sunsun fineな日々

子育てしながら,山を歩いたり星を見たり料理したり写真を撮ったり

【北アルプス】爺ヶ岳,鹿島槍ヶ岳:憧れの双耳峰へ

いつのことだったでしょうか,山岳雑誌で冬の鹿島槍ヶ岳の写真を見ました。ヒマラヤ襞をまとった双耳峰は実にカッコよく,それ以来鹿島槍は憧れの山になりました。

それから月日は流れましたが,一昨年の8月,やっと鹿島槍に行くことができました。この時の山行を思い出しながら,当時のことを振り返ってみたいと思います。

扇沢から柏原新道へ

新宿駅西口出発の夜行バス,「毎日アルペン号」に乗って,早朝扇沢に着きました。ここは鹿島槍ヶ岳および針ノ木岳の登山口であり,黒部立山アルペンルートの玄関口でもあります。周りをぐるりと見渡すと,南の針ノ木岳,北の爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳,そしてその間を結ぶ稜線に囲まれて,やかんの底にいるような感じがするところです。

爺ヶ岳,鹿島槍ヶ岳へ向かう柏原新道の登山口は,扇沢から少し戻った所にあります。登山口には仮の受付小屋があって,ここで登山届を提出。早朝の空気の中を登り始めました。先が長いので,はじめは意識してゆっくりと歩きます。

ほどなくしてやや急な登りになり,樹林帯の中を1時間ほど頑張るとケルンに着きます。ここでやや展望が開け,振り返ると針ノ木岳が間近に見えました。うーん,かっこいい山です。でも沢筋にあるはずの雪渓が…ない!今年は雪解けが早かったのでしょうか。

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針ノ木岳 かっこいい山です

ケルンからは尾根筋をたどって種池山荘へ向かいます。特筆すべきなのは,ここ柏原新道の歩きやすさです。とてもよく整備されており大きな段差がほとんどないので,脚に疲労がたまっていきません。本当にありがたいことです。途中「駅見岬」で扇沢を見下ろし,さらに進むと「水平道」。ここには雪渓を横断する箇所があります。雪渓の上はガラ場になっており,落石に注意が必要な所です。ここにはこんな注意書きがありました。

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雪渓を横断するところにはこんな看板が

落石に合わないように素早く,でも雪渓なので足元にも注意が必要です。種池山荘へ至るまでの道で,ここが唯一気を使う場所だったでしょうか。

雪渓を抜け,最後に急登をこなしたら種池山荘の三角屋根が見えてきました。扇沢を歩き始めてから,休憩を含めてここまで約4時間です。

爺ヶ岳に向かいます!

種池山荘に着いたらベンチに腰を下ろしておやつタイムです。せっかくなので山小屋のコーヒーを飲みました。天気は快晴,贅沢な時間です。歩いていく方向に目を向けると,爺ヶ岳へと続く尾根が続いています。青空へと続く緑の稜線,なんと爽やかなんでしょうか!

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爺ヶ岳 この稜線は最高に気持ちいい!

種池山荘を歩き始め,爺ヶ岳南峰へ続く稜線を登っていくと…おお?

おお!?

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劔・立山連峰 すごい存在感です

劔岳と立山連峰が!いやこれはすごい迫力です。特に劔岳の存在感は圧倒的で,歩いていても気がついたら劔の方に目が向いているという感じでした。

そして視線の方向を変えると,どーん!

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鹿島槍ヶ岳が見えてきました!どっしりとして風格があります

ついに鹿島槍ヶ岳がその姿を現しました。谷筋に雲が湧いて,どっしりと風格があります。

この絶景の中を,爺ヶ岳に向かいます。天国のような尾根歩きです。途中ですれ違った山ガールからも「気持ちいいですね!」と声をかけられます。はい!本当に気持ちがいい稜線です。そして爺ヶ岳南峰に到着。

