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【安倍奥】残雪の山伏 (やんぶし) に登りましたが,ガスで南アルプスは見えませんでした

山伏山頂で


静岡市を流れる安倍川。その源流部を,2000 m急の山々が取り囲んでいます。この山域を「安倍奥」と呼びます。

安倍川は短くて急なことから,安倍奥の山々は急峻な谷筋を持ち,静岡市街地から近い割に歯応えのある登山対象となっています。

その急峻な谷の象徴となっているのが「大谷崩れ」の存在です。「大谷崩れ」は安倍奥の稜線から続く大規模な崩壊地で,1707年の宝永地震によって起きた山体崩壊です。

安倍奥山塊の地図

安倍奥山塊:山伏-大谷嶺-八紘嶺と続きます

この山域の「盟主」とされるのが山伏(やんぶし, 2014 m)。今回はここに登ります。大谷崩れは山伏のもうちょっと奥,大谷嶺へ向かう途中にあるのですが,残雪期はちょっといくのが怖いかな。そこで今回は山伏のみピストンの計画です。

山伏を往復します

特筆すべきなのは,安倍奥の山々は,富士山と南アルプスの絶好の展望台になっていることです。特に大井川を挟んで,聖岳がドーン!と見えるのがすごいとか。

去年の夏に聖岳〜赤石岳〜悪沢岳を縦走して,それがすっごく良かったんですよね。だから今回は,雪をまとった聖岳ドーン!にすごく期待してたんですよ。

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SCW気象予報でも,この日は快晴の予報だったんですけどね…。

山ふところへ向かいます

静岡市街地から,安倍川沿いに山へ向かいます。ナビには「梅ヶ沢温泉」を入力しましたが,温泉の手前の「赤水」から左へ折れて山の方に入ります。

林道に入って少し走ると,河原に駐車スペースがあります。1時間ちょっと走って着いたのは6時過ぎ。

朝を迎える山伏

朝を迎える山伏

行く手には,山伏が朝の光に輝いています。ここ数日の降雪で,静岡の山も雪化粧しているようですね。これは楽しみ!

初めは林道歩きです。西日暮沢の左岸(上流から見て左側)の道を淡々と歩いていきます。

はじめは林道歩き

はじめは林道歩き

10分も歩くと,砂防ダムが現れます。砂防ダムの脇に工事関係者の拠点があって,ここのトイレが登山者にも開放されていました(僕も帰りに利用させていただきました)。

砂防ダムが現れた

砂防ダムが現れた

林道を歩くこと20分で登山口に到着。ここから山に入ります。念のために熊鈴をぶら下げていきます。

登山口に到着

登山口に到着

登りはじめはモノレールに沿った道です。少し上にわさび田があるので,そこでの作業に使っているものかな?奥多摩でもよく出くわすけど,これ乗ってみたいよねえ (^◡^)。

登り始めはモノレールに沿った道

登り始めはモノレールに沿った道

西日暮沢沿いの道を登る

登山道は西日暮沢に沿って続きます。何度か沢を渡りますが,沢にかかっているのは,こんな細い橋。ちょっと前に静岡でも雪が降ったので,雪が積もっています。

西日暮沢を何度か渡ります

西日暮沢を何度か渡ります

ずるっと滑って沢に落ちたら冷たいので,慎重に渡ります。

沢沿いは日が差さないので,雪はサラサラの粉雪。日のあたる稜線は,まだはるか上ですな。

沢沿いは粉雪

沢沿いは粉雪

沢沿いに進んでいくと,右手から細い滝のような流れが合流します。こんな肌寒い季節とはいえ,水の流れは気持ちがいいです。

細い滝のような流れが沢に落ちます

細い滝のような流れが沢に落ちます

沢の音を聴きながら歩いていきます。スローシャッターで水の流れを写して遊んだりしてね。

スローシャッターで水の流れ

スローシャッターで水の流れを写したり…

歩いていくとこんな細い橋が何度か現れ,右岸と左岸を行ったり来たりしながら登っていきます。やや複雑な道ですが,ピンクテープを確認しながら進めば問題ありません。

右岸と左岸を行ったり来たり…

右岸と左岸を行ったり来たり…

そしてこの橋 ↑ を渡ったら,道は一度左に大きく回り込みます。ここでおもむろに現れるのが「大岩」。

今にも転がり出しそうなでっかい岩がでん!と鎮座しています。でかっ!そんで何だか巨大な顔が笑っているように見えるな。

大岩

大岩

続いて大岩の前を右に横切るように進み,再び沢を渡ります。すると道は西日影沢の本流を離れ,支流に沿って急激に高度を上げていきます。

その傾斜が緩むと,なんとなく「沢の源頭部も近いかな?」という雰囲気になってきました。

源頭部は近いかな?

