sunsun fineな日々

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入笠山に登ってきました–––テントと山頂を行ったり来たり

GWの連休に,南アルプス前衛の入笠山(にゅうがさやま)に登ってきました。この山は,冬の間「富士見パノラマリゾートスキー場」として賑わいます。スキー場のゴンドラは夏季も動いているので,これに乗れば一気に標高1700 m付近まで行くことができます。

けれども僕はドMなので下から歩いて登っていきます。僕はドMなので(大切なことなので2回 ry)。

これまで,この時期は自宅から近い奥多摩や奥秩父の山に行くことが多かったのですが,今年は10連休で奥多摩は大混雑になりそうです。さらに奥多摩小屋(およびそのテント場)が今年の3月に閉鎖されたため,奥多摩でテント泊できる場所が減り,より一層人が溢れかえることが予想されます。

またGWは新月期でしたので,山で星空の写真を撮りたいと思っていたんですけどね。奥多摩だと天の川が登ってくる南東の空は東京や横浜の街灯りで明るいんですよね。だから首都圏から少しでも離れたところの方がよさそうです。

そんなこんなで入笠山に来たのです。

林道のような道を歩いてテント場へ

JR中央線の「すずらんの里」駅を歩き始めると,まだ花桃が咲いています。標高が高いぶん,春が遅いですね。

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花桃でしょうか。信州の春は遅いようです

途中雰囲気のある道祖神もあって,気持ちよく歩いていきます。

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道中で出会った道祖神

さて,今回は荷物をあまり取捨選択せずに詰めてきたため,ザックが重く20kg近くあります。

それでも道はずっと林道のようなところで,急登や大きな段差がないため,特に苦にはならずに登って行くことができました。登山道としての面白みには欠けましたが。

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ずっとこんな道を登ってゆきます

三時間ほど歩き,入笠湿原を横目に見てマナスル山荘へ。

新館(天文館)にテント泊の手続きをしに行ったところ,テント場には他に誰もおらず,貸切状態とのこと。大型連休で大混雑していることを覚悟して行ったのに,拍子抜けしてしまいました。奥多摩とはずいぶん違いますね。まあここは日帰りで来る人が多いのかも知れません。

まずテントを張りましょう。入り口を中央アルプスが見える西側に向けて張ると眺めが良くて気持ち良さそうですが,風が強いので反対側の風下に向けました。

入笠山のテント場について

入笠山に行く前に,テント場について調べてみました。わかったことは,富士見町から山頂を越えて,南に下ったところにある「JAハウスキャンプ場」にはテントを張れること。ただここから山頂へはやや遠く,往復80分くらいかかるので,ナイトハイクで山頂に行くのは少し不便かも。

頂上に近いマナスル山荘付近にテントを張れたら便利なのですが,調べてもよくわからなかったので,マナスル山荘本館に電話をかけて聞いてみました。すると返ってきた答えは「マナスル山荘にはテント場はありません」。

そこでJAハウスまで歩いて,そこで幕営するつもりで登って行ったわけですが,マナスル山荘に着くと,新館(天文館)に「テント場受付」という張り紙が貼ってあります。それで天文館にてテント泊の申し込みをすると,すぐ近くのテント場に案内されたというわけです(水,トイレも天文館のものを使わせていただくことができました)。

マナスル山荘の本館と天文館が経営を異にする別の施設だということは知っていましたが(webサイトにも強調されていますね),その辺りの情報も共有されていないのかな?とちょっと不思議に思いました。

入笠山頂上は第一級の展望台!

風でテントが飛ばされないように,ペグをしっかり打ち込んで固定したら頂上に向かいます。

テントから入笠山頂上へは約30分。途中,道は「岩場コース」と「岩場迂回コース」とに分かれます。

どちらを通っても所要時間は同じくらいのようですが,夜中に星空の写真を撮るためにもう一度登って来る予定です。そこで夜間でも歩きやすそうな迂回コースを(下見を兼ねて)選びます。

樹林の影では雪が残っているところもありましたが,難なく頂上に到着。

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入笠山頂上では,目の前に八ヶ岳がそびえます

八ヶ岳が目の前にそびえ,富士山,甲斐駒ケ岳,仙丈ケ岳,間ノ岳,金峰山,そして振り返れば御嶽山,乗鞍岳,中央アルプス,北アルプスも見えます。ここは第一級の展望台ですね。

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槍・穂高連峰のシルエット

入笠山の夜

一通り満足して足早にテントに戻り,いつものようにザックから取り出した真空パックのホヤで一杯。僕は三陸の味,ホヤが大好きなのです。山でもホヤ。これはいつでも最高です。

