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谷川岳馬蹄形稜線を縦走してきました –– 1日目:白毛門から朝日岳を越えて清水峠まで

笠ヶ岳へ


谷川岳…日本海側と太平洋側の気候を分ける山にして,「国境の長いトンネル」の上にある山。そして800人以上の登山者を飲み込んだ魔の山。

この山にはいろんな顔がありますが,長大で美しい稜線を持つ懐の深い山でもあります。

そんな谷川岳を中心とした山域には,2つのメジャーな縦走路があります。

谷川連峰

谷川連峰 赤:馬蹄形縦走路,青:主脈縦走路

1つは谷川岳から西に向かい,万太郎山,仙ノ倉山を経て平標山へ至る主脈縦走路

もう一つは,湯檜曽川源流部を囲むように逆U字型に伸びる,馬蹄形縦走路

主脈縦走路は数年前の秋に歩いたので,今回は馬蹄形縦走路を歩いてきました。一泊二日の行程です。

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写真がたくさんあるので,2回に分けて書きます。まず1日目の話です。

山行記録

1日目(2023年6月4日)

土合橋登山口 (9:05) - 松の木沢の頭 (11:00–11:15) -白毛門 (12:10–12:25) - 笠ヶ岳 (13:20–13:25) -朝日岳 (14:45–15:15) - ジャンクションピーク (15:35) -清水峠 (17:10) 

休憩を除いた総行動時間 7時間0分

出発まで

谷川岳馬蹄形稜線に行ったのは6月の頭。梅雨入りの直前です。

馬蹄形縦走を行うには,谷川岳から入って白毛門へ抜ける時計回りか,白毛門から入って谷川岳へ抜ける反時計回りか,2通りの方法があります。

でも日曜日〜月曜日の日程だったので,1日目は谷川岳が混みそうです。それで反時計回りで行くことにしました。

このコース取りだと,最後天神平からロープウェイで下りることができるしね。

谷川岳ロープウェイ

谷川岳ロープウェイ。土合と天神平を結んでいます

(時計回りだと谷川岳の登りでロープウェイを利用できるけど,最後の最後に白毛門の激下りを歩くのはイヤです…)

問題はどこに泊まるかですね。テント場は蓬峠(蓬ヒュッテ)にありますが…。

白毛門から入った場合,1日目を蓬峠まで行くのはコースタイム的にかなりキツイ。それで一応蓬ヒュッテでテント泊することを目標に歩いて,時間的に厳しかったら避難小屋のある清水峠に泊まることにします。

清水峠の鉄塔

清水峠にはJRの送電鉄塔と避難小屋があります

また直前に台風2号が通過したので,コースが荒れていることがあるかもしれません。その場合のエスケープは,

  • 朝日岳から宝川温泉へ下山*1
  • 清水峠から土合へ直接下山
  • 蓬峠から蓬新道経由で土樽へ下山
  • 茂倉岳から茂倉新道経由で土樽へ下山

が可能。エスケープルートは豊富ですね(一ノ倉岳から土合へ下りる中芝新道は廃道なので不可)。

*1 朝日岳から宝川温泉へのルートは難路です。エスケープするなら白毛門方面に戻った方がいいかもしれません

土合橋から白毛門に登ります

上越新幹線で上毛高原まで行き,谷川岳ロープウェイ行きのバスに乗り込みます。日曜日の晴天ということで,バスは満員です。

でも白毛門の登山口である「土合橋」で降りたのは僕一人。他はみんな谷川岳へ向かうようです。あっちは今日は混むんだろうなあ,やっぱり。

おにぎり2個を食べて,腹ごしらえしてから歩き始めます。はじめは樹林帯の登り。

樹林帯の急登

最初は樹林帯の急登

白毛門はしょっぱなから急登が続きます。大きな段差や木の根っこが露出しているところなどもあります。

こういう急坂を「登りには使いたくない」という人も多いけど,個人的には下る方がイヤです。下山の時は足が疲れているから,踏ん張りが効かなくなっちゃうんですよね…。

急な登りだけあって,高度がどんどん上がっていきます。樹林がまばらになってくると,木の間越しに谷川岳が見え始めます。

木の間越しに谷川岳

木の間越しに谷川岳

相変わらず,すごい迫力と存在感!何度見ても,標高2000 mに満たない山だとは思えません。

この角度からだと,トマの耳,オキの耳の双耳峰がよくわかります。正面に見えている雪渓はマチガ沢ですね。

2時間登って樹林限界を越えたところが「松の木沢の頭」。谷川岳東面のビューポイントです。湯檜曽川を挟んで垂直に立ち上がる谷川岳がド迫力で,ここまでくるだけでも満足できるかも。

