前回「東京で出会える野鳥たち––スズメくらいの大きさの小鳥編」という記事を書きました。
今回はその続きです。もう少し大きな体を持った鳥を取り上げてみたいと思います。
スズメより大きくて,カラスよりも小さな鳥たち
ムクドリ
よく群れをなして夕暮れ時の空を飛んでいますね。大勢で電線に止まったり,芝生の上を歩いていたり,街路樹からいっせいに飛び立ったり。都会でもよく見かける鳥だと思います。数が多すぎるとか鳴き声がやかましいとかいろいろ言われますが,よく見るとペンギンみたいな姿で可愛らしいと思います。
嘴と脚がオレンジ色をしているところもオシャレです。
ヒヨドリ
夏の間は山にいますが,冬になると町に降りてきます。そして甲高い声が響き渡ります。「キーヨキーヨ」というヒヨドリの硬質な声は,冬の凛とした空気によく合っていると思います。
グレーの体に赤茶色の頰。嘴は細長くて,花の蜜を吸うのに適した形です。春先になると,よく梅の木に飛んできて蜜を吸っていますが,ヒヨドリが来ると,体の小さいメジロが逃げてしまうのがちょっと困ります (^ ^;)
ツグミ
冬になるとシベリアから飛来する渡り鳥です。でもなんだかんだで4月頃まで見かけるので,けっこうのんびり屋さんなのでしょうか。
色彩は決して派手ではないのですが,編み込みのセーターを着たような模様がオシャレだと思います。
風に吹かれながら柿の実を食べるツグミの動画をひとつ↓(篠笛でBGMをつけてみました)。
街にヒヨドリの声が響き,ツグミが飛び回るようになると,「冬が来たなあ」と感じますね。
トラツグミ
つぐみの仲間でトラツグミというのがいます。黄金色と黒の模様な本当に虎のよう。
この鳥は夜毎「ヒョォー,ヒョォー♪」と寂しげな声で鳴くのですが,古くからその声は「鵺」のものだとされていたようです。
そんな背景を踏まえてこの鳥をみると,心は平安時代に飛び,いろんな想像が掻き立てられます。
シロハラ
時々公園などで,地面をピョンピョン跳ねているのを見かけます。大きさはヒヨドリくらいでしょうか。スズメ目ヒタキ科に分類されるので,ジョウビタキなどに近い仲間なのでしょうか。
地味な体色をしています。その名の通り,お腹は白い色。
シロハラは冬になると日本にやってくる渡り鳥です。
アカハラ
シロハラとよく似た鳥で,アカハラというのもいます。背中や羽の色はシロハラとそっくり。でもお腹がオレンジ色で,こちらの方が少しオシャレさんかな?
山間部で営巣することが多いようですが,たまに町なかでも見かけます。繁殖期は初夏〜夏で,シロハラとは違い留鳥のようですね。
モズ(百舌)
オレンジ色の模様につぶらな瞳。きれいで可愛らしい鳥です。ただ一点,その鋭いくちばしを除いては。かなり激しい気性を持つ鳥らしく,「高鳴き」で縄張り争いをしたり,小型の爬虫類や哺乳類さえ捕まえて枝に刺し,「はやにえ」を作ったりします。
モズはスズメ目モズ科に分類されるようです。スズメの遠い親戚なんですね。くちばしの鋭さは猛禽類のようですが,脚の力は弱く,こちらは確かにスズメの仲間だなという感じです(余談ですが,はやぶさも猛禽類ではなく,インコに近い種類の鳥なんですね))。
シメ
太めの体躯とぶっといくちばし。いかにもふてぶてしい見た目。目つきもちょっと悪いよね(笑)。
実際に他の鳥を追い払って木の実を食べたりするようです。普段は北海道で繁殖し,秋になると本州に渡ってくる漂鳥です。
ハト
クルックー♪ 公園に,駅に,いろんなところにいるハト。街で見かけるハトは,主にキジバトとドバトです。朝早く「ででっぽーぽー」と泣いているのがキジバト,首の周りが七色に光っているのがドバトですね。
映画「翔んで埼玉」ではシラコバトが埼玉のシンボルとして描かれていたのは記憶に新しいところです (^◡^)
カラス
都会で見かける「スズメよりも大きな鳥」の代表は,やっぱりカラスでしょうか。黒い色から不吉な鳥として描かれることもありますが,賢くて好奇心の旺盛な鳥です。「濡れ羽色」の羽もよく見るときれいです。
カラスにはハシブトガラスとハシボソガラスがいます。住宅地に多いのはハシブトガラス。森に近いところで群れで暮らしているのがハシボソガラスです。
こうしてみると,頭〜くちばしにかけての形がずいぶん違うのがわかります。
僕の自宅の近くには大きな欅の木があるのですが,そこにカラスが巣を作っています。冬のある日,葉が落ちて巣がよく見えていたので望遠レンズで撮ってみたら…(°o°;) カラスがハンガーを咥えていって巣作りに使うというのは知っていましたが,実際に見るとけっこう衝撃です。
カラスを飼っている方によると,カラスはよく懐き,甘え鳴きをしたりするそうです。そして義理堅い鳥なんだそうです。可愛いかも!