源頭部は近いかな?

さらに進むと,唐突に現れるのがこの崩壊地。道はここをトラバースしていきます。このトラバース,凍結していたら厄介だなと思ってたんですけどね。そんなことはなく,難なく通過することができました。

崩壊地のトラバース

崩壊地をトラバースします

標高が上がってきましたよ。雪の華をまとった木々がキラキラと美しい!青空に映えますなあ (^◡^)。

標高が上がると木々がまぶしい

標高が上がると木々がまぶしい

そんな中を嬉々として登っていき,8時半に尾根の上に飛び出しました。ここが蓬峠。山伏に至るまでの,ちょうど中間点くらいですかね。

蓬峠に到着

蓬峠に到着

眺望がひらけて気持ちがいいので,ここで少し休憩しましょう。

山伏から大谷嶺,八紘嶺へと続く安倍奥の稜線が目の前に展開します。雪化粧した尾根筋はきれいだけど…んー,稜線はガスで包まれていますかね。予報ではドピーカンだったんだけどな。

 

尾根筋を辿って山伏山頂へ

さて,再び歩き始めますか。蓬峠から先はチェーンアイゼンを装着していきます。これまでとは打って変わって尾根筋の登りになります。

標高が上がってきたけど,日差しがあるのでそんなに寒さは感じません。

今度は尾根筋を登っていきます

今度は尾根筋を登っていきます

雪を踏みしめながら着実に高度を上げて行き,標高1800 mあたりまできました。ここで登山道は,一度尾根をそれて沢の源頭斜面をトラーバースします。

ここのトラバースが!すっごく怖かった!

ここのトラバースがものすごく怖かった!

ここのトラバースがものすごく怖かった!

無雪期ならしっかり道があるんでしょうけどね。この時期は足元の雪がザクザクでグリップがおぼつかないし,雪壁と呼びたくなるような急斜面が,ずっと下まで続いています。

トラバースの途中で↑こんなお助けロープもあるんですが,その前後の何もないところがね…。

雪面に足を蹴り込みながらステップを切って慎重に慎重に進んだけど,今思い出しても怖くなって,お尻がムズムズするな(汗)。

獣の足跡を追うように

獣の足跡を追うように進みます。

そんなトラバースを何とか抜けて,木々の間を山伏へ向かいます。森に続くのは獣の足跡。シカさんかな?

木々から落ちてくる雪が時々首筋に入ってヒヤッ!ってなったりしますが,それもまた楽し。そんな登りを続けると傾斜が緩んできました。

広い台地状の地形に出ると頂上は近い

広い台地状の地形に出ると頂上は近い

山伏の頂上付近は台地状の地形になっています。頂上は近いですね。

道の左側が柵で保護されています。ここは,夏になるとヤナギランが群生することで有名なんです。シカの食害によって,一時期よりは減ってしまったようだけど。

もう少し

この辺り,夏はヤナギランの群生地になります

雪をつけた樹木がまばらに生える中,歩みを進めます。あと少し。

あと少し

あと少し

そして11時10分,山伏 (2014 m) の頂上に到着しました。あのトラバースを慎重に行った分,予定よりも時間がかかってしまったな。

山頂標は南アルプスで見た,だんご三兄弟型の標識です。ちょっとうれしくなりますね。

山伏に登頂です!

山伏に登頂です!

ところで天気ですが…。写真でもわかるように日はさしているんです。ちょいちょい青空も見えるし,「晴れ」と言っていいんでしょうけど。

でも蓬峠から見たように,稜線だけをガスが包み込んでいるようで,遠望は効きません。うーん。

頂上でスウェーデンソングを歌いました (笑)

頂上付近は樹氷がきれいで,高山の雰囲気が気持ちいいです。…が,お目当ての南アルプスも富士山も見えませんね。残念!

