自作ポータブル赤道儀・ふくろう号
山に行って星空の写真を撮るのが好きです。
星空を追尾撮影するために,ポータブル赤道儀を自作して使っています。名付けて「ふくろう号」(ダサい? 笑)
ふくろう号の製作記事はこちら↓
現在,東京都は緊急事態宣言下で星を撮りに出かけることができませんが,これを機会に赤道儀の使い勝手を改善しようとあれこれしてみたという話です。
- 自作ポータブル赤道儀・ふくろう号
- 赤道儀「ふくろう号」の使い方と気になるところ
- 汎用L型ブラケットを購入して,縦構図でも安定するようにしました
- サイトロン・ジャパンのコンパスアングルプレートを購入してみました
- まとめ
赤道儀「ふくろう号」の使い方と気になるところ
基本的にはこんな感じで使います ↓ (実際にはこれに極軸望遠鏡とコントローラがつきます)
地球の回転軸と平行にした出力軸(極軸)を一日一回転の速さで回転させると,日周運動で動く星を追尾できるという仕組みです。
このために,例えば北緯35°の東京付近では,極軸の傾きが35°になるようにセッティングします。写真は南の空にカメラを向けた状態ですね。
こうすると,こんなのが撮れます。
こんな感じで使ってきたのですが,問題は縦構図で撮るときです。赤道儀にのせた自由雲台を動かしてカメラを縦位置にすると…
こんな感じ。バランスが崩れて,極軸に余計なモーメントがかかるのです(マニアックな話をすると,これってドイツ式赤道儀のバランスウエイトがない状態と同じですからね)。
これまで縦構図で撮影するときには,なんとかバランスが取れるように雲台のポジションを微調整しながら,試し撮りしては写真の構図を確認して…という作業を暗闇の中で行なってきたのですが,これはなかなかメンドくさい。なんとかしたいなあとずっと思っていました。
そんな経緯もあって,いくつか試してみたのです。
汎用L型ブラケットを購入して,縦構図でも安定するようにしました
とりあえずバランスは安定しましたが…
縦構図に構えたカメラを安定させる場合,L型ブラケットを使うのが定番ですよね。そこで,まずこのアイテムを取り入れてみました。ただしα6400用のものではなく,「汎用ブラケット」を購入しました。↓ これです。
カメラにつけるとこんな感じ。
なぜα6400用ではなく,「汎用ブラケット」にしたかというと…
それを書く前に,このブラケットを使ってカメラを縦位置で赤道儀に乗せるとどうなるかを見てみましょう。↓ こんな感じです。
うん,だいぶ安定しました。いい感じですね。
…でもこれで一件落着とはいかないんです。
星空を撮影するときにはインターバルタイマー(リモートレリーズ)を使うのですが,α6400にタイマーを接続するためのUSBポートは,カメラの左側にあるのです。だからこういう問題が…↓
インターバルタイマーの差込口がふさがってしまうのです。これでは星空撮影はできません。(星空を撮るときにはカメラのシャッター速度を「バルブ」にして,インターバルタイマーで露光時間をコントロールします)
L字型USBアダプタでインターバルタイマーを繋ごうとしたのですが…
それでブラケットにカメラをずらして乗せて,USBポートのL字型アダプターを介してインターバルタイマーをつけようと試みました。汎用ブラケットを使ったのは,これをやるためだったんです。
実際にやってみたのですが…
…差込口が下に向くからダメじゃん。
いや,これは僕がアダプタの注文を間違えただけで,逆方向に曲がっているアダプタを使えば差込口が上に向くのです。
ところがそれ以前に,アダプタのUSBソケットに刺したインターバルタイマーがゆるゆるで,信号がうまく伝わらないようです。
いま使ってるインターバルタイマーはロワ・ジャパンのこれ ↓ なのですが,コネクタの形が一般的なマイクロUSB(タイプB)のものと微妙に異なってるみたいなんですよね…。(カメラのUSBポートにはちゃんと付いて,信号もちゃんと伝わるので,この製品に問題があるわけではありません。こんな使い方は想定外でしょうし)
ということで,USBアダプタ作戦は一旦あきらめることにします。
L型ブラケットを逆向きにつけたらどうなる?
次にL型ブラケットを逆向きにつけて,短辺がカメラの右側にくるようにしようと考えました。こうすれば赤道儀に乗せたときに,タイマーの差込口が上に来て使えるようになります。
ところが…
底面ネジの可動範囲が足りずに,この向きでブラケットを装着することはできなぁーい!
これは困りましたね。
ブラケットを斜めにつけるしかないか…
ここでちょっと思案したのですが,結局ブラケットを斜めにつけて使うしかないかなという結論に至りました。
こうすればインターバルタイマーを使うことができますね,すっごくカッコ悪いけど。これでも「縦位置にした場合のバランスの悪さ」は,一応解消できますし…。
なんとなくスッキリしないけど,一応目処は立ったかな…。
カメラを縦にすると全体のバランスが危うくなります
…と見せかけて,もう一つ問題が。
こうしてL型ブラケットを使ってカメラを縦に構えると,極軸周りのバランスは改善されるのですが,全体のバランスが危うくなるのです。どういうことかというと…
こんな風に,特にカメラを天頂方向に向けたときに大丈夫かぁ〜?って感じになります。星を追尾撮影してる途中で,三脚ごとひっくり返ってしまいそう。
これもなんとかしないといけませんね。
サイトロン・ジャパンのコンパスアングルプレートを購入してみました
アングルプレートでバランスを安定させよう
そこでサイトロン・ジャパンから出ている「コンパスアングルプレート」を購入してみました。
これは同じサイトロンのポータブル赤道儀「ナノ・トラッカー」を乗せるためのものですが,僕のふくろう号にも使えます。
これを使うと,赤道儀を無理なくカメラ三脚に乗せることができ,バランスの改善が期待されます。実際にやってみるとこんな感じ。
赤道儀とカメラの重心が,三脚の真上にだいぶ近づきましたね。だいぶいいですかね。
これでなんとかなるかな。
でもちょっと重くなっちゃったな…計量化を試みます
これで安定感は増したけど,L型ブラケットとアングルプレートの分,装備が重くなっちゃいました。合わせて数百グラムですが,山に担ぎ上げるにはこれは結構いたいですね。そこで,アングルプレートを三脚に直付けしてみました。こうすれば,雲台一個分荷物を軽くすることができます。
これでいけそうですね。ガタの原因となる接続部の数も減って,見た目の安定感も一層増したように思います。
こうすると,極軸の傾きは三脚の脚を微妙に伸び縮みさせて合わせることになりますが,それは今までにもやったことがあるのでなんとかなるかな?と思っています。
まあその辺りも含めて,次の星撮りの時にこの形を基本にして試してみようと思います。
まとめ
ということで,グダグダでしたが,L型ブラケットとコンパスアングルプレートを使って,赤道儀のバランスを改善した話でした。
これで調子よく使えるかどうか早く試してみたいですが,まだ緊急事態宣言下なので,もうしばらくうちでいろいろいじってみます (^ ^;)
次は赤道儀自体の剛性をもう少し改善すべく,改造を検討しているところです(4月の新月期までに実行したいなあ)。
緊急事態宣言もあって,結局今年は冬の星座をちゃんと撮れなかったなあ。撮りたいと思っていた対象はあったんですけどね。
4月に撮るとしたら,夜半過ぎに昇ってくる夏の天の川が狙い目でしょうか。タイミングよく晴れるように,日頃の行いを良くしておきます(笑)。
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