sunsun fineな日々

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【八ヶ岳】行者小屋をベースに,秋の赤岳,横岳に登ってきました (その1): 行者小屋への道と八ヶ岳の星空

八ヶ岳に登ってきました

10月9–10日,一泊二日で八ヶ岳に登ってきました。これまでに北アルプス,南アルプス,奥秩父…いろんな山の上から八ヶ岳を眺めてきましたが,実は登ったのはこれが初めてです。

赤岳〜阿弥陀岳

今回は行者小屋にテント泊して,ここをベースに赤岳と横岳に登る,定番といえば定番のルートです。

予報では,1日目の天気が微妙,2日目が良好。夜の天気がどうなるかわかりませんが,一応星撮りの準備もしていきます。荷物が重くなるけどね。

そして季節柄,紅葉も楽しみです。

美濃戸口から行者小屋へ

八ヶ岳の西側玄関口となる美濃戸口へは,電車とバスで行きます。この日はちょっと遅めの14:25に美濃戸口到着。

まず美濃戸口から林道歩きです。1時間弱歩くと登山口(車はここまで入れます)。ここでコースは2つに分かれます。北沢コースを進むと赤岳鉱泉へ,南沢コースを進めば行者小屋へ。今回は南沢コースを進みます。

沢沿いの登山道を黙々と登ります。途中,小さな木の橋で沢を渡ること7回。南沢沿いに2時間ほど歩くと,小屋が近づいてきたのか,登山道の傾斜が緩んできました。そして視界がひらけて稜線とご対面。

稜線が見えた

稜線が見えました

おーきれい!夕暮れどきの登山道を行者小屋へ急ぎます。到着したらすぐにテント泊の受付をして,小屋から近いところにテントを張りました。なんとか明るいうちに設営できて一安心。

晩ご飯を食べていると,パラパラと雨が降り始めました。フライシートをしっかり張っているのでテントの中は快適ですが,シュラフに入っても雨は降り続きました。

「これは星は無理かな…」そう思いながら目覚ましを3時にセットして,よく寝ることにします。

雨が上がって星空が!

3時。起き出してテントから顔を出してみると…あれっ?雨が上がって星が見えています!あわてて星空撮影の準備をします。夜明けが近いのでそんなに余裕はありませんが,何枚か撮りました。

昇る冬の星座と天の川

山の方を見ると,八ヶ岳の稜線から冬の星座が昇ってきています。

オリオン座ふたご座こいぬ座おおいぬ座のシリウスも顔を出して,ちょうど冬の大三角が姿を現したところ。

昇る冬の星座

昇る冬の星座と天の川

冬の星座には一等星や二等星がたくさんあって華やかですね。

標高2350 mのこの場所では空気が澄んでいて,淡い冬の天の川もよく見えています。紅葉と冬の星空がコラボしているのがうれしい。山では,冬がすぐそこまで来ています。

カシオペアと秋の天の川

次にカメラを北のほうに向けて,カシオペア座のあたり,秋の天の川を撮ってみましょう。この領域はけっこう好きなんです。

カシオペアと秋の天の川

カシオペアと秋の天の川

透明感のある天の川とカシオペア,そして少し離れて輝くアンドロメダ銀河をみると,すっごく秋を感じるのです。秋の天の川には,虫の声がよく似合う。

写っている道しるべには「美濃戸口へ」と書かれています。ここから登山口へと下っていく山道が続いているんです。

テント場とオリオン

次はカメラを縦構図にして,ローアングルからテント場の様子を入れて撮ってみました。

そろそろ出発の準備を始めている人もいて,テントに明かりが灯り始めています。奥の方に写っているとんがりテントの一つ手前の黄色いのがワタシのおうち。

行者小屋テント場と星空

行者小屋テント場と星空

冬の空は,やっぱりオリオンに目がいきますね。山の夜の雰囲気が割とよく再現できて,お気に入りの一枚となりました。

僕も準備が整い次第,ここから歩いて稜線を目指します。

ぎょしゃ座〜ペルセウス座の天の川も撮ってみます

まだ少し時間があったので,ぎょしゃ座からペルセウス座にかけての天の川を撮ってみます。ちょっと試してみたいことがありまして。

ぎょしゃ座〜ペルセウス座の天の川

ぎょしゃ座〜ペルセウス座の天の川

このあたりは広角レンズで何度か撮ってきたんですが,カメラをα6400にしてから赤い散光星雲が割とよく写る感じがしてたんですよね*1。それで今回は焦点距離を20 mmくらいにして,カリフォルニア星雲がどれくらい写るかトライしてみようと。

*1 デジタルカメラのセンサーには赤外線をカットするフィルターがついており,赤い散光星雲(水素原子の発光)の光がかなりカットされます。赤い星雲がどれくらい写るかはセンサーによってけっこう違いがあるようです。天体写真を専門にやる人は,このフィルターを除去する改造をやったりします。

夜明けが近かったので露光時間は短いのですが(トータル5分くらい),カリフォルニア星雲がちゃんと写ってますね(中央少し下の赤い星雲です。その左の星の塊はプレアデス星団)。あと右下の方に「ハート&ソウル星雲」もうっすら写ってるなあ。

次回はもう少し長い焦点距離で,ちゃんと長時間露出で撮ってみます。赤道儀の改造もしたことだし,本領発揮してもらおう。

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稜線へ向けて出発です

さて,もうすぐ薄明が始まります。テントに戻って素早く朝ごはんを食べて必要な荷物をザックに詰め込みます。今日はテントをここに張ったまま,軽装で上に行けるので体力的には少し楽です。

まだ暗い森の中を,ヘッドランプをつけて歩き始めます。目指すは稜線へ突き上げる地蔵尾根。天気が良いのでいい景色を見ることができそうです。

 

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【中秋の名月】満月に叢雲がかかって,月光彩雲が観られました

9月21日は中秋の名月

去る9月21日は中秋の名月でした。今年は8年ぶりに中秋の名月と満月が重なり,うさぎも喜ぶ月夜になりました。

中秋の名月

中秋の名月と満月が重なりました

空が晴れて月が冴えて…そんな夜をちょっと期待したのですが,夜になると雲がわらわらと湧いてきました。普通だとがっかりするところですが,今回は雲の暑さが絶妙だったようで,雰囲気ある月光彩雲が現れました。

空を見上げたら月光彩雲

中秋の名月の頃はまだ暑くて(@東京都の北のほう),虫の声を聞きながら…とはいかないことが多いのですが,今年は割と涼しめ。

そんな中,満月の夜を迎えました。でも曇っていたので「んー,満月はきれいに見えないかなあ」と思っていたのですが。

夜11時くらいになって,何気なく空を見上げると…

月光彩雲

月に叢雲

月に叢雲がかかり,月光彩雲が現れています。これはなかなかいい雰囲気。月の光りを浴びて,龍が空を泳ぎそうです。

月の周りは青く,その周りは黄色,そして月から遠いところは赤っぽく雲が染まっています。昼間の彩雲に比べて色合いが渋めなのもなかなか良き。

月に叢雲 花に風
パッと咲いては散る歌も
流れる血よりも紅い花

風に舞い散る無宿花

(上々颱風「美は乱調にあり」から)

彩雲てどうして出るの?

彩雲は,太陽や月の光が,空気中の水滴や氷の粒(要するに雲ですね)のそばを通過する時に回折することによって起こる現象です。この時,回折角が光の波長によって違い,波長の長い赤い光は青い光に比べて大きく折れ曲がってくるために,色が分かれて見えるというわけです。

月光彩雲は月の光が微細な身や氷の粒で回折を受けることによって生じます

古くから彩雲は瑞祥とされ,めでたいことが起こる前兆と受け取られていたようですね。でも昼間の彩雲はともかく,月光彩雲もそうなのかな?

僕はこの日の月光彩雲を見た時に,その荘厳な雰囲気に打たれ,玉川麻衣さんの龍の絵を思い出しましたが。

雷雲龍図

玉川麻衣さんの「雷雲龍図」

玉川麻衣さんの絵を見てきた話はこちら ↓

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雲が流れます

雲が流れる

眺めていると,上空の雲は風に乗って流れ続けています。それに伴って彩雲も変化し続けます。うねるように形を変えるその様は,ますます龍のように見えてきます。

もしかしたら,昔の人はこんな光景を見て龍の存在を思い描いたのかなあと思ったり…。

お団子もちゃんと食べました

そんなことを考えながら眺めていた今年の中秋の名月ですが,ちゃんとお団子も準備していました。

こっちは龍の荘厳さや力強さとは無縁ですが,そこはそれ。美味しかったですよ (^◡^)

月見団子

お月見団子

きっと月のうさぎさんたちも,お団子を食べていたことでしょう。

 

おわりに

季節は秋。これからますます月が冴えていくことでしょう。虫の声を聞きながら一杯…なんてね。秋刀魚を焼いたりすると最高ですね。

今年も秋の夜長を楽しみたいものです (^ ^)

 

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そうだ,赤道儀作ろう!(その4):自作ポータブル赤道儀を改造しました––極軸と筐体の剛性を向上させよう

自作赤道儀を改造します

山に登って星の写真を撮るのが好きです。その時に持っていくのが自作のポータブル赤道儀。小型ステッピングモーターで駆動し,減速機構にはウォームホイールを使っています。名付けて「ふくろう号」(ダサい?笑)。

ふくろう号の製作はすでにこちらで記事にしています ↓

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この赤道儀は,作ってからすでに何年か経っていますが,使っている中で改善すべき点がいくつか見つかってきたので,改造することにしました。

今回改造するところは以下の2ヶ所です。

赤道儀・改造する箇所
  • 極軸を作り直し,バランスを改善する
  • 赤道儀筐体の剛性を向上させる

最近はあまり山に行けないことだし,この機会を利用して星撮りの環境を改善し,次のチャンスに備えようかと思います。

極軸を作り直します

極軸のバランスを改善します

まず,極軸を作り直します。

今まで赤道儀にカメラ雲台をのせる「雲台ステージ」は極軸にダブルナットで固定し,雲台はステージの裏側から1/4インチのボルトで止めていました。

改造前の極地回り

改造前:極軸と雲台固定用のボルトがずれています

図で描くとこんな感じです。

雲台ステージ

従来の雲台ステージ。極軸と雲台がオフセットしていた

ただこれだと極軸とカメラの荷重が同軸にないので,極軸に余計なモーメントがかかり,赤道儀のバランスをとるのに苦労することが多かったのです。

それで一計を案じました。極軸(8 mmφの真鍮丸棒を使っています)にM8と1/4インチの2段のネジを切り,雲台ステージと自由雲台を同軸でつけられるようにしようと。

極軸改造

極軸周りを改造します

2段のネジ切りが上手くできるかどうかが問題ですが,まあやってみましょう。

極軸の加工

それでは実際に極軸を加工していきます。まず真鍮丸棒を適当な長さに切り,片方の端をヤスリで削って,万力で固定できるようにします。反対側の端は,ダイスが食いつくように面取りをしておきます。

真鍮棒を削ったところ

真鍮棒を削ったところ

次にM8の雄ねじ切り。ダイスで雄ねじを切るのって難しいですよね。ダイスが食いつく時に,斜めにならないようにすごく注意が必要です。

ダイス

雄ねじをまっすぐに切るのは難しい

直角定規を当てながらネジ切りを慎重に行って,まずM8の雄ネジを切るところまでできました。

M8

まず,M8の雄ねじを切りました

続いて,雄ねじを切った部分を半分くらいヤスリで削って,おおよそ 1/4インチ(約6.35 mm)の太さにします。M8ネジの内径が 6.65 mm なので,ネジ山を落とす感じで削ればOK。旋盤があれば早く正確にできますが,そういうものはうちにないので,地道に手で削ります。

M8ネジを切った部分の一部を削って細くします

そして削った部分に 1/4 インチのダイスで雄ねじを切って,2段ねじ切り完了!

