バーチャル登山に出かけよう!
新緑の季節!毎年この時期は奥多摩の山に出かけます。新緑の山を楽しむとともに,夏山登山に向けて「足ならしその1」という感じです (^ ^)
GWをすぎると奥多摩山域の雪はほぼ解けて,山は爽やかな新緑に包まれます。そして森の中にはツツジが咲き始めるのです。
今年は新型コロナの影響で山に行けませんが,この時期の奥多摩の爽やかさを,過去の写真とともにあらためて味わってみたいと思います。「バーチャル登山」です!
石尾根と鷹ノ巣山
JR青梅線の終点奥多摩駅から,東京都の最高峰にして奥多摩のラスボス雲取山へ,長大な尾根が続いています。「石尾根」です。石尾根の途中には七ツ石山,六ツ石山など幾つのピークがありますが,その中で「中ボス」ともいうべき存在が鷹ノ巣山(標高1737 m)です。
今回は「奥多摩三大急登」の一つとされる稲村岩尾根から鷹ノ巣山に登り,石尾根をたどって奥多摩駅に下るルートをとります。天気が良ければ,新緑の森を歩き通すのは気持ちが良いに決まっています!
稲村岩尾根を登る
鷹ノ巣山にはいくつかの登山ルートがありますが,その中で稲村岩尾根はもっともポピュラーなルートかと思います。同時にこのルートは「奥多摩三大急登」の一つとされている,ハードなコースでもあります。
稲村岩尾根に取り付くには,まずJR奥多摩駅前から東日原行きのバスに乗ります。バスは渓谷に沿った凄まじい道路を走っていきます。谷底ははるか下。毎日ここを運転する運転手さん,すごいな (°o°;)
注意:昨年秋の台風19号の被害により,日原方面へ向かう通称「日原街道」が崩落しました。今月7日に仮設道路が通って街道は全通しましたが,本格的な普及工事はこれからで,バスもかなり手前の「大沢」までしか通っていません。また現在,新型コロナ対策として,奥多摩町から「訪町自粛要請」が出ています(2020年5月31日まで)。
追記:2020年8月現在,稲村岩尾根コースは通行止めになっています(登山道崩落のため)→詳細はこちら
このバスには川苔山(こちらも人気の山です)へ向かう人も乗っているのでけっこう混みますが,途中でこの方々がが降車すると空いてきます。
バスを東日原で降りて,進行方向に少し歩くと登山口があります。ここから山の方を見ると…
日原のシンボル,稲村岩がもっこりとそびえ立っています。すごい存在感。稲村岩尾根コースは,このもっこり岩を右から回り込んで,尾根に一気に上がるのです。
登山口からは,まず沢筋に向かって下っていきます。そして沢を渡ったら森の中へ。
はじめは杉林と沢筋の道です。足元には苔むした木が転がっていたりします。「奥多摩の森ですよ!」という雰囲気が徐々に深くなってきます。
まだこの辺りは緩やかですが,沢筋を離れると傾斜は一気に増し,胸をつくような急登になっていきます。特に稲村岩の肩に上がるところはすごい傾斜でロープが張られています。さすがは奥多摩三大急登。
稲村岩の肩から稲村岩のてっぺんに登ることもできますが,ここは先を急ぎます。このあたりから広葉樹が多くなり,森の中に陽が射すようになってきます。傾斜は相変わらずきついですが,新緑が気持ちの良い尾根道となります。
そしてもう少し進み,歩き始めてから2時間くらい経った頃,ツツジが咲くところに出ました!初夏の日差しに輝くミツバツツジ。なんとも爽やかで気持ちのいいところです。
登山道に沿って,「ツツジ並木」はしばらく続きます (^ ^) まだこれから開花するつぼみもたくさんあります。うれしーい!
