最近,DxOからPureRawという写真現像ソフトが発表されました。
DxOはフランスのソフトウェアベンダーで,Nik Collectionでおなじみかと思います。
このソフトは写真のRawファイルのノイズを減らしたり,解像感を良くしたりする効果があるとのことです。僕としては星景写真のノイズ低減にどれくらい効果があるかに興味があって,このソフトをダウンロードして試してみました。
するとこれは星景写真の処理に,かなり強力なことがわかりました。
PureRawのダウンロードと使いかた
ダウンロード
PureRawはDxOのサイト(ここ↓)からダウンロードすることができます。
DxO PureRAW - RAW ファイルのすばらしさを、引き出す
Mac版,Windows版の両方が用意されています。
使いかた
使いかたは簡単です。PureRawに処理したいRawファイルをドラッグ&ドロップして開きます。すると「DxO光学モジュール」というウインドゥが開き,使ったレンズのデータをダウンロードして,歪曲や周辺光量落ちを補正するかどうか聞いてきます。
必要に応じて「選択してダウンロード」→「保存」を選ぶとレンズ補正が適用されます。使ってみた感じ,周辺光量落ちの補正がかなり優秀で,星空写真の現像にはとても助かります。
続いて「画像を処理」ボタンをクリック。すると処理オプションを訪ねる小ウインドウが開きます。
「方法」は以下のように説明されています。
- 「HQ」は「通常の照明条件で撮影された画像に最適」
- 「PRIME」は「光量の低い環境で撮影された画像についても優れた効果を発揮する」
- 「Deep PRIME」は「ミドルレンジからハイレンジのGPUを必要とする高速処理に対して驚くべき効果を発揮する」
ここでは星景写真ののノイズ低減に興味があるので,「PRIME」を選択します。
また「出力形式」はJPGとDNGが選べます。ここはDNGで。
「処理する」のボタンを押すと処理が開始されます。僕の環境では,1枚のRawファイルを「PRIME」で処理するのに,1分ほどかかりました。出力されたDNGファイルは,いつも通りにLightroomやPhotoshopで現像します。
星景写真のノイズが減らせるかな?…トライしてみます
さて,PureRawを使って星景写真のノイズがどの程度低減できるのか,実際にやってみましょう。
お題はこれ ↓
先月,福島・田村市の「小沢の桜」で撮影したこの写真。これ,開放F4のレンズで24 mm(フルサイズ換算36 mm)までズームして撮ったので,露光時間が稼げず(ss10秒),iso感度を8000まで上げて撮っているんですよね。だから高感度ノイズが結構ひどいです。
これをPureRawで処理して,その後いつも通りに現像・レタッチをしてみました。すると…。
ノイズが劇的に減っています!元の写真は「ブログサイズに縮小すればまだ見れるけど,元のサイズだとちょっと人には見せられないなあ」 という感じでした。一方,PureRawを通した方は空が滑らかになってまあまあ見ることができます。
またノイズを低減すると写真のディテールが失われることがありますが,少なくともこの写真に限ってはそんなに気にならないですね。
PureRawを使った写真と使っていない写真,2つの画像を重ねてみます(真ん中のスライダーを左右に動かすと比較することができます)。左が元画像,右側がPureRawを使って現像したものです。
これでもわかりにくいでしょうか?ではバンビの横顔付近を等倍近くに拡大したものを比較してみましょう。本当は,ノイジーな写真は恥ずかしいのであんまり見せたくないんですが (^ ^;)
カラーノイズ,輝度ノイズ共に,大幅に抑えられているのがわかるかと思います。
他の写真でも試してみました
小沢の桜の写真でいい結果が得られたので,気を良くして以前撮った写真のうち,ノイジーなものを処理してみました。
天の川中心部
天の川中心部を写したこれ。赤道儀を使ってはいますが,構図を決めるためにiso12800で露光時間20秒で撮ったものです(なぜかこのあとちゃんと低感度・長時間追尾で撮るのをサボってしまいました)。
これもかなりノイジーですが,PureRawで処理してみるとこうなりました。
夜空の滑らかさが違いますし,ノイズが少ない分,画像処理も楽です。
夏の天の川(固定撮影)
もう一つ。小沢の桜の近くで撮った夏の天の川です。これも固定撮影で撮ったものです。
PureRawで処理してからレタッチすると,ノイズが少なくなっているので強調処理を楽に行うことができて,結果として天の川をより「あぶりだす」ことができるように思います。
穂高・涸沢の天の川
さらに一つ。北アルプス・涸沢で撮った「穂高の稜線と天の川」です。これも固定撮影。このときはシビアな岩稜帯を超えて縦走したので荷物を軽くする必要があり,赤道儀を持たなかったんですよね。
まずPureRawを使わずにそのままレタッチした写真がこれ。
暗い山肌を持ち上げているので暗所ノイズがかなり目立ちます。
でもこれも,元のRawデータをPureRawで処理してから現像すると,こうなります。
全然違いますね!暗部のノイズが劇的に減っているので,山肌を持ち上げて穂高のゴツゴツした岩の質感を出すことができたと思います。天の川も,よりよく浮かび上がらせることができています。
これも比較スライダーを。
左がPure Raw未使用,右がPure Raw使用です。真ん中のスライダーをドラッグして左右に動かすことができます。
まとめ:PureRawを使ってみた感想
このようにPure Rawで処理をしてから現像すると,星景写真のノイズ低減に絶大な効果があることがわかりました。感覚としては1段か2段くらい高感度耐性が上がる感じでしょうか。
僕はAPS-Cのカメラ(α6400)を使っているので,固定撮影しかできないようなときは(荷物を減らすために赤道儀を持っていけないときなど)「高感度に強いフルサイズ機が欲しいかも〜」と思うこともあったのですが,PureRawを使えばまだこれで戦える!と思うようになりました (^ ^)
シビアな登山のときなどは赤道儀を家に置いていく判断も,これで気軽にできるようになりそうです。
PureRaw,かなり使えますね!今なら8998円,30日間の無料トライアル(機能制限なし)もできます。
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