昨年12月に,新しい超望遠ズームレンズを買いました。SonyのE70–350 mm F4.5–6.3G OSS (SEL70350G) です。APS-Cのミラーレスカメラに付けると,フルサイズ換算 105–525 mm相当のレンズになります。
購入してから約1ヶ月,うちの近くの川原を散歩しながら,レンズのテストを兼ねて野鳥を撮影してみました。
結果から言うと,すごくいいですよ,このレンズ。以下,作例を上げながらレビューとしてみます。東京の野鳥観察日記としてもどうぞ。
SEL70350Gで近所の野鳥を撮ってみた結果:作例を見てください
まあ,しのごの言わずに作例を出してみましょう。いずれも SEL70350G を α6400につけて,シャッター速度優先で撮ったものです。SSは 1/2000 秒前後にして,基本テレ端 350 mm で撮りました。ほとんどの場合,絞りは開放の F6.3 になっています。
スズメ
まずかわいいスズメをどうぞ。どこでもよく見かける鳥ですが,警戒心が強くて意外に撮影は難しいです。でも換算525 mm の焦点距離でバッチリ。またこの焦点距離だと,背景が大きくボケますね。その分ピント合わせはシビアになりますが。
かわいく撮れたのでヨシ!
シジュウカラ
シジュウカラとは相性が悪いのか,なかなかうまく撮れません。よく見かける小鳥の中では,この鳥が特に警戒心が強くて難しいように感じています(あくまで個人的にね)。
ほっぺの白やネクタイを締めたような模様,そして背中の抹茶色など,好きな鳥なんですけどね。
それでも木の幹に止まったところを一枚。SEL70350Gはとてもコントラストの高い描写ですね。
コントラストが高いと言うことは,レンズ鏡筒内の迷光が少ないということですよね(解釈合ってるかな?)。鏡筒内で光の乱反射が起こらないように,ていねいにつや消し塗装がされているんでしょうね。
バン
岸近くにバンが泳いでいました。いつも通りのんきな感じ。
水鳥はおっとりしているヤツが多いのか,わりと近くまで来たりしますね。それで顔をドアップで一枚。とてもシャープな描写だと思います。
オオジュリン
河原に沿って歩いていると,近くの木立に小鳥が飛んできて止まりました。最初逆光でわかりにくかったのですが,ん?ホオジロ?
最初そう思ったのですが,よく見るとほっぺの模様が少し違いますね。これはオオジュリンでしょう。オオジュリンのオスは,夏になると頭が黒い羽毛で覆われますが,冬はこんな姿です。
逆光で少しコントラストが低下していますが,気になるほどではないですね。むしろその場の空気感が出て好ましい描写だと思います。ゴースト等もありません。
それにしてもこの川原では,少し歩いているだけでいろんな野鳥に出会えます。
アオジ
川原の葦原にはいろんな鳥が巣を作っているようです。
以前ここでアオジを見かけたのですが,うまく写真に撮れませんでした。ところが今回,葦原に沿って歩いていると,一羽のアオジが目の前に出てきて地面を突っつき始めました。近い!
アオジってわりと警戒心の強い鳥だと思ってたんですが,全然こちらを気にするそぶりがありません。幼鳥なのかな?かわいいですなあ。
顔の部分をアップにしてみました。すっごい解像してるよ!それにしてもかわいい (^◡^)
鳥にはα6400の「トラッキング:フレキシブルスポットS」でピントを合わせていますが,焦点距離が長くなると,上手くやらないと体にピントが合っていても顔は微妙にジャスピンではなかったりしますね。「鳥瞳フォーカス」が欲しいと思いました。α7IVいいな。
ジョウビタキ
この季節,川原にはジョウビタキも来ています。メス(おジョウさん)にしか出会っていませんが。
つぶらな瞳とおっとりした顔立ち。ジョウビタキは好きな鳥なので,また出会えたらいいなと思います。
それにしてもコントラストが高い描写です。
コサギ
川が入り組んだところ(ワンドと言うんだっけ?)で,コサギが魚を獲っていました。じっとしていることの多いサギ類ですが,この日は珍しく精力的に動いています。
羽を広げる姿はなかなか美しい。お正月に,岩手で白鳥に会うことができなかったけど,もうこれでいいかも(笑)
魚を見つけたのか,コサギ飛ぶ!
おお,かっこいい。コサギの体が立体的に描写されているように感じます。羽の質感もきれいに描写できていて満足です。
カワセミ
ところでこの川原を歩いていると,「ここ,絶対カワセミがいるよね」って感じの場所がありました。そう思いながら訪ねた3度目。目の前を「チーチチチチ!」と鳴きながら飛んでいく翡翠色の鳥!
にらんだ通り,やっぱりいました,カワセミ!
陽の光を浴びて,エメラルド色に輝くその姿。やっぱりきれいですねー。
この写真は結構トリミングしてるんですが(鳥だけに),もともとよく解像していてコントラストも高いので,トリミングしても破綻しない感じがします。
また背景が葦原で,2線ボケでざわつきやすい,レンズにとっては酷なシチュエーションだと思いますが,まあまあきれいにボケていると思います。どうでしょうか。
今回はカワセミが飛翔する姿や水に飛び込むところは撮れず。でもここにちゃんと生息していることがわかったので,時々様子を見に来ようと思います。
ハシブトガラス
最後にブト君。川辺にいたハシブトガラスを。解像感の高いこのレンズでとると,カラスの顔がキリッ!として,いつもよりイケメンに見えます。
髪をオールバックにしたちょいワル親父みたい。カッコよくないですか? (^◡^)
SEL70350Gのテスト結果のまとめ
以上のようにSEL70350Gで野鳥撮影を試みた結果,とても満足しました。特にシャープでよく解像するところ,コントラストが高いところはいいですね。
そしてもう一つ。軽量で,手持ちで楽々振り回せる点もとてもいいです。素速く動き回る野鳥を追いかけることができるし,「あっ,鳥がいた!」というときにも素速くカメラを構えることができますからね(個人的に小型・軽量はカメラの大切な性能の一つだと思っています)。
フォーカスの速さ,逆光耐性にも不満はありません。
そんなわけで,SEL70350Gのいいところをまとめるとこんな感じ。
- フルサイズ換算 525 mm はやっぱり強力
- とてもシャープに解像する。テレ端開放でも問題なし!
- コントラストの高い描写
- 小型で軽量。手持ちで振り回すのも楽々
- フォーカスの速さ,逆光耐性もOK
- テレ端の開放 F値が6.3
- あまり寄れない
でもレンズの明るさと重さはトレードオフ。もう一段明るくても重くなるなら,自分としてはこのままの方がいいです。
それからこのレンズ,あんまり寄れません。最短撮影距離は,テレ端で1.5 mです(ワイド端で1.1 m)。だから望遠マクロ的な使い方にはあまり向いていないかと思います。野鳥撮影では,多くの場合問題ありませんが。
おわりに
やっぱり野鳥撮影は楽しいですね。焦点距離が長いレンズを使うと,それほど鳥に近づくことなく撮影ができるので,鳥に不安を与えずにすむのがいいと思います…今まで210 mm(換算315 mm)を使っていたけどずいぶん感覚が変わりました。
新しい超望遠レンズを使って,この冬は鳥撮りに励みたいと思います。
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