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息子18歳と登る鳥海山・その1––鉾立登山口から頂上御室(鳥海山大物忌神社)へ

鳥海山(頂上付近)


8月4日〜5日,山形県と秋田県の境をなす鳥海山に,息子と2人で登ってきました。

高山植物に彩られた美しいコースをたどり,「鳥海山は素晴らしい山だ!」とあらためて感動する山行になりました。

息子といっしょに山に登りたい!

4年前,息子がまだ中学生だった時,2人で北アルプスの白馬岳に登りました。息子といっしょに歩く白馬の稜線は,それはもう最高でした。

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それ以来「また行こう」とずっと話していたんですが,コロナ禍や息子の受験などもあって,なかなかチャンスがありませんでした。

白馬大雪渓を登る息子

4年前,白馬岳大雪渓にて。息子当時14歳

「今年こそは」僕もそんなふうに思っていたし,息子も「山に行きてー!」とときどき口にしていました。それで「今年は行けるかな?行き先はどこにしようかな?」といろいろ考えていたんですよね。

そんな時…。

8月上旬に妻が実家(岩手)に戻る用事ができて,「ばあちゃんに息子くんの顔を見せに,いっしょに行かない?」とのお誘い。

それで「東北の山に登って,そのあと岩手で合流しよう」ということを考えました。

遠野・荒神神社

岩手は素敵なところです。遠野・荒神神社

東北には魅力的な山がたくさんありますが…。

鳥海山に行きたい!」と息子18歳。

僕は宮城県民だった頃,東北各地の山に登りました。現在は東京に住んでいることもあって,東北の山からしばらく離れていますが,「鳥海山と飯豊連峰にはもう一度行きたいなあ」と思っていたんです。だからこれはヨシ!

鳥海山について

鳥海山は山形県と秋田県にまたがる独立峰で,標高は2236 m。その秀麗な姿から「出羽富士」と呼ばれることもあります。

酒田市内から見た鳥海山

酒田市内から見た鳥海山

庄内平野を挟んで月山と対峙しており,庄内では古くから月山が「死の山」,鳥海山が「生の山」とされてきました

この二つの山に挟まれた庄内平野こそが人の生きる舞台ということなのでしょうか。

またこれは言い換えれば月山が「聖の山」であり,鳥海山が「俗の山」ということでもあります。

しかし「俗の山」とは必ずしも悪い意味ではなく,この呼び方には人々の生きる力強さ,しなやかさ,あるいはしたたかさなどが内包されているように思えます。

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いずれにしても庄内の中心都市、酒田から眺める鳥海山は,大きく,そして美しいのです。

酒田に向かいます

さて,出発当日。家族3人揃って車で東北道を北へ。福島で一旦高速を降りて,妻は新幹線で岩手へ。僕と息子は東北中央道&山形道を通って酒田へ向かいます。

月山湖(寒河江ダム)で夕暮れ。

月山湖(寒河江ダム)

月山湖(寒河江ダム)

月山から流れる豊富な雪解け水が庄内平野を潤し,美味しいお米が育ちます。

酒田に着いたのはすっかり暗くなってから。息子と2人で街に繰り出して晩ごはんを食べ,翌日に備えて早めに休みます。

象潟口から登ります

翌8月4日,酒田のホテルを朝早く出発し,ちょっと寄り道してから(←この寄り道については,別記事に書きます)登山口へ向かいます。

泊まったのはこちら「月のホテル」

tsukinohotel.jp

鳥海山にはいくつかの登山口がありますが,今回たどるのは「象潟口」からの道。鳥海ブルーラインを登っていった鉾立登山口からスタートする,定番のコースです。

象潟口から登ります

象潟口から登ります

鉾立は鳥海山の5合目に相当し,標高は1150 m。駐車場やビジターセンターがあります。「登山者用駐車場」は指定されているので,そちらに止めましょう。

ここで靴を履き替えたりトイレに寄ったりして準備完了。今回は小屋泊(頂上にある大物忌神社に山小屋が併設されています)なので荷物は少なめです*1

メレル・モアブ3

息子は新しい靴(メレル・モアブ3)を履いて登ります

ビジターセンターの入り口に仏さまがいたので(鳥海山は信仰の山でもありますからね),安全祈願をしてからスタートしました。

鉾立ビジターセンターの仏さま

鉾立ビジターセンターの仏さま

酒田〜遊佐の市街地,そして登山口付近はよく晴れていましたが,見上げると山の中腹から上には雲がかかっている様子。上の方の天気はどうかな?

- - - -

*1 現在頂上小屋では,コロナ対策で寝具はシュラフ持ち込みになっています。スリーピングマットも担ぎ上げる必要があります。

御浜まではよく整備された道

歩き始めてから10分ほどで「展望台」に到着。ここからは奈曽渓谷を一望することができます。いきなり眼前に現れる雄大な眺めに,度肝を抜かれるところです。

奈曽渓谷

「展望台」から奈曽渓谷

ここまではスニーカー履きの観光客の方もよく来られるようですね。

晴れていれば,渓谷の向こう側に鳥海山の頂上部が見えるのですが。うーん,今のところ微妙な天気のようですね。

さてここからが本格的な登山道の始まり。とはいえ,道は石畳で舗装されており,とてもよく整備されています。

石畳の道

歩き始めは石畳の道

のんびり登ること約2時間。第一のチェックポイントである「御浜」に到着しました。

ここには山小屋(御浜小屋)があり,鳥海湖をすぐ近くに見下ろすことができる…はずなのですが。うーん,ここまでくるとガスがかかって鳥海湖は見えていないですね。

花に囲まれた鳥海湖の眺めは楽しみの一つだったんですが…まあ翌日に期待しましょう。

御浜小屋でトイレ休憩のあと,再び歩き始めます。すると一瞬ガスが流れて,鳥海湖が姿を見せました!