2段ねじ切り

2段ねじ切り,うまくいきました

万力で挟むために平らにしていた部分を切り落として,極軸の加工はおしまいです。

極軸

極軸の加工完了

こうしてできた極軸にウォームホールおよびシャフトカラーを装着し,しかるべき位置に固定しました。

ウォームホイールとシャフトカラーを装着

ウォームホイールとシャフトカラーを装着

極軸自体はこれで完成。次に赤道儀筐体の改造に入ります。

 

赤道儀筐体の改造

赤道儀上蓋をがっちり固定したい

これまで赤道儀筐体の上蓋は,アルミアングルにタップを切ったものを使って本体にネジ止めしていました。

でもこのアングルはアルミですからね,上蓋をしっかり固定するためにぎゅうぎゅうネジを締めたら,ネジ山が崩れてしまいそうです。それで「ふんわりと」締める感じにしていたのですが…。

アングル

上蓋固定用のアングルを鉄製のものに作り変えます

上蓋には極軸を支える軸受けが固定されているので,ここはガッチリと固定したいところです。

そこでこのアングル部品を鉄製のもので作り替えることにしました

開けたところ

アルミアングルを外したところ。ここに鉄アングルをつけます

アングル部品の作成

20 mm 角,厚さ3 mmの鉄アングルを切断して,部材を作ります。アングルの切断は,電動ジグソーに金属切断用の刃をつけて行いました *1

*1 ジグソー,ドリルなど電動工具を使うときは,必ず保護メガネをつけましょう。

鉄アングル切断

鉄のアングルを切っていきます

続いて切断したアングルにドリルで下穴を開けて,タップで雌ネジ切り。ちなみに下穴は2.5 mmφ,雌ネジはM3です。

穴あけ&タップ切り

アングルに下穴を開けて,タップを切ります

こうして上蓋を固定するためのアングル部材の加工が終わりました。

アングル

アングル加工終了!

組み立てます!

蓋を閉める前に

それでは改造した部品を使って,赤道儀を組み立てましょう。

まず,加工したアングル部材を筐体にねじ止めします。

アングルを取り付けた

アングルを取り付けました

続いて上蓋を取り付けますが,その前に歯車にグリースを塗り直しておきます。それから赤道儀の回転速度を確認しておきましょうか。ステッピングモーターの回転速度をストップウォッチで図り,1回転46秒になっていることを確かめました(ギアの減速比が 1 : 1875 になっているので,モーターが1回転/46秒間なら,極軸一回転にかかる時間は 46 x 1875 = 86250 (秒) = 23.96 時間)。

上蓋をしっかりと固定します

それでは筐体を閉じましょう。極軸を筐体底部の軸受に装填して上蓋を被せ,ビスで固定していきます。アルミアングルを使っていた時とは違い,今度は固定ネジをしっかりと締めることができます。上蓋(裏側に軸受が付いている)がガッチリと固定され,剛性が出るようにネジを締め上げます。

上蓋を閉めた

上蓋を閉めてがっちり固定しました

雲台ステージの取り付け

上蓋を閉じたら,極軸に雲台ステージを取り付けます。これまで雲台ステージは10 mm厚のアルミ板にM8のタップを切って使っていたのですが,ホームセンターを覗いていたら「大型ワッシャー付きナット」というものがあったので,これを使ってみることにします(ワッシャー部分の大きさは 40 mm角です)。

ワッシャー付きナット

大型ワッシャー付きナット

これを極軸のM8ネジにねじ込んで取り付け終わり。以前よりシンプルになりました。

ステージには滑り止めのゴムシートを貼り付けました(可愛らしい色のゴムシートがあればよかったんですが,強度のあるシートは黒しかなかった…)。

雲台ステージをつけて完成

雲台ステージをつけて完成

これで完成です!

カメラを乗せて,剛性感を確かめてみます

実際に星を撮影するときをシミュレーションしてみましょう。三脚にアングルプレートを取り付け,赤道儀を載せます。そして自由雲台を取り付けてカメラを乗せてみましょう。

カメラを乗せた

カメラを乗せてみました

おっ!全体にがっちりして剛性が上がったのがすぐに感じられました。またカメラを乗せた状態で1時間ほど赤道儀を回してみましたが,問題なく動きました。

よしとします!

 

まとめ

今回の改造でかかった費用は,鉄アングルが362円,ワッシャー付きナットが60円で合計424円(真鍮棒は残っていたものを使用)…と言いたいところですが,雌ネジ切りの時にタップを2本折ってしまい,2 x 378 円 余計にかかりました(汗)。

ともあれ,自作ポータブル赤道儀の改造,うまくいきました。これが使い勝手の向上と,ひいては追尾精度のアップにつながればいいなあと思っています。

早く山に担ぎ上げて,実戦投入してみたいです。

 

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【北アルプス】雪渓を抱く山・針ノ木岳に登ってきました––スバリ岳,赤沢岳を経由して種池山荘へ縦走:②朝の針ノ木岳に登頂

前記事「【北アルプス】雪渓を抱く山・針ノ木岳に登ってきました –– スバリ岳,赤沢岳を経由して種池山荘へ縦走:①扇沢から針ノ木峠へ」の続きです。

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針ノ木峠の星空

針ノ木小屋のテント場でシュラフに入りましたが,なかなか眠れません。前夜も夜行バスであまり眠れなかったのになあ。

目覚ましは2時45分にかけていたのですが,それより少し前,2時半くらいにトイレに行きたくなってテントを出ました。

すると,テント場を覆っていたガスが切れて,星が見えています。まだところどころ薄雲が残っていて最高の条件ではありませんが,もうこのまま起きて星の撮影を試みることにします。

はくちょう座ーカシオペア座あたりの天の川

例によって赤道儀を担ぎ上げているのですが,テント場は北極星が見えないので,セッティングが少し面倒です。稜線に出れば北極星は見えるし,星空と合わせる風景もいいのでしょうが,薄明が始まって明るくなってくるまでそんなに時間がありません。

それで固定撮影で撮ることにしました。またまた赤道儀がただの荷物になってしまいましたが,まあ仕方ないですね。

はじめにカメラを北西に向けて,はくちょう座からカシオペア座にかけての「秋の天の川」を撮ってみます。

秋の天の川

針ノ木小屋テント場から,秋の天の川

木々からもう少し離れて撮れば,針ノ木岳のシルエットがかっこよく入るのですが,背後は崖でこれ以上下がれないのです(汗)。

薄雲が流れていてイマイチですが,アンドロメダ銀河も写っています。わかるかな?

明け方のテント場にて

星空を撮っていると,他の人たちも起き出して,出発の準備を始めたようです。3時くらいでしょうか。まわりのテントに明かりが灯り始めました。

そんなテントを前景にして,蓮華岳から昇ってくるぎょしゃ座〜おうし座を撮影。一番手前の黄色いのが僕のおうちです (^◡^)

明け方のテント場

明け方のテント場と,昇るぎょしゃ座〜おうし座

テントが明るいので,露出ブレンド&深度合成をしています。ぎょしゃ座あたりにも天の川が流れているので,薄雲がなければもう少し華やかに写るんですけどね (^ ^;) 

右上の星のかたまりは,プレアデス星団(すばる)です。

朝焼けの山々

さて,星空を何枚か撮ったらテントに戻って,急いで出発の準備をします。素早く朝ごはんを食べて,荷物をパッキング。食料一食分荷物が軽くなっているはずだけど,夜露でテントが濡れている分,重さは変わらないかな。

夜明け前の4時15分に針ノ木峠を出発。ヘッドランプをつけて急登の登山道を歩きます。

30分ほど登っていくと,視界がひらけ,テラス状の地形のところに出ました。ここに三脚を立て,朝の山々を撮影することにします。

夜明け前。これから歩く稜線の向こうに鹿島槍ヶ岳が遠く見えています。静まり返ったような空気。

夜明け前の鹿島槍〜白馬岳

これから歩く稜線と,その向こうの鹿島槍〜白馬岳

そして…。ご来光です!山々に陽が当たりはじめます!

ご来光

ご来光!

モルゲンロート。山の稜線が赤く染まります。遠くに見えているのは白馬岳。2年前に息子と登ったのはここ。

モルゲンロートの赤沢岳

モルゲンロートの赤沢岳

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針ノ木岳の隣のピーク,スバリ岳は岩の塊!朝日に照らされて,岩の陰影が浮かび上がります。ゴツゴツ。この山を越えるのは,今日の縦走のポイントの一つです。

朝日に照らされるスバリ岳

朝日に照らされるスバリ岳

太陽がだんだん高くなって,辺りが明るくなってきます。三脚を撤収し,まだ赤く染まっている針ノ木岳に向けて登っていきます!

針ノ木岳へ向かいます

針ノ木岳へ向かいます!

針ノ木岳に向かいます

登山道はぐんぐん高度を上げていきます。この日の後半はかなりへばったのですが,まだ朝なので元気です (^ ^;) それに青空の下,こんな眺めの中を登っていくんだから,辛いわけがありません。

つづら折りの道

つづら折りの道…針ノ木岳へ。ハイジが駆けてきそう

やがて標高が上がってくると,針ノ木岳とスバリ岳の鞍部に,あいつがヌッ!と顔を覗かせてきました。そう,北アルプス北部のラスボス,劔岳です!

スバリ岳の鞍部に劔岳

スバリ岳の鞍部に劔岳!

後立山連峰を歩くと,いつも劔岳に視線を奪われます。

一方,じゃあ北アルプス南部のラスボスは?と言われたら…頂上近くまでくると見えてきました,槍・穂高連峰

槍・穂高連峰

左のとんがりが前穂高岳,中央のもっこりが奥穂高岳,右のとんがりが槍ヶ岳

南西側には,薬師岳がその大きな山体を見せています。あっちは富山県。

薬師岳

薬師岳

朝の針ノ木岳に登頂

6時ちょうど,針ノ木岳(2821 m)に到着しました!ずっと気になっていた山に登頂するのは感慨深いものです。

頂上で,まず目に飛び込んでくるのはこの景色。劔・立山連峰です。谷筋には黒部湖。絵はがきみたいな写真だけど,これでいいのだ。

劔・立山連峰と黒部湖

劔・立山連峰と黒部湖

南の方を見れば,槍穂高と高瀬湖,そして裏銀座の山々。真ん中のもっこりが野口五郎岳,右の方のでっぱりが水晶岳ですね。槍と野口五郎の間に遠く見えているのは乗鞍岳でしょうか。いやあ素晴らしい。

高瀬湖と裏銀座の山々

高瀬湖と裏銀座の山々

 

いざ,縦走路へ!

