冬の日に,枯れ草の公園を歩いていると,不意に茶色の小鳥がたくさん飛び立ってびっくりすることがあります。
その小鳥の群れは「スズメだなあ」と思いがちですが,時おりよく似た別の鳥だったりします。
ホオジロとか,カシラダカとか…。
こいつら,スズメによく似ているだけじゃなくて,お互いの区別も難しいんですよね。
そんな鳥たちの話です。
ホオジロ(雄)
公園の葦原に沿った道を歩くと,枯れ草色の小鳥が茂みの中に見つかります。ホオジロです。
顔に黒い縞模様が入ってるけど,頬のところだけがポチッと白い。
体の大きさも羽の色もスズメによく似ているので見落としそうになります。っていうか,枯れた葦原の中に,スズメも一緒にいることが多いのでね…。
こっちを向いたホオジロ。頬の模様が,正面から見ると歌舞伎役者のようですな。
ホオジロのお腹の色は薄茶色。ここが,この後に出てくるカシラダカと違っているところです。
ホオジロがいる枯れ草の中にも日が差し込みます。
寒いからかな,ホオジロはこうやって首をすくめたような格好でいることが多いように思います。ちょっとずんぐりした印象。
カシラダカ
枯れ草のうえでぴょこぴょこ動く小鳥たち。どれも似た色をしているので,みんなホオジロかな?と思ってよく見ると,ちょっとばかし違う小鳥がいます。
これはカシラダカですね。
顔の模様が微妙に違うし,お腹が白いのがいちばんの見分けポイント。
こうやって冠羽を逆立てていることが多いようです。その姿からカシラダカ。モヒカンで「ヒャッハァー!」って言ってるように見えますね。
こうやってあっちを向くと,ますますホオジロと紛らわしくなります。
でも背中側にまだら模様が目立っているところはちょっと違いますね。あとホオジロに比べると,尾羽がちょっと短めですかね。
…って,写真を見ると「えー,そんなに似てる?」と思います?
でもフィールドで,枯れ草の中にいるときは,パッと見ではなかなか区別がつかないんですよ。
おまけに,ホオジロとカシラダカは,よく混群を作ってるんですよ。この時も葦原の中で,いっしょに行動してましたし。
こんな風に葦の茂みにいることも多くて,ますますパッと見ではわかりづらいですね(写真を撮る時もピントを合わせるのに苦労します。マニュアルフォーカスで撮ることも)。
ところでカシラダカは,世界で数が減っているらしく,2018年に国際自然保護連合(IUCN)によって絶滅危惧種に指定されています。
ホオジロのメスはさらにややこしい
さらにややこしいことに,ホオジロのメスはさらにカシラダカに似ているのです。
オスにはない冠羽があるし。「アタシもヒャッハー♡」って感じでしょうかね。
見分けるポイントは,やっぱりお腹の色でしょうかね。カシラダカのお腹は白いけど,ホオジロはメスも薄茶色のお腹です。
頬は…真っ白じゃないけどやっぱり白っぽいでしょうかね。
アオジのメスもけっこう似てる
似ている鳥はまだまだいます。その一つがアオジのメス。
アオジ,オスはブルーグレーの頭が特徴的で間違えることはないんですが,メスはねえ…。
顔や体の模様がホオジロのメスやカシラダカに似ています。体が黄色っぽいのでよく見ればわかるとはいえ,枯れ草の中で動いている時とか逆光で色が判別しづらい時にはけっこう迷いますね。
オオジュリンやホオアカも似てる
他にはオオジュリンやホオアカなどもよく似ているみたい。
これは別のところで撮ったものだけど,オオジュリンかな?(違うかも)
ホオアカにはまだ会ったことことがないんですが,「ホオジロ」がいて「ホオアカ」もいるって,なんだかよくできた話ですね。
これ↓はツグミ。体の大きさが違うので間違えることはありませんが,顔の模様はちょっと似ていますかね。
あらためて,ホオジロとカシラダカ
あらためて,ホオジロとカシラダカを確認してみましょう。
こちらはホオジロ(♂)。夕焼け空を背景に,黄昏ています。
ホオジロの囀りは「一筆啓上仕り候」と聞きなしをするらしい。風流ですね。「ちょっと excuse me」と聞きなす人もいるんだとか。
こちらはカシラダカ。枯れ草の上でヒャッハー!
実はホオジロとカシラダカは,地鳴きの声も似ています「チッチッチッ…」と高い声。正直,声だけで区別する自信はないです…。
最後に,↑ これはホオジロのメス。葦原に同化してますね。ほんと「バーダーモード」のスイッチを入れて歩かないと気づかないレベルです。
おわりに
枯れ草の原っぱにいる,スズメによく似た鳥たちのお話でした。地味な色合いだけど,みんなちっちゃくて可愛いですよ。
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