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吾妻連峰・一切経山に登って,魔女の瞳に会ってきました!

福島市内から見た吾妻連峰

福島市内から見た吾妻連峰(2019年4月)

今月から福島での仕事が再開しました。先週は遅くまでかかりそうで,「泊まることになりそうだなあ」という雰囲気。ならば翌日は休みだし,「山登りの道具を持って行って,吾妻連峰に登ってこよう!」とたくらみました (^ ^)

いつも福島市内から美しく望む吾妻連峰。その稜線を歩いてきたいと思います。ちなみに市内から見たときに一番高く見えるのが一切経山(いっさいきょうやま,標高1949 m)です。この山の頂上近くには五色沼という湖があるのですが,この湖は素晴らしく青くそして美しく,「魔女の瞳」と呼ばれています。山に登って「魔女の瞳」にも会ってきたいのです。

福島市内から見た吾妻連峰

福島市内から見た稲穂と吾妻連峰(2019年10月)

仕事を終えて福島市内でお泊まり

10月23日金曜日,仕事が終わって福島の中心部に戻ったのが21時ちょっと前。まだ新幹線がありますが,ホテルも予約していたので,予定通り泊まっていくことにします。

山で食べる食料を調達しようと駅前のイトー○ーカドーに入ったのですが,閉店間際で食べ物があまり残っていない様子です。そこで商品棚の整理をしていたお姉さんに「おにぎりみたいなものはありますか?」と聞いてみました。すると,お姉さんは「おにぎり…」と一瞬考えて,ダッシュで走って行きました。そして手におにぎりを2つ持って,「ありましたー!」とこっちに駆けてくるではありませんか。福島の人,優しい!

その後ホテルに戻って山登りに必要のないものをまとめ,駅のコインロッカーに預けました。

高湯温泉から登り始めます…不動沢橋の星空

さて,吾妻連峰には磐梯吾妻スカイラインが通っており,この道路を使って浄土平まで上がると一切経山に1時間ちょっとで登ることができます。けれども僕はドMなので,麓の高湯温泉から歩いて山の上を往復したいと思います。

高湯温泉から一切経山の標準コースタイムは約4時間。日の出が6時くらいですから,稜線上でゴールデンアワーを迎えるには,2時前から歩き始める必要があります。ホテルを1時半とかに出る必要がありますね。うーん,ちょっと厳しいかな。それに暗い森を歩く時間があまり長いと,クマさんがこわいです (^ ^;)

そんなわけでホテルを3時にチェックアウトして,タクシーで高湯温泉へ向かいました。タクシーを降りるとき,運転手さんが「りんご持っていかない?」と言って,青リンゴを2個くれました。そして「お茶はあるの?」と聞いてきます。もちろん水は準備しているので「ありますあります」と答えましたが,お茶もくれそうな勢いでした。福島の人,優しい!(2回目)

福島の果物ジュース

福島はフルーツ王国です

温泉を歩き始めたのは3時半くらいとなりました。稜線に到達する前に明るくなりますが,まあいいでしょう。

はじめは歩きやすい森の道。まだ真っ暗な中,ヘッドランプをつけて淡々と登っていきます。約1時間歩いて「不動沢橋」に到着。このまま登山道を進んでも良いのですが,この後に備えて一旦スカイライン脇の駐車場に出て,腹ごしらえをすることにしました。

森の中から駐車場に出ると,視界がひらけて…星がすごい!できるだけ早く稜線に上がりたいけど,星撮りマンとしては,やっぱりこれは一枚撮っておかねばなりますまい (^ ^)

急いで三脚を立てます。赤道儀は持ってきていないので,固定撮影の一枚撮りです。「冬の大三角と天の川」。

冬の大三角と天の川

不動沢橋にて。冬の大三角と天の川

α6400+SAMYANG 12 mm F2開放,iso4000,25秒。強調処理もそれほどしていないのですが,空が素晴らしかったので,淡い冬の天の川がよく写りました(この時はケンコー・トキナーさんから最近出た「プロソフトン・クリア」を使いたいなとちょっと思いました)。