針ノ木岳では30分くらい休憩しました。おやつを食べながら北アルプスの山々を眺めてしばしマッタリ。

針ノ木岳にて

針ノ木岳にて

さてさて…。頂上から北のほうに目を向けると,切り立った稜線が延々と続いています。手前からスバリ岳,赤沢岳,鳴沢岳,岩小屋沢岳。さらに遠くには爺ヶ岳,鹿島槍ヶ岳。

いざ,縦走路へ

縦走路へ

これからこの稜線に飛び込んでいくと思うと,身が引き締まります。今日はここを縦走して,爺ヶ岳手前の種池山荘まで歩くのです。

いざ,縦走路へ!…がんばりましたが,この先はアップダウンが激しく,キツイ縦走になりました。

次は泣きが入った話…続きます (^ ^;)

 

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DxO PureRAW と Topaz Sharpen AI を使って,星景写真を現像し直してみた【桜と天の川】

「小沢の桜と天の川」の写真を,PureRawを使って処理し直してみようと思います

以前,DxOのPureRAWを使うと,星景写真のノイズが劇的に軽減されるという話を書きました。

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この記事の中では,ノイズがひどくて気になっていた何枚かの写真をレタッチし直しています。実際,PureRAWを使うことで,これらの写真は1〜2段くらいノイズが軽減され,ずいぶん見栄えが良くなったと思います。

左 PureRAW処理前, 右 PureRAW処理後

北アルプス・涸沢の天の川:左 PureRAW処理前, 右 PureRAW処理後

でもその一方で,この写真 ↓ には手をつけていませんでした。

小沢の桜と天の川

田村市・小沢の桜と天の川

4月に,福島・田村市で撮った「小沢の桜と天の川」。結構気に入ってるんですけどね。

この写真をPureRAWで再処理していなかった理由は2つあって,

  1. iso4000で撮っていて,ノイズは「まあ,許せるかな…」というレベルだったこと
  2. 空の色をニュートラルグレーに合わせるのに結構苦労したので,また最初からやり直すのがちょっと億劫だったこと

です(苦笑)。

でもこの写真もPureRawで処理したら,もっと天の川がくっきり浮かび上がるかもしれないですね。

加えて,この写真にはもう一つ問題があるんです。それは前景の桜や菜の花が,ちょっともやっとしていることです。露出は20秒なんですが,その間に植物が風で揺れたせいかもしれません。ここはもう少し解像感を出したいところです。

Topaz Labs の Sharpen AI で,前景にシャープさを出そうと思います

そこで前景の部分は,Topaz Labs のソフト,Sharpen AI を使ってシャープにすることを試みることにします。このソフトはピントが微妙に外れている写真や,ブレている写真を修正して,シャープな画像にしてくれる優れものです。

www.topazlabs.com

実はこれ,以前から導入していて,鳥の写真の微ブレを修正するのに使ったりしていました(この辺りの話は別記事に書いてみようかなと思います)。

やってみます!

それでは実際にやってみます。

とは言っても,PureRaw, Sharpen AI ともに,使い方は非常にシンプルです。本当は書くまでもないくらい。

まず PureRaw でノイズを低減

まず PureRaw の方から。ソフトを立ち上げ,開いたウインドウに元のRawファイルをドラッグ&ドロップします。続いてウインドウ左上の「画像を処理」ボタンを押すと,処理方法や出力形式を選ぶ小ウインドウが開きます。

PureRaw画面

DxO PureRaw画面

ここでは処理方法として「PRIME」,出力形式として「DNG」を選択。そして右下のボタンを押すと処理が始まります。パラメータの設定など一切ありません。いさぎよい (^ ^)

ちなみに僕の環境(MacBook Air, Rawファイルはα6400の24 MP)だと,処理には1分くらいかかります。

こうして出来上がったDNGファイルを Lightroomで開き,16 bit tiffに書き出します。あとはこれをPhotoshopで開いて,いつも通りに画像処理。

星景写真の現像はこちら↓

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…とはいえ,空の色をニュートラルグレーにするのに,やはり少し苦労しました。

#街明かりのうち,蛍光灯で空はグリーンにかぶり,ナトリウムランプでオレンジにかぶります(ここ田村市の空は,グリーンの被りが主でした)。またこれらの影響は一様ではなく,町がある方向や低空ほど強く出ます。

ここまでの処理でこうなりました。

PureRAW処理後

PureRAWで処理後,現像したもの

PureRAWを使わなかった時に比べて,天の川がよりくっきりしましたかね。

またPureRAWの効果で,地上部もちょっとだけキリッとした感じがします(PureRAWにはノイズ低減だけでなく,解像感を高めてくれる効果があります)。でもここはさらにシャープにしたいと思います。

Topaza Sharpen AI で地上部をシャープにします

そこで,この画像をSharpen AI のアイコンにドラッグ&ドロップして開きます。

画面上部の「View」から「Comparison View」を選ぶと,効果の効き方がプレビューされます。

Sharpen AI 「Comparison View」

その結果,やはり「Motion Blur(ブレ補正)」が最も良い結果を与えそうだったので,これを選択。*1  プレビューを見ながらRemove Blur のパラメータを「20」にして「Apply」をクリック。処理された画像を得ました。

*1 他に選択肢として「Out of  Focus(ピントが合っていない画像の補正)」,「Too Soft(軟調で明瞭度に欠ける画像の補正)」があります。

菜の花の部分の before / after を等倍で比較すると,こんな感じ。

before / after

Sharpen AI(菜の花の部分) before / after

うん,シャープになりましたね。

画像を統合します

ところで Sharpen AI で処理した画像をよく見ると,地上部は確かにシャープになっているのですが,星空の部分に微妙なノイズが乗っています。そこで Sharpen AI 処理前と処理後の画像を,マスクをかけて統合し,「いいとこ取り」をします。

マスクをかけて画像を統合

マスクをかけて画像を統合

地上部と星空を分けるマスクは,天の川の強調処理の時から使っているので,それをそのまま使います。

完成です

こうして,星空の部分は PureRAW のみ,地上部は PureRAW + Sharpen AI で処理した画像が得られました。最終的に明るさなどを微調整して完成です!

小沢の桜と天の川

小沢の桜と天の川:PureRAWとSharpen AI で処理

どうでしょう…ブログサイズだと,最初のとあんまり変わらないかな?でもちょっとの差が大事なんですよ(←ホントか?笑)。プリントするときはこっちのファイルを使おうと思います。

 

まとめ

というわけで,桜と天の川の写真をDxO PureRAW と Topaz Sharpen AI を使って現像し直してみた話でした。

APS-Cのカメラで,しかも固定撮影の1枚どりですが,PureRAWなどのソフトを使えばかなりイケるな,と思っているところです。僕は山の上で星を撮るのが好きですが,ハードなコースの時は赤道儀を置いていけるかもと思っています(とは言っても,赤道儀を使って加算平均スタックをした方がやっぱりきれいかな?)。

 

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曇りで少ししか見えなかった,スーパームーンの皆既月食(5月26日)

2021年5月26日 皆既月食

去る5月26日,皆既月食がありました。折しも地球と月との距離が近い「スーパームーン」の皆既月食ということで,テレビでも結構取り上げられれていたようです。

実際はスーパームーンといってもそんなに月が巨大化するわけではなく,ぱっと見にはそんなに変わらないんですけどね。

とはいえ,月食はやっぱりイベントの一つですから,見ておきたいですよね。

それでカメラと天体望遠鏡を用意してスタンバイしていたのですが,東京はあいにくの曇りで,皆既のところはちゃんと見ることができませんでした。

そんなわけで寂しい内容ですが,撮れた写真を少しだけ。

「チャンスはあるかも」という予報でしたが…

さて月食当日の夕方。仕事を終えて家路を急ぎます。東の空を見上げながらうちへと歩きますが,雲がかかっていて,すでに登ってきているはずの月は全然見えません。

SCWやGPV気象予報によると,東京では「月食の時間帯にワンチャン雲が切れるかも」という感じの予報でしたが,これはダメですかね。

皆既にはいる20時09分を過ぎても雲は厚く,月がどこにあるのかさえもわかりません。うーん。

皆既を終えた月を見ることはできました

そんなわけで,諦めてご飯を食べてくつろいでいたのですが,21時を過ぎたころ窓の外を見ると,ぼんやりと月が見えました。雲が少し薄くなったようです。

慌ててベランダに出ると,月がまだ欠けているのがわかります。

地球の影から出てくる月

21:38分頃 地球の影から出てくる月

皆既は終わっていますが,月が地球の影から出てくるところだというのはよくわかります。影の縁の形から,地球が月の4倍くらい大きいこともわかりますかね。

月食が終わります

そのあと再び雲が厚くなっていきましたが,数分おきくらいに写真を撮ってみました。月が天球を動き,地球の影から遠ざかっていきます。

月食の終わり

月食が終わろうとしています

雲が厚くて形もおぼろげですが,だんだん欠けているところが小さくなっていきます。22:13にはもうほとんど満月に戻っています(まだ右上の方は少しくらいかな?)

このあと雲は厚くなる一方で,月は見えなくなりました。

ちょっと寂しい結果でしたが,これで今回の月食の観測終わり!

3年前はきれいな月食を見ることができたんですが…

皆既日食を見るチャンスは滅多にありませんが,月食はちょくちょくあります。3年と少し前,2018年1月31日にも皆既月食があって,この時はきれいに見ることができました。月が地球の影に入っていく様子です。

2018年1月31日

2018年1月31日の皆既月食

この日は曇りの予報だったのに反してきれいに晴れて,月食がよく見えたんですよね。今回と逆のパターンでした。

おまけ

ずっと前,息子にオムライスを作ってあげたんですけどね。この時,自分のは面倒で,チキンピラフの上に丸い薄焼きオムレツを乗せただけで食べちゃいました (^ ^;)

これがホントの月食。全部食べたら皆既月食ですが,この場合は再び満月に戻ることはないですね(笑)

 

まとめ

雲に覆われて皆既月食の赤い月「ブラッドムーン」を見ることはできませんでしたが,天気には逆らえないですし,こんなもんですかね。欠けた月が少し見えたのでそれで良しとします。

月食はまた何年か後にあるので,その時を待つとしましょう。

また今回の月食は宮城県などではよく晴れてきれいに見えたようですね。

本当はこういう話は,月食直後にアップしないと観測記録としての価値が下がるんですが,少ししか見えなかったので気合が乗らず,こんなタイミングになってしまいました。

梅雨が明けたら空のきれいなところで,夏の星空を見たいですね。

 

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DxO の PureRaw を試してみました:星景写真のノイズが劇的に低減!

最近,DxOからPureRawという写真現像ソフトが発表されました。

DxOはフランスのソフトウェアベンダーで,Nik Collectionでおなじみかと思います。

このソフトは写真のRawファイルのノイズを減らしたり,解像感を良くしたりする効果があるとのことです。僕としては星景写真のノイズ低減にどれくらい効果があるかに興味があって,このソフトをダウンロードして試してみました。

するとこれは星景写真の処理に,かなり強力なことがわかりました。

PureRawのダウンロードと使いかた

ダウンロード

PureRawはDxOのサイト(ここ↓)からダウンロードすることができます。

DxO PureRAW - RAW ファイルのすばらしさを、引き出す

Mac版,Windows版の両方が用意されています。

使いかた

使いかたは簡単です。PureRawに処理したいRawファイルをドラッグ&ドロップして開きます。すると「DxO光学モジュール」というウインドゥが開き,使ったレンズのデータをダウンロードして,歪曲や周辺光量落ちを補正するかどうか聞いてきます。

光学モジュールウインドウ

レンズ補正を適用するか聞かれます

必要に応じて「選択してダウンロード」→「保存」を選ぶとレンズ補正が適用されます。使ってみた感じ,周辺光量落ちの補正がかなり優秀で,星空写真の現像にはとても助かります。

続いて「画像を処理」ボタンをクリック。すると処理オプションを訪ねる小ウインドウが開きます。

処理オプションウインドウ

処理オプション

「方法」は以下のように説明されています。

処理オプション
  • HQ」は「通常の照明条件で撮影された画像に最適」
  • PRIME」は「光量の低い環境で撮影された画像についても優れた効果を発揮する」
  • Deep PRIME」は「ミドルレンジからハイレンジのGPUを必要とする高速処理に対して驚くべき効果を発揮する」

ここでは星景写真ののノイズ低減に興味があるので,「PRIME」を選択します。

また「出力形式」はJPGとDNGが選べます。ここはDNGで。

「処理する」のボタンを押すと処理が開始されます。僕の環境では,1枚のRawファイルを「PRIME」で処理するのに,1分ほどかかりました。出力されたDNGファイルは,いつも通りにLightroomやPhotoshopで現像します。

星景写真のノイズが減らせるかな?…トライしてみます

さて,PureRawを使って星景写真のノイズがどの程度低減できるのか,実際にやってみましょう。

お題はこれ ↓

小沢の桜と天の川

小沢の桜と天の川…ノイズが目立ちます

先月,福島・田村市の「小沢の桜」で撮影したこの写真。これ,開放F4のレンズで24 mm(フルサイズ換算36 mm)までズームして撮ったので,露光時間が稼げず(ss10秒),iso感度を8000まで上げて撮っているんですよね。だから高感度ノイズが結構ひどいです。

これをPureRawで処理して,その後いつも通りに現像・レタッチをしてみました。すると…。

Pure Rawで処理

Pure Rawで処理。ノイズが劇的に減っています!

