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会津さざえ堂(円通三匝堂):二重らせん構造の回廊を持つ,不思議な木造建築

この記事は,東京に外出自粛要請が出る前に書き始めたものです

 

3月にうちの息子が中学校を卒業したのですが,3月に予定されていた修学旅行がCOVID-19の影響で中止になりました。その代わりというわけではありませんが,卒業の記念に温泉にでも行こうかと,会津若松市郊外にある東山温泉に行ってきました(一応気をつけて,車での移動とし食事は部屋食にしてもらいました)。

この記事では,東山温泉近くにある大変珍しい木造建築物,さざえ堂をご紹介したいと思います。

さざえ堂

会津さざえ堂は正式名称を「旧正宗寺・円通三匝堂(さんそうどう)」といい,会津若松市の郊外にある国の重要文化財です。町の中心部からそれほど遠くはないのですが,細い道に入っていくところがあるので見落としやすいかも?

さざえ堂は六角形をした木造の仏塔で,建物内部に付けられたらせん状のスロープで上部に上っていくことができます。独特なのが,上りと下りが別経路になっているため,すれ違うことなく上まで行って,その後下りてくることができる点です。

こんな建物です。本当にさざえを彷彿とさせる可愛らしい形。

会津さざえ堂

会津さざえ堂。六角形の可愛らしい木造建築です

www.aizukanko.com

会津さざえ堂

-旧正宗寺三匝堂-

さざえ堂は1796年に建てられたといわれる高さ16.5 m,回廊のついた六角三層の仏堂です。正面かららせん状に右回りで上り,頂上の太鼓橋を越えると左回りの下りスロープになっていて背面出口に通じます。このような構造は木造建築として非常に珍しく,世界唯一の貴重な建物です。

Aizu Sazaedo is a 16.5 meter high, 3 storeyed, hexagon shaped Buddhist temple (with walk way), which was built in 1796.  When you enter the building form the front, you will climb up the helix shaped stairway clockwise.  After crossing the Taiko-bridge (Taiko Bashi) at the top, you descend, walking anti-clockwise, and then exit through the rear.  A precious building such as this –– constructed entirely of wood –– is rare worldwide.

 「上りと下りがすれ違うことがない」というのは少し不思議ですが,こんな感じの二重らせん構造になっていると思われます。DNAと同じ形ですね。

二重らせん回廊

さざえ堂の二重らせん回廊

さざえ堂が作られたのは1796年ということですから,今から200年以上前になりますね。その時代にこんな構造を設計し,実際に作ったということには驚きを禁じえません。

かのレオナルド・ダ・ビンチも二重らせん回廊を持つ建築物のスケッチを残しているようですが,実際に作ることはできなかったとのこと。このあたりの話は「ブラタモリ」でも取りげられたんだとか。

www.travel.co.jp

いずれにしても本当に興味深い建造物だと思います。しかも総木造だというところがまたいいですね!

あらためてさざえ堂の構造を見てみましょう

それでは,あらためてさざえ堂の中を見てみましょう。入り口はこんな感じです。木肌の感じが,大変古い時代の建物だということを表しています。入り口上部の額には,「福聚海」と書いてありますね。

さざえ堂入り口

さざえ堂入り口

上りは右回りのスロープです。結構傾斜がありますが,階段になっていないところもいい (^ ^) またかつては,このスロープに沿って西国三十三観音像が設置されていたそうです。その時代に歩いてみたかった気もします。

上りは右回り

上りは右回りのスロープです

木のスロープを踏んでいくとギシギシと音が響くのも味があります。

ぐるぐるカーブしながら,けっこう上っていきます。そしててっぺんまで登ると太鼓橋です。ここを渡ると,一転して今度は左回りの下り回廊になります。面白ーい!

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てっぺんの太鼓橋を渡ります。下りは左回り

下りは左回り

こんな風に進みます

回廊を一番下まで下ると,建物の後ろ側から外に出るので,わかっていても「あれっ?」ってなります。

外に出たら,あらためてさざえ堂を眺めましょう。何度見ても味のある形をしています。

再びさざえ堂全景

外に出て,再びさざえ堂全景

周りの境内はあまり広くありませんが,桜の木が植えられています。でもこの時期,会津ではまだ桜は固いつぼみです。

周囲も見て回りましょう

さざえ堂はその建物だけでなく,周りも興味深いです。見て回りましょう。急な階段を降りて振り返ると,こんな感じ。この建物は飯盛山という山に建てられているのです。飯盛山は戊辰戦争の際,白虎隊が自刃を決行した悲劇の地でもあります。

階段の下からさざえ堂

階段の下からさざえ堂を見上げる

階段を降りたところには水が滔々と流れる水路があります。見れば岩肌にトンネルが穿ってあり,水はここから流れ出ている様子。

戸ノ口洞穴

岩に穿たれた洞穴から滔々と水が!

このトンネルは「戸ノ口洞穴」と呼ばれており,何と猪苗代湖から山に31 kmの水路を掘って,この地方に灌漑用水を引いたものだとのこと。完成したのが1835年のことだというから驚きです。そして戊辰戦争の際には,白虎隊20名がこの洞穴に潜ったとも書かれています。うーん。

戸ノ口堰洞穴

戸ノ口堰洞穴

そしてこの洞穴の近くにはこんな歌碑が。

天高しピサの斜塔とさざえ堂

天高し ピサの斜塔と さざえ堂

これには思わずニンマリ (^ ^)

またここには山に囲まれて子育て地蔵やきれいな弁財天像もあって,癒されました。

弁財天

弁財天像。きれいな姿です

おわりに

以上,会津若松市にあるさざえ堂のご紹介でした。とても可愛らしくて興味深い建物です。皆さんも,新型コロナウイルス騒動が落ち着いたあとに,機会がありましたら是非一度どうぞ。

さざえ堂とその周りの水路などは,会津の歴史を反映していて,さらに戸ノ口洞穴には白虎隊が潜ったという史実もあり…。さざえ堂の二重螺旋構造の回廊と合わせて,ここを「会津のDNA」と呼びたくなります。

東山温泉の料理

東山温泉の料理,美味しかったです (*´ч`*)

 

 

 

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