sunsun fineな日々

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【奥多摩】御前山〜大岳山,御嶽山日帰り縦走:狼信仰を辿る山旅(その3)

以前,奥多摩に伝わる狼信仰を辿るために,七ツ石神社のお犬様(狼像)を訪ねた話を書きました。

七ツ石神社のお犬様が修復のために里に降りたのが昨年3月,修復が終わって再建された神社に戻られたのが半年後の11月。

実はこの2回の山行の間に,同じ奥多摩の御前山から大岳山,御嶽山の日帰り縦走に行ってきました。御前山にカタクリが咲く4月中旬のことです。この山行の目的は,御前山のカタクリを見ることと,大岳山の狼像,そして御嶽山の狼像を訪ねることでした。

奥多摩湖と奥多摩三山

奥多摩駅を出た登山バスに乗り込みました。いつもはこのバスで鴨沢方面へ行くことが多いのですが,今回はずっと手前の奥多摩湖で下車します。奥多摩湖畔から御前山へ登るのです。

奥多摩湖は多摩川源流をせき止める「小河内ダム」によって作られた人造湖です。この日ダムは春の日差しを受けて,雪解け水を満々とたたえていました。「人間が作った最も美しいものは,湖である」と言ったのは,北海道の詩人,更科源蔵だったでしょうか。

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奥多摩湖畔にて。青い水を満々とたたえています

また御前山は奥多摩湖の南側に連なる「奥多摩三山(三頭山,御前山,大岳山)」の中央に位置する山で,標高1405 m。今日は奥多摩三山のうち御前山と大岳山の二座を縦走します。

御前山へ

奥多摩湖の水面を眺めながら小河内ダムを対岸に渡ると,すぐに御前山への登山口があります。ここから結構な急坂を登っていきます。けれども今日は日帰り装備なので背中は軽く,急登もそれほど苦にならずに登って行くことができました。

樹林帯を1時間ほど登ると,「サス沢山」という小ピークがあって,奥多摩湖を見下ろすことができます。おー,結構登ってきたな!と感慨を持つところです。湖は青空と周りの山々を映してきれいです。そして奥多摩湖の向こうに,鷹ノ巣山など石尾根の峰々を望むことができます。

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サス沢山から奥多摩湖。青空を映しています

ひと心地ついたら,急坂をさらに登ること1時間。惣岳山という小ピークに着きます。ここからは爽やかな新緑の稜線を辿る道になりました。途中,まだ山桜が咲いているところもあってワクワクします。そして程なくして御前山の頂上へ。

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新緑に混じってヤマザクラも咲いていました

御前山山頂は樹木で覆われており,展望は良くありませんが,4月のこの山の魅力はそこではありません。御前山はカタクリの山として知られており,「花の百名山」にも選定されているのです。

御前山の頂上から東に進むと,登山道の脇にカタクリの花が現れ始めました。盛りを過ぎていたのか,大群落という感じではありませんでしたが,癒されます。時々立ち止まっては花に見入ったり写真を撮ったり。

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御前山の周囲にはカタクリ(堅香子)の花が咲いています

カタクリは「堅香子(かたかご)」と古名で呼びたくなりますね。俯いて咲くその姿は清楚です。「もののふの 八十娘子らが 汲みまがふ 寺井の上の 堅香子の花」と万葉集に歌ったのは大伴家持だったでしょうか。東京都の山を歩きながら,しばし万葉の世界に浸ったりします。

大岳山へ縦走路をゆく

御前山を離れると,カタクリの花も少なくなってきました。しばらく下り基調が続き,1時間半ほど歩くと大ダワです。縦走路と言っても,ここで一度車道を横切ることになります。一休みしていると,奥多摩湖畔と檜原村を結ぶ道路を,バイクが一台通り抜けていきました。

大ダワからは再び登り基調になった縦走路を行きます。単調な道ではありますが,時々スミレが咲いていて,目を楽しませてくれました。奥多摩・奥秩父の山では,鹿の食害により,高山植物が減っているそうですが,こうして健気に咲いている花もあります。

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登山道脇には,様々なスミレが咲いています。タチツボスミレ,ナガバノスミレサイシン,コスミレ…かな?

左に鋸尾根への道を分け,大ダワから30分ほど歩くと,大岳山直下の鎖場が現れました。最後の岩の段差を乗っ越すと大岳山頂上。好天のもとずっと歩いてきたので,けっこう暑い。大岳山は南側が開けていますが,ガスがかかって富士山を望むことはできませんでした。それでもここで腰を下ろしておにぎりを食べます (^◡^) 学生さんのパーティーかな?賑やかで楽しそうでした。

大岳神社へ狼像に会いにいく

さて,いよいよこの山行で一番の目当て,大岳神社の狼像を見に行きます。大岳山から,御嶽山方面に10分ほど下ると,杉林の中に簡素な神社が建っていました。その前には神社を守る2匹の狼像が。

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大岳神社と狼像

神社の社殿には「大岳大口真神」のお札が貼られています。狼像はとても素朴な造形です。丹波山郷土民族資料館で,村役場のTさんが「奥多摩や檜原の狼像は古い時代のデザインで,素朴で可愛らしい感じのものが多い」と説明してくださったけど,この大岳神社の狼像もまさにそうですね。

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大口真神のお札と神社を守る狼像

いやそれにしても…。繰り返しになりますが,この狼像も愛らしくて,眺めているとうれしい気持ちになってきます。

神社でお参りを済ませたら,石段を下って簡素な鳥居をくぐります。御嶽山方面から登ってくれば,鳥居をくぐってお参りという算段になるんですね。

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大岳神社の鳥居

御嶽山へ

さて狼像にも会うことができました。あとは御嶽山へ向かうのみです。だんだん開けてくる山道を1時間弱。参拝客で賑やかな御嶽山に飛び出しました。まず石段を登って武蔵御嶽神社にお参りします。

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御嶽神社に着きました

この神社の狛犬様も狼像です。大岳神社や七ツ石神社の素朴な狼像とはデザインが違う,立派な狼でした。Tさんの解説によると,比較的新しい時代のものということになるでしょうか。

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御嶽神社の狼像。立派な狼です

御嶽神社の境内には,4月下旬にもかかわらず,まだ桜が咲いていました。 御嶽神社にお参りしたあとは観光客の方々に混じって土産物屋さんをのぞいたりしながらケーブルカー乗り場に着きました。

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御嶽山にはまだ桜が咲いていました

ここからケーブルカーに乗って御嶽駅に向かうのが一般的なのでしょうが,この日は何だか歩き足らない気がして,結局下まで歩いて下りました。でも車道の下りは結構疲れました(苦笑)。

おわりに

こうして奥多摩湖畔から歩いて,大岳山,御嶽山の狼像を訪ねることができました。七ツ石神社や秩父の三峯神社と合わせ,東京からほど近いこの地域に狼信仰の痕跡が色濃く残っていることに少なからず驚いています。

奥多摩山域では他に「戸倉三山」にも素朴な狼像があるらしいので,次の冬あたりに行ってみようかと思っています(低山なので,夏季は暑そうなんですよね)。