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Topaz Sharpen AI で野鳥の写真を処理してみた –– 素速く動く鳥の動体ブレやピンボケの補正に効果はあるかな?

Topza Lab の Sharpen AI について

Topaz Labから,いくつかの写真編集ソフトがリリースされています。その中で「Sharpen AI」というソフトを試してみました。

www.topazlabs.com

このソフトは,

Topaz Sharpen AI の3つの機能
  • 「Too Soft」…しゃっきり感が足りない写真をシャープにする
  • 「Out of Focus」…ピントがボケた写真を補正する
  • 「Motion Blur」…手ブレ,動体ブレを軽減する

という3つの機能を持っています。

ピンボケの写真やブレた写真を救済できれば画期的ですよね。「Sharpen AI」は,そのためにAI技術を使っているということでしょうか。

果たしてこのソフトの効果はいかほど?…この記事では,動きの素速さゆえに,動体ブレやピントを外すということが起きやすい野鳥の写真に対して,Sharpen AIを適用してみた結果を紹介します。

Too Soft で写真をシャープにする

はじめに「Too Soft」の効果を調べてみましょう。これは他の写真ソフトにもある「シャープ」を,AIを使ってより効果的にするという感じでしょうか。割とわかりやすいですかね。

何はともあれ実例を。

シマアジ

シマアジ Sharpen AI適用前

野川で出会ったシマアジ。コイツは動きも比較的ゆっくりでブレることなく撮影できたと思います。そこでシャープの効果を試してみましょう。

Too Softの効果

Too Softの効果はいかほどに?

効果として「Too Soft」を選ぶと,効果のプレビューが表示されます(Viewメニューから「Side by Side View」を選んでいます)。プレビューを見ながら,スライダーを動かして効果の効き方を調整し,「Apply」ボタンを押すと処理が始まります。

シマアジ Sharpen AI 処理後

Sharpen AI 処理後

「Too Soft」処理後。…ブログサイズだとよくわからないでしょうかね。等倍で画像スライダー表示してみましょうか。真ん中のスライダーを左右に動かすと比較することができます。左が元画像,右側がSharpen AIを使って現像したものです。

かなりシャープになったことがわかるかと思います。

このメジロの写真 ↓ もこの機能で解像感が増していい感じになりました。

メジロの写真をシャープに

メジロの写真をシャープにする

Out of Focus でピンボケ写真を改善する

次に「Out of Focus」機能で,ピンボケ写真を救出してみましょう。お題はこれ。

飛ぶ白鳥

飛ぶ白鳥
飛び立つ白鳥を取ったのですが,フォーカスエリアを「ワイド」にして撮った結果,白鳥の羽にピントが合っていて,顔の部分は微妙にピントが外れているように見えます。
これをSharpen AIの「Out of Focus」機能で救えるでしょうか。

白鳥の顔

白鳥の顔の部分のピントを改善します

はじめ白鳥の動きが速いから被写体ブレもあるのかなーと思って,「Comparison View」にしています。

これを見ると,やっぱり「Original」はピントが外れているように見えます。処理後のプレビューでも,最も効果が効いているのは「Out of Focus 補正」ですね。

そこで右側のパネルから「Out of Focus」を選んで「Apply」。

その結果,こんな絵が得られました。

「Out of Focus」処理後

飛ぶ白鳥「Out of Focus」処理後

処理前のモヤっとした感じが改善されていると思います。(元の写真と色味が違うのは僕がちゃんと現像してないからです (^ ^;))

顔の部分を等倍でで比較するとこんな感じ。

これは違いがはっきりわかりますね。ピンボケだった写真が,かなり見られるようになったと思います!

Motion Blur でブレを目立たなくします

野鳥の撮影に際して,木の枝に止まってる鳥を撮るときはともかく,飛んでいる鳥を撮るときは被写体ブレが問題になります。鳥の種類にもよりますが,すごく動きの速い鳥もいますからね。カワセミとか。

飛ぶカワセミ

飛ぶカワセミ

Sharpen AI には「Motion Blur」という機能があって,ブレを軽減することができるようです。これ,画期的だと思いますが,どれくらい有効かな?

飛ぶカワセミ

飛ぶカワセミの動体ブレを軽減

もともとss 1/2000 秒で撮っているのでそんなにブレは目立たない…と思っていたのですが,Sharpen AIに読み込んで Motion Blur を軽く適用してみると,解像感が増す感じがします。これはやっぱり微ブレがあって,それが補正されたということなのかな?

処理後の写真はこれ。

Motion Blur 処理後

Motion Blur 処理後

拡大した比較画像がこちらです(左がオリジナル,右が Sharpen AI 処理後)。

特にカワセミの顔のあたりの解像感が良くなっています。これは効果あり!ということでいいのかな?

サクラジロー(河津桜にメジロ)の写真もShrpen AI で開いて,効果を比較してみました。その結果「Motion Blur(ブレ補正)」が最も効果的に写真をシャープにしそうなことがわかりました。

メジロの写真

メジロの写真…これもブレ補正が有効なようです

この写真,絞り優先で撮った結果,ss 1/400 秒なんですが,メジロがすばしっこく動くので,わずかに被写体ブレしてるんでしょうか。

ブレ補正を適用した結果がこれです。

河津桜にメジロ

河津桜にメジロ Sharpen AI 処理後

等倍表示だとこんな感じ。Sharpen AI をかける前よりも,明らかに解像感が増した感じがします。

サクラジロー等倍

サクラジローの写真を等倍で

星の写真には使える?

さて…。ここであることに思い至ってしまいました。

「もしかして,星が流れた星野写真に Motion Blur 補正を適用すれば,星が点像になる?」

日周運動による星の流れは,広い意味で「被写体ブレ」ですからね。

例えばこの写真。夏の大三角を中心とする天の川の写真ですが…

夏の大三角と天の川

夏の大三角と天の川

実は赤道儀の調子があまり良くなくて,拡大すると追尾が流れています。

追尾ずれ

実は追尾がずれています(ピクセル2倍拡大)

そこでこの写真を Sharpen AI で開いて「Motion Blur」処理をかけてみました。

追尾エラーは補正できる?

追尾エラーは Sharpen AI で救えるかな?

すると…

ブレ補正後

Motion Blur 処理後(ピクセル2倍拡大)

ハイ…,ダメですね。星がガタガタになっていて,日周運動による星の流れが補正されている様子はありません。Sharpen AI の Motion Blur 補正は,星の写真の補正には向いていないようです。

やっぱり赤道儀をちゃんと調整して,ていねいに追尾撮影するしかないですね (^ ^;)

 

まとめ

以上,Sharpen AI を使ってみた結果について書いてみました。ここには(最後の星の写真を除いて)比較的うまくいった例を出しているのですが,微妙な結果になったものもあります。特にブレ補正はうまくいかないケースも結構ありました。

すごい技術だけど今のところまだ発展途上。でもこれからに期待!といったところでしょうか。

このソフトをやみくもに使うのではなく,パラメータを調整しながらプレビューを見て,慎重に適用すれば役に立つことも多いソフト,現段階の印象はそんな感じです。

うまくいくとうれしいですけどね (^ ^)

「Topaz Sharpen AI」は79.99 ドル,一ヶ月のトライアル(機能制限無し)もあります。

 

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