テント泊で山に登るとき,欠かせないものがシュラフ(寝袋,スリーピングバッグ)です。
僕が使っているシュラフは,ポーランド Cumulus 社の「X-Lite 300」。3シーズン対応の,軽量コンパクトなダウンシュラフです。
これを使い始めてから1年半が経ちました。そこで,使い勝手をレポートしようと思います。
コンパクトなシュラフは縦走登山の強い味方
リミット–4°Cの3シーズンシュラフ
Cumulus X-Lite 300 は,コンフォート温度2°C,リミット–4°Cの3シーズン用シュラフです。封入されたダウンの量は300 g。
モンベルのシュラフでいうと,ダウンハガー #2 (リミット–5°C) に近い仕様ですね。
夏の北アルプスなど,3000 m級の山でも暖かく眠れます。シュラフカバーを併用すれば,晩秋までOK。厳冬期以外なら幅広く使えて便利です。
超軽量!465 g
さてここから書くことが,X-Lite 300 の真骨頂。
このシュラフは,重さがわずか465 g!3シーズン用シュラフとしては極めて軽量です。
ちなみに仕様が近いモンベルダウンハガー #2 は703 g。その約 2/3 の重さということですね(リミット温度はダウンハガーの方が 1°C低いですが)。
この「超軽量」は,次の「コンパクト」と合わせて,X-Lite 300の際立った特徴となっています。
コンパクトに圧縮できるのが最大の売り
Cumulus X-Lite 300 は,FP900のダウンを使っており,極めてコンパクトに圧縮することができます。
ふかふかのシュラフを付属のスタッフバッグに押し込んでいくと,はじめは「ホントに入るの?」と思いますが…
ぎゅうぎゅう押し込んでいくとしっかりおさまります。
全部押し込むと,このサイズ。
この小ささによって,従来よりも一回り小さなザックに入れて山に行くことができます。シュラフは登山装備の中で,かなり嵩張るものの一つですからね。
つまりシュラフ自体が軽いことに加えて,ザックも軽く小さいものを使うことができるわけです。
荷物の軽量化に,ダブルで寄与するということですね。
この軽さとコンパクトさは何物にも変えがたいものがあります。
でも欠点もいくつかあります
足元にそれほど余裕はないかな…
このシュラフは割とぴったりサイズ。窮屈ってことはないので不都合はないんですけどね。モンベルのシュラフは「シュラフに入ったままあぐらがかける」そうですが,こちらは足元にそこまでの余裕はないかな。
寝相が極端に悪い人じゃなければ,そんなに問題はないと思うけどね。
防水性,撥水性はなし
アウターは軽くするために,極薄のナイロン。撥水性・防水性はありません。
シュラフを濡らさないように気をつける必要があります。気温が低い季節にはシュラフカバーを併用するのでまあ問題なし。
シュラフカバーは「エスケープヴィヴィ」を使っています↓
防水性を求める人は,ナンガの「オーロラ」あたりがいいのかな(「オーロラ」は撥水性のある「オーロラテックス」のシェルを使用しています。ちょっと重めですが)。
ファスナーが噛みやすい
このシュラフ,ファスナーがYKK製ではありません(たぶん欧州のどこか製)。そのせいか(と言ったら怒られるかな?)開け閉めがあまりスムーズではありません。
おまけに極薄のシェルを噛むことが多々あり,地味にストレスです。また噛んだ時に,シェルが破れないか心配でもあります。
使う上ではこれが結構大きな難点かなあ。
耐久性は…かなり低そう
軽くした結果,シェルは極薄となっています。それでこのシュラフ,耐久性はかなり低いと思います。
山から帰ってきて干そうとすると,時々こんな穴が空いていることが…。
この穴を放っておくとダウンが抜けてしまうので,塞ぐ必要があります。
そこで登場するのが「リペアテープ」。これを使って穴を塞ぎます。好日山荘で買ってきました。
リペアテープってこんな感じ。まあ強力な粘着力を持つシールってことですね。台紙を剥がすと,薄〜いナイロンの布に粘着剤がついています。
これを適当な大きさに切ります。シュラフの穴を塞ぐなら,これくらいの大きさでいいかな?
角を丸めておくと,剥がれにくくなるみたい。
シュラフに貼り付けて処置完了。
リペアテープには何種類か色があるので,シュラフに合わせればそんなに目立ちません。
先日仙丈ヶ岳に登った時も,帰宅後にチェックしたら穴が空いているのを発見 (^ ^;)。
これも見つけ次第塞いでおきます。
なおリペアテープはテントに穴が空いた時などにも使えます。便利グッズですね。
ポーランドから個人輸入する必要がある
一応付記しておくと,このシュラフを購入するときは,ポーランドから個人輸入する必要があります。それがちょっと面倒といえば面倒でしょうか。価格は €325 です。
とは言っても,Cumulus のサイト↑で注文すればOK。実質的には普通のオンラインショッピングと,そんなに変わりありません。違うところは,住所(送り先)を英語で記入する必要があるくらいですかね。
品物を受け取る際に関税を支払う必要がありますが,受け取りの際に宅配業者さんに払う形で済むので,これもそんなに手間ではないですね。関税の額は4000円くらいだったかな?
到着まで時間がかかるのが唯一の難点かな(自分の場合,1ヶ月くらいで届きました)。
欠点はあれどこのシュラフは唯一無二
そんな難点もたくさんある「X-Lite 300」。クセが強めなので万人にお勧めできるわけではありませんが,軽量・コンパクトという点において唯一無二,手放せない存在です。
これからも使い続けると思います。
というか,僕の使っている登山装備の中で「いちばんの自慢は?」と聞かれたらこのシュラフを上げます。
実際,X-Lite 300 の使用は登山装備の軽量化に大きく寄与し,縦走登山を大幅に楽にしてくれたと思います。
Cumulus社の他のシュラフも良さそうです
ポーランド Cunulus 社の製品には,他に「X-Lite 200」というさらに軽いシュラフがあります。こちらは350 g。
リミットが 0°Cなので,夏山限定のシュラフを持つならこれもいいですね。
それから最近,「Aerial 250」という製品が発売になったようです。こちらダウンの量が250 g で重さも 385 g と軽いのですが,コンフォート温度,リミット温度は X-Lite 300と同じでそれぞれ 0°C および –4°C です。
どういう作りになっているのかな?(web site には "specialized construstion" で書いてあるけど)
またダウン量が 330 g の「Aerial 330」というのも出ていますね。こちらは重さが 483 g でリミット温度が –7°C。これも良さそうですね。
まとめ
登山装備の中で,シュラフはかなり大きなものの一つです。それを軽量・コンパクトにできる効果は大きいですね。
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