福島市の郊外,荒川河畔に「荒川ホタルの森」と名付けられた一角があります。ここには夏になると,ゲンジボタルが姿を現します。
そんな荒川河畔に,3年ぶりに行ってきました。すると今年も幻想的な世界を味わうことができました。
3年前の訪問の話はこちら↓
荒川ホタルの森を訪ねる
蛍の季節は関東だと6月。でもここ福島では,まだ水温が低く,7月上旬が見頃のようです。
荒川ほたるの森は福島市郊外,フルーツラインが荒川にかかる「日の倉橋」の近くにあります。*1
森に着くと,あちこちの草の上でホタルが光っています。20時を過ぎた頃から,その光がいっせいに空を舞い始めます。
特に水辺ではたくさんのホタルが舞います。
カメラを三脚に載せて撮影してみましょう。
35 mm(換算52.5 mm)のレンズで絞りをF2 とし,露出20秒x20枚,約400秒の比較明合成。iso感度は1250に設定しました。ピントは奥の草木に合わせています。
設定を少し変えてもう一枚。こちらは10秒x25枚。
明るく光るもの,淡い光のもの、点滅しながら光るもの,二匹で絡み合うように飛ぶもの…。
見ていると幻想的な光景に引き込まれ,夢の中にいるような気分になってきます。
ホタルの森を歩く
ホタルの森を歩きます。歩道の両側は緑が濃く,その中を蛍が飛び交っています。本当に夢の中のよう。
ホタルたちは葉っぱの上で点滅したり,また飛び立ってみたり。時にはすぐ近くを飛んだりします。
ほたるは星になった
森の中を南の方へ歩いてフルーツラインをくぐると,空が少し開けてきます。今年は梅雨明けが早かったので,ホタルと星空をいっしょに見ることができます。
露出10秒 x 16枚。3分弱の星の動き(日周運動)とホタルです。
空を見上げていると,ゆっくりと光りながら飛ぶホタルが,そのまま空へ上って,星になっていくように思えてきます。
こちら↓は一枚撮り。星を止めて撮りました。ホタル舞う中で星空を見上げるのは,得難い体験ですね。
夭折の詩人,矢沢宰
新潟出身の矢沢宰(やざわおさむ)という詩人がいます(いました)。
幼くして腎臓結核を発病した彼は,14歳の時から入院生活に入ります。そして病室で日記と詩をつづり始めました。
その後一時的に回復して新潟県立栃尾高校に入学しますが,その後腎臓結核が再発,1966年に21歳の短い生涯を閉じています。
綴られた時はあまりにも美しく,彼の死後,詩集「光る砂漠」として編纂・出版されました。*2
その中に「ほたるは星になった」という一編があります。
暗い川辺には 静かなほたるの宴があった
ささやき合うように命が燃えて 夜露がひかり
もつれて川面に散った二つの光が
あまりにも淡かったので
あまりにも清らかだったので
光は愛し合い はるかなる旅へ去った(中略)
星はキラキラとまたたいていた
ほたる ほたる
きっとあの星の群れに入るだろう(矢沢宰「ほたるは星になった」から)
荒川の森でホタルの舞を眺めていると,まさに「矢沢宰の世界」にいるように思えてきます。
再びホタルの森入り口へ
ホタルの森の入り口付近に戻ってきました。木立に囲まれた小さな流れがあって,その上にはたくさんのホタルが飛び立っています。
流れの奥の方は茂みに囲まれているので入ることはできませんが,ホタルが飛び交う一角を,少し離れたところからから見るのもいい感じです。
ホタルの舞は午後8時頃から始まり,9時過ぎには大人しくなってくるようです。「宴の時間」は短いんですね。
ホタルの森も22時には閉めるんだとか。*3
おわりに
福島市は地方の中心都市ですが,市街地からほど近いところに,こんな一角があるのは素晴らしいなと思います。水がきれいなんですね。
ここ荒川ホタルの森では,8月はじめ頃までホタルを見ることができるとのことです。みなさんもどうぞ。
こちらも見てね