稜線へ

再び不動沢橋から歩き始めました。しばらくの間は,登山道が雨でえぐれたようになっています。「これは下りの時に滑って難儀しそうだな」と思いながら登っていくと,1時間ほどで「賽の河原」という場所に出ました。その名前とは裏腹に,普通の森の一角という感じですが,ここから道は再び歩きやすくなりました。

なおも登っていくと,夜が明けて,森の中がだんだん明るくなってきます。木々の色づき具合はどうかな?と思っていましたが,この辺りでは紅葉のピークはすでに終わっているようです。それでも時々色づいた木の実などがあって,目を楽しませてくれました。

森の道

森の中が明るくなってきました

やがてあたりがすっかり明るくなった頃,馬の背状の尾根に出て視界が開けました。ここが硯石でしょうか。行く手を見上げると目指す稜線を間近に望むことができます。おーきれい!

稜線を望む

稜線を望む

振り返ると山々が朝日に照らされて,波のように連なっています。おー,よく登ってきたなあ。そしてこうして見た感じ,山の紅葉はもう終わっているでしょうかね。

山並み

来し方を振り返る

魔女の瞳とご対面!そして一切経山へ

最後の急登をこなし,稜線に立ちました!ここは魔女の瞳こと五色沼の外輪となっています。だからここに立つと,これまで見えなかった青い湖がジャジャーン!と眼下に広がります。そしてその向こうには一切経山。これはすごい眺めです。

魔女の瞳こと五色沼

ついに魔女の瞳に出会いました!

ここから魔女の瞳を回り込むように,外輪稜線を歩いて一切経山へ向かいます。これは気持ちのいい道ですなあ (^ ^)
やがて道は一切経山へ最後の登りとなります。ガラ場の道は歩きやすいのですが…とにかく風が強い。突風が吹くたびに,近くの岩につかまったりしました。風は高度を上げるにつれてさらに強くなってきます。頂上近くまで来るとすごい風になって,バランスを保つのも難しくなってきました。これはすごいぞ。

時々耐風姿勢をとりながらも,なんとか一切経山頂上に到着です!

一切経山に到着!

石の積まれた一切経山に到着!

一切経山から見る魔女の瞳…爆風の山頂

一切経山の頂上からは,「魔女の瞳」を間近に見下ろすことができます。先ほどから変わらず,とても青い水面です。こんなに青いものを他に見たことがあるだろうか?と思ってしまうくらいです。

写真も撮っておきましょう。でも山頂は爆風が吹いていて,立っているのがやっとなくらいです。カメラを構えるのですが水平を出すのも一苦労です。飛ばされないように踏ん張って,風に耐えながらシャッターをきりますが,暴風の中,お"お"ぉぉぉ〜カシャ!どわわわぁ〜カシャ!という感じで,ブレた写真を量産してしまいました。仕方がないので「数打ちゃ当たる」方式でいっぱい撮っておきます。

五色沼(魔女の瞳)

雲が流れる魔女の瞳

湖の上にはすごい速さで雲が流れ,水面を雲が隠したかと思えば,明るい光が湖を照らしたりします。めまぐるしい変化を見せる魔女の瞳を,爆風に耐えながら数十枚撮りました。

五色沼(魔女の瞳)

雲が切れて光が差した魔女の瞳

鎌沼へ向かいます

さてこの風では休憩どころではありません。写真を撮ったら逃げるように下ります。登ってきたのとは反対側の,南側斜面へ。こちら側の斜面でも風が強く,一歩進んでは耐風姿勢,また少し進んでは耐風姿勢…という感じでなかなか前に進めません。これには参りました。

斜面を下る途中で吾妻小富士も間近に見えました。可愛らしい姿です (^ ^) でも今日はお鉢巡りはパスだな。下手したら吹っ飛ばされて,火口に落ちちゃうよ。

吾妻小富士

吾妻小富士も間近に見えました

さて次に目指すのは鎌沼です。湿原の向こうに見えている三日月型の沼。湿原まで降りると風は弱かったので,木道をのんびり歩いて行けました。

鎌沼を望む

次に目指すのは鎌沼

気温は低いですが日差しが気持ちよく,鎌沼をめぐる木道歩きは気持ちいいです。沼のほとりで腰を下ろし,この日最初の休憩らしい休憩をとりました。フゥ〜,ひと心地 (^◡^)

鎌沼にて

鎌沼にて。右奥の茶色い山が一切経山です

再び魔女の瞳の外輪へ

やっとのんびりできました。それでは戻ることにしましょう。鎌沼に沿って,再び一切経山に向かいます。途中で余裕をかまして自撮りしました。

湿原を歩く

湿原を歩く。無駄に荷物がでかいよ!

