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【南アルプス】甲斐駒ケ岳に登ってきました(2):快晴の空の下,花崗岩の頂へ

前回の記事「【南アルプス】甲斐駒ケ岳に登ってきました(1):北沢峠でテント泊」の続きです。

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苔の森を歩いて仙水峠へ

4時30分にヘッドランプを点けて,長衛小屋のテント場を出発しました。荷物はサブザックなので背中は軽いです。

はじめは沢沿いの道です。途中,丸太でできた橋を2回渡りました。30分ほど歩いたところで仙水小屋に到着。ここでは休まずさらに進みます。だんだん薄明るくなってくると,周りが苔むした森であることに気づきます。この森の雰囲気はたしかに北アルプスとは違います。「南アルプスの一角を歩いているな」と改めて感じるところです。

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仙水小屋付近の苔むした森。ここはたしかに南アルプスの一角です

しばらく歩くと,目の前一面に岩がゴロゴロ積み重なっているところに出ました。このガラ場の縁に沿ってさらに登っていくと徐々に傾斜が増し,最後は岩の上を歩いて尾根に上がりました。ここが仙水峠です。

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朝日を浴びる摩利支天。仙水峠から

ここまで,テント場から1時間15分歩きました。ちょうど日の出の時間,眼前で摩利支天が朝日を浴びています。そんな光景を眺めつつ,ひと休みしました。ここから尾根伝いに右へ進むと栗沢山を経てアサヨ峰方面,そして左へ行くと駒津峰を経て甲斐駒ケ岳です。今回はここを左に進みます。

駒津峰へ–––甲斐駒とご対面

仙水峠から駒津峰に向けて,樹林帯の急登が始まります。けっこうキツイ登りですが,朝なのでまだ元気です。グイグイ登ること70分,樹林帯から飛び出して駒津峰の頂上に着きました。

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駒津峰から甲斐駒ケ岳。イケメンすぎます

駒津峰に立つと,目の前に甲斐駒ケ岳がドーンとそびえています。端正なピラミッド型のピークに摩利支天を従えた姿。雪をまとっているのか!?と錯覚してしまいそうな,花崗岩の白い山肌。何というイケメンな山でしょうか!テンションが上がります。

甲斐駒ケ岳に登頂しました!

駒津峰から尾根をたどって一度下り,ダケカンバが生えた斜面を登り返すと,甲斐駒が目の前にいっそう大きくなります。やがて「六方石」という巨大な岩塊をすぎると,道は頂上へ突き上げる岩稜を直登するルートと,岩稜を迂回する巻道ルートとの分岐点となります。

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六方石にて。道は直登コースと巻道コースのふた手に分かれます

ここは迷わず直登コースを選択。大きな岩に手足をかけてどんどん高度を稼いでいきます…が,頂上が近くなってくると空気が薄くなるせいで息がハアハア上がります。標高2900mでの全身運動はキツイですね (^ ^;)

そして巻道分岐から約45分,8時50分に甲斐駒ケ岳頂上に飛び出しました!この山は昔から信仰登山の対象となってきただけあって,山頂には祠と小さな仏像が置かれています。無事ここまで来られたことに感謝し,まず仏様に手を合わせました。 

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甲斐駒頂上から北岳,間ノ岳,遠くに塩見岳,悪沢岳など

目をあげると北岳,間ノ岳,仙丈ケ岳,塩見岳,悪沢岳など,南アルプスのジャイアント達がそびえています。遠くには中央アルプス,そして槍・穂高連峰,さらにひと月前に息子と登った白馬岳まで一望です。すごい眺めです。今回は望遠レンズを置いてきたのですが,北アルプスまでこんなに見えるなら,持ってきてもよかったかな?