ノイズが劇的に減っています!元の写真は「ブログサイズに縮小すればまだ見れるけど,元のサイズだとちょっと人には見せられないなあ」 という感じでした。一方,PureRawを通した方は空が滑らかになってまあまあ見ることができます。

またノイズを低減すると写真のディテールが失われることがありますが,少なくともこの写真に限ってはそんなに気にならないですね。

PureRawを使った写真と使っていない写真,2つの画像を重ねてみます(真ん中のスライダーを左右に動かすと比較することができます)。左が元画像,右側がPureRawを使って現像したものです。

これでもわかりにくいでしょうか?ではバンビの横顔付近を等倍近くに拡大したものを比較してみましょう。本当は,ノイジーな写真は恥ずかしいのであんまり見せたくないんですが (^ ^;)

Pure Raw使用・未使用の比較

Pure Raw使用・未使用の比較

カラーノイズ,輝度ノイズ共に,大幅に抑えられているのがわかるかと思います。

他の写真でも試してみました

小沢の桜の写真でいい結果が得られたので,気を良くして以前撮った写真のうち,ノイジーなものを処理してみました。

天の川中心部

天の川中心部を写したこれ。赤道儀を使ってはいますが,構図を決めるためにiso12800で露光時間20秒で撮ったものです(なぜかこのあとちゃんと低感度・長時間追尾で撮るのをサボってしまいました)。

天の川中心部

天の川中心部 iso12800

これもかなりノイジーですが,PureRawで処理してみるとこうなりました。

Pure Rawで処理

天の川中心部 Pure Rawで処理

夜空の滑らかさが違いますし,ノイズが少ない分,画像処理も楽です。

夏の天の川(固定撮影)

もう一つ。小沢の桜の近くで撮った夏の天の川です。これも固定撮影で撮ったものです。

天の川

変哲のない星景写真ですが…

PureRawで処理してからレタッチすると,ノイズが少なくなっているので強調処理を楽に行うことができて,結果として天の川をより「あぶりだす」ことができるように思います。

穂高・涸沢の天の川

さらに一つ。北アルプス・涸沢で撮った「穂高の稜線と天の川」です。これも固定撮影。このときはシビアな岩稜帯を超えて縦走したので荷物を軽くする必要があり,赤道儀を持たなかったんですよね。

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まずPureRawを使わずにそのままレタッチした写真がこれ。

涸沢にて

穂高の稜線と天の川

暗い山肌を持ち上げているので暗所ノイズがかなり目立ちます。

でもこれも,元のRawデータをPureRawで処理してから現像すると,こうなります。

Pure Rawで処理

穂高と天の川 PureRawで処理

全然違いますね!暗部のノイズが劇的に減っているので,山肌を持ち上げて穂高のゴツゴツした岩の質感を出すことができたと思います。天の川も,よりよく浮かび上がらせることができています。

これも比較スライダーを。

左がPure Raw未使用,右がPure Raw使用です。真ん中のスライダーをドラッグして左右に動かすことができます。

 

まとめ:PureRawを使ってみた感想

このようにPure Rawで処理をしてから現像すると,星景写真のノイズ低減に絶大な効果があることがわかりました。感覚としては1段か2段くらい高感度耐性が上がる感じでしょうか。

僕はAPS-Cのカメラ(α6400)を使っているので,固定撮影しかできないようなときは(荷物を減らすために赤道儀を持っていけないときなど)「高感度に強いフルサイズ機が欲しいかも〜」と思うこともあったのですが,PureRawを使えばまだこれで戦える!と思うようになりました (^ ^)

シビアな登山のときなどは赤道儀を家に置いていく判断も,これで気軽にできるようになりそうです。

PureRaw,かなり使えますね!今なら8998円,30日間の無料トライアル(機能制限なし)もできます。

 

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【花の福島2021】田村市・小沢の桜と星空の写真を撮ってきました!〜天に星,地には花

小沢の桜とカシオペア

小沢の桜とカシオペア

福島県には見事な一本桜が各地にあります。桜めぐりは楽しい!今回は,田村市船引町にある「小沢の桜」を訪ねてみました。

小沢の桜は樹齢約100年のソメイヨシノ。それほど大きな木ではありませんが樹形がよく,なんとも言えない良い雰囲気があります。また田んぼの中にポツンと立っているその姿は,日本の原風景のようです。

原風景

原風景の桜

そんなこともあってかこの桜は地元でとても愛されているようで,福島県の「桜番付」では毎年のように「三役」に入っています。今年も西の小結になっていますね (^ ^)

www.photo-asahi.com

今回は小沢の桜を夜のうちに訪ねて,星空と絡めた撮影もしてみようと思います。

小沢の桜を訪ねる ––– 桜と天の川

夜半過ぎ,小沢の桜に到着です。空は澄んでいて,星がとてもきれい。そして暗闇にぼんやりと浮かび上がる桜の木。いい雰囲気です。

ちょっと寒いけど,田んぼ越しに桜を眺めながら,天の川が上がってくるのを待ちます。

そして午前2時を過ぎた頃。

小沢の桜と天の川

天に星,地には花

東の空に,夏の天の川がかかります。星空を背景に凛と立つ小沢の桜。それを見守るように横たわる天の川。まさに「天に星,地には花」ですね。

近くのビニールハウスの灯りで桜と菜の花が浮かび上がり,ライトアップなしでもきれいに写りました。

ズームして,桜と天の川を大きく写したのがこれ ↓。これくらいアップにすると,M8干潟星雲やバンビの横顔も,その存在がよくわかります。ただ,これはiso感度をかなり上げて撮っているので,ノイズが目立ちますね(固定撮影の一枚撮りです)。

桜と天の川アップ

小沢の桜と天の川中心部

今回は仕事の合間に来ているので,赤道儀を持ってきていません。追尾撮影して加算平均スタックすれば,もっときれいに写るんですが。

持ち運びが手軽な手動の赤道儀を持っていけばよかったかなあ。次に福島で星撮りをする機会があったらそうしようかな。

桜とスタートレイル(星ぐるぐる)

前から撮ってみたかった,桜と星ぐるぐる。天の川を撮ったあと,小沢の桜の南側から北天をねらってみます。この角度からだと,小沢の桜の美しい姿がよくわかります。

桜とスタートレイル

小沢の桜と星ぐるぐる

30分くらい回したところで天文薄明が始まったので終了。本当は一時間くらい回したかったんですけどね。

夜明けを待ちます

朝が来ました。日が昇ってきて,桜を照らすのを待ちます。この日の日の出は5時ちょっと過ぎです。

ところが小沢の桜の東側は山の斜面になっているので,なかなか桜に日が当たりません。寒い!震えながら日が差すのを待ちました。ここ田村市は阿武隈高地にあって気温が低いのです。この日の朝も氷点下の寒さでした。

そして…

小沢の桜・朝

朝の日差しを浴びて

朝日を浴びる小沢の桜。美しい立ち姿です。小さな祠や道祖神とともに立つ姿はムード満点。この桜が愛されている理由がよくわかります。

遠くに見えているのは移ガ岳(うつしがたけ)。阿武隈山地の高峰です。この山にも登ってみたくなりますね。

日がさすと少し暖かくなりました。桜のまわりを少し歩いてみます。桜が朝日に輝きます!

朝日を浴びる桜

朝日を浴びる桜

はつ恋の桜

ところで小沢の桜は,田中麗奈さん主演の映画「はつ恋」のロケ地として使われ,劇中に「願いの桜」として登場しています(僕自身はこの映画をまだ見ていないのですが)。確かにそんな物語によく合いそうな雰囲気の桜です…というか,こんな桜の下で恋を語ることができたら素敵ですねえ (^ ^)

願いの桜

願いの桜。こんな桜の木の下で恋を語れたら…

余談ですが田中麗奈さんのデビュー作「がんばっていきまっしょい」は,特別な縁があって2回見ました。そして2回とも同じところで泣きました。まあそんなことはどうでもいいですね (^ ^;)

近くの桜も見ていきます

帰り道,近くの桜も見ていきました。

小沢・古卵塔場のしだれ桜。道祖神に囲まれてきれいです。実はこの桜,周りに鉄塔や電線がたくさんあって,この角度からじゃないとそういうのがいっぱい入っちゃう。でも立派な桜です。

小沢・宮のしだれ桜

小沢・宮のしだれ桜

福島にはこういう見事な桜が至るところにあって,本当にすごいなあと思います。それにしても空が青〜い!。

おわりに

星空と桜,願いの桜,はつ恋の桜。田んぼの中の原風景のような桜。小沢の桜はとてもロマンティックなところでした。

また今度,赤道儀を持っていきたいです。

福島の桜の話,もう少し続きます。

 

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自作赤道儀を便利に使うために,L型ブラケットとコンパスアングルプレートを導入してみました

赤道儀ふくろう号

自作ポータブル赤道儀・ふくろう号

山に行って星空の写真を撮るのが好きです。

星空を追尾撮影するために,ポータブル赤道儀を自作して使っています。名付けて「ふくろう号」(ダサい? 笑)

自作ポータブル赤道儀

自作ポータブル赤道儀「ふくろう号」

ふくろう号の製作記事はこちら↓

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現在,東京都は緊急事態宣言下で星を撮りに出かけることができませんが,これを機会に赤道儀の使い勝手を改善しようとあれこれしてみたという話です。

赤道儀「ふくろう号」の使い方と気になるところ

基本的にはこんな感じで使います ↓ (実際にはこれに極軸望遠鏡とコントローラがつきます)

赤道儀使い方

極軸の傾きは撮影地の緯度と同じにします

地球の回転軸と平行にした出力軸(極軸)を一日一回転の速さで回転させると,日周運動で動く星を追尾できるという仕組みです。

このために,例えば北緯35°の東京付近では,極軸の傾きが35°になるようにセッティングします。写真は南の空にカメラを向けた状態ですね。

こうすると,こんなのが撮れます。

夏の天の川

赤道儀で南の空を撮るとこんな感じ

こんな感じで使ってきたのですが,問題は縦構図で撮るときです。赤道儀にのせた自由雲台を動かしてカメラを縦位置にすると…

縦構図

カメラを縦構図にすると…

こんな感じ。バランスが崩れて,極軸に余計なモーメントがかかるのです(マニアックな話をすると,これってドイツ式赤道儀のバランスウエイトがない状態と同じですからね)。

これまで縦構図で撮影するときには,なんとかバランスが取れるように雲台のポジションを微調整しながら,試し撮りしては写真の構図を確認して…という作業を暗闇の中で行なってきたのですが,これはなかなかメンドくさい。なんとかしたいなあとずっと思っていました。

白馬岳の星空

縦構図で撮った星空

そんな経緯もあって,いくつか試してみたのです。

汎用L型ブラケットを購入して,縦構図でも安定するようにしました

とりあえずバランスは安定しましたが…

縦構図に構えたカメラを安定させる場合,L型ブラケットを使うのが定番ですよね。そこで,まずこのアイテムを取り入れてみました。ただしα6400用のものではなく,「汎用ブラケット」を購入しました。↓ これです。

カメラにつけるとこんな感じ。

カメラ+ブラケット

カメラにブラケットをつけたところ

なぜα6400用ではなく,「汎用ブラケット」にしたかというと…

それを書く前に,このブラケットを使ってカメラを縦位置で赤道儀に乗せるとどうなるかを見てみましょう。↓ こんな感じです。

L字ブラケットを使用

L字ブラケットで安定はしますが…

うん,だいぶ安定しました。いい感じですね。

…でもこれで一件落着とはいかないんです。

星空を撮影するときにはインターバルタイマー(リモートレリーズ)を使うのですが,α6400にタイマーを接続するためのUSBポートは,カメラの左側にあるのです。だからこういう問題が…↓

インターバルタイマーが…

インターバルタイマーが接続できない!

