信夫山は福島市のふるさとの山
どこの町にも「ふるさとの山」があります。その町から見える美しい山だったり,町の中にある小高い山だったり。「ふるさとの山」は,町の人々に愛され,その町のシンボルになったりしていますね。
福島市の「ふるさとの山」は吾妻連峰でしょうか。晴れた日に思いのほか近くに見える吾妻連峰は息を飲む美しさです。
そしてもう一つ,福島市の町の中心部に程近いところに,小高い山があります。その名前は信夫山。福島駅に降り立つとすぐ目の前に見えるこの山もまた,きっと「ふるさとの山」なんだと思います。信夫山の麓には公園があり,頂上付近には展望台や神社,お寺があります。
僕は今年から仕事で福島に通うようになったのですが,その仕事先にこんなポスターが貼ってありました。「秘密がいっぱい!信夫山」。地元の小学生が作ったポスターのようです。信夫山が町の子供から大人まで,多くの人々に愛されているのが伺えます。
11月下旬,2回にわたって,カメラを片手に信夫山を歩いてきました。紅葉の季節も終盤ですが,そこには懐かしい景色がありました。
紅葉の信夫山へ
吾妻連峰と安達太良山を望む
福島駅東口を出ると,信夫山が目の前に見えます。思いがけず冷え込んだ日,駅から信夫山まで歩いてみました。町を抜けて約20分。
山麓について道は登りになります。少し登ると公園が整備されています。子供のための遊具もあって,楽しそうです。振り返ると頂上付近が冠雪した吾妻連峰が見えました。
「小さなふるさとの山」から,町を挟んで「大きなふるさとの山」を眺めます。本当にきれいです。少し移動して場所を変えると,安達太良山も白く染まって見えてきました。
まだ紅葉がきれいです
紅葉の季節もそろそろ後半ですが,まだきれいです。信夫山公園を囲むように林があって,カエデの葉が燃えるように色づいています。黄色いカエデの木陰も落ち着いた雰囲気でいいですね。
山の中腹の公園で,紅葉と吾妻連峰・安達太良山を眺めて満足しました。この日はこれで時間です。
信夫山の上まで登ってみた
一週間後,再び信夫山へ歩きます。今度は上まで登ってみようと思います。道は整備されているので問題ありません。中腹ではまだ紅葉が見事なところもありました。
信夫山はこんもりとした2つの山からなっていますが,今日は西側の第一展望台がある方へ登ってみます。頂上に着くと,「薬王寺」というお寺があります。十月桜の花が咲いているきれいな境内です。
紫陽花と柿の実,そしてメジロ
尾根沿いの小径を歩く
薬王寺から山の尾根に沿ってつけられた,細い小径を下っていきます。初めは石段のくだりです。紅葉が積もって,秋ももう終わるなあと感慨に浸ってしまいます。
小径の横には枯れた紫陽花が。紫陽花は枯れてもきれいですね。咲いている時とは違った味わいがあります。
もう少し歩くと,今度は柿の木が実をたわわにつけていました。オレンジ色の実が,森の中で輝いているように見えました。
メジロもいました
そしてその木には,メジロが柿の実をつつきに集まっていました。かわいいです (^ ^) でも動きが速くて,飛んでいるところはシャッター速度1/1000秒でも止まらないですね。
信夫山のねこ稲荷
森を抜けると再びひらけたところに出ました。小さな神社やお寺をいくつか横目に見ながら歩いていくと,目当てにしていたものの一つ「ねこ稲荷」(西坂ねこ稲荷神社)がありました。
福島はかつて養蚕が盛んだったところです(日東紡の工場が福島にあるのも,その流れのようですね)。ネズミは蚕の天敵で,その鼠を取るねこは蚕の守り神でした。この西坂ねこ稲荷も,元々は養蚕の神としてねこを祀っていたようです。
www.city.fukushima.fukushima.jp
養蚕農家が減った今では,飼い猫の幸せを祈る神社として親しまれているようです。実際に鳥居をくぐって境内に入ると,ねこの絵馬がたくさんかけられていました。
養蚕は下火になっても(2013年に桑畑の地図記号が廃止になりました),昔の人たちの祈りが形を変えながら受け継がれていくのは素敵なことだと思います。
おわりに
この道をもう少し進むと第2展望台や大わらじがあるようです。山としての頂上(一番高いところ)はそっちのようですが,ここで時間切れ。山を下って仕事に向かいます。折を見て,また信夫山を歩いてみようと思います。だって信夫山は「ひみつがいっぱい!」ですから (^ ^)
またねこ稲荷を含めた福島の養蚕の遺構も,もう少しいろんなところを訪ねてみたいと思っています。
晩秋の信夫山。懐かしい景色が広がっているところでした。
関連記事
www.sunsunfine.com www.sunsunfine.com