC1499) や二重星団h-χなど有名な天体が含まれています。
ふたご座
こいぬ座のプロキオンから目を上に向けると,同じくらいの明るさの星が二つ並んでいるのが目に入ります(また図1を見てね)。これはふたご座のカストルとポルックス。双子の兄弟です(ポルックスは一等星,カストルは1.58等でギリギリ二等星扱いですが,見た目には同じくらいの明るさに見えます)。
カストルとポルックスから左右対称に伸びた星の並びはまさに双子の兄弟。うまく並んでいるものです。この兄弟はその足を天の川に浸しており,カストルの足元には散開星団M35があります。
それからふたご座を語る上で忘れてはいけないのが「ふたご座流星群」ですね。毎年12月中旬に極大を迎え,条件が良ければ1時間に50個以上の流れ星を見ることができます。観測は寒いけどね。
冬のダイアモンド
さて,ここまででオリオン座,おおいぬ座,こいぬ座,おうし座,ぎょしゃ座,ふたご座が出揃いました。これらの星座に含まれる明るい星(一等星)を線で結んでみます(ベテルギウスは除きます)。
天頂近くのカペラから右回りにアルデバラン,リゲル,シリウス,プロキオン,ポルックス,そしてカペラに戻る…と,夜空に大きな六角形を描くことができます。これが「冬のダイアモンド」または「冬の大六角形」です。
オリオン座のベテルギウスは,この六角形の真ん中付近にあります。こんなアステリズムが作れるのも,冬の空が賑やかだからこそですね。
おわりに
冬の夜は寒いけど,冷え込むほどに空気が澄んで,星がきれいに見えるようになります。白い息を吐きながら,星空を見上げてみましょう。ステキな時間になりますよ。
またそれぞれの星座にまつわる神話があります。それを読むのも楽しいですね。
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