インターバルタイマーの差込口がふさがってしまうのです。これでは星空撮影はできません。(星空を撮るときにはカメラのシャッター速度を「バルブ」にして,インターバルタイマーで露光時間をコントロールします)

L字型USBアダプタでインターバルタイマーを繋ごうとしたのですが…

それでブラケットにカメラをずらして乗せて,USBポートのL字型アダプターを介してインターバルタイマーをつけようと試みました。汎用ブラケットを使ったのは,これをやるためだったんです。

実際にやってみたのですが…

L字アダプタをつけたところ

タイマーの差込口が塞がってしまいます…

…差込口が下に向くからダメじゃん。

いや,これは僕がアダプタの注文を間違えただけで,逆方向に曲がっているアダプタを使えば差込口が上に向くのです。

ところがそれ以前に,アダプタのUSBソケットに刺したインターバルタイマーがゆるゆるで,信号がうまく伝わらないようです。

いま使ってるインターバルタイマーはロワ・ジャパンのこれ ↓ なのですが,コネクタの形が一般的なマイクロUSB(タイプB)のものと微妙に異なってるみたいなんですよね…。(カメラのUSBポートにはちゃんと付いて,信号もちゃんと伝わるので,この製品に問題があるわけではありません。こんな使い方は想定外でしょうし)

ということで,USBアダプタ作戦は一旦あきらめることにします。

L型ブラケットを逆向きにつけたらどうなる?

次にL型ブラケットを逆向きにつけて,短辺がカメラの右側にくるようにしようと考えました。こうすれば赤道儀に乗せたときに,タイマーの差込口が上に来て使えるようになります。

ところが…

ブラケットを逆向きに

ブラケットを逆向きに…つけられない!

底面ネジの可動範囲が足りずに,この向きでブラケットを装着することはできなぁーい!

これは困りましたね。

ブラケットを斜めにつけるしかないか…

ここでちょっと思案したのですが,結局ブラケットを斜めにつけて使うしかないかなという結論に至りました。

ブラケットを斜めにつける

ブラケットを斜めにつけます

こうすればインターバルタイマーを使うことができますね,すっごくカッコ悪いけど。これでも「縦位置にした場合のバランスの悪さ」は,一応解消できますし…。

タイマー接続

インターバルタイマーも一応つながりました

なんとなくスッキリしないけど,一応目処は立ったかな…。

カメラを縦にすると全体のバランスが危うくなります

…と見せかけて,もう一つ問題が。

こうしてL型ブラケットを使ってカメラを縦に構えると,極軸周りのバランスは改善されるのですが,全体のバランスが危うくなるのです。どういうことかというと…

カメラを天頂方向に向けた時

カメラを天頂方向に向けるとバランスが…

こんな風に,特にカメラを天頂方向に向けたときに大丈夫かぁ〜?って感じになります。星を追尾撮影してる途中で,三脚ごとひっくり返ってしまいそう。

これもなんとかしないといけませんね。

サイトロン・ジャパンのコンパスアングルプレートを購入してみました

アングルプレートでバランスを安定させよう

そこでサイトロン・ジャパンから出ている「コンパスアングルプレート」を購入してみました。

これは同じサイトロンのポータブル赤道儀「ナノ・トラッカー」を乗せるためのものですが,僕のふくろう号にも使えます。

これを使うと,赤道儀を無理なくカメラ三脚に乗せることができ,バランスの改善が期待されます。実際にやってみるとこんな感じ。

コンパスアングルプレート使用

コンパスアングルプレートを付けてみました

赤道儀とカメラの重心が,三脚の真上にだいぶ近づきましたね。だいぶいいですかね。

これでなんとかなるかな。

でもちょっと重くなっちゃったな…計量化を試みます

これで安定感は増したけど,L型ブラケットとアングルプレートの分,装備が重くなっちゃいました。合わせて数百グラムですが,山に担ぎ上げるにはこれは結構いたいですね。そこで,アングルプレートを三脚に直付けしてみました。こうすれば,雲台一個分荷物を軽くすることができます。

アングルプレートを三脚に直付け

アングルプレートを三脚に直付けしてみました

これでいけそうですね。ガタの原因となる接続部の数も減って,見た目の安定感も一層増したように思います。

こうすると,極軸の傾きは三脚の脚を微妙に伸び縮みさせて合わせることになりますが,それは今までにもやったことがあるのでなんとかなるかな?と思っています。

まあその辺りも含めて,次の星撮りの時にこの形を基本にして試してみようと思います。

まとめ

ということで,グダグダでしたが,L型ブラケットとコンパスアングルプレートを使って,赤道儀のバランスを改善した話でした。

これで調子よく使えるかどうか早く試してみたいですが,まだ緊急事態宣言下なので,もうしばらくうちでいろいろいじってみます (^ ^;)

東の空を撮る時

東の空を撮る時にはこんな感じになります

次は赤道儀自体の剛性をもう少し改善すべく,改造を検討しているところです(4月の新月期までに実行したいなあ)。

緊急事態宣言もあって,結局今年は冬の星座をちゃんと撮れなかったなあ。撮りたいと思っていた対象はあったんですけどね。

4月に撮るとしたら,夜半過ぎに昇ってくる夏の天の川が狙い目でしょうか。タイミングよく晴れるように,日頃の行いを良くしておきます(笑)。

from ふくろう

じゃあ,またね☆ from ふくろう

 

 

 

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【400年ぶりの天文ショー】木星と土星の接近を写真に撮りました!

木星と土星,400年ぶりの大接近

今月,西の空では木星と土星が大接近しています。最接近は21日,ちょうど冬至の日で,その間隔はわずか0.1度!満月の直径が約0.5度ですから,その5分の1まで近づくということです。

木星と土星がこんなに近づくのは400年ぶりとのこと。

惑星は全て,地球から見ると黄道上を動くのですが,土星よりも木星の方が太陽に近い軌道を回っていて公転周期が速いので,土星を追い越していくように見えるんですね。

最接近の前後,この2つの惑星を,何度か写真に撮ってみました。

12月17日 三日月と木星,土星の競演

最接近の4日前,12月17日は西の空に三日月がかかり,木星,土星とともに輝いていました。

とてもきれいな光景。この時カメラと三脚を持ち歩いていなかったのがとても残念です。一応スマホで一枚撮りました。

クリスマスツリーと三日月,木星と土星。

クリスマスツリーと三日月と木星,土星

クリスマスツリーと三日月と木星,土星

場所は仕事先の三鷹市某所。見る人が見たら「あー,あそこだ!」ってわかるところです (^◡^)

スマホの写真ですが,地球照も写っています。せめて「望遠レンズ」のついている iPhone pro だともう少しきれいに写ったでしょうかね。

12月21日 最接近の日

最接近の日。うちのベランダからだと西の空は建物に遮られて見えないので,望遠鏡を持って近くの河原へ行きました。とは言ってもうちから100 m くらいですが。

16時半くらいから空が暗くなってきて,西空低いところに木星と土星が見えてきます。近い!注意してみないと,そこに2つの星があるって気づかないくらいです。

さっそく望遠鏡を向けてみましょう。天体望遠鏡の視野に2つの惑星が入ってるって,なかなかすごい光景です。倍率を150倍に上げても同一視野に入ってる!

望遠鏡の接眼レンズに iPhone を当てて,写真を撮ってみます(コリメート撮影といいます)。

木星と土星の最接近

木星と土星の最接近 12月21日

11 cm反射望遠鏡,倍率45倍,iPhoneコリメートで3枚撮ってスタック,その後トリミング。望遠鏡の視野では上下逆さまに見えていますが,実際の向きに合わせて写真を180°回転させています。

土星の輪もかろうじてわかる程度に写りました。…目視ではもっとくっきり見えているんですが,気流の影響と望遠鏡の振動のためにちょっとぼんやりしています。

なお露出は土星に合わせています。木星が白とびしていますが,木星の縞模様がわかるようにすると土星とガリレオ衛星が写らなくなっちゃうんですよね…。

木星のガリレオ衛星は,左からカリスト,ガニメデ,イオ,エウロパです。

木星と土星の最接近

元の写真をよーく見ると土星の衛星,タイタンもうっすら写っていますが,縮小するとよくわからないですね。

天体望遠鏡+iPhoneで写真を撮る方法はこちら ↓ 

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木星&土星は18時を過ぎると地平線近くまで高度を下げ,観測が難しくなってきます。…低空は気流の影響が激しく,星像が陽炎のように揺れますからね。それに周りは住宅地ですから,この時間帯に望遠鏡を水平にして覗いていると通報されかねません (^ ^;)

そんなわけで望遠鏡は撤収です。その前に,空高く輝いていた月を一枚撮りました。

12月21日の月

12月21日の月 反射望遠鏡+iPhone

上弦の少し手前くらい,月齢はだいたい6.5あたりでしょうか。

12月22日 最接近の翌日

最接近の翌日も良く晴れていました。木星と土星はまだ非常に近く,引き続き望遠鏡の視野に同時に入ります。前日と違うのは木星が土星よりも東(左)側に来ていること。つまり天球上で木星が土星を追い越したわけですね。

この日は先に月を一枚撮りました。ちょうど上弦の月。まだ空に明るさが残る中,欠けぎわに「月面X」も見えています。

上弦の月

12月22日 上弦の月

さて,本命の木星と土星です。21日と同じく反射望遠鏡とiPhoneで撮影します。8枚撮ってスタック&トリミング。前日よりも気流の影響がありましたが,まあなんとか土星の輪もわかるでしょうか。ガリレオ衛星はガニメデとカリストのみ見えています。イオとエウロパは木星本体と重なっているようです。

12月22日の木星と土星

12月22日の木星と土星

他にα6400+望遠レンズでも撮ってみましたが,望遠鏡を使った撮影の方がよく写っているようでした。

この日も18時近くなって,2つの惑星の高度が低くなったところで撤収します。

 

おわりに

最接近の前後は好天に恵まれ,珍しい天文ショーを良い条件で観測することができました。なかなか面白かったです。もしかしたらこれ以降も何日間か,木星と土星の位置関係を写真に撮って,この記事に追加するかもしれません。

木星と土星を見つけられるかな?

iPhoneで撮影。木星と土星を見つけられるかな?

Twitterのタイムラインを見ていると,大型の望遠鏡を使った見事な写真が流れています。それに比べるとしょぼいですが,まあこれも一つの記録にはなるでしょうか。

さて次は…西暦4008年11月2日の明け方に,「木星による土星食」(木星が土星を背後に隠す現象)が見られるようです。しかも日本は好条件だとか。この現象は紀元前4927年以来,約9000年ぶりだそうです。いやあ,楽しみだなあ! (^ ^;;)

 

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(やっぱり天文年鑑2021年版の表紙はネオワイズ彗星なんですね)

奥多摩・鷹ノ巣山の頂上で星景写真を撮ってきました:スターリーナイトフィルターを使って撮る東京の星空

前記事「【奥多摩・鷹ノ巣山】酷暑の奥多摩山歩き。アブにやられてさあ大変!」の続きです。

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8月19日ー20日に,奥多摩の鷹ノ巣山に登ってきました。新型コロナの流行が収まっていない中,都民の一人としては都県境を越えずに登山をしようと,行き先を鷹ノ巣山にとどめました。これより先,雲取山方面まで足を延ばすと,登山道が山梨県をかすめてしまうのです…。

鷹ノ巣山は十分に日帰りが可能ですが,あえて避難小屋に泊まって,夜に星空の写真を撮ってきました。

赤道儀

がんばれ赤道儀「ふくろう号」

東京で星景写真を–––スターリーナイトフィルターを使います

さて,19日はちょうど新月期です。星空の写真を撮るにはもってこいの期間です。

肝心の天気はどうでしょう?GPV予報によると,19日の夜は奥多摩には雲がかからない様子です。これならイケそうかな?