時刻は11時を回ったくらいです。ずっと青空だけど,上空にはすごい勢いで雲が流れています。そして鎌沼を過ぎたあたりで,チラチラと雪が降り始めました。

その後再び一切経山の登りに差し掛かりますが,高度を上げると雪雲の中に入っていくようで,雪が激しくなってきました。この辺りは折からの爆風と相まって,「吹雪」って感じになってきたぞ!

二度目の一切経山頂上は吹雪で視界ゼロ,今度は魔女の瞳も見えません。うん,このまま下山することにしましょう。

 

雪の五色沼

下りは再び高湯温泉へ向かいます。一切経山頂上は一面の砂礫地で,しかも吹雪で視界がないので,歩き始めは地図とコンパス,そしてGPSで慎重に進む方向を定めます(少し下ると道がはっきりしてくるので,あとはどんどん行けます)。五色沼の外輪をなす稜線を下っていくと,雪雲から抜けたのか,再び魔女の瞳が視界に飛び込んできました。湖面に雪が降る様も神秘的できれいです。

五色沼に雪

魔女の瞳に雪が降る

外輪の途中から家形山への分岐があります。帰りに寄ろうかと思っていたのですが,強風と悪天候で見送ることにしました。

さて,外輪稜線から降りる場所まで来ました。ここで魔女の瞳とはお別れです。高湯温泉へ向けて急降下の開始です。

高湯温泉へ下山します

最初は登山道わきの針葉樹に雪が積もった中を下っていきます。雪はサラサラ,気温もけっこう下がっている感じ。

松の木に雪

松の木に雪

硯石まで来ると,隣の尾根の斜面にダケカンバの林がきれいです。森は遥か向こうまで続いており,東北の山の懐の深さを感じます。

ダケカンバの森

カンバの林がきれいです

さらに高度を下げていくと,雪は雨に変わりました。樹林帯には風がなく,さっきまでの爆風が嘘のようです。森はすっかり晩秋の色合い,雨もまたしっとりして悪くありません。

森は晩秋の装い

森は晩秋の装い

不動沢橋を過ぎ,高湯温泉が近くなったあたりには,色づいた葉っぱも少し残っているようでした。

高湯温泉から福島市内へ

「高湯温泉に着いたら共同浴場で温泉に浸かっていこうかな」なんて考えていたのですが,着いたのが16時ちょっとすぎ。福島市内へ向かうバスは17時10分です。ロングスパッツを外したりトレッキングポールを畳んだりしていたら結構いい時間になったので,温泉は諦めることにします。まあ,こういうご時世だから共同浴場を利用しないほうがいいのかもしれませんね。

きのこ

森のきのこ

雨の中,雨具を着てバスを待っていると,後ろに並んだおじさんが,自分が濡れるのも厭わずに,見ず知らずの僕に傘をさしかけてくれました。「あっ,僕はカッパを着ているので結構ですよ!」と遠慮しましたが…福島の人,優しい!(3回目)

バスがやってきました。雨具をささっと脱いでバスに乗り込み,席についてから荷物を整理たり,ごそごそやっていたのですが,何だか左足に違和感があります。…ん?あれ?…なんと登山靴のソールが剥がれています。長い間履いてきた靴ですが,こういうのは初めてです。でもこれが下山してからで本当にラッキーでした。応急処置の道具は持ち歩いていますが,山中でこうなったら歩きづらいですし。

バスが福島駅に着いたので,登山靴は脱いでザックにしまい,コインロッカーから出したスニーカーに履き替えて,何事もなかったかのように帰路につきます (^ ^;)

 

おわりに

吾妻連峰に登ったのは宮城県民だった頃以来,久しぶりでした。東北の山はやっぱりたおやかでいいですね。

山の上では紅葉はもう終わりのようでしたが,福島の町ではこれからが紅葉シーズンなので楽しみです。

今度は残雪のある時期に魔女の瞳を訪ねてみたいですね。

 

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