ガスの切れ目から一瞬見えた鳥海湖

ガスの切れ目から一瞬見えた鳥海湖

でもこれは本当に一瞬の出来事。カメラを取り出す間に湖面は半分ガスに隠れて…鳥海湖は再びガスの中に消えてゆきました。

 

御浜から七五三掛へ,花の道を辿る

御浜を過ぎると,登山道は高山植物が咲き乱れた,お花畑の中に続きます。

周りはガスで包まれていて山頂方面は見えませんが,霧と花の中を歩くのは天国みたい。

ハクサンイチゲやハクサンシャジンは清楚に咲いているし,

ハクサンイチゲ

ハクサンイチゲ

ハクサンシャジン

ガスの中のハクサンシャジン

ニッコウキスゲも霧の中に映えています。

ニッコウキスゲ

ニッコウキスゲ咲く斜面

そして鳥海山の固有種,チョウカイアザミは,まだ咲き誇っているのもあれば,盛りを過ぎて項垂れているのもあります。

項垂れるチョウカイアザミ

項垂れるチョウカイアザミ

ガスで眺望が効かない中で,見事な花にとても癒されました。鳥海山は,まさに「花の名山」です!

「扇子森」と名付けられた小ピークを越えるとこれからのぼる広大な斜面が姿を表します。このあたりが御田ケ原。ガスっていても,鳥海山の雄大なスケールが感じられます。

御田ケ原を通過

御田ケ原を通過します

この辺りから風が強くなってきましたが,道はよく整備されていて快適です。息子と時々会話をしながら歩いたりして,ゆったり気分。

ガスの中

ガスの中を歩く

御田ケ原から再び登りに入ります。この登りはけっこうキツかったかな。この辺りは「八丁坂」というらしいですね。

この斜面を登ること約30分,七五三掛(しめかけ)に到着です。ここは外輪山コースと千蛇谷コースとの分岐点。小さな祠が置かれています。

七五三掛

七五三掛

ここでお昼ご飯休憩としますか。

千蛇谷をゆく

ここ七五三掛で,道は二手に別れます。一つはそのまま外輪山の稜線をゆくコース。もう一つはいったん谷へ降りて,「千蛇谷」を登るコースです。

今日はガスで視界が効かないし,風もやや強いので,千蛇谷コースを登ることにします。

まず千蛇谷へ向かって下降。外輪の急斜面を下っていきます。

その途中でパラパラッ!と雨。急いでレインパンツを履きましたが(ジャケットは風よけを兼ねて,すでに着てたんですけどネ),雨はすぐに上がりました。

降り立った先は雪渓です。この雪渓を渡って,千蛇谷の南側をトラバースしていきます。

千蛇谷の雪渓

千蛇谷の雪渓を渡る

ここは季節によっては雪溪の上を歩くこともあるようです。軽アイゼンを用意してあったのですが,夏道が出ていたので使うことはありませんでした。…雪溪歩きを少しだけ期待してたので,ちょっと残念(笑)。

ガスの中を歩く

ガスの中を歩く息子

道は千蛇谷の右岸(上から見て右側)に続いています。ガスで先が見えないこともあって,この道はどこまでも続いているように思えてきます。

千蛇谷に沿う道

千蛇谷に沿って登る

歩きながら谷側を見れば,白い大蛇のように雪渓が続いています。

千蛇谷雪渓

千蛇谷の雪渓

山にかかった雲の中に歩いていくわけですからね,やっぱり高度を上げるにつれてガスが濃くなっていきますね。下界はいい天気だったのに…。

でもこの斜面のスケール感!これを感じ取れるだけでもここを歩く甲斐があるというものです。

大斜面を登る

大斜面を登って頂上小屋へ

そして千蛇谷に入ってから2時間と少し。斜面を登り続けると,ガスの中に頂上小屋=鳥海山大物忌神社の鳥居が見えてきました!

頂上小屋(鳥海山大物忌神社)に到着!

頂上小屋(鳥海山大物忌神社)に到着!

さっそく宿泊の受付(小屋は予約制です)。こぢんまりした山小屋ですが,スペースは割とゆったり。雨で濡れたジャケットを乾かしたりして夕食まで過ごしました。

あ,大物忌神社の神域で,ちゃんとお参りもしました。

鳥海山大物忌神社の御神域

鳥海山大物忌神社の御神域。晴れていれば鳥居の向こうに頂上が見えます

僕自身はずいぶん前に,大物忌神社吹浦口の宮(里宮)でもお参りをしたので,山の上と下でお参りができたことになりますか。

なお大物忌神社は鳥海山を御神体とする,山岳信仰の中心をなす神社で,2008年に国の重要文化財に指定されました。主祭神は「大物忌大神」とされていますが,これは記紀に登場しない神で,謎が多いようです。

今回は夕食付きで小屋を予約しています。晩ごはんは鯖の味噌煮。味噌汁が美味しかった(^◡^)。

2日目に備えて休みます

そんなこんなで1日目は無事に終了です。翌日は早いので8時にはシュラフに入ります。ここまでがんばった息子。久しぶりの山の夜はよく眠れるかな?

一度夜中に目が覚めてトイレに行ったのですが,ガスが薄くなっていて,ところどころ星が見えていました。明日は晴れそうですね!

それではもう少し眠るとしますか。おやすみなさい,zzz…。

 

1日目記録

8月4日(金)

鉾立登山口出発 (9:50)–展望台 (10:00–10:05) – 御浜小屋 (11:55–12:20) – 七五三掛 (13:30–13:45) – 頂上御室・鳥海山大物忌神社 (16:10 七五三掛からの途中で一回休憩)

休憩を除いた総行動時間:5時間25分

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