さて。星空の写真を撮るときに一番問題になるのが「空が暗いかどうか」です。奥多摩の深い山の上とはいえ,鷹ノ巣山は東京都内です。都心部の街明かりの影響は少なからずあるでしょう。青梅市からも近いですし(実際,以前雲取山で南東の方角の空を撮ろうとしたとき,東京〜横浜方面の街明かりの影響が大きくて,赤道儀を回すのを断念したことがあります)。

そこで今回はケンコートキナーから出ている光害カットフィルター「STARRY NIGHT(スターリーナイト)」を使ってみることにします。このフィルターは都市部の照明に使われるナトリウムランプ(波長589 nm)および蛍光灯の光(水銀の輝線 435, 546, 577 nm)を選択的にカットしてくれるものです。一方,他の波長は比較的よく透過させるので,星の光を捉えるにはおおむね影響がありません。

「スターリーナイト」

光害カットフィルター「スターリーナイト」

www.kenko-tokina.co.jp

今回はこういうアプローチでいってみようと思います。さて,東京都内にいてどれくらい星空を捉えることができるでしょうか?

 

夜の鷹ノ巣山へ

鷹ノ巣山避難小屋で晩ご飯を食べ終わると,ちょうどあたりは暗くなりました。ここまで登ってくる間,空には薄雲がかかっていることが多く,気になっていたのですが外に出てみると…おっ!星が見えています。

避難小屋は森に囲まれているので天頂付近しか見えませんが,はくちょう座付近の天の川が見えています。湿度がけっこう高くて,ヘッドランプの光が筋になるところを見ると透明度はあまり高くないようですが。

でもチャンスです。急いで赤道儀とカメラ,そしてヘッドランプを準備して山頂に向かいます。夜の山道はクマさんが怖いので,熊鈴をトレッキングポールに取り付け,大きく鳴らしながら歩いていきました。

夜のブナ

大きなブナの木は,夜の山道でも存在感がありました
注意!ナイトハイクは昼間の行動に比べて,転倒,道迷いなどの危険が高まります。またクマなどの野生動物と遭遇する確率も上がります。万全の注意をした上で,自己責任で行ってください。歩くルートは明るいうちに危険箇所などの確認をしておくのが鉄則です。

避難小屋から登ること約30分,鷹ノ巣山の山頂に到着です。夜の山頂には,当然のことながら誰もいません。

で,肝心の星空ですが…うーん南天の低空には雲がかかっていて,天の川の中心,いて座の方向は見えません。夏の空で最も華やかな部分が見えないのは残念ですが,天気には逆らえません。

目を転じて天頂方面,夏の大三角のあたりはどうでしょう。天の川が見えていますが薄雲が流れているような感じです。

もう少し標高が高い山なら雲の上に出てるかもしれないんですが…。でもいいんです。今回は「東京の星空」を撮るのがテーマの一つです。幸い赤道儀をセッティングしていると上空の雲は去っていきました。条件は最良とはいえませんが,撮影を始めることにします。赤道儀のスイッチオン!

はくちょう座付近の天の川

鷹ノ巣山山頂の木々の上にはくちょう座〜カシオペア座にかけての天の川が流れています。夏の元気な森の上に流れる天の川。これも夏山の風景には違いありません。

ということで,まずこちらにカメラを向けました。カメラはα6400,レンズはSAMYANGの12 mm F2.0 NCS-CS(換算18 mm)です。

森にかかる天の川

鷹ノ巣山にて。森にかかる天の川

星空は赤道儀で追尾したものを7枚スタック(加算平均コンポジット),地上部は赤道儀を止めて撮ったものを5枚スタック。これらを「新星景」方式で一枚にまとめています(地上部と星空の位置関係は正確です)。周りに誰もいないので,木々をヘッドランプで照らしたりしました。

ところで夜の山頂にクマさんが出てきたら困ります。そこで撮影中はクマ鈴をチリンチリン鳴らし続けました。またシャッターを閉じている時に,ヘッドランプをあたりに照射します (^ ^;)

はくちょう座の北十字をアップで撮ってみます

次にレンズを35 mm F1.8に付け替えて,はくちょう座をアップで撮ってみることにします。はくちょう座の北十字を画面いっぱいに写した「星座写真」ですね。

はくちょう座

はくちょう座の北十字

スターリーナイトフィルターを使って撮った5枚+ソフトフィルター(プロソフトンA)を使った3枚をスタックしています。

画面上の方の明るい星がデネブ,北十字の真ん中の星がサドル,白鳥のくちばしの位置にあるのがアルビレオです。ソフトフィルターを使うと星の色がよくわかりますね。

以前から感じていたのですが,α6400のセンサーは,赤い散光星雲も割と良く写ります。この写真でも北アメリカ星雲やサドル付近の散光星雲がよく写っています。

ところではくちょう座の北十字は「銀河鉄道」の最初の停車場です。ジョバンニたちが乗った列車は,ここから天の川に沿って南下していくんですね。

「もうじき白鳥の停車場だねえ。」

「ああ、十一時かっきりには着くんだよ」

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」から

カシオペア座付近の天の川 

次にまた広角レンズに付け替えて,カメラを北天に向けます。夜が更けて,カシオペア座が登ってきています。この辺りの「秋の天の川」も透明感があって好きです。

同じく追尾したものを6枚,赤道儀を止めて撮った地上部を5枚スタック。

カシオペア座付近

カシオペア座付近の天の川

この辺りの領域は暗黒帯が複雑に入り組んでいて,けっこう面白いんですよね。画面右上のほうにアンドロメダ銀河も写っています。

北側は秩父市でしょうか。意外と街明かりの影響が出ていますね。

南の空も一応撮っておこう

夜が更けてきました。上空の雲の流れは落ち着いてきましたが,南天には雲がずっとかかっていて,やっぱりいて座のスタークラウドは見えません。でも一応撮っておこうと思います。

南の空

南の空,わし座を中心とした天の川

たて座〜はくちょう座あたりまで,わし座を中心とした天の川が写りました。ベガ,アルタイル,デネブの夏の大三角も入っています。低空のいて座付近が写るとより華やかなんですけどね。

この写真を撮った時には赤道儀の極軸がずれていたのか,周辺部の星が流れてしまい,スタックがうまくできませんでした。南天に雲があるから気合が乗らず,撮影に入る前に極軸のチェックをちゃんとしなかったせいですね (^ ^;) 縮小した写真だとあまり目立ちませんが。

低空は街明かりの影響がかなりありますね。スターリーナイトフィルターをつけていても黄色くカブっています。こっちは方角的に大月市あたりかなあ。

画面の下の方があんまり見栄え良くないので,「星空セルフポトレ」をやってみたらよかったなと少し思っているところです。今度機会があったらやってみようっと。

昇ってくる秋の星座たち

夜半を回りました。最後にカメラを東に向けて,昇ってくる秋〜初冬の星座を撮ってみます。固定撮影の一枚撮りです。レンズは標準ズームで焦点距離を16 mm(換算24 mm)に設定,ソフトフィルターを使いました。

カシオペア座からペルセウス座を中心に,画面下の明るい星はぎょしゃ座のカペラです。アンドロメダ銀河やプレアデス星団(すばる),ペルセウス座の二重星団h-χが画面に入っています。カリフォルニア星雲も心眼で見えます(笑)

昇る秋の星座

昇る秋の星座

こんな星空を見ると,まだ暑いけど季節は秋に向かっているんだなとしみじみ感じます。そのうち,あたりには虫たちの声が響くようになるでしょう。

撤収します

さて,そろそろ撤収して避難小屋に戻ることにします。辺りは真っ暗なのでヘッドランプで照らして,忘れ物がないように気をつけます。星空撮影には,いろいろ細かいものを使ってますからね。

そして荷物をまとめたら,またヘッドランプをつけて,クマ鈴を鳴らしながら夜の山道を下って行きました(緊張します)。20分くらいで避難小屋に帰還。

日の出の頃にもう一度山頂に登ってくる予定なので,シュラフカバーに入って仮眠をとりました。

光害カットフィルター「スターリーナイト」を使ってみた感想

今回初めてスターリーナイトフィルターを使ってみました。都内の街明かりの影響を受ける鷹ノ巣山でけっこう撮れたので,やはり効果はあるんだと思います。

他に気づいたことは

  • 黄色〜オレンジ色のところに吸収帯を持つので,星空がシアンにかぶります。現像の段階で空の色を調整するのにやや難儀しました(あえて青を残した写真もあります)
  • ナトリウム灯,水銀灯の輝線以外の波長にもわずかに吸収を持っているので,少し星空が暗くなります。今回,露光時間をもう少し長めにとってもよかったかな。この点は,今後試行錯誤が必要かもしれません

といったところでしょうか。これからも空の状態を見て,必要なら使ってみようと思います。

ケンコートキナーさんは最近も「プロソフトン・クリア」を出してくれたり,星景写真を視野に入れた製品開発をしてくれるのがうれしいです。

おわりに

今回,「東京都を出ないぞ」と決め,山歩きと星撮りを行ってきました。それでもきれいな星空を写すことができてうれしかったです。「東京の星空」。うん,悪くないですね。

このあと早朝の景色を写すためにもう一度山頂に登ったのですが,夜が明けた鷹ノ巣山頂にはアブの大群がいて,ボコボコにやられてしまいました。いま思うと,夜星を撮っている間アブがいなかったことは,本当にラッキーだったなと思います(汗)

 

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月と木星,土星の接近を撮影してみました!(過去の月と金星の接近の写真も)

天球と黄道,白道

地球は太陽の周りを公転していますが,地球から見ると,太陽が私たちの周りを回っているように見えます(地球が自転しているから太陽が一日一回転するという話ではなく,公転に関する話です)。

地球から見た空を球体と見立てた時,その球を「天球」と呼ぶのですが,天球上で太陽の通り道は決まっています。この「太陽の通り道」を黄道と呼び,太陽は黄道上を一年かけて一周します(地球を中心に宇宙を見たとき,そう見えるということです)。

また地球の地軸が傾いているので,黄道は天の赤道に対して約23.5°傾いています。夏の太陽は空の高い位置に輝き,冬の太陽が低いのはこのためですね。

天球と黄道

緑色の線で描かれている"ecliptic"が黄道。出典:wikipedia

天球には様々な星座があるのですが,黄道上にある星座=やぎ座,うお座,みずがめ座,おひつじ座,おうし座,ふたご座,かに座,しし座,おとめ座,てんびん座,さそり座,いて座を「黄道12星座」と呼びます。例えば6月上旬の現在,太陽はふたご座にいます(余談ですが,だからこの時期の誕生星座はふたご座なのです)。ですので,この季節の夜中には,天球上でふたご座の反対側にあるさそり座やいて座がよく見えることになります。

地球とその他の惑星たち(金星,火星,木星,土星…)は太陽を中心として,ほぼ同一平面上を円軌道(厳密には円に近い楕円軌道)で回っています。だから地球から見ると,惑星もおおよそ黄道上を運動するように見えます。ただ,それぞれの惑星が動く速さは違うので,地球から見ると様々な惑星が黄道上で近づいたり離れたり,追いついたり追い越されたり…といったことが起こります。

月の動きもこれとよく似ています。ただし月が地球を回る軌道は,地球の公転平面からわずかにずれているため,天球上で月が通る道筋––これを白道と呼びます––は,黄道と5°ほどずれています。でもまあ大雑把に見れば,太陽と惑星と月は,空を同じような道すじで動くと見ることができます

その結果何が起こるかというと,ときどき月と惑星が接近して見える時があるのです。惑星の中でも金星,火星,木星,土星はかなり明るいですから,月と接近するとなかなか美しい光景になります。

