今年も冬の星座が空を賑わす季節になりました。
冬の空は,オリオンをはじめとして明るい星が多く,華やかです。
冬の星空にあって,シンボリックなアステリズムになっているのが「冬の大三角」。
オリオン座のベテルギウス,こいぬ座のプロキオン,そしておおいぬ座のシリウスが端正な正三角形を形づくり,冬の空を彩っています。
今年の冬はおうし座に木星が,そしてかに座付近に火星がいて,夜空がいっそう華やかです。
そして今,ちょっと面白いことになっています。木星と火星,そして最も明るい恒星であるシリウスが巨大な正三角形を構成しており,「冬の超特大三角」が出現しているのです。
冬の超特大三角を撮影します
11月30日土曜日。久しぶりに週末と新月期と晴天が重なりました。空の暗いところに行きましょう。
伊豆が空の条件はいいのですが,この日は強風の予報。そこで向かったのは,奥多摩のさらに奥,山梨県丹波山村です。
夜半ころ,冬の星座たちが南東の空を彩ります。
この時間,冬の星座は概ね南東に位置しています。東側は東京で,空がやや明るいので,露出15秒の固定撮影です。
実をいうとこの写真はピントがちゃんと合っておらず,ボツにしようかと思ったんですけどね。このブログ,半分くらいの人ははスマホで見てるようなので(Googleアナリティクス調べ),スマホで見る人にはバレないかな…なんてね(汗)。
それはともかく,最も明るく,目立つ星は明確ですよね。巨大な正三角形が空にかかっています。星の名前を入れてみましょう。
2024年初冬限定,「冬の超特大三角」です!この期間限定アステリズムを構成するのは火星,木星,そしてシリウスです。
木星はおうし座に,そして火星はかに座,プレセペ星団の近くにいますね。
さて,火星と木星はどの恒星よりも明るく,またシリウスは全天で最も明るい恒星ですからね。こんなに巨大で明るい正三角形が現れるのは貴重です。それにしてもなんて雄大な星空でしょうか。
"いつもの" 冬の大三角と超特大三角を合わせて線を結んだのがこちら。冬の大三角は端正な正三角形だと思ってたけど,こうして見ると「超特大」の方が正三角形っぽいかな。
にしても,こうして見るといつもの「大三角」が小さく,可愛らしく見えてきます。「大」とは?(笑)
ついでに,木星と火星を除いて,この季節本来のアステリズム,「冬の大三角」と「冬のダイヤモンド」も結んでみます。
ぎょしゃ座のカペラ,おうし座のアルデバラン,オリオン座のリゲル,おおいぬ座のシリウス,こいぬ座のプロキオン,ふたご座のポルックスからなる大きな六角形が冬のダイヤモンドです。ポルックスよりもカストルを入れた方がきれいな六角形になりますけどね,カストルは2等星扱い (1.6等くらい) なので…。
ところでこの写真は焦点距離12 mm(FF換算18 mm相当)で撮っています。冬のダイヤモンドと木星,火星がなんとか写野に収まりました。でももうちょっとだけ画角の広いレンズが欲しくなったのは内緒です。
これとか
狼の郷で見る冬の星空
さて今日は,奇しくも玉川麻衣さんの個展をお邪魔してからちょうど1週間後です。
玉川さんが描くのは,かつて日本の山を駆けていながら滅んでいった狼たち。その舞台は奥多摩の山々であり,その麓,丹波山村です。
そう,ここ丹波山村は狼信仰の息づく「狼の郷」なのです。
狼の郷で見る冬の星空。丹波山の村の上に,天狼星シリウスがギラギラと輝いています。
近くに火星,木星がいるとはいえ,その輝きは色褪せることはありません。いえ,その瞬きは,恐ろしいまでに澄んだ冬の空の象徴たる所以をいっそう際立たせているように見えます。
狼が駆ける森,その息遣いが響くも森。その上にかかるおおいぬ座と天狼星・シリウス。
この夜の底に佇むと,厳粛な気持ちになってきます。
この日はもう何枚か写真を撮ったので,次の記事で取り上げます。
おわりに
明るい星が作る巨大な正三角形。この並びが再び見られるのはいつになるでしょうか。
木星が黄道を一周するのに12年かかります。だから木星が再びおうし座に来るのは12年後か…。いや,木星がかに座付近に来て火星がおうし座に来ることはあるかな?木星がかに座に映るのは2年後くらい,火星の会合周期が2年ちょっとだからもしかしたらワンチャンあるかもね(よーく考えればわかるんだけどめんどくさい…汗)。
写真はあまり上手く撮れなかったんですが,貴重な眺めを目にすることができたのでヨシとします。
丹波山の空は期待以上に暗くて,微光星までよく見えました(東京方面はちょっと明るいですが)。また星撮りに来たいと思います。
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