前記事「カワセミを撮りに行く –– 都立水元公園へGo!」の続きです。
水元公園でカワセミを見たあと,金町駅方面へ向かうとその途中で「しばられ地蔵」という面妖な看板を目にします。ムムム…?これは行ってみなければなるまい。妙な使命感に燃えて,そのお寺「南蔵院」を訪ねてみました。その時のお話です。
南蔵院の門をくぐります
南蔵院は水元公園のすぐ近くにあります。公園を出たら徒歩1分。看板に導かれて歩いていくと,住宅地に囲まれた立派なお寺に行き着きました。金町駅から歩くと15分くらいでしょうか。
さっそく門をくぐって中に入ってみましょう。入ってすぐのところにある手水の龍神様は,ちょっと可愛らしい姿です。
龍神様の隣にある鐘撞堂も風情のある佇まいです。なんだか門をくぐると静かな別世界って感じ。周りが下町の住宅街だということを忘れてしまいそう。
あらためて境内を眺めると ↓ こんな感じ。夕陽の降り注ぐ優しい空気に,水元公園を歩いて疲れた足も癒されました。なかなかいいですなあ。
この雰囲気にひとしきり浸ったあと,境内の奥に歩みを進めました。そう,しばられ地蔵様に会うために。
しばられ地蔵
で,問題のしばられ地蔵です。
はじめその名前から,「縄を2,3本掛けられながらも,優しく微笑むお地蔵さん」みたいなのを想像していたんですが,ご対面してみると…
( ̄◇ ̄;)…
願掛けをしながらお地蔵さんを縄で縛ると,願いがかなうと言われているそうですが,これは…(笑)
それでも今年は新型コロナの影響で参拝する人が少なかったのかもしれません。お地蔵さん,がっつり縛られながらも一応お顔が見えています。
実はこのお寺に来るのは2回目なんですが,数年前に来た時はこうでした (^ ^;)
縛られ過ぎぃ!
お地蔵さんの脇には「願掛けの縄」が売られていて,一本100円。願掛けのためにお地蔵さんを縛る縄が売られているって,信心深いんだか罰当たりなんだかよくわかりませんが(笑),僕も縄を一本買って,縄掛け…いや願掛けをしておきました。
このしばられ地蔵さん,毎年大晦日には「縄解き供養」をするそうです。だからお地蔵さんの全貌が見えるのはお正月の間くらいということになりますね。縄が解けたらお地蔵さん,「ぶはぁーっ!どんだけ縛るねん!」て言いながら顔を出されるのでしょうか。それとも縄を解かれる時,ちょっと恥ずかしがって,頰を赤らめて出てきたりするんでしょうか (^ ^;)
しばられ地蔵は大岡裁きに由来を持つ,由緒あるお地蔵さん
実はこのしばられ地蔵さん,あの「大岡裁き」に関連した謂れを持つ,由緒あるお地蔵さんなんだそうです。南蔵院の公式ホームページから少しだけ引用してみます。
呉服問屋の手代が南蔵院の境内でうっかり一眠りしている間に反物を荷車ごと盗まれてしまいました。
調べに当たった名奉行、南町奉行大岡越前守忠相は、「寺の門前に立ちながら泥棒の所業を黙って見ているとは、地蔵も同罪なり、直ちに縄打って召し捕って参れ」と命じました。かくして地蔵はぐるぐるに縛られ、車に乗せられ江戸市中を引き廻され南町奉行所へ…
さてこのあとどうなったのかは,南蔵院公式サイトでどうぞ (^◡^)
うん,これは名奉行 (^ ^)
南蔵院の境内もきれいです
南蔵院の境内にあるのはしばられ地蔵だけではありません。お地蔵さんの隣には,八角形の形をした,素敵なお堂があります。
これを見たとき,真っ先に思い浮かんだのは法隆寺の夢殿だったのですが,看板を見るとなんとこの建物の名前は「聖徳太子堂」。おおっ!何か繋がりがあるのかな?
聖徳太子堂の横には八角形をした仏さまもありました。面白いですね。
またがると出世するという,「出世牛」もありました。まじか。跨らなかったけど。
また境内には立派な藤棚もあります。藤の花が咲く頃に訪ねてみたいですね。
おわりに
水元公園を訪ねたときに思いがけず出会った南蔵院の「しばられ地蔵」。その姿も面白いし,謂れも面白いし,お寺もきれいだし。カワセミ観察のあとの,なかなかいい出会いでした。
また水元公園に行った帰りに寄ってみようと思います。季節によって「しばられ具合」がどう違うのか,ちょっと興味がありますし (^ ^;)
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