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山でもホヤ。最高です

いい気分でテントを出ると,満天の星空です。カラマツ林の上に北斗七星がかかって,「星めぐりの歌」が聞こえて来るみたい。固定撮影で一枚だけ撮影して,ナイトハイクに備えて仮眠をとりました。

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落葉松林に北斗七星

ナイトハイクで頂上へ(1回目)

少し眠ったあとテントを抜け出して,ヘッドランプを照らしながら,再び頂上に向かいます。頂上に登りついたのは23時。

注意!ナイトハイクは昼間の行動に比べて,転倒,道迷いなどの危険が上がります。またクマなどの野生動物と遭遇する確率も上がります。万全の注意をした上で,自己責任で行ってください。

東〜南の空に,横たわった天の川が姿をあらわしているはずですが,南天の低いところに雲がかかっていて,よく見えません。一応,赤道儀をセッティングして,晴れるのを少し待ってみましたが雲が去る気配がありません。

夜半を過ぎれば,天の川が南アルプスから立ち上がる位置に来るはずなので,その光景をまた撮りに来ることに決めて撤収です。夜の森をサクサクと下り,テントに戻ってまた仮眠zzz …。

ナイトハイクで頂上へ(2回目)

午前1時半。眠いです。再び起き出してテントから顔を出し,空を眺めます。むむむ,うすく雲がかかっているのか,微光星があまり見えません。条件はあまり良くないかも。

それでも意を決してシュラフから抜け出し,テントの近くに三脚を立てて,夏の大三角付近の天の川を固定撮影で一枚撮ってみました。出来は…可もなく不可もなくといったところでしょうか。

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夏の大三角付近の天の川と落葉松林

そしてもう一度テントに戻り,ザックにカメラと三脚,そして赤道儀を詰めて,この夜2度目のナイトハイクに向かいました。

森を歩くこと30分。三たび頂上に着きましたが…うーん,南天にはやっぱり雲が居座っています。甲斐駒ケ岳,仙丈ケ岳のシルエットは見えていますが,そこから立ち上がる天の川が見えない…。

赤道儀を動かすことをあきらめ,ドライフルーツをかじりながら空を眺めます。 

山頂の朝

頂上で日の出を迎えたいのですが,もう一度テントに戻ってまた登って来るのも面倒なので,このまま山頂で過ごすことにします。でも結構冷え込んでいて,鼻水が滝のように出て来ます。

ご来光の時間に合わせて登って来た山ガール2人組に,「おはようございます!」と爽やかに挨拶したつもりでしたが,ただの鼻水を垂らしたおっさんにしか見えなかったでしょう。

そして夜明け。まず八ヶ岳の向こうの空が色づいて来て,続いて甲斐駒ケ岳・仙丈ケ岳を朝日が照らします。

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朝焼けの八ヶ岳

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甲斐駒ケ岳

雪をかぶった中央アルプスもきれいです。残念ながら北アルプスは雲の中。

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朝日に照らされる中央アルプス

朝焼けに染まった空の色が青く変わったら,またテントに戻ります。寒いからね。

ずんずん下って桜の入笠湖へ

今日は下るだけ。時間に余裕もあるし,ナイトハイクを2回して眠いですね。

思いっきり朝寝をしてやろうと,頂上から戻って爆睡体制に入りました。そして目覚めたら,なんと9時。山でこんな時間まで寝たのは初めてです。もぞもぞとシュラフから抜け出してコーヒーを沸かし,簡単な朝食を済ませたら下山です。

ずんずん下って「旧茶屋跡」で休憩。

林道歩きも飽きてきたので,ここからは来た道を戻らず,青柳駅へ向かう登山道に入ります。

この道は荒れていると地図に書かれていましたが,実際には道標が要所要所にあって,わかりやすい道でした。それにやっぱり新緑のカラマツ林を縫って歩くのは気持ちがいいです。

この道を歩くこと40分,あっさり車道に飛び出しました。

このまま青柳駅に向かうのも悪くないですが,近くの入笠湖に桜が咲いているということを,途中で会った方に聞いたので,寄り道してみます。

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入笠湖畔では,まだ桜が咲いていました

桜の花びらが湖に舞い散る風景はきれいでした。風があって水面が波立っていたのが少し残念です。風のない日だったら,水鏡に映る桜を見ることができたかなと。

おわりに

入笠湖を後に,八ヶ岳を眺めながら青柳駅まで歩きました。その途中にも桜や花桃が咲いていました。のどかな道です。4月で見納めだと思っていた桜をまた楽しむことができて,ちょっと得をした気分です。

今回は軽めの登山で,星撮りも赤道儀を動かさないまま終わってしまいました。まあ夏山シーズンに向けての足慣らしにはなったかな?さて,次はどこに行きましょう。