甲斐駒ケ岳東峰へ:山岳信仰の痕跡を求めて

頂上からすぐのところに甲斐駒の「東峰」が見えています。ここには山岳信仰の痕跡が色濃く残っているようなので,訪ねてみましょう。

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信仰登山の痕跡を求めて,東峰を訪ねてみます

東峰へは頂上から5分くらいですぐに着きます。ここには駒ケ岳大権現の石碑が立ち,鉄剣が刺さっています。小さな祠や「大国主命」の碑もあるのは,神仏混淆の跡でしょうか。

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甲斐駒ケ岳東峰にて。駒嶽大権現の碑がありました

本峰頂上の賑わいをよそに,こちらには人がおらず,山岳信仰のあとをじっくり眺めることができました。

摩利支天にも立ち寄ります

ここからは巻道ルートを通って下ります。摩利支天にも立ち寄りたいのです。甲府方面から甲斐駒ケ岳を見ると,摩利支天は垂直に立ち上がって駒ケ岳本峰に寄り添っており,どんなところなんだろうとずっと興味津々でした。

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甲斐駒ケ岳東峰から摩利支天を見下ろす

東峰から風化した花崗岩の斜面を下っていきます。25分ほどで摩利支天への分岐に到着,ここから支稜線に入ります。摩利支天には,その険しい見た目とは裏腹に,15分ほどであっけなく到着しました。

頂上付近は大きな一枚岩で覆われており,ここにも鉄劍が刺さっています。そして仏像がいくつか。ここから見る甲斐駒ケ岳本峰も見事でした。

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摩利支天から甲斐駒ケ岳。それにしてもいい天気

ところでこの岩峰の名前ですが,摩利支天とは仏教における守護神,天部の一柱であり,日天の眷属でもあります。

摩利支天(まりしてん)は仏教の守護神,天部の一柱で,日天の眷属である。原語のMarīcī(梵語)は,太陽や月の光線を意味しており,摩利支天は陽炎を神格化したものである。陽炎は実体がないので捉えられず,焼けず,濡らせず,傷付かない。常に日天の前に疾行し,自在の通力を有するとされることから,日本では武士の間に摩利支天信仰があった。

元来二臂の女神像であるが,男神像としても造られるようになった。三面六臂または三面八臂で月と猪に乗る姿などもあるWikipedia から

たしかに猪に乗って天を翔ける神のレリーフも祀られていました。かっこいいです!かつて甲斐国を治めた武田氏も摩利支天を信仰していたのでしょうか。

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猪に乗って天を翔ける摩利支天像。遠くに中央アルプスと木曽御嶽山

ここ摩利支天からの眺望も素晴らしく,八ヶ岳や鳳凰三山・富士山をじっくり眺めることができました。

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摩利支天から黒戸尾根と八ヶ岳

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雲海に浮かぶ鳳凰三山と富士山

下山します

摩利支天から再び花崗岩の道を下り,さらにダケカンバの林を抜けて,正午に駒津峰に戻ってきました。相変わらず快晴で,素晴らしい眺めです。さっきまでいた甲斐駒ケ岳も再びイケメンな姿を見せています。

ここで甲斐駒の勇姿も見納め。尾根通しに双児山を経由するルートで北沢峠へ下ります。下り始めはハイマツの海を緩やかに下る道。行く手にはずっと仙丈ケ岳が見えています。

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南アルプスの女王,仙丈ケ岳

30分ほど下って双子山に登り返し,ここで行動食を食べました。さらに双子山から下っていくと,再び周りは苔の森になりました。可愛らしいキノコが生えている森をさらにずんずん下っていきます。

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きのこ。

そして下って行くのに飽きてきた頃,北沢峠に飛び出しました。長衛小屋に戻って荷物を回収し,ひと休みしてから北沢峠のバス停に戻ります。

おわりに

帰りは北沢峠から広河原まで小型バスで下り,続いて広河原でバスを乗り換えて甲府に向かったのですが,このバスが超満員。ぎゅうぎゅう詰めで芦安駐車場まで1時間以上を立っていきました(芦安駐車場でかなりの方が降りて座ることができました)。2日間を通してこれが一番疲れたかも (^ ^;)。

今回の山行ではずっと快晴で,雲ひとつない中を歩き続けることができました。甲斐駒ケ岳を満喫し,「お腹いっぱい!」という感じです。出発前はもう一泊して仙丈ケ岳にも行きたいと思っていましたが,甲斐駒だけで大満足。それに関東地方は僕が帰った翌々日から台風の直撃を受けたので,この日で帰ったのは正解だったと思っています。

僕が帰るときに長衛小屋のテント場にテントを張っている人が結構たくさんいたけど(土曜日だったしね),台風は大丈夫だったかな?

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