2020年6月8日 月と木星,土星の接近が見られました

前置きが長くなりましたが,昨晩月がやぎ座で木星,土星と接近しました。僕の家は東京都内なので星空を見るには厳しい条件なのですが,月や惑星なら明るいのでよく見えます。折しもよく晴れていたので,ベランダに三脚を立てて,この天体ショーを撮影してみました。

夜半近く,ベランダに出てみると月が煌々と輝いており,そのすぐ近くで木星が明るい光を放っています。さらに少し左側に目を移すと,土星も光っています。さっそくカメラに望遠ズームレンズをつけ,三脚を立ててカメラを乗せました。

とはいえ,3つの天体の明るさはかなり違います。土星がちゃんと写るように撮影すると,一番明るい月は真っ白に飛んでしまいます。月の表面の模様(うさぎさん)も美しいですから,これもちゃんと写したいですね。

それで–2, 0, +2 EVのブラケット撮影をして,三枚の写真で露出ブレンドをしてみました。その結果得られた写真がこちら↓

f:id:sunsun_fine:20200609164325j:plain

月と木星,土星の接近

月と木星,土星の接近。APS-C 144 mm(換算 216 mm)の写野に入るくらいに近づいています

こういう光景を見ると,私たちのいる地球も太陽系の一員で,他の惑星とともに太陽の周りを回っているということがイメージされ,壮大な気分になります。

月だけのアップも撮ってみました

ついでなので (?),月だけ目一杯ズームしてアップで撮ってみることもしました。これまでは月を撮るときには天体望郷+スマホの組み合わせで撮影することが多かったのですが,最近はα6400 の「超高画素改造ズーム」機能を使って撮ることが多くなりました。↓ これです。

月アップ

月アップ。月齢16.9くらい

望遠ズームレンズ SEL55210 +超高画素改造ズームの組み合わせによって,最大で換算630 mm相当まで寄ることができ,月の表面もかなり写し出すことができます。α6400 を使い始めた頃は超高画素改造ズームって画質・解像感はどうなんだろうと思っていたのですが,何度か使ってみて,「けっこう使えるな,これ」という実感を持っています。欠けぎわのクレーターもけっこう写ってるでしょ?

完全に余談ですが,もっと長焦点の望遠レンズ,例えば昨年発表された SEL70350G なんかがあったらもっと精細に撮れるかなあ…と欲しくなりますね(鳥を撮るときなんかもいいですね)。TAMRONさんあたり,APS-C Eマウント用の互換レンズをいっぱい出してくれないかなあ… (^ ^;)

以前撮った月と金星

今回は月と木星,土星の接近でしたが,月は他にも金星や水星,火星などとも接近することがあります。ついでなので,以前撮った月と金星の写真も載せておこうかなと思います。

これは2014年2月の月と金星の接近です(随分前ですね ^^;)。

月と金星の接近 2014年2月

まるでトルコ国旗から,星が散歩に繰り出したかのような光景です (^ ^)

金星は内惑星なので,月に接近するときはいつも三日月です。それに金星はとても明るく,露出ブレンドなどしなくてもしなくていいので撮影は楽ですね。

もう一つ,2017年1月の月と金星。この時はかなり接近していたので,まるで金星が「月のしずく」のようです。地球照も写っていますね。

月のしずく

月のしずく…金星

地上景と一緒に写すとこんな感じ。美しいですよ。

月と金星の接近

月と金星の接近 2017年1月

今年の3月くらい(だったかな?)にも月と金星の接近があったんですが,夕飯の準備に忙しくて撮影できませんでした(笑)

 

おわりに

月と惑星の接近は,都市部でもみることができる天体ショーです。こんな光景を見て宇宙に想いを馳せると,いい気分転換にもなりますよ。皆さんもぜひご覧ください。

 

2020年12月の,木星と土星の超接近の写真はこちら↓

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【星ぐるぐる】星の日周運動(スタートレイル)を撮影しよう!

星の撮影について,今までいくつか記事を書いてきました。この記事では,星の日周運動(スタートレイル)を写す方法 について書いてみます。こんな写真↓です。「星ぐるぐる」ってやつですね (^ ^)

スタートレイル

スタートレイル星ぐるぐる!

比較明合成を使います

星ぐるぐるの写真を撮るには,2通りの方法があります。

1つは「長時間露光の一発撮り」。カメラを三脚に固定し,シャッターを数分〜数十分に渡って開けっ放しにしておくやり方です。シャッターが開いている間に星が動き,その軌跡が線となって写るというわけです。この際,シャッターを長く開けておくほど,星の軌跡を長く伸ばすことができます。

ただ,あまり長い時間シャッターを開けておくと空自体が明るく飛んでしまうため,iso感度を下げておく必要があります。したがってこの方法だと暗い星まで写すのは難しくなりますし,都市部など空の明るいところでは使えません。また撮影中に車のライトが画面に入ったりすると,その時点で失敗となるリスクがあります。

もう一つの方法は「比較明合成」です。カメラを固定しておくのは一発撮りと同じですが,露光20秒〜30秒のカットを連続して数十枚〜数百枚撮影します。こうして撮った写真を,Photoshopなどの画像処理ソフトで重ねて開き,明るいところを表示するブレンドモードを適用します(Photoshopでは「比較(明)」)。すると,こんな風になります↓

比較明合成

比較明合成の原理

この際,重ねた写真が連続的に撮った星空の写真だと,動いていく星の軌跡が得られるというわけです。

比較明合成を使ったやり方だと,撮影の際に絞りを開いたり iso感度を上げたりできるので,暗い星まで写すことができます。また多数の写真をスタックすることで,夜空の部分のノイズが平均化されて目立たなくなるという効果もあります。

なお僕は画像処理にPhotoshopを使っていますが,比較明合成に特化した「StarStax」や「SiriusComp」などのフリーソフトもあり,便利に使えるようです。

比較明合成の実際

まずカメラを三脚に固定します。撮影モードは「マニュアル」。ピント合わせも「マニュアルフォーカス」です。次に星にピントを合わせますが,やり方はこちらの記事を参照していただければと思います。 

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ピント合わせが終わったら,カメラにインターバル撮影のできるリモートレリーズ(インターバルタイマー)を接続します。インターバルタイマーは,例えばこれ↓

シャッタースピードはB(バルブ)とし,インターバルタイマーで露出時間とインターバル時間を設定します。露出時間は空の暗さによりますが,20秒〜30秒くらいがいいと思います。インターバル時間は1秒です。こうしてタイマーのSTARTボタンを押すと,STOPを押すまでの間,連続してシャッターが切られ続けます。

インターバルタイマー

インターバル時間は1秒に

インターバルタイマーが接続できないタイプのカメラでも連続撮影はできます。その場合はカメラのドライブモードを「連写」にして,露光時間を30秒とかに設定します。そしてカメラのシャッターを輪ゴムなどを使って押しっぱなしにしておきます。無理やりな感じですが,僕は以前のNEX3では,実際にこんなやり方で撮っていました (^ ^;)

輪ゴムでシャッターを押しっぱなしに

消しゴムの切れ端と輪ゴムでシャッターを押しっぱなしに

撮影が終わってうちに帰ったら,全てのファイルをPhotoshopで開きます(ファイルメニューから「スクリプト」→「ファイルをレイヤーとして読み込み」)。

Photoshopの場合,ファイルを開いた状態ではブレンドモードが「通常」になっています。この時,重なっている中で一番上の写真が表示されていると思います。

ブレンドモード「通常」

ブレンドモード「通常」だと一番上の写真が表示されています

ここで全てのレイヤーを選択し,ブレンドモードを「比較(明)」にすると…

ブレンドモードを「比較(明)」に

全てのレイヤーを選択し,ブレンドモードを「比較(明)」にします

星の軌跡が現れます!

この段階でレイヤーを統合したら,あとはいつものように明るさや色調を調整すれば出来上がりです。

北天にカメラを向けよう!

日周運動を撮影する際に,まず写してみたいのは北の空です。それは北極星を中心に星がぐるぐる回る様子を写すことができるからです。

例えばこんな感じ。

北天の日周運動

桜とぐるぐる@千葉県で

千葉・外房で撮った桜と北天のスタートレイル,北斗七星が山の端に沈んでゆきます。この時の撮影条件は,「18 mm (換算27 mm),iso 4000,絞りF4,露光時間30秒で約30分の連続撮影」です。途中で何度か近くを車が通って,桜を照らしてくれました。

ぐるぐるの中心でほとんど動いていない星が北極星です。見つけられるでしょうか。

カメラの感度を上げて暗い星までギャンギャンに写したのが,最初にも上げたこの写真↓です。

南アルプス・北沢峠の星空

南アルプス・北沢峠にて

これは南アルプスの北沢峠で撮ったもので,空が暗い場所だったので iso感度を5000まで上げて,絞りF2.8,1枚あたりの露出30秒で撮っています。総露光時間は約1時間。迫力は出たけど,ちょっとやりすぎたかな (^ ^;)

ところでこれらの写真で,星は時計回りに動いているか,反時計回りに動いているかわかりますか?

…答えは「反時計回り」ですよ。

南天の低いところを写すと

南の空の比較的低いところを写すと,こんな画像が得られます。今度は星は左から右へ動いているんですよ? (^ ^)

カノープス

おおいぬ座とカノープス,富士山

この写真は奥秩父・笠取山の頂上から撮ったもので,露出は15分くらいです。富士山の左側に写っている明るい星は,りゅうこつ座のカノープス。シリウス(写真の中央上部に写っています)に次いで,全天で2番目に明るい星なのですが,南天低いところにあるのでなかなか見ることができません(福島県あたりより北では,この星は地平線よりも下に来るため見ることができません)。このため,この星は「南極老人星」という別名を持ち,これを見ると寿命が延びるという話もあるようです。この写真を見たあなた,10年くらい寿命が延びましたよ! (^ ^)

スタートレイルの写真なら,都内の自宅からでもけっこう撮れる

一般に星空の写真をきれいに写そうと思うと,空の暗いところへ行くことが必要です。暗い星や淡い天の川を写すためには,長い露光時間を取る必要があるからです。でも東京都内みたいに空が明るいところだと,長時間露光をすると空が真っ白に写ってしまい,星が消えてしまいます。

都内で星の写真を撮ろうとすると,iso感度を下げてレンズを絞って,露光時間も短めに…ってしなければなりません。もちろんこれでは暗い星はあまり写らず,星空の写真としてはかなり寂しい感じになります。

でも都内でも,星ぐるぐる写真なら日周運動する星の軌跡が重なり合うので,星の存在感が出てそれなりに「見れる」写真が撮れたりします。

都内にある自宅のベランダから,1時間のスタートレイルを撮ってみたのがこの写真↓です。

都内の自宅ベランダにて

都内の自宅ベランダで撮った,冬の大三角とオリオン座

これは,ふたご座流星群の活動期に撮った冬の大三角〜オリオン座です。写真の下の方に,流れ星も1個だけ写っています。

撮影条件は,iso 400,絞り F5.6,露光時間15秒で,約250枚撮ったものを比較明合成しました。そんなに暗い星は写っていないのですが,けっこう見栄えがすると思います。

自宅だと,カメラ+三脚をベランダに出しっぱなしにして撮影しながら,自分は暖かい部屋でビールでも飲みながら待ってられるので楽チンです。

撮影間隔を長くとってインターバル撮影をすると

というわけで,シャッター間隔がごく短いインターバル撮影(連写)をして比較明合成すると星の日周運動が線になって写るわけですが,あえてシャッター間隔を長くして比較明合成すると,日周運動する天体がポツン,ポツンと「点線」になります。

そうやって撮影したのがこれ↓。西空に沈む月と金星です。これは4分間隔でシャッターを切って比較明合成したものです。

沈みゆく月と金星

沈みゆく月と金星

この写真では三日月の暗い部分がぼんやり明るく見えていますが,これは「地球照」といって,地球から跳ね返った太陽の光が,太陽光が当たっていない部分を照らすことにより,少しだけ明るくなる現象です。

