APS-CのミラーレスカメラSony α6400で使うために,SAMYANGの超広角単焦点レンズ,12 mm F2.0 NCS-CS を買ってから1年が経ちました。この記事では,このレンズを使ってみてのレビューをしたいと思います。
- SAMYANG 12 mm F2.0 NCS-CS を選んだ経緯
- 換算18 mmの広い画角
- 開放F値2.0は星空の撮影に便利
- 超広角ならではのパースペクティブ
- とてもコンパクトな超広角レンズ
- 写りはシャープ
- マニュアルフォーカスは気になりません
- 絞りは6枚羽根
- 安価な広角単焦点レンズ
- まとめ
広角レンズが欲しかったのは,第一に星空を広く写したかったからです。天の川のあっちからこっちまで,広く撮りたいですよね。それに星景写真を撮る時に地上景と星空を同時に入れようとすると,どうしてもより広く写せるレンズが欲しくなります。
SAMYANG 12 mm F2.0 NCS-CS を選んだ経緯
Sony Eマウント APS-Cのカメラで使える広角レンズは,現在のところ数が限られています。純正レンズではこれ↓が第一候補になるでしょうか。
換算15 mm–27 mmの広角ズームですから,とても便利に使えると思います。特に登山の時などは,このレンズを付けっぱなしにしておけば,それで済むんじゃないかと思うほど便利そうです。解像度も良いようです。
ただ,僕は広角レンズを,星空を撮影する時に使いたいのです。純正広角ズームはF4通しなので,星を撮るにはちょっと暗い。赤道儀で追尾しながら長時間露光すれば…とも思いますが,固定撮影で撮りたい時もあります。そうすると少なくともF2,8以上の明るさは欲しいんですよね。そこでサードパーティ含めていろいろ探していたら,SAMYANGのレンズにたどり着きました。
SAMYANGの広角レンズとしては,14 mm F2.8のフルサイズ対応レンズがあって,これは星景写真によく使われているようです。この14 mmレンズは写りがシャープで,星撮りに評判も良いようですね。
けれどもAPS-Cで使うには,14 mm(換算21 mm)だとちょっと狭い。それにでかい。それでAPS専用の12 mm(換算18 mm)を選んだというわけです。このレンズは開放F値が2.0で,14 mm F2.8のレンズよりもさらに1段明るいのもうれしいところです。
では続いて,使ってみた感想などを。
換算18 mmの広い画角
やっぱり換算18 mmは広いです。周りに広がる風景を画面に収めることができるのは,新鮮な体験ですね。
画角の広さは,特に山に登った時に役に立ちます。山の広大な風景を写すには,予想以上に広い画角が必要になることが多く,このレンズがなかったら撮れなかったなあという場面がたくさんあります。
もちろん星景写真を撮る時にも,空を広く写せるのは便利です。天の川の撮影でも,いて座付近の銀河中心部からはくちょう座あたりまで写し込むことができました。
開放F値2.0は星空の撮影に便利
期待した通り,F2.0の明るさは星景写真を撮る際に頼もしいです。固定撮影でも十分に光量を取り込めるので,暗い星までいっぱい写ります。淡い秋の天の川も固定撮影でこんな感じ。
またカメラを赤道儀に乗せて追尾撮影する時には,多くの場合一段絞って撮っていますが,それでもF2.8の明るさ。追尾撮影の時は日周運動を追いながら数枚撮って,後からスタック処理(加算平均コンポジット)することが多いのですが,この明るさならそんな撮影もはかどります。
やっぱり明るいレンズはいいですね。
超広角ならではのパースペクティブ
超広角レンズを使うことで出せる迫力もあります。この藤の写真もこのレンズで撮りましたが,藤棚から花穂がワサーッ!と広がっているのが写せたと思います。
とてもコンパクトな超広角レンズ
超広角レンズは巨大なものが多いですが,このレンズはAPS-C専用ということもあってか,とてもコンパクトです。重さは245 g,気軽に持ち運ぶことができますし,自作の赤道儀に乗せても問題ありません。
コンパクトなAPS-Cミラーレスのボディを使っていても,レンズが大きければカメラを持ち運ぶのに難儀しますが,この点はとてもいいですね。テント泊で山に登る時には,標準ズームに加えて,このレンズは必ず持って行っています。
またこのレンズは,超広角にありがちな「出目金レンズ」ではないので,円形フィルターを付けることができます。星空撮影の時にはソフトフォーカスフィルターをつけることがあるので便利です。フィルターサイズは67 mmです。
写りはシャープ
フルサイズ用の14 mm F2.8はシャープな描写をすると評判でしたが,こちらの12 mmはどうだろう?と最初不安でした(同じくコンパクトな単焦点レンズ,Sony SEL16F28の描写が甘かったこともあって…)。けれども使ってみたらシャープな写りで解像感バッチリでした。*1
星空の撮影でも,星がきっちり点像に写って気持ちがいいです。惜しむらくは,開放で撮るとパープルフリンジがやや目立ちます。Lightroomで「フリンジ軽減」を当てて目立たなくすることはできますが。
マニュアルフォーカスは気になりません
このレンズはマニュアルフォーカスのレンズです。でも星空撮影の際にはこの点は全く問題になりません(むしろ星撮りではMFレンズの方が楽です)。
また風景を撮る際にも,α6400のピーキング機能を使えば,ピント合わせはそれほど苦になりません。もともと焦点距離が短く,また風景を撮る時にはF8程度まで絞ることが多いので,被写界深度が非常に深くなります。だからピント合わせにあまり神経質になる必要もないですし。山の風景を撮る時には,基本的にフォーカス位置を無限大に固定していますが,これで問題を感じたことはありません。
AFが欲しくなるのは「動きもの」を撮る時だと思いますが,この画角で動きものを撮ることはほとんどありません。
絞りは6枚羽根
このレンズ,絞りは6枚羽根です。だから画角に太陽などの光源を入れた場合,光条の数は6本となります。好みにもよると思いますが,個人的にはもっと光条の数が多い方が好きです。7枚羽根(この場合は光条の数は14本となります)だったらもっと良かったな。
www.sunsunfine.com
安価な広角単焦点レンズ
そしてやっぱり気になるレンズの価格。このレンズはかなり安価です(価格.com 最安値で3万円代後半くらいです)。この価格でこの描写と明るさ,さらにコンパクトさ。満足して使っています。どうしてもAFが必要とかズームが必要とかでなければ,かなりおすすめです。
まとめ
SAMYANG 12 mm F2.0 NCS-CSについて,以上の点をまとめるとこんな感じになります。
- 換算18 mmはやっぱり広くてイイ!
- F2.0の明るさは星空を撮影する時に威力を発揮する
- 写りはシャープ。星像がくっきり
- シャープな写りは風景写真にも重宝する
- マニュアルフォーカスは特に問題にならない
- 超広角レンズとしてはとてもコンパクト
- 低価格がうれしい
- 絞りが6枚羽根であることは好みが分かれるかも
星景写真をはじめとして風景の撮影に重宝する,コンパクトでコスパの高いレンズだと思います。
関連記事
*1:Sony SEL16F28にウルトラワイドコンバータをつけると,より安価に換算18 mmの画角が得られますが,SEL16F28の描写が甘いので,この選択肢はありませんでした