花の福島シリーズ,第8弾は曼珠沙華です。今年は秋の気温が高く,曼珠沙華の開花が遅めとのこと。10月に入りましたが,福島ならまだ曼珠沙華をきれいに見ることができるかもしれません。
実を言うと,以前僕は曼珠沙華に「ちょっと怖い花」のイメージがあったんですよね。でも埼玉の巾着田で一面に咲き誇る曼珠沙華を見たときに,すっかりイメージが変わってしまったんです。あまりにも神々しい美しさ。天上の花。今年はタイミングが合わず,巾着田には行けませんでしたが,福島できれいな曼珠沙華を見ることができたらうれしいです。
そう思って訪ねたのは二本松市の安達ヶ原ふるさと村です。ここには古民家や家族連れのための遊具コーナー,さらに五重の塔があり,それらを囲むようにして,約180万株もの曼珠沙華が咲いているとのこと。楽しみです。
安達ヶ原ふるさと村へは二本松駅からバスが出ていますが,時間が微妙だったのでタクシーで行きました。約10分。
安達ヶ原を訪ねました!
福島での仕事を終えた10月4日,あいにく雨模様でしたが夕暮れ時の安達ヶ原を訪ねました。最初にふるさと村のすぐ近くにある観世寺というお寺を見てきました。このお寺の印象は強烈だったのですが,そのお話は別の記事に書くことにします。
安達ヶ原ふるさと村はとても広い敷地に様々な施設が点在する,伸びやかな公園でした。公園に足を踏み入れると,すぐに視界に入るのが立派な五重塔です。最初この塔はお隣の観世寺のものかと思ったのですが,そうではないようです。五重の塔の周りには,期待通り曼珠沙華が群生していて,とても絵になる光景です。あいにく小雨がぱらついてきましたが,夕暮れの五重塔と曼珠沙華,この素敵な光景を目に焼き付けます。
そして写真を何枚か撮ったところで,雨足が強くなってきたので,一旦管理棟の軒下へ駆け込んで雨宿り。
「和紙の家」へ
しばらくすると雨も弱くなってきたので,ふるさと村の奥の方へと足を進めました。遊歩道の両側にはずっと曼珠沙華が咲いています。
そしてたどり着いたのは「和紙の家」。かつてこの地方で盛んだった、和紙作りをしていた家を再現したものです。
和紙の家では,この地域の昔の暮らしが再現されています。重厚な作りの木造建築と茅葺き屋根。この地域の人々の暮らしを生き生きと思い浮かべることができるような座敷。そしてこの建物を取り囲んで咲き乱れる曼珠沙華。それぞれがとても印象的で,すっかり見入ってしまいました。
「絹の家」へ
和紙の家を後にしたら,再び曼珠沙華の道を歩いて「絹の家」へ向かいます。こちらはかつての養蚕農家を再現したもので,養蚕農家に特徴的な「兜造り」の建物です。
座敷や縁側には養蚕と生糸づくりの道具–––糸巻き機や機織機,そして蚕棚が置かれています。養蚕の歴史に興味がある僕は,夢中で見ていました。
絹の家にて
絹の家で養蚕に使われていた器具を興味深く眺めていると,そろそろ時間ということで,管理人さんが施設を閉めにいらっしゃいました。そこで「この辺りは養蚕が盛んだったんですか?」と聞いてみたところ,とても面白いお話を聞くことができました。
ここから数km離れたところにある,二本松市郊外の上川崎地区では,かつて和紙づくりと養蚕が盛んだったと。そしてこの「絹の家」と隣の「和紙の家」は,上川崎地区から移築してきたものなんだそうです。加えて,何と管理人さんも上川崎地区の出身で,毎日仕事でこの絹の家に入ると,その匂いで子供の頃を思い出すということでした。
「上川崎地区の養蚕農家もすごく減っちゃいましたけど」と仰ってたけど,ということはまだやってるところもあるのかな?
おわりに
一面の曼珠沙華を見ることができて満足したのに加えて,思わぬところで養蚕の歴史に触れることができて,僕はすっかりうれしくなって絹の家を後にしました。17時。公園内の施設も閉まる時間です。相変わらず曼珠沙華が続く道を,ふるさとの里入口方面に歩きます。最後に曼珠沙華をもう一度アップで撮ってみました。
やっぱり神々しいですね。これはまごうことなき「天上の花」です。
雨のふるさと村を後にした僕は,近くの河原にある「黒塚」に向かいました。黒塚にまつわる伝承と,その印象は,観世寺の話と合わせて次の記事に書きたいと思います。
関連記事