松の木沢の頭から谷川岳東面

松の木沢の頭から谷川岳東面

松の木沢の頭からさらに登ると,白毛門の頂上が手の届きそうなところに見えてきます。

もうすぐ白毛門

もうすぐ白毛門

去年の春はここまで登ってきたけど,頂上直下の雪面にクラックが入りまくりで,全層雪崩が怖くてこの辺りで引き返したんですよね。

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今回はこの上もちゃんと歩いて,登頂できました!

白毛門山頂

白毛門山頂

普段は山頂標を撮ることにこだわりはないのですが,前回のリベンジを果たしてうれしいので,今日は撮っておきます(笑)。

ここから谷向こうに見えるのは,谷川岳東壁(一ノ倉沢)。八百余名の命を飲み込んだ,魔の岩壁です。氷河によって削られた岩壁は壮絶です!

白毛門から谷川岳東壁(一ノ倉沢)

白毛門から谷川岳東壁(一ノ倉沢)

白毛門から見る谷川岳は,蝶ヶ岳から見る穂高連峰に匹敵する絶景だと思います。かく言う僕が蝶ヶ岳に登ったときは,ガスってたんですけどね(汗)。

白毛門から笠ヶ岳を越えて朝日岳へ

さて,白毛門で一休みしたら,いよいよ馬蹄形稜線に入っていきます。これから辿るのは,笠ヶ岳,朝日岳へ続く稜線。

笠ヶ岳と朝日岳

笠ヶ岳,朝日岳へ向かいます

登山道の雪はすっかり消えていますが,谷筋にはまだ雪が残っています。さすがは豪雪地帯の山。この季節の谷川連峰,きれいですね。

白毛門からいったん標高を下げ,道は笠ヶ岳への登りに入ります。伸びやかな尾根の登り,まだまだ元気です。

笠ヶ岳へ

笠ヶ岳への登り

13時20分,笠ヶ岳通過。絶景が続きます。いやあ,気持ちいいですよ!

眼下に見えている青い建物は,「笠ヶ岳避難小屋」。かまぼこ型の小さな小屋です。積極的に泊まりたい感じではないけど,緊急避難には使えるかな?

笠ヶ岳を通過

笠ヶ岳を通過

谷川連峰は,稜線に山小屋やテント場がもう少し充実していればなあ…と思うんですが,まあ多くを望んでも仕方がありませんね。

次のピークは朝日岳ですが,その前に小烏帽子大烏帽子といった小ピークを越えていかなければなりません。

小烏帽子の登り

小烏帽子,大烏帽子を越えて

谷川連峰に連なる山々は,一つ一つが大きいだけでなく,稜線にたくさんの小ピークを従えているので,縦走すると体力が削られます(汗)。

でも歩きながら右側を見るといい眺め。至仏山とその向こうに燧ヶ岳,尾瀬の山々です。

尾瀬の山々

至仏山と燧ヶ岳

また歩いてきた道を振り返れば,笠ヶ岳から続く稜線の向こうに谷川岳。明日はあそこまで歩く予定ですが,ずいぶん遠いナ(白目)。

振り返れば谷川岳

来し方を振り返れば谷川岳

縦走路を辿って,14時45分,朝日岳 (1945 m) に到着。

小ピークをいくつも越えたので,感覚的にはけっこう歩いたなあという感じですかね。頂上には小さな祠があったので,安全登山を祈ってお参りしておきました。

朝日岳頂上の祠

朝日岳頂上の祠

お腹が空いたので,ここでおにぎりとプロテインバーを補給して,少し休みました。

縦走1日目は,ここから後半戦に入ります。

 