鷹ノ巣山頂上へ
明るい森の中を息を切らしながら登っていくと,「ヒルメシクイノタワ」という小さな平地に出ます。お昼ご飯を食べたくなるような場所ですが,ここから頂上までは30分くらい。ここで休憩を取ると,ちょっと中途半端なタイミングのような気もします。
ヒルメシクイノタワからも急坂は続きますが,ところどころツツジが咲いていて励まされます。
そして森の中に続くトレイルをたどっていくと,不意に木立が切れ,ひょっこりと鷹ノ巣山頂上に飛び出します!頭上の木々が消えて自分の周りがパァッと明るくなります。
鷹ノ巣山は,奥多摩随一の開放感があるところです。眼下に広がる広大な森。東にははるかに続く石尾根。そして幾重にも折り重なる山の稜線の向こうに,フジッサーン! /^o^\
東日原の登山口を朝登り始めると,鷹ノ巣山でちょうどお昼時になります。陽光溢れる頂上でランチにしましょう。今日のお昼ご飯はタイカレーとサラミソーセージ。あまり見栄えはしませんが,美味しいです♪ バーナーでカフェオレも沸かして飲みます。
近くにいた学生さん(?)のグループが,バーナーの自動点火装置がうまく動かないと困っていたのでマッチを一箱あげました。僕のバーナーは古くて自動点火装置は付いていないので,普段からチャッカマンとマッチ2箱を持ち歩いているのです。またひとつ,徳を積んだなっ!
石尾根を下る
お昼ご飯を食べて,鷹ノ巣山の明るい雰囲気を十分に楽しんだら下山にかかりましょう。ここから西に進めば七ツ石山,雲取山へ行くことができますが,今回は東へ。辿るのは奥多摩駅まで続く,長大な石尾根です。
稲村岩尾根とは対照的に,緩やかに続く尾根をたどっていきます。稜線に開放感あふれるトレイルが続きます。
陽光あふれる縦走路は,いかにも春山。新緑に小鳥のさえずりが響き,気の早い春ゼミも鳴いています。歩くのがウキウキしてくるような道です。
途中水根山で,榧ノ木尾根を経由して奥多摩湖畔へ下る道が南(右側)に分かれますが,今回は直進しましょう。
やがて道は樹林帯に入ります。この季節の森は,まるで新緑が輝いているよう!緑のシャワーを浴びながら歩きます(^◡^)
たまら〜ん!
樹林帯にも時折ミツバツツジが咲いていて,目を楽しませてくれます。いいなあー。
全体に穏やかな道が続く石尾根ですが,城山という小ピークから急な露岩帯の下りになります。ここが唯一の要注意箇所でしょうか。ちなみに「城山」とは,伝説によると平将門が一夜城を築いたところらしいのですが…するとこの露岩帯は,お城の石垣を下っていることになるのでしょうか。
ここを下ると,樹林帯の中の平らな場所に出ます。ここが将門馬場。将門が馬を繋いだ場所とのこと。確かにそんな雰囲気もあります。
将門馬場を過ぎると,眼前に六ツ石山が見えてきます。鷹ノ巣山を下り始めて1時間半くらいのところです。このあたりの,森が深い感じも好きです。
縦走路は六ツ石山の肩を通過します。六ツ石山頂上へは縦走路から離れて10分くらい。往復しておきましょう。狭いですが静かな頂上で一息つけます。
六ツ石山頂上から水根へと直接下るルートもありますが,こちらはものすごい急勾配。今回は石尾根に戻ります。
樹林帯の縦走路はさらに続きます。木漏れ日とツツジの道。
三ノ木戸山をすぎると杉の植林帯が増えてきます。そしてさらに高度を下げていくと,だんだん森の中に人の営みが感じられるようになってきます。山道の横に石垣の跡が見つかったり,ポンプ小屋跡が出てきたり。
そして山道から車道へ出る直前,林の中に仏様が。ありがとうございました。今回も無事に下りてくることができました。
鷹ノ巣山を出てから4時間と少し。車道に出ました。そのあとさらに羽黒三田神社の境内を抜けたりしながら歩いて奥多摩駅に到着です!長丁場ですが気持ちの良いトレイルでした。
電車を待つ間,ソフトクリームを食べたりしがらのんびりします。ここからは新宿まで電車一本。いやあ,奥多摩っていいところですよ。
おわりに
この季節の奥多摩は新緑が眩しくて,とても気持ちよく歩くことができます。でも今年は行けないので,以前の写真を眺めたりしながらあの雰囲気に浸っています。
今回紹介した稲村岩尾根から鷹ノ巣山を経て石尾根を下るコースは,トータルの行動時間が7時間くらいでしょうか。下山した時には,全身が緑の染まっているような気分になれます。
そうそう,奥多摩には「澤乃井」という酒蔵があります。これを飲みながら,山の空気に思いを巡らせるのも,また楽しいひと時です。肴は山の行動食の余ったもので (^ ^)
関連記事