南峰では,鹿島槍が一層大きく見えていました。そして中峰,北峰と続く爺ヶ岳の稜線。この稜線は最高に気持ちがいいですね。

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爺ヶ岳南峰から中峰,北峰方向 この稜線をたどって鹿島槍ヶ岳へ向かいます

爺ヶ岳を超えて冷池山荘テント場へ

続いて爺ヶ岳中峰へ。爺ヶ岳には巻道もあるのでが,こんなに天気がいい日はちゃんとピークを踏んでいくに限ります。

中峰からの眺めも最高です。振り返って南峰,その向こうに針ノ木岳,蓮華岳。さらに遠くに薬師岳。北アルプスの奥深さを感じます。

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爺ヶ岳中峰から南峰 その向こうに針ノ木岳,さらに遠くに薬師岳

そして南側を見ると槍・穂高連峰が遠くから存在感を主張しています。「次はそっちに行くからなー!」と,(他の人もいるので)小声で呼びかけてみます。←行ってきました。

北峰は巻道しかないので,素直にトレイルをたどり,冷池山荘へ下っていきます。12:40冷池山荘着。扇沢から休憩を含めて7時間くらいでの到着となりました。

冷池山荘でテント泊の受付を済ませたら,10分ほど歩いてテント場へ向かいます。ここ冷池のテント場は,小屋から離れていてトイレが遠いのが難点ですが,目の前に劔・立山連峰が聳えおり眺望は最高です。越えて来たばかりの爺ヶ岳が南側に見えるのもポイントが高いです。

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冷池のテント場からは,歩いてきた爺ヶ岳の稜線が見えます

冷池山荘テント場に到着

テントを設営した時点で午後1時。今日のうちに十分鹿島槍を往復できる時間ですが,明日も天気が良さそうだし,この日はテントでのんびりすることにしました。テントの入り口から劔岳方面を眺めつつ,担ぎ上げた牡蠣,ホタテと冷池山荘で買ったビール。最高としか言いようがありません。これ,他になんと形容したらいいのでしょうか (^◡^)。日差しを浴びてテントの中は暑いくらいです。時々テントから顔を出して涼んだりもします。

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劔岳を眺めながらむふふ 最高です

さて,たっぷりと休憩をとりました。日は西に傾いてきていますが,少しだけ周りを散策してきましょう。10分くらい歩くと鹿島槍がさらに近づいてどーん!

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鹿島槍がさらに近づいてどーん!

そして足元には高山植物が咲き乱れています。天国のような散歩を終えてテントに戻ると,夕暮れが近づいていました。

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高山植物もきれいです

冷池テント場の夜

夕日が劔・立山連峰に沈んで行こうとしています。それまで浮き立つようだった山の空気が,急に静かになったように感じられます。やがて西の空がオレンジ色に染まり,劔・立山がシルエットになって行きます。谷筋の雲海も夕日に染まりはじめました。

テント場では,誰もが無言でこの光景を眺めています。一刻一刻と変化していく夕暮れの光景。あまりにも神々しくて,涙が出そうでした。

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劔・立山連峰に日が沈む あまりにも神々しい風景です

この時期,僕はいろいろな意味で転機にあり,先が見通せない状況にいたのですが,この光景を見てなんだかがんばれそうな気がしてきました。

日が落ちて辺りが暗くなったので,テントに戻り夕食を作りました。と言っても,この日はアルファ米とカレーで簡単に済ませたのですが。

夜が更けて月が沈みました。針ノ木岳から続く稜線に天の川が立ち上がっています。さっそくテント場の端っこに三脚を立てて,星空撮影タイム…ですが赤道儀の調子が悪く,うまく星を追尾してくれません(原因はわかっていたので,山を降りてから調整しましたが…)。仕方がないので,固定撮影で夏の天の川を一枚だけ撮りました。

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針ノ木岳〜赤沢岳から立ち上がる天の川

そのあと,劔岳に沈んでいく星を撮っていたら明るい流れ星が飛び込んできました!ペルセウス座流星群の時期でしたが,位置からしてこれは散在流星のようです。

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劔岳に流れ星

鹿島槍に登ります!