朝日岳を越えて,草原の尾根を辿る

朝日岳から北にもアップダウンを繰り返しながら稜線が続いています。

右側(東側)に広がるのは,「朝日平」と名付けられた高層湿原。まだ雪に覆われています。雪田に冷やされた風が,谷から吹き上げてきて気持ちいい (^◡^)。

朝日岳直下の湿原

朝日平の湿原と雪田

朝日岳から25分ほどで「ジャンクションピーク」と呼ばれる小ピークを通過します。

ジャンクションピークへ

ジャンクションピークへ向かう道

このピークから,巻機山へと続く長大な尾根が分岐します。魅力的な山陵だけど登山道はなく,積雪期にエキスパートのみが辿ることのできる稜線です(巻機山に登ること自体は難しくありません)。

巻機山

巻機山アップ 湿原が広がる素敵な山です

ジャンクションピークを過ぎると名だった山はないのですが,伸びやかな草原に縦走路が続き,とても気持ちがいいです。谷底は湯檜曽川の源頭部,その向こうは七ツ小屋山〜武能岳ですね。

伸びやかな草原

伸びやかな草原を歩きます

谷川岳周辺の荒々しさとこの辺りの稜線の優しい雰囲気。谷川連峰はいろんな側面を持っています。

山肌には残雪のゼブラ模様。

残雪

ゼブラの山肌

目を上げると,遠くには越後三山が見えています。こちらもとても興味深い山域です。

左が八海山,右が中ノ岳でしょうか。越後駒ヶ岳は中ノ岳に隠れて見えていないようですね。

越後三山

遠くに越後三山

清水峠へ下ります

やがて尾根は清水峠へ向かって高度を下げ始めます。新緑の尾根には残雪が残っていて,「山の春」を感じます。

尾根を下る

清水峠へ向けて,標高を下げていきます

なおも下っていくと,尾根は左(西側)にカーブし始めます。「馬蹄形」の底のところに差し掛かっているわけですね。

道の両側にはシャクナゲが咲いて,美しい。疲れはじめた体が癒されるぅー。

石楠花と縦走路

石楠花咲く山陵

木々の新緑も目に染みるようです。「奥利根の春」を感じます。

新緑の木々

奥利根の春

清水峠が見えてきました。その向こうに聳えるのは七ツ小屋山。この山を越えて蓬ヒュッテまで行くのは,やっぱり時間的に無理そうですね。…って,途中からもう清水峠に泊まる気満々で,のんびり来たんですけどね (^ ^;)。

清水峠

清水峠が見えてきた

かなり下ってきました。清水峠はもうすぐです。峠近くに,湿原と池塘越しに谷川岳方面が望める,とても素敵な場所がありました。正面の山は茂倉岳かな。

湿原と茂倉岳

清水峠近くの湿原と茂倉岳

そして17時10分,清水峠に到着しました。今日はここに泊まります。

写真に写っている三角屋根の建物は,JRの送電線監視小屋で,避難小屋は別にあります(写真を撮り忘れたw)。水は,この監視小屋の前から土合方面に向かう道を5分ほど下ると,沢から得られます。

清水峠

清水峠(2日目朝に撮影)

清水峠は,上杉謙信も通ったという歴史ある峠です。この峠を越えて上州と越後を結ぶ道は,かつて馬車が通れるように整備されたこともあるそうです。しかし過酷な気象(冬の豪雪)によって崩壊し,現在はその一部が登山道として残っているのみ。その登山道は,今でも国道291号線に指定されています。

現在谷川連峰を越えて上州から越後へ行くには,関越トンネルでこの山の下をくぐる必要があるというわけですね。

清水峠から

清水峠から振り返る朝日岳方面の稜線

清水峠から振り返る朝日岳方面。たおやかな稜線が夕陽を浴びて,とてもきれい。あのスカイラインの上をずっと歩いてきました。

1日の行程が蘇ってくる眺めです。うーん充実感。

 

翌日に備えてよく寝ることにします

かくして縦走1日目は順調に終わりました。白毛門の急登以外は特に難所もなく,気持ちよく歩ける稜線という印象でしたね。

アルファ米の簡単な夕食を食べたら,担ぎ上げたハイボールを飲みながら,今日歩いた道と明日歩く道を地図で確認するのが至福のひと時。

おりしも満月期で,星空はあまり期待できません。それにけっこう雲がかかってるな。

明日も長丁場なのでよく寝ることにしましょう。清水峠の標高は1450 mくらい。そんなに高くないので暖かく眠れます。

おやすみなさい zzz…。

 

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