4月も半ばを過ぎたある日,桜の町,三春を訪ねました。
春が遅いこの地では,暖かくなると梅,桜,そして桃が一緒に咲くという。だから三春。そして,ここにはあの樹齢千年の女王様,「滝桜」があります。そう,SNSに流れてくる写真を見てずっと憧れていた滝桜に,ついに会えるのです。
滝桜とご対面
三春駅を出た直通バス,「滝桜号」は町を通って女王様の元へ向かいます。僕ははじめ,バスの席から何気なく窓の外を眺めていたのですが…。
何ですか,この町は!?あっちにもこっちにも目を奪われるような桜の木がいっぱいあって,どれも見事に花を咲かせている!滝桜に着く前に,ひとりテンションが上がりまくってしまいました。
そして,ついにご対面。
はぁ〜。その存在感に圧倒されます。樹齢千年。この桜は,平安時代から人々の営みを眺めてきたことになります。僕は桜の周りを一回りした後,少し離れたところで,ひとり滝桜を眺めていました。
滝桜を見ながらぼーっとしていると,近くにいた地元のお姉さんが教えてくれました。「福島県は福島,郡山,三春の順に桜が咲くんです。このあとは猪苗代で開花なんです」と。標高の関係で,南の方から桜が開花するじゃないんですね。実際,昨日の朝の三春では,気温が3度くらいしかなかったとのことです。
次に福聚寺へ
さて,滝桜を堪能したら,三春の町に戻ります。次に向かったのは,福聚寺。
お寺に着くと,桜の花びらを浴びながらお地蔵さんが微笑んでいます。三好達治の「あはれ花びらながれ」という詩が頭の中を流れます。
そしてお目当だった,この枝垂れ桜。花の重さでしなった枝がわっさー!この咲きっぷりは,見事としか言いようがありません。
お寺の境内を散策すると,裏手の墓地の方にも桜や梅が咲き乱れ,夢のような眺めです(さすがに人様のお墓を撮影することはしませんでした)。なんというきれいなお寺でしょうか。僕は心の底から感動しました。そして「ここに埋まりたい」とちょっと思ってしまいました。
三春の桜はどれも美しい
福聚寺を後にして,三春駅に歩いて向かいましたが,途中いたるところにきれいな桜の木があって,なかなか足が進みません。高乾院で出会った名もなき桜も美しい立ち姿です。
おわりに
三春は町が丸ごと桃源郷のようなところでした。町の中に花が咲いているというよりも,花が咲き乱れている中に町が浮かんでいるみたい。三春を訪れてから三週間くらい経ちますが,いまでも夢の中のように思い出すのです。
駅に戻って町の案内板を見ると,三春にはまだまだ見るべき桜の木がたくさんあるようです。もっと桜を見たい気持ちもあるけどまた来年。僕はすっかり満足してしまい,その日は郡山に泊まって,一人飲んだくれていました。
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