毎週仕事で福島に行くのですが,間近に見える吾妻連峰がいつもきれいです。
そしてあの上に登ると楽園のような光景が広がっているのを,ぼくは知っています。だからあの山を眺めるたびに,「登りたいなあー」って思うのです。
山が遠くから 人の心を とりこにする
人がその心を さがしにゆく
それでからだごと とりこになる(吉野弘「心の四季」から)
ゴールデンウィークの初日,天気もそこそこ良さそうです。
それで身体ごと とりこになりに行ってきました。
山行記録
2023年4月29日
8:05 浄土平 ー 8:50 避難小屋 ー 9:15 一切経山 9:45 ー 10:25 家形山分岐 ー 10:35 家形山 10:45 ー 10:55 家形山分岐 ー 11:00 外輪北の小ピーク 11:05 ー 11:50 一切経山 11:55 ー 12:15 避難小屋 (トイレ休憩) 12:23 ー 12:25 鎌沼分岐 ー 12:55 東吾妻山分岐 ー 13:00 昼ごはん休憩 13:15 ー 14:15 浄土平
浄土平から一切経山へ
吾妻連峰には3年前の秋にも登りました。その時は麓の高湯温泉から登ったのですが,そちらのルートはまだ雪の中。今回は車で浄土平まで上がります。
浄土平に着いたのは7時40分くらい。準備をして8時過ぎに歩き始めました。
歩き始めると,最初に目に飛び込んでくるのが,一切経山東面の荒々しい表情です。一切経山は活火山。噴煙をモクモクと上げています。
けれどもこの荒涼とした光景は,山に分け入っていくと一変するのです。
45分歩いて酸ヶ平避難小屋。ここからところどころ残雪を踏みしめながら,一切経山に向かいます。陽の光が反射して眩しい〜!
この斜面を登り切ると視界が一気にひらけます。左側には西吾妻方面の山並みと,その向こうに飯豊連峰!こちらはまだ真っ白。さすがに豪雪地帯の山ですね。
振り返れば吾妻小富士と安達太良連峰。よく晴れてよかった。
GWの爽やかな気候,穏やかな風。上々のコンディションの中,気持ちよく歩くこと70分で一切経山(標高1949 m)に到着です。
ここから見る風景は,これ!
眼下に「魔女の瞳」こと五色沼。そして西吾妻方面へ続く山並み。
緑と残雪に包まれた光景。この瑞々しさは,浄土平から見た荒々しい景色とは対照的です。
五色沼を覆っていた氷は溶けて,魔女の瞳 開眼です!
一切経山頂上では30分も休んで,眺めを堪能しました。
ここから魔女の瞳の外輪に沿って北へ向かい,家形山を目指します。
一切経山から家形山へ
浄土平から一切経山へはゆっくり歩いても90分くらいなので,かなり多くの人が訪れます。でもここから家形山へ向かう人は少なく,静かな道を楽しむことができます。
そしてここは常に魔女の瞳を眺めながら歩ける,ゴキゲンな道。山慣れた人には絶対オススメです!
まず一切経山の北斜面を下り,五色沼を囲む外輪へと下ります。ここは登山道が雪に埋まっているので,時々GPSでルートを確認。
外輪へ降るとずっとこんな眺め。
一切経頂上よりも湖面に近いので,湖面が一部凍っている様子や,湖を囲む残雪,さらに一切経山の北面などがよく観察できました。
ところで話は前後しますが,今回の山行では広大な風景を写真に収めるため,パノラマ合成を多用しています。写真のアスペクト比が横長になっているものは,いずれもパノラマ写真です(lightroonを利用)。
魔女の瞳に目を奪われながら歩くこと40分,家形山の分岐に到着。ここから急坂を登って10分で家形山(1877 m)です。
ここでもやっぱり眼下には魔女の瞳。ブルーの湖面に吸い込まれそうな感覚を覚えます。
外輪山北の小ピークにも行ってみます
家形山を下って再び分岐に来ました。ここから一切経山へ戻ることができますが,外輪に沿って踏み跡が続いています。外輪の北側にある小ピークまで行ってみることにしましょう。
ちょうど一切経山の向かい側。魔女の瞳を取り囲む外輪が雄大に見えました。
写真で左のピークが一切経山,右のピークが家形山です。湖面が山肌の残雪を映しているのがきれい。
さて,一切経山へ戻りますか。
外輪を一切経山へ戻る
外輪北のピークから,一切経山へのトレイルを戻ります。途中高湯温泉へのルートを右に分け,はじめは平坦な歩きやすい道。
左側には魔女の瞳。スマホで動画を撮りながら歩きます。
ずっとこんな景色が続くんですよ!これを楽園と言わずしてなんと言いましょう。
やがて道は一切経山への登りにかかります。ところどころ雪に覆われた木道をたどります。急登ですが,たまに木々の合間から魔女の瞳が見えて,辛さを感じる暇がありません!
外輪に続く道を歩くこと50分で,一切経山に帰着です!
鎌沼へ向かいます
さてここからは一切経山の斜面を下り,続いて鎌沼へ向かいます。
下りの途中で,これから向かう鎌沼方面に続く湿原が見えてきます。ずっと奥の方は西吾妻方面。広々〜!
またすぐ横を見ると,斜面に浮かび上がる雪の質感が,なんとも言えない味をかもし出しています。これが春山の面白さ。
酸ケ平避難小屋をすぎて,鎌沼へ続く木道をたどります。この辺りで三脚を立てて自撮り (^ ^;)。
景色はいいし,天気もいいし,気候もいいし,木道は歩きやすいし,日帰りで荷物は軽いし,快適すぎる!
木道をトコトコ歩いて,難なく鎌沼に着きました。
ここから沼を囲む雪の斜面を歩きます。澄んだ水と行手に見える東吾妻山と。いやあ,いいですよ!
雪面をトラバースして,鎌沼をまわりこんで…。雪の上を歩くのも楽しい!
雪に反射する日差しが強く,思いっきり日焼けしてしまいました(この日差しは予想していませんでした。油断してた!)
鎌沼を回り込んで浄土平へ
道は鎌沼の南側を回り込みながら,浄土平へと続いています。のんびり楽しく歩いて,沼の南側でランチタイム。ここからは湖越しの「中大巓」がきれい。
本当にここは,浄土平の荒々しい景色とは対照的な,水の豊かなトレイルです。
腹ごしらえが済んだら,鎌沼を囲むように続く木道を辿って浄土平へと戻ります。
程なくして雪の斜面の向こうに,吾妻小富士と浄土平が見えてきました。その向こうには福島市街地。美しい街です。
浄土平へ帰着!
さらに進んで浄土平が近づいてくると,一切経山の東面が,再び荒々しい姿を見せるようになります。「一切経は活火山なんだなあ」とあらためて思うなど。
「うーん,あのみずみずしい風景はどこに行ったんだろう?」なんて不思議に思いながら歩きます。
そして14時15分,浄土平に帰着!休憩を含めて約6時間の,充実したトレッキングでした。
おわりに
事情あって半年ぶりとなった山登り。天気にも恵まれてゴキゲンなトレイルとなりました。やっぱり吾妻連峰はいいですね。
以前から見たかった「残雪の魔女の瞳」に会えてよかったです。
このあと着替えてから磐梯吾妻スカイラインを下り,福島市内へ戻る途中で「祭田の藤」に立ち寄ったりしました。
さて,次はどこに行きましょう。梅雨入りの前に,テント泊もしておきたいなあ。
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