おわりに

スタートレイルの撮影は時間がかかりますが,撮影の間はカメラを放置しておけるので,わりと楽です。枚数が多いと比較明合成の作業が大変ですが。

星を止めて写す固定撮影やガイド撮影は,南天に魅力的な対象がある場合が多いように思います。というのは,天の川の明るい部分や目立つ星座が南側に見える場合が多いからです(例えばさそり座やオリオン座など)。北天はその点地味ですが,逆にぐるぐる撮影の場合は絵になリます。

星を点として写すだけでなく,その軌跡(日周運動)を写すことにはまた別の面白さがあります。露光時間が短めの固定撮影,赤道儀を使ったガイド撮影,比較明合成を用いた星ぐるぐる撮影。これらを使い分けて,星空の写真を楽しみたいものです。

 

 

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天の川を浮かび上がらせるトーンカーブ【星景写真のレタッチ】

星景写真,特に天の川の写真を撮った時に,「もう少し天の川をくっきりと浮かび上がらせたい」と思うことがよくあります。その時に使うと便利なのがフォトショップの「トーンカーブ」です。ここでは天の川を浮かび上がらせるために,僕がどのようなトーンカーブを使って画像処理しているかを紹介します。もちろん異なる処理をしている人もいると思いますが,一例としてご覧いただければと思います。トーンカーブを使った処理に先立って行う,フラット化についても触れます。

お題はこちら

実際にやってみましょう。お題はこれ ↓ 。

天の川の写真・お題

天の川の写真,「撮って出し」。これを処理してみます

岩手の八幡平市で撮った,夏の大三角付近の天の川です。撮影はAPS-Cのカメラ (Sony NEX-3) を使って。固定撮影で行いました。レンズは12 mm, F2.0 開放。設定は iso 6400, 露出25秒です。RAWファイルのパラメータをほとんどいじらずに,tiffファイルとして書き出しています。

この状態(撮って出し)だと,天の川は写っていますがコントラストが低いですね。また周辺光量落ちで画面の中央付近が明るく,四隅が暗くなっています。

この写真をレタッチして,天の川を浮かび上がらせてみましょう。

トーンカーブの前に…フラット化

フラット化について

トーンカーブによる天の川の強調処理に先立って,多くの場合バックグラウンドのフラット化が必要になります(フラット化をしないと,天の川を強調した時に周辺光量落ちも強調されてしまいます)。

星空の写真はレンズの絞りを開放付近で撮ることが多いので,どうしても周辺光量落ちが発生して,写真の四隅が暗くなりがちです。でも空の明るさ(暗さ)は本来一様ですから,これを補正してフラットな明るさにするのです。

グラデーションマスクでフラット補正

画像ファイルをフォトショップで開いたら,「レイヤー」メニューから,「新規調整レイヤー」>「レベル補正」を選びます。

レベル補正レイヤーを作る

「レベル補正」レイヤーを開きます

するとレベル補正パネルが開きます。レベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下には,小さな三角形△が3つあります。このうち中央の△を左に動かせば写真は明るくなり,右に動かせば暗くなります。この段階では写真の中央部分が明るくなっているので,この部分だけを暗くしてやれば良いということになりますね。この目的でレベル補正レイヤーに「グラデーションマスク」を作ってやります。

グラデーションマスクを作る

グラデーションマスクを作ります

レイヤーパネルで,今つくったレベル補正レイヤーのマスクサムネイルが選択されていることを確認します ①(選択されていない場合は,マスクサムネイルをクリックします)。続いてツールバーからグラデーションツールを選択し ( ② ),画面上部のオプションバーで「円形グラデーション」を選択 (  ),さらに「逆方向」にチェックを入れます (  )。そして写真の中央から角に向かって,マウスをドラッグ ( )。

円形グラデーションマスク

グラデーションマスク。白い部分にレベル補正がかかります

すると上のようなマスク画像が作られます(マスクは,マスクサムネイルをoptionキー(Windows版はAltキーかな?)を押しながらクリックすると確認することができます)。このマスク画像の白い部分(つまりこの場合は中央部分)にレベル補正がかかることになります。マスク画像を確認したら,レベル補正レイヤーのマスクサムネイル以外の部分をクリックして元画像に戻ります。

続いて全体を見ながら,レベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下にある,中央の△を右にスライドします。こうすると周辺光量落ちが補正されて,全体の明るさがフラットになっていくでしょう。

ヒストグラム下の△をスライドしてレベル補正

ヒストグラムの下の△をスライドしてフラットにします

これで周辺光量落ちは目立たなくなりましたが,まだこの写真は左側の方が暗く見えます。これは写真の右側が地平線に近く,街明かりの影響を受けているためです(つまりこの写真は縦構図で撮っています)。地上景を入れた星景写真の場合は,このグラデーションを残すことも多いですが,これを補正してフラットにすることもできます。やってみましょう。

「レイヤー」メニューから,「新規調整レイヤー」>「レベル補正」を選んで,新しくレベル補正レイヤーを作ります。続いてグラデーションツールを選択 ( ),オプションバーから「線形グラデーション」を選択 ( ),「逆方向」のチェックを外して ( ), 画面の真ん中あたりから左方向にドラッグ ( )。これで写真の左側にレベル補正の効果が及ぶマスクができるので(マスクサムネイルで確認できます),ヒストグラム下にある,中央の△を左側にスライドして明るくしてやります (  ) 。

線形グラデーションマスクでカブリ補正

線形グラデーションで街明かりによるカブリを補正することもできます

こんな感じでフラット化を進めていきます。今回は,左側を明るくする線形グラデーションマスクをさらに2枚重ねました。また四隅がまだ暗かったので,グラデーションマスクで隅っこを少し明るくしたりしました。

こうして一応フラット化を終えた画像がこれです ↓ 。

フラット化した画像

フラット化した画像がこれです

ここで一度レイヤーを統合しておきましょうか(レイヤーメニューから「画像を統合」を選択)。

天の川を強調するトーンカーブ

ヒストグラムを眺めてみよう:基本的な考え方

フラット化が終わったら,あらためて写真のヒストグラムを眺めてみましょう。ヒストグラムが表示されていない場合は,「ウインドウ」メニューの「ヒストグラム」にチェックを入れます。

星空写真のヒストグラムは,やや暗めのところに大きな山を一つだけ持っているのが特徴です。これは画面の大部分を占める,夜空の部分を表しています。夜空は基本的に暗く,濃淡が少ないのでこういうヒストグラムになるわけですね。

このヒストグラムの山の右半分から山すそにかけての部分は,夜空よりもわずかに明るいところです。つまりここは,多くの場合天の川の淡い部分を含んでいます。ですからヒストグラムの山の右半分のところだけコントラストを上げてやれば,天の川の淡い部分を浮かび上がらせることができます

トーンカーブの考え方

ヒストグラムの山の右半分は天の川の淡い部分です

逆にヒストグラムの山の左半分は空の暗いバックグラウンドのところですから,この部分のコントラストはあまり上げたくありません(この部分のコントラストを上げると,夜空のノイズが目立つようになります)。

トーンカーブで天の川を浮かび上がらせます

天の川を強調します

というわけで,いよいよトーンカーブによる天の川の強調処理です。

フォトショップの「レイヤー」メニューから「新規調整レイヤー」>「トーンカーブ」を選び,調整レイヤーを作ります。

トーンカーブレイヤーを作る

「トーンカーブ」レイヤーを作ります

すると「トーンカーブ」パネルが現れます。デフォルト状態では,トーンカーブは45°の直線になっていると思います。

ヒストグラムの山の左側をアンカーポイントで固定する

ヒストグラムの山の左半分をアンカーポイントで固定します

ここでまず,トーンカーブパネルに描かれている,ヒストグラムの山のてっぺんの真下をクリックしてアンカーポイントを作ります ( )。そしてその左側にも2ヶ所くらいアンカーポイントを作ります ( )。これでヒストグラムの山の左半分のコントラストが固定されます。

ヒストグラムの山の右側を持ち上げる

トーンカーブを動かして天の川のコントラストを上げます

次に「山の右側」 のコントラストを上げます。そのためには,ヒストグラムの山のやや右側をクリックして,上にドラッグします ( )。こうすると,この領域でトーンカーブが立ってきます。トーンカーブの傾斜が急なところはコントラストが上がるのです。また元の45°の直線よりもトーンカーブが上に来ている部分は元画像よりも明るくなります。つまりこの操作で,天の川がより明るく,コントラストも高くなるというわけです。

なおこうするとハイライト部分(トーンカーブの右端の方)も上に持ち上がりますが,この部分は少し下にドラッグして星が白飛びしないようにしておきます ( )。

この段階で,天の川がかなりはっきりしてきました。さらに微調整のために,山のてっぺんの真下に打ったアンカーポイントをクリックし,矢印キーを使って少しだけ上に上げてみます ( )。画像を見ながらちょうどいい感じのところを見つけましょう。

トーンカーブの微調整

真ん中のアンカーポイントを少しずつ動かして微調整します

さらに強調してみます

これで物足りなければ,今作ったトーンカーブレイヤーを複製して,2つ重ねます(トーンカーブレイヤーを右クリック→複製)。2つ重ねて「やりすぎ!」と思ったら,複製したトーンカーブレイヤーの不透明度を適当に下げてやります。ここでは,2つ目のトーンカーブレイヤーの不透明度を46%にしてみました。

トーンカーブレイヤーを複製して2つ重ねる

トーンカーブを複製して重ねると,効果がさらに強くなります

もう少し手を加えて仕上げます

空の明るさを調整します

これでかなり天の川が浮かび上がってきたと思いますが,もう少し手を加えてみます。まず,写真全体がかなり明るいので,全体に暗くして夜空らしくしてみましょう。

空の明るさを調整する

「レベル補正」で夜空の明るさを調整します

「レイヤー」メニューから「新規レイヤー」>「レベル補正」を選び,レベル補正レイヤーを重ねます。そしてレベル補正パネルに表示されたヒストグラムの下の真ん中の△を右へスライド (1.00 → 0.72)。左側の△も少しだけ右に動かしました (0 → 2)。これで夜空らしい明るさになったと思います。

空の色も調整します

次に空の色を調整します。空の色は好みやその時の気分にもよるのですが,ここではほんの少しだけ青を入れました。

空の色を調整する

空の色を軽く調整しました

「レイヤー」メニューから「新規レイヤー」>「レベル補正」でレベル補正レイヤーを重ね ( ⑧ ),ヒストグラムの上の「RGB」をクリックして「ブルー」を選択 ( ⑨ ),真ん中の△をわずかに左へスライド (1.00 → 1.03) ( ⑩ )。

これで完成です

これでほぼ完成です。ここでレイヤーを統合しました(「レイヤー」メニュー>「画像を統合」)。なおこの写真は感度を6400まで上げて固定撮影で撮っているので,ノイズが目立ちます。そこでフォトショップのノイズリダクションをかけておきました(「フィルター」メニューから「ノイズ」>「ノイズを軽減」)。

できあがったのがこちら ↓

天の川の写真・完成

これで完成です

固定撮影の一枚撮りですが,天の川を浮かび上がらせて,暗黒帯の色合いもかなり再現できたと思います。固定撮影でも,好条件で撮影したものを処理すると,これくらい写ります。

トーンカーブ処理をする前とした後の画像を比較すると,↓こんな感じです(真ん中のバーを左右にドラッグすると比較することができます)。

中央のバーを左右にドラッグすると比較することができます

なお写真によってはフラット化→トーンカーブ処理のあと再びフラット化したり,空の明るさを調整したあともう一度トーンカーブ処理をしたりすることもありますが,僕は大体こんな流れで星空写真を処理しています。

まとめ

天の川を浮かび上がらせるトーンカーブをまとめると,おおよそこんな感じ ↓ です。

トーンカーブの基本パターン

ヒストグラムの右側でトーンカーブを持ち上げる!

ヒストグラムの山の右半分の領域でトーンカーブを持ち上げる/立てるのがポイント!

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