オナガ
この鳥もちょくちょく見かけます。淡いブルーの体に長い尾羽。とてもきれいな鳥です。きっとさぞかしきれいな声でさえずるんだろうと思ったら…ダミ声で「じゃぁぁ〜!」。悪声なんですよ (^ ^;) 「この体からこの声は信じられない!」と言いたくなりますが,実はオナガはカラスの仲間なんです。納得です。
他にカラスの仲間で,きれいな体から悪声で鳴く鳥にカケスがいます。でもこちらは東京で出会ったことはないので,ここでは割愛です。
タシギ
冬になると,時々タシギが飛来します。シギの仲間ですが,海辺ではなく,水田や湿地の泥地を好むようです。
新古今和歌集,西行法師の「心なき身にもあはれは知られけり 鴫立つ沢の秋の夕暮れ」(俗世間から離れた私のような身であっても、しみじみとした趣は自然と感じられるものだなあ。鴫が飛び立つ沢の夕暮れよ)に読まれた「鴫」とは,このタシギのことだと言われていますね。
僕が出会った時には小川の流れに沿ってのんびりと歩き,時々泥をつついては虫を探しているようでした。
アカゲラ
東京にもキツツキはいます。ちっちゃいキツツキ,コゲラに加えてアカゲラもよく出会います。
森の奥から「コンコンコンコン」と木を突く音(ドラミング)が聞こえてきたら,キツツキが近くにいますよ。
もっと大きな体の鳥たち
トビ(トンビ)
キョロロロ〜!と鳴きながら空を舞うトンビ。雑食性で他の猛禽類とは食生活などが異なるようですが,その姿はやっぱりかっこいいです。日本各地,いろいろなところで見ることができますが,都市部で猛禽類に出会うことに,外国から来た人は驚くんだとか。
以前バーベキューをしていたら,トンビが舞い降りてきて,食べごろに焼けた肉をかっさらっていったことがあります。やられた!
オオタカ
猛禽類といえば,公園でバードウォッチングをしていると,時々オオタカがやってきます。空を悠々と飛ぶ姿はカッコいいのですが,オオタカが来ると小鳥たちは姿を潜めてしまうので痛し痒しですね。
アオサギ
東京で見られる鳥のうち,次のダイサギと並んで,最も大型の鳥だと思います。よく公園の池の近くで,ぬぼーっと立っているのを見かけます。「全然動かないで,考えごとでもしてるのかなー」と思っていたら,突然飛んでいったり。よくわからないやつですね (^ ^;)
最近はこの鳥を見かけると,確かに恐竜の末裔だなあと思うようになりました。現代の翼竜って感じでしょうか。
ゴイサギ
ゴイサギはアオサギよりもさらに置物のようです。いつも川辺でじーっと水の流れを見つめています。彼らの目には,時の流れがどのように写っているのでしょうか。
でもたまにダイサギとケンカしてるところを見かけたりします。うーん,やっぱりサギ類はよくわからん(笑)。
ホシゴイ
ゴイサギの幼鳥を「ホシゴイ」と呼びます。幼鳥なのに,貫禄があります(笑)。見た目も親鳥とはかなり違いますね。独立した名前を与えられるのもなんとなくよくわかります。
シラサギ
水辺や草はらにシラサギが舞い降りると,それだけで周りが絵のような風景になります。美しい鳥です。…でも実は「シラサギ」という名前の鳥は正式にはいなくて,これはダイサギ,チュウサギ,コサギの三種類の総称なんです。さらにダイサギにはオオダイサギ,チュウダイサギという亜種がいて…って訳が分からないよ (´;ω;`)
このうちコサギは小ぶりで嘴が黒いやつが多く,頭の後ろの方にピョッと寝癖みたいな羽が出てるからすぐにわかるんですが,「チュウ」と「ダイ」はパッと見では区別がつかないですね。これ↓はダイサギで合ってると思うんですが…。
アオサギと同じく,ダイサギも恐竜っぽい感じがします。
サギ類は長い首をS字に折りたたんでいることも多いですが,首長竜も同じように首を曲げることができたんでしょうか。
番外編
インコ
これは東京の「野鳥」と言っていいのかよくわかりませんが,東京およびその周辺では,飼われていたワカケホンセイインコという鳥が野生化して,かなり大量に繁殖しています。元々はインドやスリランカなど,熱帯地方の鳥のようですが,人間に飼われていたものが増えたようです。
以前,鳥を見ていたら尾羽の長い鳥が来たので,最初「オナガかな?」と思ったら鮮やかな緑色,どうみてもインコ。「えっ?えっ?」と驚いたものです。
きれいな色ですが,生態系への影響など,議論があるのもまた事実です。でもここでは,その辺には深く立ち入らないことにします。
おわりに
以上,東京で見ることができる,少し大きめの鳥たちでした。全体的な傾向として,これらの鳥はスズメ大の小鳥に比べて,警戒心があまり強くないように思います。もちろん種類にもよりますが。
以前水族館で,ペンギンの餌やりタイムの時に,飼育員の方にお話を伺ったことがあります。「鳥はスズメのように警戒心が強いのもいれば,カラスのように好奇心が強くて人によってくる鳥もいますが,ペンギンはどうなんですか?」って。飼育員の方によると「ペンギンは完全にカラス寄りですね。好奇心が強い鳥です」というお答えでした。鳥によって個性は様々。面白いですね。
こうしてみると,私たちは都市にあってもたくさんの鳥に囲まれて生活していることがわかります。こんな共存関係がなんだかうれしいです。
次回は東京の水鳥を紹介したいと思います。
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