三春町は福島県のほぼ真ん中にある,郡山市に隣り合った町です。
この小さな城下町には,あまりにも有名な三春滝桜をはじめとして,銘木とされる桜がそこかしこにあります。
春に訪れると町中に桜が咲き乱れ,「何て美しい町だろう」と感嘆せずにはいられません。
そんな三春で桜を訪ね歩いた,2024年4月10日の記録です。
この記事では町北部の七草木地区,北成田,南成田地区の桜を取り上げます。
平堂壇の桜
三春町の北の外れ,北成田地区に「へいどう壇古墳」と名付けられた小さな墳丘があります。
その古墳を守るように一本の桜が立っており,「平堂壇の桜」と呼ばれています。
この桜は畑だけが広がる平原の高台にぽつんと咲く,孤高の桜です。風雨をまともに受けながら立ち続けるその姿には,心打たれるものがあります。
三春町の資料によれば,この桜の樹齢は約200年とされています。もちろん古墳よりもずいぶん後に植えられたものでしょう。
それでもその姿は,いかにも古墳を守るもののように見えます。
場所柄,この桜は雨や雪をまともに受け続けていると思われます。けれども樹勢は盛んで,花付きも旺盛です。
福島県の「桜番付」にこの桜は載っておらず,地元で知る人ぞ知る桜となっています。
以前から見たかったこの桜。ちょうど満開を迎える日に訪ねることができました。
この辺りには小規模な古墳がいくつか見つかっています。孤高の桜を通して,古の歴史が微かに見えてくるようでした。
七草木の天神桜
田畑が広がる七草木地区の丘に立つ,エドヒガンの大木です。空に向かって腕を広げた姿は雄大で,見上げると心が晴れやかになります。個人的にとても好きな桜のひとつ。
写真↑の左下の方に,カメラを構えたおじさんが写っているのがわかるでしょうか。比べると,この桜がいかに大きいかがわかるかと思います。
この桜の根元には,天神様が祀られています。福島の桜は,野仏や天神様,お地蔵さんなどといっしょに立っているものが多いですね。
昔から桜の木は命の象徴であり,人々の心の拠り所であったということなのでしょうか。
七草木の天神桜は夜中にも訪問し,天の川と一緒に撮影しました。
三春町の街明かりの影響がありますが,昇ってくる夏の天の川とともに一枚。
他に誰もいなかったので,桜をスマホのライトで照らして撮っています。セルフライトアップ。
星空と桜のコラボ,他にも何カットか撮ったんですが,どうも上手く撮れずにボツ。星ぐるぐるも撮りたかったけど,次の日仕事だったので,早々に撤収しました(汗)。
七草木の桜
七草木の天神桜から,丘陵を挟んでほど近いところに,共同墓地を守る大きな桜があります。
これが七草木の桜。
あたりはのどかな田園地帯。墓守桜ですが,青空を背景に立つその姿はさわやかです。
お墓が映らない角度からも撮っておきましょう。
それにしてもこの辺り(北成田〜七草木地区),いい雰囲気の場所ですね。大好き。だいいち「ななくさぎ」っていう地名がいい!
南成田の大桜
平堂壇の桜からほど近い南成田地区。ここに竹林を背景に立つ大桜があります。
これが南成田の大桜。街の指定天然記念物です。
三春町の歴史を調べると,明治期に三春町に編入されるまで,ここ南成田は(北成田,七草木などともに)独立した村だったようです。
この大桜は樹齢400年。南成田のシンボル的存在であり続けたのでしょう。この場所の地名は「三春町南成田大桜」。この桜が地名そのものになっているんです。
この桜は正面から見ると端正な円錐形に見えますが,横から見ると主枝が折れているようです。もともとは,もっとスラッとした樹姿だったのかもしれないですね。
幹はやや痛みが目立ち,大きなウロができているものの,力強く風格を感じさせます。
戸ノ内桜
七草木地区から三春市街地に向かって南下します。その途中にあるのが戸ノ内桜。
それほど大木ではないのですが,美しい樹形をしています。
他の三春北部の桜と同様に丘陵地の畑に立って,しなやかな枝を風にそよがせています。
花いろの濃いベニシダレで,枝ぶりに気品を感じますね。他の銘木に隠れて目立ちませんが,味わい深い桜だと思います。
それでは南下して,三春町市街地へ向かいましょう。
おわりに
三春町北部はのどかな丘陵地帯にあって,その中に立つ桜はいかにも「里山の春」を感じさせてくれます。いいところですよー。
次の記事では三春町南部の桜を取り上げます。あの滝桜もね。
こちらも見てね