ベランダでいくつか花を育てています。その年によって植える花は様々ですが,ほぼ毎年植えているのが桔梗です。今年もきれいに咲いて,ベランダを彩っています。
桔梗が咲くたびに,自然はどのようにして桔梗にこの形を与えたのかと不思議に思います。五弁の,これ以上ないほど端正な花形。折り紙細工のような花びらの質感と色合い。風船が膨らんでいるようなつぼみ。毎年,開花してもっともうれしい花のひとつです。
桔梗は宿根草。冬を越してまた花を咲かせます
桔梗は宿根草なので,冬越しさせると翌年にも花をつけます。ちなみに今ベランダで育てている鉢植えは,2年ものです。昨年苗を買ってきた時は,まだ小さな株でした。
桔梗は秋深くなると地上部が全部枯れて,冬の間は一見何も無くなります。それが春になると再び芽を出して,花を咲かせるのです。僕にはこんな営みが,不思議で仕方がありません。感覚的には種まきよりももっと不思議な感じがします。
花好きの義母は,多年草というのはそういうものだと言います。けれども土の中にいる間は,光合成は行われていないわけで,芽が地上部に顔を出すまでの間,植物の成長に使われているエネルギーは何なのでしょうか?
去年の冬を越して,今年の春に開花した時は,株が一回り大きくなって,たくさんの花をつけました。
そしてひととおり咲き終わった後,切り戻しておいたら夏を越して,最近また二番花を咲かせはじめました。桔梗は秋の七草の一つですから,9月に咲くのは季節感もあっていいですね。
秋の七草を咲かせてみたい
ところで「秋の七草」はもともと山上憶良が万葉集に詠んだ歌,「萩の花 尾花葛花 撫子の花 おみなえし また藤袴 朝顔の花」に起源を持つとされていますね。この中で「朝顔の花」は桔梗のことであるとされているようです。
僕が理想とするのは秋の七草(萩,葛,桔梗,フジバカマ,オミナエシ,ススキ,なでしこ)が咲き乱れ,風にそよいでいるようなガーデンです。でもベランダなのでちょっと難しいですが。今年の秋はなでしこの種をまいて,来年3年目になる桔梗といっしょに咲かせようかなと思っています。
フジバカマも育てたことがありますが,桔梗やなでしこと開花が合うかどうかが問題でしょうか。オミナエシの苗は売っているのを見たことがありません。萩は探せばありそう。ススキは…山で種を拾ってくればいいかなあ?
「花野」という詩が好きです
村上博子さんという詩人が「花野」という詩を歌っています。こんな一節が頭から離れません(一部引用)。
踏みしだく草の間に 咲き乱れる
桔梗,おみなえし,やさしいなでしこも
研ぎ澄まされた秋の光に
きらめく露を宿している
花は待っている 花の名を呼ぶものを
野は夢みている 野に伏すものを
花と契りを結ぶものは
その色に秋の衣を染め
その露に袖をしぼり
野辺に冬の陽が 明けそめる日まで
遠く果てしない 花野を歩んでゆく
おわりに
それにしても,毎年の約束の不思議さよ。
(花をきれいに撮るために,明るい単焦点レンズが欲しいなあ)