頂上部の木々は深山の雰囲気

頂上部の木々は深山の雰囲気

ガスがパァーッと流れて,一瞬でも聖岳が姿を見せないかとしばらく待ってみたんですが,そんな様子もなく。

そうですねえ,誰もいないことだし,ここでひと節歌っていきますか♪ 

というわけで,スウェーデンソングを歌います。まず "Uti vår hage"。スウェーデンでは「国民の歌の宝物」と言われ,小学校でも習うという曲。 

Uti vår hage

スウェーデンソングを歌いますよー♪

霧氷の木々に囲まれて歌うのは気持ちがいい (^◡^)。

気分が乗ってきたので(笑),続いて "En Vänlig Grönskas Rika Dräkt (Sommarpsalm)"。「夏の讃美歌」とも呼ばれるこの曲も広く愛されていて,スウェーデン王室の結婚式で歌われたりしています。


「夏の讃美歌」と言いながら,周りは雪景色だけどね。途中で入るピヨピヨ♪ は,GPSアプリの音です。

下山します…雪の森を抜けて

気分よく歌ってたもんだから,頂上に1時間20分も滞在してしまいました。そろそろ下山しましょう。

雪原を気持ちよく歩くところを,ちょい自撮り(笑)。

下山します

下山します

この雪景色は,温暖な静岡とはちょっとイメージが違ってますかね。でも静岡市って赤石岳や塩見岳や間ノ岳まで含んでますからね。広いですね。

下っていくよー

下っていくよー

雪の森を歩く。たどるのは,登ってきた自分の足跡です。スマホで動画を撮ったりしながら進みます。この辺は余裕です。


さて,問題はあのトラバースです。あそこをもう一度通るのは嫌だなあ。

というわけで,帰りはずっと尾根通しに下ることにします。夏道から外れるから藪がかぶってるかな?と思いましたが,安全第一ですからね。

GPSログ:下りは尾根通しに歩きました

GPSログ:下りは尾根通しに歩きました

実際には雪でブッシュが埋まっており,問題なく蓬峠まで下ってくることができました。これは正解でした…というか,登りもこっちにルートを取るべきであったな。

蓬峠まできました

蓬峠まできました

下山後半戦,沢沿いに下ります

蓬峠から,谷を挟んで向こうの山が見えます。あっちは「笹山」あたりでしょうかね(白根南嶺にある笹山とは別の山です)。

安倍奥の山は結構深いですね。それに谷筋が急峻なところが多いですね。

安倍奥の山は深い

向かい側の山が見える…安倍奥の山は深いね

崩壊地まで下りてきました。斜面が急だから要注意ではあるけど,足元がしっかりしているので問題ありません。

再び崩壊地を通過

再び崩壊地を通過

さらに下って大岩。まるで登山者を通せんぼしているようです。どうしてこんな岩が一つだけあるのか,不思議です。

大岩まで下りてきました

大岩まで下りてきました

午後になって気温が上がってきたかと思っていましたが,大岩には氷柱が下がっています。いっそう神々しく見えますなあ。

大岩には氷柱

大岩には氷柱

さて,あとはのんびり下っていきましょう。最後はわさび田の脇を通ります。夏になると,ここに山わさびが茂るのかな。

わさび田あと…今も使われているのかな?

そして淡々と歩き続け,登山口を抜けて林道に復帰しました。山伏を振り返ると相変わらず男性的な山容。けっこう歩きごたえがありましたね!

山伏を振り返る

げっざーん!山伏を振り返る

温泉に浸かってあったまりましょう

さて,雪の山を歩いてきたから,温泉に入ってあったまりたいですね。

そこで向かったのは,梅ヶ島温泉の日帰り入浴施設「黄金の湯」。とても気持ちよさそうだな,と目をつけていたんですよ。

梅ヶ島温泉「黄金の湯」

梅ヶ島温泉「黄金の湯」

www.koganenoyu.com

ところが入場が16時までで,下山後にのんびりしすぎた僕は入れませんでした。ありゃりゃ。

そこで静岡市街地へ向かい,「お風呂cafe 美肌湯」に入りました (^◡^)。

お風呂cafe 美肌湯

お風呂cafe 美肌湯

ofurocafe-bijinyu.com

いやあ,モデルデビューも果たしたことだし,美肌をキープするのは大事だからね!なんつって。

 

おわりに

安倍奥の山伏。雪の中を歩くのは楽しかったけど,南アルプスの展望が得られなかったのは残念!雪化粧の聖岳が見たいから,来年あたりリベンジかな。

微妙に遠いので,また静岡に用事ができたら行きやすいんだけど…。

南アルプスの谷よりも深い反省

あの雪壁のトラバース,「ヤバい」と思った時点ですぐに引き返して尾根に上がるべきだったな。無事に切り抜けたとはいえ,判断が間違っていたと深く反省しています。

登山記録

2025年3月9日

駐車場を出発 (6:30) – 山伏登山口 (6:50) – 蓬峠 (8:30–8:45) – 百丈峠分岐 (10:50) – 山伏頂上 (11:10–12:30) – 百丈峠分岐 (12:50) – 蓬峠 (13:45) – 大岩 (14:20) – 登山口(15:00) – 駐車場 (15:15)

休憩を除いた総行動時間 7時間10分

 

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