桜王国・福島県には「桜番付」なるものが存在し,毎年春に更新されています。
その番付で「横綱」に君臨する桜が3本あります。
1つはもちろん三春滝桜,もう一つは郡山市の紅枝垂地蔵桜。そして残る一つは,古殿町の越代の桜です。
今年の福島桜めぐり,最後に行ってきたのが越代の桜。この桜は林野庁によって「森の巨人百選」にも選定されている巨木です。
古殿町は県南部にあってアプローチがやや大変ですが,今年やっと訪ねることができました。
森の巨人・越代の桜に会いに行く
古殿町は福島県南部,阿武隈山系の標高300–500 mに広がっています。
越代の桜(こしだいの桜)はその森に立つ,ヤマザクラの大木。標高が高いところにあるため開花が遅く,福島の桜の中では最も遅くに花を咲かせます。
4月26日金曜日,古殿町に着いたのは朝早く。
うわ,でかい!さすがに「森の巨人百選」に選ばれただけのことはあります。
前々日の雨と前日の強風の影響もでかなり花が落ちていたけど,それでもまだ見応えがあります。
三春滝桜のような華やかさはないけど,スケール感では負けていないですね。滝桜は「女王」として,こちらはその通り「巨人」でいいでしょうか。
木の下に立って見上げると,この通り。花笠が視野に収まらないくらいに広がります。
樹齢400年。阿武隈山地の巨人は,こんな力強い幹から腕を広げて,森に佇んでいます。
朝日を浴びる越代の桜
最近,一本桜の周りに菜の花が植えられているところが増えましたね。色合いがとても良いと思います。
一方ここは,チューリップ畑が整えられています。これはめずらしい。かわいらしいチューリップと野生味溢れる越代の桜。なかなか面白い組み合わせだと思います。
越代の桜は,朝日を浴びて悠然と聳え立っています。あたりには小鳥の声が響くのみ。
桜が立っているのは,小高い丘の上。見上げると,桜の大きさと相まって,本当に高いんですよ。
桜の周りの遊歩道を歩きます。
この日は春らしい,ちょっぴり霞んだ青空。阿武隈山地で過ごす,静かな静かな春の朝です。
平日の朝早くだったこともあって,他に誰もいません。圧倒的な存在感を示す桜の周りを,何度も何度も歩きます。桜が語りかけてくる声が聞こえてくるようです。
これは立ち去りがたいですねえ。
おわりに
森の奥深く,悠然と聳える越代の桜。
この桜も花を落としつつあり,少しずつ葉が出てきています(ヤマザクラは花期が短く,一気に散ってしまうイメージがあります)。
そしてそれが春の始まりの合図であるかのように,周りの木々に若葉が茂り始めています。
阿武隈山地にも,いよいよ本格的な春がやってきました。
帰り道,古殿の道を走っていると,キジとかタヌキとかキツネが道路に出てきました。おとぎ話の世界みたいです。…でもタヌキくん,突然車の前に飛び出してくるのはやめてクレメンス。
これで今年の福島の桜めぐりはおしまいかな。とても楽しませてもらいました。大満足です!
つけたし:新田の大山桜と岩倉桜も訪ねましたが,花は終わっていました
越代の桜からもう少し奥に入ると,「新田の大山桜」があります。こちらも遅咲きの桜。
足を伸ばしてみたんですが,全然咲いていませんでした。
つぼみもないし葉っぱも出ていないので,まだこれからなのかな?と思ったんですけどね。どうやらこの桜は,花が終わってもすぐには葉が出てこないみたい。多分咲き終わりということかと思います。
周りのヤマザクラはちらほら咲いていたんですけどね。
また平田村の岩倉桜にも立ち寄ってみましたが,こちらも花は完全に終わっていました。
桜はすっかり青葉しげれる状態。でも期待以上に立派な樹だったので,来年以降再訪したいと思います。
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