三春町は街全体が丘陵地帯にあり,標高がやや高くなっています。そのため春の訪れが遅く,三つの春––すなわち梅・桃・桜––が一度にやってきます。
だから三春。
春になると三春では町中に花が咲き乱れ,それはそれは美しい光景になります。
そんな美しい町の南半分を歩いた記録です。「北半分」を歩いた前記事と合わせてお読みください。
福聚寺の桜
三春町の中心近く,後免町にある古刹,福聚寺。かつてこの地方を治めた,田村氏の菩提寺として知られています。
このお寺裏の,杉林を背景に立つベニシダレザクラが圧巻です。
わっさー!どうです,この枝垂れ具合。これぞしだれ桜!という姿。個人的に大好きな桜の一つです。
樹齢450年,滝桜の娘にあたる桜とも。手前のソメイヨシノとのコントラストもいいですね。
福聚寺は美しいお寺です。境内は,たくさんのソメイヨシノや枝垂れ桜に彩られています。お地蔵さんも桜に囲まれて気持ちよさそう。
春の川 渡れば
春の 人となる
僕も三春町内を流れる川(その名も桜川)を渡ってこのお寺にやってきました。「春の人」になれたかなあ。
それにしてもこの桜,夜中にわっさわっさと歩き出しそうです。迫力もあるし,妖艶さもあります。
福聚寺の桜はライトアップもされます。手前に境内のしだれ桜を入れて撮ってみました。
宵闇に浮かび上がるベニシダレザクラは,よりいっそう妖艶です。
法華寺の桜
福聚寺から近いところにある法華寺。ここの桜は福島県の「桜番付」で福聚寺よりも上にあり,以前から気になっていました。
んー。三春町のウェブサイトでは,しなやかに枝を広げた姿が印象的なんですが,ちょっと樹勢が弱ってるでしょうか。上部の花付きがあまり良くないようですね。
枝もかなり切られていて,樹勢回復中でしょうかね。
それでも濃い花色のベニシダレ,青空を背景に見ると美しいです。
弘法桜
三春町南部,沼沢地区の共同墓地に,2本のエドヒガンザクラが立っています。
一本は淡いピンク色,もう一本は比較的濃い紅色。夫婦桜のようです。
「白い方」の根元には弘法大師が祀られています。かつてこの場所には,弘法大師が開いたお寺があったとされているのですが,現在はその痕跡を見ることはできません。
常楽院の桜
三春町の中心部から滝桜に向かう道路の脇に立つしだれ桜です。
かつてこの場所にあったお寺の名前にちなんで,常楽院桜と呼ばれます。
桜の精が夜の闇に踊っているようにも見えますな (^◡^)。
風情あるしだれ桜で,人通りの多い道路沿いにあるので,三春町内では親しまれている桜だと思います。
ただ住宅街にあって周りに建物がいっぱい。それらが映り込まないように撮れるアングルはあまりないんですよね (^ ^;)。
三春滝桜
千年女王に会いに行く
三春桜めぐりの真打は,やっぱりここ。樹齢千年,女王 滝桜です。
山梨の山高神代桜,岐阜の根尾谷淡墨桜とともに,「日本三大桜」に数えられる銘木です。
4月10日,ちょうど満開宣言が出た日にここを訪れることができました。平日でしたが,女王にお目見えしようとする人たちで賑わっていました。
無数の花が,滝のように流れ落ちています。背後のソメイヨシノはまだ開花していないようです。
根元に立つと,頭上が花笠に包まれます。枝張りの大きさは,20 mを超えるんだとか。
なんだかもう,すごい…。
千年の風雪に耐えて生き続けてきた幹。そして今もなお,びっしりと花を咲かせ続ける生命力。
あまりの尊さに声が出ません。
滝桜で三春のグルメ
さて,滝桜の周りには,いろいろ出店が出ています。何か食べようかナ。
まず三春三色アイスで,桜めぐりで火照った体をクールダウン!このソフトクリーム,梅(グリーン)と桃(薄橙),そして桜(ピンク)の3つのフレーバーが乗ってるんですよ!
春の日差しの下で食べる三色ソフトは最高です!
そしてちょっとお腹が空きましたね。三春の地元グルメ「三春三角揚げ」も食べちゃおう。表面は香ばしく,噛むと煮汁がジュワーッ。一杯やりたくなります (^◡^)。
「一杯やりたくなる」と言えば,お隣のテントで地元のお酒「三春駒」の試飲販売もやっていました。試飲…ううう,なんて魅力的な。でも運転があったのでね,試飲せずに買ってきました(笑)。
ライトアップされる滝桜
夕暮れ時。ライトアップされた滝桜が宵闇に浮かび上がります。
千年女王の姿に,いっそう圧倒されます。これはヤバい…(語彙)。
折しも,この日は三日月。滝桜の上に細い月が浮かびます。桜と月の饗宴に,なんだか「宇宙」を感じてしまうではないですか。
この桜は平安の昔から,こうやって月を見てきたんでしょうか。気の遠くなるような話です。
おわりに
桜の町,三春。滝桜があまりにも有名ですが,それだけではありません。
町中に美しい桜が咲き誇り,「桜に浮かんだ町」みたいになります。春の一日,じっくりと回りたいところです。
立ち寄った三春の図書館にも,こんな詩が掲示されていました。いいですねえ。
福島の桜めぐりの旅,もう少し続きます。
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