翌朝,日が昇る前にテントを出発しました。20分くらい歩いたところで…

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あーたーらしい 朝がきたっ♪

ご来光です。思わず足を止めて写真を一枚撮りました。新しい朝が来た♪ と歌いたくなります。

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劔岳が朝日に染まります

振り返ると,朝日を浴びて劔岳が赤く染まっています。普段しょうもない妄想ばかりしている僕でも,こんな光景を見ると厳粛な気持ちになるのです。

前衛峰の布引山を越えてハイマツと岩交じりの斜面を登り,テントを出てから2時間で鹿島槍ヶ岳南峰に到着しました!

南峰頂上からは,それまで見えていなかった,後立山連峰北部の山々が見えました。八峰キレットを隔てて五竜岳,白馬岳が目に飛び込んできます。こういう風景を見ると「あっちにも行きたい!」と,登りたい山が増えてしまいますね (^ ^)。

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鹿島槍ヶ岳南峰から八峰キレットを隔てて五竜岳。遠くに白馬岳

鹿島槍は双耳峰だから両方行っとかないとね。とういうわけで,北峰にも向かいました。南峰と北峰を結ぶ吊尾根は岩稜帯の険しい道なので,ここは集中が必要です。八峰キレットへ向かう道を左に分け,急な岩場を登って北峰に到着。北峰からみた南峰は,「槍」の名にふさわしく尖っていました。

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鹿島槍ヶ岳 北峰から見た南峰と南峰から見た北峰

下山します

再び吊尾根をたどって南峰に戻り,テントへと下って行きます。鹿島槍の下りは一定の斜度がずーっと続く感じですが,サブザックで来ているので足取りは軽いです。途中で高山植物の写真を撮ったり大人数のパーティーを抜かしたりしながらテントに到着。

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イワギキョウ 山の斜面にひっそりと咲いています

テントに戻ったのが10時少し前。ここでブランチにしました。ペンネを茹でて,アラビアータにします。

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劔岳を眺めながらペンネアラビアータ♪

ペンネアラビアータ

ペンネ100gを200 mLのお湯で茹でます(この割合だと,茹で上がった時に捨てるお湯が出ません)。別の鍋で缶詰のホタテを茹で,コンソメとトマトペーストを加えたら鷹の爪を刻んで入れます。ペンネと混ぜて出来上がり!

劔・立山を眺めながらペンネを食べたら,テントを撤収して出発しました。冷池山荘に挨拶をして,爺ヶ岳を登り返しましたが,これが思いの外きつかった。重荷を背負って北峰を登り,中峰は巻いて,南峰で一息つきました。ふぅー。鹿島槍から劔・立山にかけての広々とした眺めはそろそろ見納めなので,この風景を心に刻んでおきます。

そして爺ヶ岳南峰から種池山荘へ下りました。冷池山荘から種池山荘まで約2時間でした。小屋前のベンチでパンを食べ,靴紐を結び直したら,山上の楽園に別れを告げて扇沢へ向かいます。

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種池山荘のチングルマ

この日の道程は標準コースタイムで11時間。かなりの長丁場となりました。けれども素晴らしい眺望の中を歩いて来て気分はいいし,登山道がよく整備されているので,まだまだ歩けそうです。樹林帯を下り,ケルンまできたら少し休憩。そして最後の急斜面を下って16時30分,登山口に到着しました。おつかれさま!登山口で休んでいた他のパーティーと声をかけ合いました。そういえばこの日は「山の日」でした。

さらに扇沢まで舗装道路を歩き,扇沢駅のトイレで体を拭いたらバスに乗って大町へ向かいました。

おわりに

ずっと憧れの山だった鹿島槍ヶ岳。好天の下,たっぷりと歩くことができて大満足でした。また南峰と北峰の間の吊尾根を歩いたことは,翌年の穂高吊尾根のリハーサルにもなりました。

そして針ノ木岳や五竜岳,白馬岳など,行きたい山がまた増えました。次はどこに行こう…と楽しみです。