毎年桜が終わると,気が抜けたようにボーっとしてしまいます。そんな中,花を咲かせるのが藤。
福島には藤の花が見事な場所がいくつかあります。例えば本宮の蛇の鼻庭園や福島市内の福島稲荷神社。
そして筆舌に尽くせないくらい美しい藤棚があるのが,上野寺の「祭田の藤」(ここはホントにすごいよ)。
そう,桜が終わった後も,福島は美しい花に彩られるのです。
山沿いを走ると,森の中に野生の藤が花を咲かせている光景にも目を奪われます。そのパワーもまたすごい。
今年はそんなパワーあふれる藤に出会いたくて,少し足を伸ばして「藤に包まれた神社」を二ヶ所訪ねてきました。
はじめに紹介するのは,川俣町の羽田春日神社です。
羽田春日神社の大藤がすごい
羽田春日神社は川俣町の郊外にあります。福島市中心部から車で40分くらいかな。あの秋山の駒ザクラにも近いところですね。
それではさっそく。これが羽田春日神社の大藤です!杉・萱の大木に絡まって,藤が見上げる高さまで花を咲かせています。
いやあ,これはすごい。どんだけでかいんだ!
藤の花穂は鳥居に覆い被さり,神社を包み込んでいるようです。ものすごい迫力だなあ。
…この木には,神性を感じずにはいられないですね。
この光景,「鬼滅の刃」に出てくる藤襲山のようではありませんか。アニメでは,藤の花には鬼を閉じ込める力があるとされています。
藤に包まれた神社には,たしかにそんな霊力が宿っているように見えますね。
霊力を宿す藤の花に囲まれて,狛犬もドヤ顔。春の日差しに向かって「ドヤ!」って言ってますね(笑)。
この藤はあまりにも大きいため,花がきれいに咲くのは2年に一度くらいなんだそうです。今年当たり年なのかな。藤の花がそのエネルギーを一気に解放して,咲き乱れているのですね。
おりしも花は見頃です。鳥居の下に立つ人と比べると,大藤がどれだけデカいかわかるでしょうか。
鳥居をくぐると拝殿に向かう参道。そのわきに,大迫力の藤の幹がうねっています。お参りすると,パワーがつきそうなところですねえ。
拝殿のそばには龍神さま。手水舎は,大藤が作る木陰にあります。
陽だまりの明るさは,いつの間にか春が終わって,初夏になったことを示しているのかな。
大藤は樹齢200年
この大藤は推定樹齢が200年。明治初期には老藤として知られていたようです。
明治十一年(1879)撰の信達二郡村誌巻之廿ー・羽田村春日神社の条に、「老藤と榎樹と相綢繆す」とある「フジ」で、百三十年ほど前の明治初期、すでに老藤と称されていた。
参道並木の、スギ・カヤの梢まで枝蔓を絡ませ、無数の花房を、落下する瀧水のように垂下・開花する。推定樹齢二百年。
(緑の文化財による)
古い時代から,こうやって神社を包んできたんですねえ。この地方の人々から,鬼をずっと遠ざけてきたのかな?
時は5月中旬。初夏の日差しに,大藤はその生命力を誇示しているようです。
藤の木って しなやかな見かけとは裏腹に,すごい勢いで成長して行きますよね。
この蔓の逞しさ,どうです!?まるで枝蔓が意志を持って,空間を支配しているようではありませんか。
長い年月を経て,藤の蔓は神社の杉や萱の木に絡みつき,一つの大きな生命体のようになったんですね。ゴイスー。
この藤の旺盛な生命力。玉川麻衣さんの描く「濡れ女」はまさにこれだなあ!と思いました。
おわりに
きれいに整えられた藤棚もきれいで大好きだけど,こういう野生味あふれる藤もすごいなと思いました。
藤って生育が早いし強いし,本来の姿はこういうものなのかもね。「藤が蔓延ってるのは,手入れが行き届いていない山だ」ともいうらしいし。
そんな大藤が神社を包み込んでいる光景には,確かに神性を感じました。「鬼滅」で鬼を寄せ付けない存在として描かれているのも納得がいく光景でしたね。
このあと,国見町の深山神社の大藤も見に行ったんですが,それはまた次の記事で。
こちらも見てね
↓ 藤の盆栽。すっごく大きくなりそうですね